kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

TPPとスクイズ

http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/11/01/%EF%BD%94%EF%BD%90%EF%BD%90%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E6%B4%BE%E3%81%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%A6%96%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%AE/ より。

野田政権が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向けた動きを加速させるなか、TPP賛成派と反対派の論争が過熱している。

反対派の中心は農業団体。食料自給率の低下や残留農薬規制の緩和などの可能性を指摘し、不参加を呼びかけている。あの内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電もTPPを拒絶する材料の1つだ。

問題とされる外交公電は、在ニュージーランド米大使館が2010年2月に本国に送ったもの。同年12月に一部のウエブサイトが取り上げ、11年5月に農協団体系の業界専門紙が部分的に掲載した。

ニュージーランド外務貿易省主催の会合で、同国のマーク・シンクレアTPP首席交渉官が、フランキー・リード米国務副次官補(東アジア・太平洋担当)に述べた内容とされる。野田首相がTPP交渉への参加に前向きな姿勢を示し始めてから、この専門紙の記事を転載するブログが増えた。

業界紙が掲載したのは公電の次の部分だ。「On multilateral issues, Sinclair emphasized that New Zealand sees the TPP as a platform for future trade integration in the Asia Pacific. If the eight initial members can reach the “gold standard” on the TPP, it will “put the squeeze” on Japan, Korea and others, which is when the “real payoff” will come in the long term.」

業界紙はこれを次のように翻訳している。「ニュージーランド外交貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は『TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8カ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それが長期的な目標だ』と語った(米国大使館公電から)」

この記事を転載するブログの大半は、「日本を押しつぶす」の部分に反応している。しかし、実際は「put the squeeze on」 は何かに対して圧力をかけるという意味で、つぶすということではない。また、公電全体に目を通しても、「農業」政策に圧力をかければよいと明瞭に記した部分はない。

それでも、農業団体系の専門紙がウィキリークスによって公開された外交公電を取り上げたとは、なんとも「国際的」で興味深い。
記者: 山口 肇


問題の "put the squeeze on" だが、"squeeze" は動詞なら「圧搾する」、「搾り取る」などという意味で、野球の「スクイズ」もこの単語だが、野球ではいうまでもなく犠牲バントで三塁走者を本塁に迎え入れる作戦だ。それにしても、「絞り取る」とはすなわち搾取。「押しつぶす」はニュアンスは若干違うにしても、それよりさらに露骨な意味なのではないか。WSJの言い訳もなかなか苦しそうだ。

そう思って、"Weblio" で "put the squeeze on" を調べてみた結果は下記。

put the squeeze [screws] on
締め付けを強化する


put the squeeze [ bite] on sb
せびる


put the squeeze on sb
ゆすりを働く


これらがアメリカの意図ということだろう。