kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

Wikipediaの「西山太吉」の項がひどい

Wikipedia「西山太吉」の項がひどい。

記事にせず、社会党に証拠を渡して政局にしようとした

などと太字で書かれている。ソースは高山正之の『サンデルよ、「正義」を教えよう 変見自在』(新潮社、2011年8月)らしいが、もともとは『週刊新潮』の連載コラムのはず。西山氏と「バカ新潮」は今に至るも宿敵同士らしい。

実際には西山記者(当時)は1971年6月18日付の『毎日新聞』で記事にしている。事件当時の総理大臣だった佐藤栄作が、高山と同じ論法で西山記者を批判したが、誤りを指摘されて佐藤が訂正したいきさつがある。高山がやったことは、「嘘も百回言えば真実になる」という、かつてのナチスや現在の橋下徹の手口と同じだ。

また、「関連項目」の「澤地久枝」の項に、

西山が起訴された裁判を初公判から傍聴し、『密約―外務省機密漏洩事件』(岩波現代文庫)にまとめる。作中の“東日新聞記者・石山”が西山。

とあるが、これも誤り。澤地久枝の本はルポルタージュであり、すべて実名で書かれている。「東日新聞記者・石山」としたのは、この本を映像化した千野皓司監督のドラマ『密約』であり、これと混同している。

もっとも、 Wikipedia「千野皓司」の項には、興味深いリンクが張られていた。
http://www.shinkiko.com/interview/template.php?id=79

千野:
(前略)あるプロダクションに誘われて、ノンフィクションドラマを撮ろうということになって、「真相」シリーズとして「吉展ちゃん事件」など4本の企画を出しました。まさか企画として通るとは思わなかったけれど、沢地久枝さんの原作「密約―外務省機密漏洩事件」も出したんです。沖縄返還協定を巡って新聞記者と外務省の女性が情を通じて、という有名な事件です。そうしたらOKになって、これを35ミリで撮らせてもらった。これは後にモスクワ国際映画祭招待作品となって劇場公開になりましたが、政治ドラマですからね、日本では一回の放映で再放映されることはありませんでした。これを話すと一冊の本になるほどのことがありますが、テレビは認可事業ですから、政府が認可を取り消しちゃったらおしまいなんですね。結局テレビ界から2年間干されましたよ。暗黙の制裁ですね。


中川:
映画界を去り、テレビ界で活躍しておられたけれど、今度はテレビ界から閉め出されたわけですか。波瀾万丈ですね。


千野:
ええ。全く仕事がこなくなってしまいました。

もう一つ。これは以前から知っていたのだが、上記引用部分の直前に、千野皓司が日本テレビのドラマ『パパと呼ばないで』の監督をやっていたくだりが出てくる。千野監督は「これは随分高い視聴率を取ったものです」と語っているが、実際には平均視聴率11%の不人気ドラマだった。『運命の人』(平均視聴率10%台)とほとんど変わらない。『パパと呼ばないで』、平日の夕方に再放送された時に人気が出たのだった。私がこのドラマを見たのも再放送だった。

テレビ局が生殺与奪の権を握っており、政治権力がそれにつながっているのは、ぞっとしない話である。もっとも「自由報道協会」もやはり権力者である小沢一郎とつながっているから似たようなものなのだが。