kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

5年前の「きっこ」のウソ記事と「耐震強度偽装事件」と馬淵澄夫と

 少し前のことだが、東京のスーパーで「夏の恵方巻き」なるものを売り出していた。節分だけでは飽き足らなくなって、立秋の前日にも「恵方巻き」を丸かぶりする商売をやるようになったかと、その商魂に感心した。


 「恵方巻き」とは、今ではすっかり有名になったが、節分の夜に「恵方」を向いて家族全員で丸かぶりする太巻きのこと。私がこれを知ったのは、2000年か2001年に岡山県のコンビニで宣伝を見かけた時だった。その前まで首都圏に住んでいた頃にはこんなものは売り出されていなかった。なんでももとは大阪の風習だったらしいと聞いたが、子供の頃、関西の私の家ではそんなことはやってなかったしそんな風習は知らなかった。


 それから数年経って、『きっこのブログ*1にこんな文章が載った。

ホントの恵方巻きは、七福神にあやかって、7種類の具が入ってる。だから太いんだろうけど、その上、切ってない。長いまんま、無言でモグモグと食べ続けなくちゃならない。それは、途中でしゃべると、言葉と一緒に福が逃げちゃうからだそうだ。だから、細長い菓子パンとか、具がカンピョウしか入ってない海苔巻きだと、基本的にNGなんだけど、最近では、「恵方ロール」って言うロールケーキとか、「恵方ドッグ」って言う細長いパンに海苔を巻いたのとか、色んなバージョンが発売されてるから、細長けりゃ何でもいいみたいだ。

だいたいからして、この「節分に恵方巻きを食べる」ってのは、江戸時代の終わりから明治時代の初めころに生まれた行事で、たいした歴史はない。その上、もともとは、大阪の船場の商人だけの行事だったのだ。それで、明治時代の中ごろには、もう廃れちゃって、誰もやらなくなった。それから、大正になり、昭和になり、第二次世界大戦が終わって30年も経った昭和52年に、大阪の海苔問屋の人たちが、海苔の販売促進の一環として、この行事を復活させたのだ。

だけど、やっぱり、最初は地域的な行事で、大阪の一部の人たちが節分に恵方巻きを食べてるだけで、大阪に住んでてもこんな行事があることを知らない人もいっぱいいた。そして、一般の人たちに広がり始めたのは、今から15年くらい前に、セブンイレブン恵方巻きの販売を始めてからだ。最初は、西のエリアだけで販売してたんだけど、平成10年ころから全国で売るようになって、テレビでCMも流すようになって、一気にメジャーになった。つまり、全国的に言えば、たった8年ほどの歴史しかないのだ。一応は江戸時代の終わりころに生まれた恵方巻きなんだけど、ホントなら自然消滅してたハズのマイナーなものだったワケで、海苔問屋の販売促進やセブンイレブンの売り上げアップのために仕掛けがなければ、こんなに全国的にはならなかったってワケだ。


 これを読んだ時は、なるほどと思ったものだった。2000年か2001年頃に岡山で知ったという経緯とも辻褄が合う。

 で、大阪出身の母に聞いてみた。すると、実家(大阪の商家)では太巻きをカプッとかぶる「丸かぶり」は毎年やっていたとの答え。つまり、

明治時代の中ごろには、もう廃れちゃって、誰もやらなくなった。

という「きっこ」の文章はウソで、大阪の商家ではずっと行なわれていた風習だった。


 思えば、この頃から「きっこ」が書いたものを真に受けてはいけなかったのだ。

 現在民主党代表選に立候補しているものの、上位2人に入るとは誰も思っていない馬淵澄夫は、2005年末の「耐震強度偽装事件」で『きっこのブログ』と提携した経緯がある。その後「きっこ」はライブドア事件にも進出し、野口英昭氏怪死事件では『世に倦む日日』ともども事件の追及で大人気を博した。「恵方巻き」についての記事もその頃書かれたものだ。

 当時、『きっこのブログ』は、マスコミが報じない事実を伝えるということで人気を博していた。特に耐震強度偽装事件ではそれが顕著だった。

 しかしその後、「総合経営研究所」の内河健氏や四ヶ所猛氏が「黒幕」だったという絵は東京地検が描いたものであり、かつそれは事実ではなかったという評価がなされるようになった。2005年当時の『きっこのブログ』は、西武の堤義明の逮捕を予言して的中させるなどしていたが、同ブログへの情報提供者の中に、東京地検と関係した人物がいたことは確実だと私は推測している。ライブドア事件でも同ブログは堀江貴文の逮捕を直前に予言し、数時間後そのエントリを消去した。確か堀江の逮捕は月曜日で、「きっこ」の「堀江逮捕予告」はその2日前の土曜日だったと記憶する。こんな芸当は、東京地検関係者とのつながりでもなければなかなかできるものではない。

 耐震偽装事件では、テレビ朝日の『サンプロ』が、内河健氏や四ヶ所猛氏を「黒幕」扱いした田原総一朗のインタビューを放送した(2005年12月18日)。同じ日の夜、『きっこのブログ』にイーホームズ藤田東吾社長が登場し、翌日には「きっこ」が馬淵澄夫とタイアップしていることを公表したのだった。あの頃、馬淵澄夫はしばしばテレビにも出演して名を売り、みのもんたなどは馬淵をヒーロー扱いしていた。

 しかし、現在では内河健氏や四ヶ所猛氏にかけられた嫌疑は事実無根だったという説が有力だ。何のことはない、「きっこ」も馬淵澄夫東京地検に踊らされていただけだった。書きっぱなしの「きっこ」はともかく、馬淵澄夫にはこの件に関する説明責任があると考える次第である。