kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

TPP反対の急先鋒だった自民党議員といえば稲田朋美(笑)=再掲

稲田朋美が国会論戦で民進党など野党の標的になり、集中砲火を浴びているようだ。

稲田は自民党が下野していた時代に、将来自民党が政権に復帰することなど想定もしなかったのか、極右の本性剥き出しというべきか、ネトウヨへの媚態全開というべきか、言いたい放題を言いまくっていた。それが今蒸し返されている。まさにブーメラン。民主党政権時代の子ども手当を全額軍事費(防衛費)に回せば云々、などと放言していた雑誌のバックナンバーの記事を読み上げさせられた稲田の声が震えていたのには「ざまあ」と思ったが、それが次の衆院選の稲田の議席はもとより自民党議席に与える影響などほとんどないであろうことを思うと、「ざまあ」が一転して空しさを覚えてしまう。

とはいえ、稲田が10年前に加藤紘一の実家の放火を講演会で笑いものにした一件を、10年経った今でも語り継がれる状態を作るのに少なからぬ寄与をしていると自負する私としては(だって(「稲田朋美 加藤紘一」でググると、「加藤紘一宅放火事件」と「稲田朋美」の2件のWikipediaのすぐ下に表示されるのは私が今年3月12日に書いた 稲田朋美の悪行「加藤紘一の実家の放火を笑いものにした暴言」を忘れるな! - kojitakenの日記 だからね。この件は今までに何度蒸し返したか知れやしない*1)、稲田の過去の悪行が蒸し返されることは大歓迎だ。稲田は、脇の甘い城内実とは違って警戒を要すると以前は思っていたが、なんのことはない、脇の甘さでも城内実といい勝負のようだ。野党は、稲田の次期総理の芽を完全に潰すべく、稲田をもっともっと叩いて叩いて叩きまくってゴキブリのように(政治的に)叩き潰してもらいたい。

さて、稲田が過去にTPP反対の急先鋒であったことも蒸し返されているようだ。たとえば朝日が報じている。

http://www.asahi.com/articles/ASJBF5JJYJBFUTFK00P.html

「TPPの終着駅は墓場」 稲田防衛相、過去に発言
南彰
2016年10月14日00時24分

 「TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ」――。13日の参院予算委員会で、稲田朋美防衛相が野党時代に環太平洋経済連携協定(TPP)を酷評していた論考が取り上げられた。

 民進党徳永エリ氏が「(野党時代はTPPを受け入れたら)国柄が守れないと心配していたのに、なぜ(いま)賛成するのか」とただすと、稲田氏は「TPPは大変な交渉であり、当時の民主党政権に危機感を持っていた」「自民党は何を守るかというルールを決め、タフな交渉で国益を守った」と賛成に転じた理由を説明した。

 稲田氏は、2011年11月7日付の産経新聞で「(TPP受け入れは)日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない」、月刊誌「WiLL」12年1月号で「TPPは日本をアメリカの価値観で染めるということですから。そんなことをしているうちに、日本はつぶれてしまいますよ」などと記していた。(南彰)

朝日新聞デジタルより)


そこで私もこれを機に、3年前に書いた TPP反対の急先鋒だった自民党議員といえば稲田朋美(笑) - kojitakenの日記(2013年3月5日)を、冒頭部分を除いて再掲しておく。稲田がTPP反対論で田中康夫と意気投合した対談が掲載された『WiLL』(この極右雑誌は最近内ゲバを起こして分裂した)の記事を転載したネトウヨのブログの記事から『WiLL』記事を孫引きしたものだが、当のネトウヨのブログ記事はその後稲田や安倍政権にとって次ごうが悪くなったためか削除されてしまった。なお、長い記事の大部分を再掲するのは、リンクを張っただけではリンク先を参照してくれる読者は1割程度しかいないことを長年のブログ運営の経験上知っているからだ。

下記の記事からは、稲田朋美田中康夫のいずれ劣らぬ品性下劣ぶりがよーくわかり、気分が悪くなることは請け合いだから、体調の悪い方はお読みにならない方が賢明かもしれない(笑)。

『WiLL』2012年1月号に掲載された、田中康夫稲田朋美の対談が全文収録されている。以下、反米右翼と思われるブログ主が書いた文章を削除した上で、対談記事を全文引用する。

http://blog.goo.ne.jp/wancomi/e/f88ac7e404704d12b097c7f82eec1d28(2011年12月2日)*2
http://blog.goo.ne.jp/wancomi/e/64591a4f72e62f32d9e8c2410e29e661(2011年12月4日)*3

TPPは「日本壊国」宣言だ!(『WiLL』2012年1月号より)

田中原発マンセー(爆)な田原総一朗論文を先月号で掲載した『WiLL』から脱原発派の田中康夫にお座敷掛かるなんて、いやぁ目出度い!まずはこれを言っておかないとね。

編集部:今日はTPPの話です!(笑)

田中:そうでした。TPPは "羊の皮をかぶった狼。トロイの木馬"。そもそも、TPPは「『環』太平洋戦略的経済連携協定」と訳されているけれど、これこそ恣意的、意図的な外務省、経産省の誤訳だね。
日本で最も非関税障壁な存在の記者クラブは、カナダとメキシコも参加の意向と誇らしげに書いているけど、アジア側ではインドネシアもフィリピンもタイも中国も台湾も韓国も参加しない。いや、参加すら求められていない。
だから、環太平洋の「環=輪っか」を意味するPan-Pacificでなく、太平洋の向こう側のTrans-Pacific。羊頭狗肉でしょ。自由貿易を装った保護貿易。日本とアジアを分断し、アメリカ1人勝ちのブロック経済。TPPは「Total Poison Program = 完全毒薬構想」の略号だね(爆)。

稲田:推進派はなぜか楽観的で「バスに乗り遅れるな」と言うけれど、行き先を分かっているのかと疑問です。どこに連れて行かれるか分からない、しかも途中下車もできないバスに国民を乗せるわけにはいきません。バスは乗り遅れるかじゃなくて、行き先が重要でしょう?

田中:日本人の仕事と生活を奪う話ですから。遺伝子組み換え食品もBSEの牛肉も無条件で流入。保険、金融、医療、通信、電波、公共入札にいたるまで侵略が及ぶ。「第三の開国」どころか、「壊国」以外の何ものでもありません。

稲田:農業だけの問題じゃない、日本の文明、国柄の問題なんです。これにどうして保守派が強硬に反対しないのかが、とっても不思議。

田中:そうなんだよ。でも、稲田さんや僕、城内実さんといった議員が呼び掛け人となって、「TPP交渉協議への参加表明を11月12日からのAPECの場で日本政府は行うべきでないとする国会決議の実現に関する呼び掛け」を衆議院で行ったら、みんなの党を除く全ての政党・会派の議員から、僅か3日間で232人もの直筆署名が集まった。
勝谷誠彦さんが愛読する朝日新聞が記者会見の写真を掲載してくれたけど(苦笑)、僕の両脇が稲田さんと社民党阿部知子さん(笑)。「南京」を巡って真逆の立場の2人が一緒に会見に臨むとはね。

稲田:不思議な光景でしたよね(笑)。

田中:でも、これはとても象徴的な写真でね、戦後はじめて日本人がイデオロギーでなく、日本国民の仕事や生活を奪い取るのか、売り渡すのかと立ち上がったのが反TPPだったと。議員会館の前に集まっていた人々は、日の丸を掲げたチャンネル桜系の保守団体がいれば、農団連と呼ばれる共産系の農業者もいる。
国会議事堂を取り巻いた60年安保はイデオロギー闘争だった。一般の国民は明日の自分の暮らしが心配で正直、安保どころではなかった。でも今回は違った。みんなが、これは自分自身の問題だ、と感じたんだ。
だって、京都大学の中野剛志さんと一緒に有楽町のイトシア前で街頭演説した時も、日の丸を掲げる人々と、自然農の環境団体「ナマケモノ倶楽部」のノボリを持った人々が一緒に、「そうだ、日本を壊すな、日本を護れ」と声を挙げるんだから。
こんな展開は日本ではじめてだと思います。古めかしい政局的な視点で見ようとする記者クラブ体質の新聞社、テレビ局や、農業者への補助金獲得の闘争だと勘違いしている政治家には分からないだろうけど。

稲田:田中先生が代表となって、「衆議院超党派で、交渉参加を表明すべきでないとする国会決議を目指しましょう」と呼び掛けたのが、11月4日の金曜日でした。

田中:ええ、城内さんと一緒に「国会決議の実現に関する呼び掛け」を議員会館の各部屋にポスティングしたんですね。そこには次のように書きました。<日本は1911年(明治44年)、小村寿太郎翁を初めとする数多くの先達が、血を吐く思いで努力を重ねた末に、関税自主権を回復しました。
100年後の2011年(平成23年)、我が日本は、国家の根幹たる関税自主権を自ら放棄しかねぬ、きわめて深刻な局面を迎えています。
「TPP=環太平洋戦略的経済連携協定」とは一体、如何なる代物なのか。日本の経済に社会に、国民の生活に未来に、如何なる影響を或いは如何なる効果をもたらすのか。適正確実に語れる人は、恐らく、1人もいないでしょう>
翌週7日の月曜日には、公明や共産からも呼び掛け人が加わって、夕方に会見を開いた。

稲田:こんなに重要なことを、たった1回の集中審議だけで、十分な国会議論もなく決めてしまうなんて、どう考えてもおかしい。しかしご存知のように、民主党はあの「詐欺選挙」で議席を300も取っています。条約の批准に関しては衆院の優越がありますから、野田総理のやろうとしていることがどんなに馬鹿げていたって、採決になったら通ってしまうはずなのです。
ところが、「交渉協議への参加表明に反対する国会決議を目指そう」と私も小野寺五典先生と7日の本会議場で「TPPは農業だけの問題ではなくて、国の文明、国柄の問題であって、参加すれば日本の国柄が破壊されるんですよ」と言って呼びかけたところ、自民党だけでも60名以上の署名を集めたんです。結果、自民だけで98名集まりました。
民主党は最初、100名を超える賛同者がいたのですが、圧力で少し消えて(笑)、96名。民主党の議会運営委員会の理事も2名、委員も5名署名しています。全体で計232人が集まりました。
本来ならどんな条約でも批准されるはずの衆議院で、過半数におよぶ反対署名が集まったことがすごいと思います。

田中:本来、署名を集めるという行為は、左翼的市民運動的イメージが強いよね。でも今回は違った。僕が代表の新党日本は個人タクシー(爆)で、ちっとも静かじゃない亀井静香代表の国民新党と与党統一会派を組んでいるんだけど、一所懸命に稲田さんと小野寺五典さんが署名集めに駆け回っている議場の自民党側に行くと、「(1日の本会議の)TPP反対の代表質問、よかったよ」「署名、もう済ませたよ」なぁんて重鎮議員から声を掛けられてね。
人間、信じられるなぁというか、人間の体温や心の機微を感じたね。それって、政治に一番大事な点でしょ。予算委員会の集中審議では曖昧な答弁を繰り返していたのに、会見では一転、どや顔で「私は愛する日本の産業と農業を必ず守ります」と大言壮語した二枚舌宰相とはまったく違うんだなぁ。
なにしろ、"便所の友" で知られる薄っぺらな人生訓の相田みつをだからねぇ。一国の宰相としては、せめて武者小路実篤志賀直哉レベルで踏み止まってほしいのに、「青年の主張」以下でしょうに。
「この辺でいいねと野田が言ったから11月11日は『壊国』記念日」って、Twitterでつぶやいた人がいるんです。秀逸だね、と僕も「ポスターに印刷のスローガンを以下に変更との情報?『ひとつひとつ、乗り越えていく。』→『ひとつひとつ、崩れ落ちていく。』、『国民の生活が第一。』→『米国の機嫌が第一。』」と打ったら大受けでした。
日本が溶けちゃうかもしれないのに笑ってる場合か、と生真面目な人からお叱りのダイレクトメールもいただいたけど、国民を愚弄しているのは腹話術人形の枝野幸男や、どや顔の宰相NÖDÁでしょ。
Oの上にドイツ語的音引き記号を、Aにはアクサンテギュを付けて疑問的ニュアンスで「ノ〜ダ↗?」と読ませるNÖDÁは、スター・ウォーズの長老ヨーダと違って無定見、無節操。鳩山・菅の両名のほうが真っ当に思えてきちゃうほどだよ。「だって、どぜうだもの、仕方ないんだよ」みつを。たしかに、どぜうには耳が付いてないものね。

稲田:信じられないのは、民主党内の反対派だったはずの議員ですよ。

田中野田総理が11日に「TPP交渉参加に向けて協議に入る」と会見したら、あれだけ反対していた山田正彦農水相は「ほっとした。事前協議に留まった」と満面の笑み。原口一博議員も「完全勝利。私たちの意図したとおり」と胸を張ったと聞いて、仰(の)け反りましたよ。
英訳すれば、「交渉参加に向けての協議入り」も「交渉協議への参加表明」も同じですよ。それを「協議に参加するだけで、交渉参加とは言ってない」だなんて、犬も食わない訓詁(くんこ)学派か、あんたたちは!

稲田:「離党も辞さない」と言っていたのに。一体、どうなっているのか。あの「ほっとした」という発言は、自分たちが離党しなくて済んで「ほっとした」って意味でしょうね。

田中:それはすでに多くの国民に見透かされてますよね。自民党の反TPP議員は「TPP参加の即時撤回を求める会」なのに、民主党は相変わらず「TPPを慎重に考える会」。いまでも毎朝、霞が関の人間を呼んでTPP勉強会。で、説明が足りないと資料請求、資料請求と声を挙げる。野党気分が抜け切れていない。延々とピーチク学級会を続けているんだよ。で、時間切れとなっちゃう。
もしかしたら、これだけの補助金や補償金を確保しましたよ、と農業者に言って自分の手柄にしたいのでは、と疑いたくなるよ。ペア交渉で経営側と握って、新規手当や手当増額で御茶を濁していた労働貴族な組合幹部を連想しちゃうよね。

稲田:卑怯の最たるものが野田総理ですからね。国論を二分する大問題にもかかわらず、総理はまったく国会での論議をしなかった。「表明」を1日伸ばしたので、10日に集中審議をしても「交渉参加か否か」がはっきりしないから、単なる公聴会のようになってしまいました。
とんでもない国会軽視、国民軽視ですよ。本当に許せません。

田中:おっしゃるとおり、TPPおばけと政調会長前原誠司が言ったら、最初は威勢がいいのに全部迷走して途中で逃げちゃうお前さんこそ、八ッ場おばけ、JALおばけ、尖閣おばけじゃないかと亀ちゃん(亀井静香)が苦言を呈したという話があるけど(苦笑)、その前原氏に僕が命名した "口先番長" は、実は彼だけじゃなく、民主党幹部の共通DNAだったんだ、と痛感したよ。
だって、所信表明演説で、消費税の「しょ」の字も言っていないのに、"ちびっ子ギャング" 様の安住淳財務大臣と一緒にカンヌへ出掛けたら、消費税増税を「国際公約」しちゃうんだもの。

稲田:どうして国民の生活にかかわる重要なことを全部、海外で言うんですかね。しかもサービスよろしく。ええかっこしいで、相手に気に入られるようなことを言いたくなってしまうのか。鳩山さんも菅さんも野田さんも、みんなそうですよね。目の前の人に喜ばれることを言ってしまって結局、できない。

田中:会社でも部下を統率しきれない。家庭でも家族から尊敬されていない。そうした困ったオジさんが会社の経費で海外のリゾートに行くと、急に浮かれて大言壮語して、美人局(つつもたせ)に引っかかる。そんな展開ね。
国民に対する発信を何もしないまま、自分の都合のいいときだけ記者会見を開いて、言いたいことだけを言っている。哲学も覚悟も定見もない、戦後最悪の指導者と後世の歴史家が言いかねない。

稲田:もし仮に、TPPが野田さんにとって昔からの「自分の信念だった」というなら、もっと早い時期から論議を重ねて、サンドバッグ状態になっても意志を貫くべきだったでしょう。ところが、議院運営委員会では反対署名を行なった委員を差し替えて国会決議案を本会議に上程できないようにしたり、「交渉参加に向けた関係国との協議」なんて卑怯な言い方をする。こういう人が日本のトップだなんて、情けないにもほどがある。

田中:そうだよね。急速に盛り上がった議員署名が触媒(しょくばい)となって、自民、公明、社民に国民新党新党日本、無所属の5会派共同で「APECの場での『TPP交渉協議への参加表明』に反対する決議案」を10日朝、衆議院議長宛に提出した。ところが民主党は、上程するか否かを判断する議院運営委員会民主党委員を差し替えて却下したんだ。委員長を含めて与野党で25人。民主党は15人。ところが、民主党の理事2人、委員5人の計7人が署名していたから、泡を食っちゃった。
何とも "その日暮らし内閣" なんだよね。僕とは意見は違ったけれど、小泉純一郎は「郵政改革」を最初から最後まで言っていたからね。その意味では、いまの首相と違って、抜き打ち表明ではなかった。

稲田:少なくとも、小泉さんには覚悟があった。野田総理に覚悟なんてありませんよ!!!大体、ISD条項も知らなかったじゃありませんか。
これは企業や投資家が、投資先の相手国の規制や制度によって損害を被ったとき、国際救済裁判所へ訴訟を起こせるというものです。近年、日本は外資に狙われている森林や水源地の土地取得、空港の外資規制などを法整備していこうという方向で進んでいたはずです。
ところが、TPPでこれらの規制が「投資家に不利」と判断されれば訴えられるということです。これは、日本の国益に合致する規制を設けるための立法権司法権も侵害されることになり、主権侵害であり、民主主義の否定になってしまいます。

田中:なんたって、ISDは「インチキな・訴訟で・大打撃」の略ですから(笑)。「非関税障壁」って言葉も怪しいよね。訴訟社会のアメリカが考えそうな、総会屋もビックリの難癖話だ。早い話が、1ミリでしかない段差でも敢(あ)えて転んだ振りをして、「ほら、バリアフリーになってないじゃないか!訴訟を起こすぞ!」と脅される社会になるんですよ。
11日の予算委員会で、小泉チルドレンだった佐藤ゆかり議員も反TPPの論陣を張って、ISD条項についても「国内法が曲げられることについてどうお考えか」と迫ったのは圧巻でした。
ところが野田総理は、ISD条項についてまったく知らないどころか、条約が国内法に優越することもよく分かっていなくて、何度も審議がストップした。議事録から答弁部分を読み上げてみましょうか。
ダイジョウビかね。これが民主党保守派の「真打ち」とマスコミで評されていた人物の認識ですよ。
「不利になったら交渉のテーブルから降りればいい」と言い放つ彼の周囲の、同じく保守派を名乗る推進派の頭のなかもMRIで検査したほうがいいね。だって、TPPは例外品目なしの真っ裸で交渉参加するのが大前提なんだよ。

稲田:国内法がずだずだにされるというのに、外務省に問いただすと「発展途上国に日本企業が出ていくときに、不利な規制があれば阻止できる」と答えるんです。つまり、ISD条項は日本企業を守るためにあると。

田中:「途上国に対しては日本が有利にISD条項を使える」って、早い話が、名誉白人を気取る日本が、上から目線で同じ黄色人種イジメをするって構図。日教組をはじめとする民主党の「人権派」は、弱い者イジメだと怒らなくちゃ。ドラえもんで言えば、アメリカというジャイアンがいて、「その友達です」って米搗(つ)きバッタしてるスネ夫が日本。そして、のび太である途上国を、腰ぎんちゃくのスネ夫がいじめるのを、よしとするような話。

稲田:自分だってジャイアンに巻き上げられるのに、そこは言わない。いまだって、すでにデリバティブ取引などで日本の中小企業は多大な損失を負っています。アメリカ型の「なんでもあり」の市場原理主義は、人々を幸福にも豊かにもしないことはウォール街のデモを見れば分かります。そういうカジノ資本主義を規制して、真面目にものづくりをしている中小企業を守ろうと言っていたときにTPPをやるなんて、矛盾もいいところ。TPPは日本をアメリカの価値観で染めるということですから。そんなことをしているうちに、日本はつぶれてしまいますよ。

田中:グローバルスタンダードですらない、「アメリカンスタンダード」に合わせろという話を、そのまま呑み込んでいる。
夕刊フジ』で「風雲永田町」を連載している鈴木棟一さんが言っていたのは、戦前は天皇陛下に対する "承詔必謹(しょうしょうひっきん)"、つまり「かしこまって聞きなさい」が、いつのまにか「絶対に聞きなさい」になって、虎の威を借りた連中の思惑で、陛下の意思とは裏腹に戦争に突入していった。
戦後、マッカーサーなんてガム噛んだチンピラみたいな輩と並んで写った写真が流布して、権威が薄れてしまった。承詔必謹は、終戦詔勅が最後だったと。ではいまは誰に承詔必謹を誓っているのかといえば、アメリカなんです、と言っていた。
実際そのとおりで、アメリカの言うことをありがたく拝聴している。しかも、腹のなかでペロッと舌を出しながら聞いているというんじゃなくて、ただただ頭をたれて無批判、無条件に受け入れてしまう。本当の承詔必謹は消えてしまった!……って、こんなことを田中康夫が言わなければいけなくなった(笑)。そういう世の中になったってことですよ。そして、頭を下げて「乗せてもらった」バスの行き先はどこか。小林よしのりさんも言うように、地獄ですよ。

稲田:そこまでアメリカ様の言うことを聞かなきゃいけないんですか、と。アメリカに守ってもらっているからって、「何が何でもご機嫌を損ねちゃいけない」と過度に思い込んでいるんじゃないでしょうか。しかも、アメリカ軍が日本に駐留している一番の理由はアメリカの利益であって、日本を守るためではありません。どこまで日本はおめでたいのでしょうか。

田中:われわれは何も、「反米」ではないんです。いまや世界中のどの国だって、アメリカとの関係がなければやっていけない。けれど、「屈米」「属米」というのは話が違う。本当に日米関係を大事にするなら、それは夫婦でも親子でも恋人でも、相方が歩むべき道を見失っているときには正心誠意、道理を説いてこそ真のパートナーでしょ。TPPに対する立ち位置で、保守のなかでも違いが鮮明になってきましたね。

稲田:不思議なことに、保守を自認する産経新聞もTPPには前のめりで賛成。日経はもちろん、朝日も読売も、大新聞は全紙賛成です。まだテレビのほうが慎重な姿勢が見えて、「遺伝子組み換えを表示するかどうかという問題が出てくる」などと問題点を指摘し始めつつあります。

田中B層と小馬鹿にされていた主婦層が不安と疑問を感じ始めてきたから、テレビも言わざるを得なくなってきたんだね。実は、電波放送権も自由化されれば年間数兆円で取引されて、暴露メディア王のルパート・マードックが日本のTV局に君臨する。再販制度非関税障壁だと言われて、護送船団の新聞業界も淘汰される。NHKも「税金使ってやっているのは非関税障壁」って言われますよ。テレビも新聞も、自分たちが影響にさらされる覚悟があるのかと。

稲田地方公共団体も、公共事業などを地場の企業に発注することでその地方にお金が落ちるようにやっているわけですが、それも「非関税障壁」と言われれば許されなくなる。町や村の事業の入札までが英語で行われる、ということになりかねない。日本語が最大の非関税障壁だと言われかねない。こんなことをしていたら、日本はガタガタになってしまう。

田中バラク・オバマ大統領は昨年、横浜APECで何を言ったか。「今後5年間で輸出を倍増する。輸出が10億ドル増えるたびに、国内の雇用が5千人増える。そのためにTPPをやる」。続けて、「(日本のような)巨額の貿易黒字国はアメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない。輸出への不健全な依存を止め、内需拡大策を取るべき」と。つまり、アメリカは輸出を拡大するが輸入は拡大させない、と宣言してるのね。バスに乗り遅れて焦っているのはアメリカなんです。

稲田:どうしてこれだけ問題が懸念されるのに、TPPでバラ色の未来、とばかりに突っ込んでいこうとするんでしょうか。

田中:「日本という国がなくなってもいい」と述べた初代民主党首相の妄想を、どぜうも着実に実行しているとしか思えないね。
そんなにアメリカに媚を売りたいなら、日本という国がなくなったほうがいいなら、アメリカの51番目の州になっちまったほうがお得でしょ!!1億2千万人もろともアメリカ国民になって選挙権を持てば、アメリカの暴走を防ぐ内なる抑止力になる。日本人の大統領だって誕生するかも(爆)。いまは要求だけ呑まされて、投票権もない状態。

稲田アメリカに頭が上がらないというなら、自主防衛に踏み切るしかない、という話になりますよね。

田中:ところが不思議なことに、「自主防衛!」と言っている前原 "口先番長" や長島昭久が、"赤い官房長官" の仙谷由人と一緒になってTPPを推進している。防衛上もTPPだなんて、嘘八百。誘われていない中国を刺激するだけで逆効果でしょ。
あの福島瑞穂議員ですら、「なぜ国会でなく会見で表明するんだ!」と正論を吐き、名前に引っ掛けて「美しい瑞穂の国の景色が失われる」と警告してるのにねえ(笑)。

稲田:保守派の論理としては、中国を牽制するためのTPPだと言います。そのためにも、アメリカとの連帯を見せておいたほうがいいと。

田中:それはあり得ない話。中国の貿易量は対日貿易を100とすると、EUが260、アメリカは220という数字になります。EUアメリカと中国が一緒にやっていくと言い出したら、日本はひとたまりもないんです。だから、アジアと日本を分断する戦略なんです、TPPは。

稲田:中国を不愉快にしてまで、なぜTPPなんでしょうか。推進派のもう1つの言い分は「アジアの市場を取り込む」。野田総理もそう言ってますが、TPPには中国も韓国も台湾も入っていない。どうやって取り込むんですか。TPPとは何の関係もありませんよね。

田中:本当にアジアを取り込むつもりなら、参議院予算委員会でも政府試算が明らかになったように、ASEAN+6(日中韓ニュージーランド、オーストラリア、インド)のほうが経済効果が出る。ましてや、TPP参加予定9ヵ国中、すでに6ヵ国と日本はFTA締結関係。さらに中国、韓国、EUとも交渉入りする。「なのにどうしてTPPが真っ先にくるのか」と聞かれた野田総理は、「ASEAN+6、または+3は政府間の検討段階だが、TPPは具体的な交渉がはじまっているから」と意味不明な発言で失笑を買いました。
ところが日経は、「ASEAN+6を日本政府は考えていたが、中国が+3にこだわったのでまとまらず、だからTPPに行く」と書いた。でもそれって、日本が中国に対して外交交渉力がないと白状したようなものでしょ。
中国が難色を示した理由はインドもいるからですよ。だったらインドと交渉して、「中国を外してASEAN+5をやりましょうか」と牽制すれば、中国も+6で動かざるを得ないのにね。

稲田:日本の立場を上手く生かした、粘り腰のある外交がまったくできていませんね。

田中:中国やインドを巻き込んだ戦略を日本は打ち出すべき。繰り返すけど、TPPはアジアを分断する話なんですよ。
平均的日本人もフランス製のバッグを持ち、イタリア料理を食べて、ディズニーランドが大好き。お金で買えるものは「白」化している。でも、日本人の皮膚の色は「黄色」。物質的な中身は「白」になっても外側は、そして精神は「黄色」のバナナなんです。それを忘れちゃいけない。

稲田:カナダとメキシコが参加を表明したといって動揺していましたね。

田中:中台韓もインドネシアもフィリピンもタイも不参加で、しかもTPPに対抗して広域FTAをインドや中韓と締結すると、ASEAN首脳がバリ島サミットで了承したのにね。
TPP参加表明国の金融立国シンガポールは一次、二次、三次産品の全てを輸入している。ブルネイLNGと石油、ニュージーランドは酪農乳製品、チリはレアアースの一次産輸出国で、二次、三次産品は輸入国。だから大いに輸出をして、安く輸入できるTPPはメリットがある。ところが、日本はそうではない。
アメリカとFTAを結んだ韓国は、GDPの4割を三星サムスン)と現代(ヒュンダイ)で占める、いびつな構造。日本は大企業に加えて、裾野の広い中小の真面目な企業が貢献した上でのGDPです。TPPの毒薬は、そうした製造業に及ぶ。そこが一番の問題なんです。

稲田民主党を応援している組合だって、TPPに参加すれば自分たちの雇用が脅かされかねない。経団連だって、企業そのものは儲かるかもしれませんが、雇用は悪化、給料も下落します。

田中:稲田さん、松下政経塾の議員と労働組合系の議員が民主党内で共存している理由って分かりますか。彼らは結局「ノーメンクラツーラ」、社会主義の特権階級、赤い貴族なんですよ。ケーススタディや運動方針という机上の空論で、「こうすればこなるはず」って言ってるだけ。

稲田:野田さんも「日本の農家を絶対に守る」と言っているけれど一体、どれだけお金を使う気なんでしょうか。そもそも、民主党は小泉構造改革に反対し、「自民党の農家担い手政策は零細農家切り捨てだ。民主党はすべての農家を救う」って言って選挙で勝って政権をとったんです。それで「TPPで農業改革。大規模農場経営を」なんて平気で言える神経が分からない。

田中:それを野田総理補助金で救うと言っているけど、TPP参加で得られる経済効果は10年間で2.7兆円。政府自ら認めているから、1年間で僅か2700億円。これじゃ、いまの農業者戸別所得補償1年分の半分もまかなえません。

稲田TPPは保守の正念場ですね。反対決議署名が232という数が集まりましたし、自民党は党決定をしたので、採決になれば党議拘束がかかります。我が党も頑張って戦っていかないと。

田中:仮に屈辱交渉が終結しても、国会批准が必要。1年後にアメリカ大統領がオバマの保証もない。おっと、その前に野田政権が……(苦笑)。


 おい稲田朋美城内実。「TPPに参加すれば日本の国柄が破壊される」んじゃねえのか。なぜ黙ってやがる。それでも「信念を貫く」国士かよ。恥ずかしくねえのか手前ら。稲田は「どうして国民の生活にかかわる重要なことを全部、海外で言うんですかね。しかもサービスよろしく。ええかっこしいで、相手に気に入られるようなことを言いたくなってしまうのか」という言葉を安倍晋三に向けんかい。それができねえんだったら手前らこそ「口先国士さま」ってこった。

 また稲田朋美と意気投合する田中康夫の品性下劣ぶりも、上記の対談記事をお読みいただければ、読者の方々にも納得していただけることと思う。さすがは城内実と共闘して国籍法の改正に反対した(2008年)だけのことはある。

*1:もっとも、2008年に稲田自身が登場する映画『靖国 YASUKUNI』を検閲しようとして、その後田原総一朗の今はなき『サンデープロジェクト』の出演要請を断って田原に欠席裁判をされた件など、蒸し返す頻度が少なかったために忘れ去れてつつある痛恨の件もいくつかある。

*2:現在では削除されている=引用者註

*3:現在では削除されている=引用者註