kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「敵の嫌がることをやった」野田佳彦会心の組閣人事なんだろうけど。

野田佳彦内閣だが、一番感心したのは*1、「敵の嫌がることをやる」人事だった。

防衛大臣に小沢派の一川保夫を任命したことはその典型例だろう。

一川の名前を聞いて思い出したのは、「政治ブログ」を始めてからまだ1年しか経っていなかった2007年の参院選に立候補した一川の政治的スタンスを毎日新聞の「えらぼーと」で知って、何たるタカ派議員かと呆れたことだった。

少し前にも『きまぐれな日々』か当ブログのいずれかに書いたと思うのだけれど、民主党議員の中でも昔からの小沢一郎の仲間は大部分が強硬な軍事タカ派だ。一川もその一人であって、小沢一郎と同様の「集団的自衛権の政府解釈変更」論者、つまり「解釈改憲論者」である。奥田敬和の系統の自民党出身議員であり、森喜朗のライバル。とはいえ政治思想的にはシンキロー同様のタカ派。典型的な保守政治家なのである。民主党の「党内野党」となっている小沢派から、その中でも特に軍事タカ派色の強い一川を持ってきて、野田佳彦の望む軍事タカ派的な政策を一川にやらせようという魂胆だろう。

経産省鉢呂吉雄にしてもそう。鉢呂は旧社会党横路グループ所属だが、小沢一郎よりむしろ菅直人に近く、昨年の菅直人小沢一郎の代表選でも菅直人支持に回った。その鉢呂を「脱原発」路線をとれば必ず経産閣僚と対立する経産相に任命し、表向き「脱原発依存」を掲げながら、その実鉢呂に原発を再稼働させて「脱原発」派の勢いを殺ごうとしている。「リベラルの会」の平岡秀夫江田五月の後任に持ってきたのも同じで、死刑問題だとか小沢一郎裁判関連だとかの厄介な問題を押しつけた。小沢一郎の「茶坊主山岡賢次国家公安委員長拉致問題担当相に任命したのも同じ。要するに、小沢派や菅派や旧社会党の弱みを巧みに突いているのだ。本当は野田自身がやりたいことではあるのだけれども議論が紛糾しそうなマター(軍事タカ派政策や原発再稼働など)をわざと政敵にやらせる。これが野田佳彦流の人事なのだろう。

これで幹事長を輿石東に任命さえしていなければ「完璧」な策士の人事だったに違いないと思うが、いかんせん「輿石東幹事長」は全てを台無しにする愚策だった。今、野田佳彦は「してやったり」と思っているに違いないが、半年後には幹事長人事の失敗を後悔することになるだろう。


あんまり悪口ばかりでもなんだから、一点だけ「野田新内閣の評価できる点」を挙げておこうか。それは、与謝野馨を入閣させなかったことである。

*1:もちろん皮肉ですよ。字面通りに解釈して怒らないでくださいね。