kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「槇原敬之原発擁護?疑惑ソング」再論

日曜日の昼に書いた、槇原敬之の "Appreciation" は本当に「原発擁護ソング」なのか。「槇原叩き」に反論する - kojitakenの日記 は、「書き捨て」に近い記事だった。ただ、一部の「脱原発」論者たちが、槇原敬之の歌を紹介したとあるブログの記事*1につけた「はてなブックマーク」のコメントに、強い違和感を持った。それで当ブログで反批判を行った。

それより前だったか後だったか忘れたが、ほぼ同じ内容をさるSNSの日記にも書いたところ、ある方から下記の件を思い出すとのコメントをいただいた。実は、私はまさにその件を思い出しながら記事を書いていたのである。図星を指されて驚いた。その過去の件の発端は下記のブログ記事だった。


フジ桑田佳祐音楽番組にまで偏向の魔手: 植草一秀の『知られざる真実』

伝説の番組『桑田佳祐の音楽寅さん』が8年ぶりに復活した。


5月4日放送では、桑田氏がビートルズの曲を使い、歌詞をもじって、今の日本の政治を揶揄する内容が放映された。


その中の1曲に『民主党』なる題名の曲が盛り込まれた。


歌詞は小沢代表が辞任せずに代表に留まることを揶揄するものだった。


「偽装」
「小沢金権」
「ゼネコン」
「検察大ナタふるい」
民主党時代はいつ来るの」
などの言葉が散りばめられていた。


(中略)


バラエティー、歌番組の歌詞に、このような偏向した内容を潜り込ませる。視聴者の脳裏に「ゼネコン」、「金権」、「偽装」、などの言葉が焼きつけられる、一種の「サブリミナル効果」を狙ったものだ。


時に政権交代選挙の4か月前。明らかにひどい言いがかりの記事である。当時私はYouTubeでこの『民主党』という歌を確認して、桑田佳祐への罵詈雑言がいかに不当なものであるかを理解した。しかし、植草一秀のこの馬鹿げた記事に煽られた小沢信者の中には、桑田佳祐に対する不買運動を起こそう、などと主張する向きまで現れる始末だった*2。当時この件について、

右翼「チャンネル桜」が、NHK「JAPANデビュー」に《サブリミナルが使われている≫と大騒ぎしている

との指摘もなされた*3


断っておくが、私は槇原敬之氏には何の関心もない。最初に言及した、「著作権法違反」を犯しているブログの記事で歌詞を見た感想は、「グレーだが原発擁護ソングと断定できるほどのものでもない」というものだった。決して好印象は持たなかったが、この程度のことで槇原氏を声高に断罪する意見に安易に同調してはならない、批判の声に冷水を浴びせなければならないと強く思った。槇原氏批判の尻馬に乗ることは、過去にネット右翼や小沢信者がやったことと同じだと直感したから、強い調子でブログやSNSに自分の意見を書いた。


だが、そのあと、こんな件に熱くなった自分に急に嫌気がさして、佐野眞一が17年前に書いた正力松太郎の伝記『巨怪伝』の読書へと逃避してしまったのだった。翌日、『きまぐれな日々』を更新したけれども、槇原氏の歌の件には触れなかったし、それだけではなく槇原氏の歌について書いた当ブログの記事やSNSの日記に対する反響を確認しにいくこともしなかった。時間がなかったせいもある。


月曜日の夜になって、ようやくSNSに書いた自分の日記にアクセスしてみると、何やらコメント欄がプチ炎上していたが、それは私が書いた意見への賛否にかかわるものではなく、別の場所で行われていたらしいコメンテーターの方同士の喧嘩が私の日記のコメント欄に持ち込まれたものだった。私はそういうのは迷惑だともなんとも思わない。『きまぐれな日々』のコメント欄ではしばしばコメンテーター同士が激論を交わしている。

ただ思うのは、「脱原発」ムードも曲がり角にきたんじゃないかということだ。


ところで、記事を締めようとして思い出したのが、小泉純一郎が得意とした「抵抗勢力」という決め付けだ。私も意識して「原発推進勢力」という言葉を使ってきたが、昨今の風潮を見ていたら、この言葉を使うデメリットも出てきたかなと思う。この手の決めつけは、これまで原発で甘い汁を吸ってきたエスタブリッシュメントにターゲットを絞ってこそ意味があるのだ。それが、権力者でもなんでもない歌手に対して「言葉狩り」みたいな非難を投げつける形で使われる*4ようでは、好ましくない風潮が広がってきたと考えるほかはない。

そんなわけで、今後は「原発推進勢力」という型にはまった決めつけは封印し、もっと具体的な内容に即して原発を擁護、維持あるいは推進しようとしている人たちを批判していくことにしたいと思った次第だ。

*1:私はその記事が著作権法に違反していることにすぐ気づいたが、それはその時には指摘しなかった。

*2:http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/bbb21e705276af43f57fe2a86b5a8ad5

*3:同上。

*4:小泉純一郎は意識的にこの欺瞞を行っていた。