kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「供託金」といえば「高田がん」だが

前にも書いたけれど*1、「供託金」と言われて私が思い出すのは「高田がん」である。

全国あちこちの地方選や国政選に現れては惨敗し、供託金を没収されていた高田がん。努力の甲斐あってか、最後の頃には供託金を没収されない選挙もあったというが、高田がんが選挙に出るたび、供託金没収が話題になって、その金はどこから出ているのだろうかと周りで話題になったものだ。


さて、2008年小沢一郎発言供託金削減案は「考える対象にもならない。次元の低い問題外の話」 - カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記/はてダ版 によると、小沢一郎が、供託金の没収点緩和や金額の引き下げを柱とした自民党公職選挙法改正案について「考える対象にもならない。おかしな、本当にくだらん、次元の低い問題外の話だ」と批判したのは2008年11月のことで、報じたのは時事通信だったという。

実は私はこの報道にかすかな記憶があって、その時には「自民党必死だな」と思ったものだった。もちろん小選挙区における候補者数を絞ることにしていた共産党に対して、多くの選挙区での立候補を促して民主党への票を食ってもらおうという意図から発した改正案であり、自民党が政権を死守するためのあの手この手ではあったのだが、自民党はそんなあがきをしないで、麻生太郎が総理大臣になった時に朝日新聞の曽我豪に『文藝春秋』に書かせた記事(麻生が書いた「論文」ということになっていた)で宣言した通り、さっさと解散すれば良かったのだ。あの時でも政権交代は起きたと思うが、民主党自民党の勢力はもっと拮抗したに違いない。私は当時、ここで麻生が解散しないと自民党はとんでもないことになるぞとブログに書いたのだが、むしろ民主党に批判的なコメンテーターたちから、いや、あれは民主党の立候補予定者の選挙資金をショートさせるための兵糧責めだよ(だから必ずしも自民党が不利にはならないよ)、と反論を受けたものだ。しかし、彼らよりも私の見立ての方が正しかったことは、麻生がさんざん解散を引き延ばしたあげくの選挙結果が証明した。


さて、供託金に関していくつか小ネタ。

  • 今では「選挙に強い」ことで定評のある「立ち枯れ日本」の平沼赳夫だが、初めて衆院選に立候補した時には供託金を没収された。
  • 三橋貴明は2010年の参院選自民党比例代表として立候補したものの落選し、供託金を没収された。
  • しかし、政党から立候補する場合、供託金は政党が用立ててくれるとのこと。2010年の参院選民主党比例代表として立候補したものの、同党内で最下位となって落選した「松岡りきお」氏がブログに書いている*2


なお、日本の選挙制度における供託金の問題は以前から議論されている。たとえば、自民党が供託金没収点を引き下げる検討に入ったと報じられた2008年6月19日、『広島瀬戸内新聞ニュース』*3は次のように書いた。

自民党は、供託金没収点を引き下げる検討に入りました。

報道を総合すると、共産党衆院選で候補者を立てやすくする。それにより、共産党の候補者が増え、反自民票が割れて政権交代が遠のく。こうしたシナリオを考えているようです。

一見、立候補への参入障壁の引き下げに見えます。それは民主主義という意味からすればよいことに見えます。

 だが、今の小選挙区制ではどうせ、少数意見は切り捨てられてしまいます。

 もし、少数意見を取り入れるとすれば、やはり、選挙制度そのものを変える必要があるのではないでしょうか?そのことなしに、供託金没収点の引き下げだけを検討するのは、「少数意見を排除しない」という意味では有効な手とは思えません。

 抜本的に小選挙区制を廃止し、単純比例代表制ないし、中選挙区制、または両者の折衷などを考えていくべきではないでしょうか?

 逆に、民主党に対してはご提案したい。政権をとった場合は、今私が提言した方向で選挙制度改革をする、と約束するのです。それにより、共産党社民党国民新党などの中小政党支持層をひきつけるのです。


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080619/stt0806190046000-n1.htm

選挙「供託金」没収点引き下げ 自民が検討 民主、共産分断狙いも
2008.6.19 00:47

このニュースのトピックス:諸政党
 自民党選挙制度調査会(村田吉隆会長)は18日、国政選挙や地方首長選挙などへの立候補に必要な供託金が没収される得票率(没収点)引き下げの検討に着手した。各党との間で公営選挙ごとの供託金の引き下げ幅や導入時期などの調整を進め、早ければ8月下旬にも召集される次期臨時国会議員立法公職選挙法改正案を提出し、成立を目指す。

 財政難に苦しむ共産党は、供託金没収の負担軽減などを理由に次期衆院選で大幅に立候補者を絞り込む方針で、自民党共産党の「空白区」で、同党支持票が民主党に流れることを強く警戒している。自民党には、供託金没収のハードルを下げることで、共産党が選挙区により多くの候補者を擁立できる環境を整え、民主、共産両党の分断を図る狙いがあるとみられる。このため民主党からは「本音では引き下げ検討は歓迎できない」(中堅)との声も漏れている。

 供託金制度は売名行為の泡沫(ほうまつ)候補の乱立を防ぐことを目的している。現行公選法によると衆院選の場合、1候補者につき選挙区300万円、比例代表600万円を供託し、選挙区では有効投票数の10分の1を得票できなければ没収される。このため主に共産党など中小政党の立候補者の多くが供託金を没収されている。


ところが、現実には小沢一郎代表(当時)は、自民党公職選挙法改正案を「考える対象にもならない。おかしな、本当にくだらん、次元の低い問題外の話だ」と一蹴したばかりか、現在の「野ダメ」(野田佳彦)代表・首相下に至るまで、民主党はずっと「比例区80削減」にこだわり続けてきた。その結果、「共産党社民党国民新党などの中小政党支持層をひきつける」どころか、左右の無党派層から総スカンを食い、次期総選挙では民主党の壊滅的大敗はほぼ間違いない。

そうなったところで民主党の自業自得だから、なんとも思わないけれど。