kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「名前」ではなく「実力」だった

夏風邪を引いてウェブ日記を2日休んだ。

そんなわけで反応が遅れてしまったが、当ダイアリーの記事の誤りを社会学者のsumita-mさんにご指摘いただいた。

匿名は二重 - Living, Loving, Thinking, Again(2004年7月6日)より

http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20140705/1404544225


八田浩輔、須田桃子「STAP論文:12年サイエンス審査時 ES細胞混入指摘」という『毎日』の記事を引く。小保方晴子グループは2012年にSTAP論文を米国のScienceに投稿したがリジェクトされた。その際の査読コメントに「ES細胞の混入」を疑うものがあった。その後、グループに笹井芳樹が参加し、Natureへの2度目の投稿では査読を通過した。これが最近「撤回」された当の論文。この経緯を巡って、「笹井芳樹に名前負けしたネイチャーの査読者が、再投稿の論文を通してしまったことに、問題の核心があるといえるだろう」という。「査読」制度について少々誤認があるようなので、申し上げておくと、通常「査読」においては、「査読」する側が匿名になるだけでなく、「査読」される側も匿名化されます。つまり、誰が「査読」しているのかわからないと同時に、誰のを「査読」しているのかもわからないということになる。建前としては。しかし実際には、(共同執筆のため、個性的な文体はかなり均されてしまうとはいえ)それでも文体は個性であるわけだし、先端研究であれば(匿名であっても)A研究所、B大学、C大学のうちのどれか、くらいまでは(全くの門外漢が「査読」をすることはできないので)絞り込み可能である。それでも、共著者に笹井芳樹が加わったかどうかまでは査読者にはわからないのでは? さらに、2012年にScienceで論文を落とした査読者と2013年にNatureで論文を通した査読者が同一人物である可能性もあるよ。「査読」制度の建前と実際のズレを巡っては、例えば福岡伸一生物と無生物のあいだ』とか。

まず、建前上論文の著者も査読者も匿名だということ。これは知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。

さらに、実際には著者の属する組織くらいまでは絞り込み可能だけれど、笹井芳樹が著者に加わったかどうかまではわからないだろうとのご指摘。

つまり、「査読者が著者に名前負けをした」という私の推測は事実誤認に基づく誤りだったということだ。元記事はまだ訂正していないけれど、あとで訂正の追記を入れておきます。

さて、著者に「大科学者」が加わっていたかどうかはわからないにもかかわらず、最初の論文が拒絶されて、書き直した論文が受理されたことは、やはりあとから加わった人間が高い論文作成能力を持っていて、そのおかげで黒を白と言いくるめることに成功したのではないかと推測される。つまり、笹井芳樹の名声はダテではなく本物だったが、今回の件ではその能力が悪い方向に使われてしまったのではないかということ。

そう考えると、一部で言われていた「小保方晴子の単独犯行が笹井芳樹をも騙しおおせた」という推測に信を置くことはできないのではないか。

つまり、小保方晴子のみを厳罰に処するのは不当で、小保方氏と笹井氏の双方を厳罰に処するべきと考えるのが自然だと思われる。

理研は、笹井芳樹を守るために、(心ならずも?)小保方晴子に対しても大甘の対応をせざるを得なくなったのが現状ではないかと推測されるのであった。