kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

また「『右』も『左』もない」の季節がくるのか

TPP反対論だが、名前を売った中野剛志に続いて、東谷暁関岡英之が書いた新書本が本屋に並んでいた。要するに「右」側からのTPP反対論が目立つ。彼らに通じる論客としてはかの三橋貴明がおり、ベストセラーになった中野のTPP本には参照文献として三橋の著書が挙げられている。

2005年の「郵政総選挙」後の状況を思い出す。この頃、関岡英之の『拒否できない日本』が話題になり、「『右』も『左』もない、オレは『下』や」というキャッチフレーズとともに城内実平沼赳夫を大々的にプッシュする「護憲派」が現れた。この「護憲派」はしまいには「城内実は『9条護憲派』や」と言い出し、それがデタラメであることがネットで証明されて申し開きできなくなると、ほどなくして城内実応援の旗を振るのを止めた。しかし、そこに至る間、約4年の長きにわたって、ネットの「リベラル・左派」の多くのブロガーやコメンテーター、それに掲示板投稿者たちが城内実平沼赳夫を応援し続けたものだ。それは本当に異様な光景だった。

当時私が不思議に思っていたのは、城内実と主義主張がほとんど変わらない稲田朋美を上記の人物が激しく批判していたことだ。そしてこの稲田朋美は早い段階から「TPP反対」の旗を振ってきた。

私もTPPに反対だが、今度は「『右』も『左』もない」などという妙な風潮がはびこらないでほしいと思う。「TPP反対派」の右派にはいわゆる「民族派」が多いのだが、歴史的に言うと日ソ国交を回復して日中関係の改善にも前向きだった鳩山一郎の流れを汲んでいる。鳩山一郎は強硬な「改憲派」だった。改憲論者の鳩山由紀夫が早い段階からTPP反対論をブチ上げていたのも祖父の流れを汲む右派的な思想に基づいていると私は考えている。日米安保に頼るのでなければ憲法を改正して軍事力を強化するというのが彼らに共通する思想である。

そんな人たちとの「共闘」を強要されるいわれは何もない。「右」と「左」が別々にTPPに反対すれば良いだけだ。ただ、たちが悪いのは「右」側の「TPP反対派」の中には独裁者に絶対服従の人が多くて、ボスが行動を抑えろと言えばそれに従って黙ってしまうことだ。これでは何の役にも立たない。実質的にTPPを推進しているようなものだ。

さらに言うと、そういう行動をとるのは「右」の中でも「極右」には属さない人たちが多い。極右は、稲田朋美にせよ平沼赳夫にせよ中野剛志や関岡英之にせよ小沢一郎なんかには遠慮しない。結局「右」側の人々の支持は彼らに集まりそうな気がする。民主党の小鳩派小沢一郎の指示に従って行動を抑える。その結果、TPPは推進され、極右の政治家や学者たちへの支持だけが増えるという経緯をたどるのではあるまいか。