以下、誰かのプレゼン資料の「仮訳」*1より。誰の資料かは書かなくてもわかるよね。
大低迷と金融の安定を超え、健全で持続的な成長に向けて
- この緩慢な成長の果実は一部のトップ層に偏って分配されている−格差は拡大し、賃金の上昇は停滞。
- 企業が投資に積極的にならないのは、バランスシートや資金調達の問題ではない。
- 需要が足りないことが問題なのだ。
- 非対称な調整
- 所得の低下に直面する国家(企業、家計)は消費を減少させざるを得ない。
- 所得が増加した国家(企業、家計)はその分の支出を増加させていない。
- 約30年前に市場経済のルールの転換(税制の再設計、ずさんな自由化)のプロセスが多くの先進国で始まった。これらは、当初の目論見に反して、更なる経済成長率の低下、不安定化、不平等化を招いた。
- 格差、多数の貧困層
- 富の不平等、健康の不平等(医療を民間の提供に依存する国においては)、裁判へのアクセスの不平等、と多岐に渡る。
- 先進国では中間層が縮小。途上国においても中間層が縮小。
- これらの問題は、社会の主流から取り残された層や(しばしば)若年層では特に深刻。
効果的な施策
3. 政府支出の増加。
部分的に税で賄われたものでも経済を刺激する。
- 均衡予算乗数に関する原則:適切に設計された税と支出によって、乗数は極めて高いものとなる。
- 国のバランスシートにおいては、負債のみではなく、資産・負債両面を見ることが適切な会計フレームワーク。
- 環境税や土地税は、持続可能な成長を実現する経済再構築に役立つ。
- 構造変革を推進し、平等性を高める政府支出も同様。
4. 平等性を高めるその他の施策は世界の総需要を増加させる。
- 経済ルールの大転換:市場で得る所得をもっと平等に。
- 所得移転と税制の改善。
- 賃金上昇と労働者保護を高める施策。
- いくつかの国では、組合や交渉を取り巻く法的枠組みを改善。
A. 緊縮財政をやめる
- 米国ですら、緩やかな形で緊縮になっている。
- 通常の景気拡大局面では200万人の公的セクターの雇用が生まれるが、現在は逆に50万人減少している。
- 景気拡張的な財政緊縮や、債務が一定の閾値を超えると経済成長が低下する、といった考えの正しさは否定されている。
D. 格差と戦う
- 単なる再分配の話ではない。
- 事前分配;市場で得ることのできる所得のより公正な分配を確実なものとするための経済ルールの大転換。
- 市場は真空の中に存在するものではない:市場の構築方法により、市場の機能・効果・分配が決まる。
- 家賃の上昇は、所得に対する生産的な資本の比率が減少しているにも関わらず、所得に対する富の比率が上昇しているという異常さを物語っている。
- これらの理論は、労働生産性と実質賃金における著しい不均衡を示している。
- この不均衡は、スキル偏重型の技術進歩や貯蓄率の差異といった標準的な理論では説明できない。
- 格差縮小は、短期的にも、長期的にも、経済パフォーマンスを改善する。
III. 構造改革(Structural Reforms)
基本的な原則
機能するサプライサイドの施策
「需要」と一体となってこそ、機能することが多い。
- テクノロジーへの投資拡大
- 革新的経済(innovation economy)と学習社会(learning society)を作り出す上で、とりわけ重要。
- 人間への投資の拡大−より健康でより生産性の高い労働力を創出する
- 経済を再構築し、古い産業から新しい産業への移行に役立つ産業政策
- 市場だけでは、これらの変革は作り出せない。
- 競争政策−経済的な権力が合従することを防ぐ
- 独占は産出を阻害する。
- 金融市場改革
- 金融機関が他に害を及ぼすことを防ぐだけでは不十分。
- とりわけ中小企業のために期待される役割を果たし、金融を仲介し、民間資金を提供するように金融機関に促すことが求められる。
- 債務よりも資本性の資金を促すことが求められる。
- 労働参加を促進する施策
- 有効な公共交通システム
- 育児休暇、有給病気休暇
- 子育て支援
- 被差別層・社会の主流から取り残された層の包摂
- 女性
- 少数派・マイノリティー
- 移民
- 効果的でない(または逆効果な)サプライサイドの施策が多く存在する。
気候変動へのアクション
- 気候変動への対策として行う投資は、世界経済にとって必要な刺激策となるだろう。
- 環境と経済成長は補完的な関係にある。
- とりわけ経済成長を正確に捉えた場合に。
- 炭素に価格を設定することにより、投資が喚起される。
- 国連気候変動パリ会議は、この気運を醸成するという観点から重要だった。経済 界は、どのような形になるにせよ、やがては炭素に価格が設定されることを理解したはずである。
- 鍵となる投資(インフラ、住宅、建築、発電所)は長期的な投資。
VII. 遠近法で今の世界を見る
- 30年ほど前、多くの先進国では、税率の引き下げや規制緩和といった実験を始めた。
- 変化する経済環境に対応し、経済の枠組みを調整する必要があった。
- しかし、誤った調整がなされてきた。
- 結果として、経済成長は鈍化し、格差が拡大。
- 今となって漸く、それらの結果が全て目に見えるものとなったが、過去からずっと進行してきた結果なのである。
- 現在の方向性が維持されると、状況は更に悪化するだろう。
- 未だ語られていない政治的な帰結もある。そのうちの幾つかは分かり始めている。
- これらの実験は、大きな失敗であったと今や言うことができる。大きな失敗であったと言うべきである。
- 新たな方向性が求められる。
- 現在の取り決めの微調整では上手くいかないだろう。
この失敗した実験の断片
- 金融政策への新たなアプローチ
- 経済成長、雇用、経済安定化といったバランスのある視点よりも、インフレの安定化に焦点。
- 財政政策への新たなアプローチ
- 欧州では、財政赤字に対して厳重な制約。
- 民営化の新たな流れ
- 社会保障分野にまで民営化の流れが及ぶ国も存在。
これらの政策は、期待するほどの成果を上げていない。
この道しかない
- 政府と市場のバランスを取り戻す。
- 政府・民間とは異なる「第三のセクター」(“third sector”)や、新たな制度枠組みの重要性を認識する。
- 緊縮財政をやめる。
- 世界的な基本的ニーズ、世界的な公共財、世界的な外部性に対して、世界的に対処する。
- 気候変動を超えて、世界的な科学基盤を含めるべきである。
- 底辺への競争を行うのではなく、世界的に生産性向上に務めるべきである。
- 世界中・全ての人間の生活水準を引き上げる施策に全てを捧げる。
- 進歩に関する指標の世界的な再評価を行う。
- 評価基準が行動にも影響する。
- 「経済パフォーマンスと社会の進歩の測定に関する委員会」におけるメインメッセージ。
- その検討はOECDにおいて継続されている。
世界経済:この道を進もう
- 「新たな凡庸」(The New Mediocre)、「大低迷」(the Great Malaise)、「長期停滞」(Secular Stagnation)は避けられないものではない。
- これらは、政策の失敗による帰結。
- 統合が進展する中、前進するための最善の方法は、バランスを取り戻し、総需要を増加させるために国際的な協調を行うことだ。
- 例えば、世界公共財の供給−研究、地球温暖化対策−に向けた国際協調。
- この国際協調はとりわけ困難である。
- G7において、日本がリーダーシップを発揮することが、前に進むための一歩となるだろう。
- しかし、そういった国際協力が不十分な状況下にあってさえ、需要の強化や生産性の向上のために各国が単独で行うことのできることは多く存在する。
- それは、大きな好影響を他の国に対しても与えるのだ。
ああ、来年春に消費税を引き上げるかどうかなんてことは一言も書いてないね。
やっぱり法人税減税なんか有害なばかりなんだよね。
TPPも有害きわまりなく、アメリカの議会で批准されそうにもないのか。
*1:もちろん翻訳したのは引用者ではありません。誰かの翻訳です。