kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

岸田政権の経済政策の目玉であるらしい「供給力の強化」は40年以上前の「レーガノミクス」の柱だった「サプライサイド経済学」そのもの

 先ほど、suterakusoさんによる『鍋パーティーのブログ』の下記新着記事公開を告知する記事を公開した。

 

nabe-party.hatenablog.com

 

 記事の論旨は、岸田文雄臨時国会所信表明演説で言ったような経済政策の構想など新自由主義政策でしかないというもので、それは全くその通りだと私も思う。

 しかし、ここ数日また槍玉に上げるようになった、私から見れば「都会保守」に見えるmew氏のブログ『日本がアブナイ!』の評価は全く異なるようだ。以下またまた槍玉に挙げる

 

mewrun7.exblog.jp

 

 以下引用する。

 

 岸田首相が23日に衆参院で所信表明を行なった。(**)

 

 岸田首相は、何よりも経済に重点を置くとして、「経済、経済、経済」と連呼。<全部で27回、経済という言葉を使ったとか。>

 原稿の7割以上を、経済対策に関連する事項に割いた。(@@)

 

 岸田首相は、この30年行われて来たコストカット型の経済を転換する時期だと改めて明言。

 

『人への投資や賃金、さらには未来への設備投資・研究開発投資までもが、コストカットの対象とされ、この結果、消費と投資が停滞し、更なる悪循環を招く。低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」を30年ぶりに新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスが巡ってきました。』

 

<『30年ぶりの3.58%の賃上げ、過去最大規模の名目100兆円の設備投資、30年ぶりの株価水準、50兆円ものGDP国内総生産)ギャップの解消も進み、税収も増加しています。その一方で、国民負担率は所得増により低下する見込み』だと経済状況が改善している変革するチャンスだとアピール。> 

 

 そして、『私は断じて後戻りは許さない。変革を力強く進める「供給力の強化」と不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」。この2つを「車の両輪」として総合経済対策を取りまとめ、実行してまいります。』と力説した。(**)

 

 9月26日の『岸田が「脱アベ・スガ」宣言の経済対策を発表ーコスト重視の新自由主義にNO!』でも扱ったのだが。

 

 岸田首相は、この30年、特に小泉、安倍、菅政権で推進されて、国民生活の格差を生んだコストカット型(新自由主義的)の経済政策を転換することを大きな方針に掲げているわけで・・・。

 この点では、「脱・アベスガ路線」を求めるmewと考えが近い。<てか、立民党に近い考え方。(・・)>

 

 車の両輪の一方である「供給力の強化」は、多岐にわたるのだが。庶民としては、いわゆる106万円の壁問題をクリアするための「年収の壁・支援強化パッケージ」が気になるところ。

 これは労働力を確保するという意味では、経営者にとっても、日本経済にとっても重要なことゆえ、わかりやすく効果のある形を作って欲しいものだ。(++)

 

 また、「国民への還元」という点では、まず取り急ぎ物価高対策をして欲しいところ。

 

 低所得者への支援金のほか、ガソリン価格の補助拡大、電気・ガス料金の緩和措置などにも言及したのだが。個人的には、ガソリン価格の高騰は、ほぼ全ての産業や多くの家庭の負担になり、物価高の最大の要因にもなることから、トリガー条項を発動してもいいのではないかと思う。<自民党全体or複数の幹部の利権が絡んでいて、動けないのかな~?(-_-;)> 

 

 岸田首相は、この所信表明の中では「減税」という言葉は使わなかったが、『現世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に「還元」し、物価高による国民のご負担を緩和』と語り、自民党税制調査会に減税の議論を行なうように指示したという。(・・)

 

 減税というときこえがいい&選挙対策になるかも知れないのだが。「今、減税するに適した時なのか」「所得税減税で効果があるのか」などの疑問の声が少なくない。この辺りは、もう少し検討する必要があるように考える。<ただ、給付金バラまきというのもね~。^^;>

 

 社会対策としては、障害のある方もない方も含めて、全ての方が生きがいを感じられ、多様性が尊重される、「女性」「若者」「高齢者」の力を引き出す包摂的な社会づくり』に期待したい。

 あと「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」「不登校やいじめに対する対策」「教職員の処遇見直し等を通じた公教育の再生」にもしっかり取り組んで欲しい。

 

 また(おそらくは菅・河野・小泉氏などの新自由主義派に配慮してか)、ライドシェアの検討について語っていたことが注目されていたが、こちらも賛否両論あるので、実現までには時間がかかりそうな気がする。^^;

 

URL: https://mewrun7.exblog.jp/30475134/

 

 特に引用文中赤字ボールドにした部分などを見ると手放しの絶賛に近いように思われるが、そもそも現在の日本経済の課題に対して、なぜ需要の喚起ではなく「供給力の強化」なる典型的なサプライサイド経済学の言葉が出てくるのか。サプライサイド経済学といえば私が思い出すのは1980年代の「レーガノミクス」だ。以下Wikipediaから引用する。

 

レーガノミクス英語Reaganomics)とは、1980年代にアメリカのロナルド・レーガン大統領がとった経済政策の総称である。命名者はABCブロードキャスターであるポール・ハーベイ英語版。経済活動に関する規制の撤廃と緩和による自由競争の促進、通貨供給量に基づく金融の引き締めと緩和・戦略防衛構想(SDI)の推進などによる軍事支出の増大・大規模な減税による供給面からの経済刺激を主張する政策を遂行した[1]グループ・ブリュッセル・ランバートコールバーグ・クラビス・ロバーツフィデリティ・インベストメンツと連携してM&Aを流行させ、アメリカ史上3番目に長い平時の好景気だったとされる[2][3]

概要[編集]

レーガン大統領の1期目はジミー・カーターから続くスタグフレーションの解決が課題であった。そこでインフレーション失業に注目して政策を打ち出した。それは軍事支出の増大など政府支出を増大することと、減税・規制緩和・金融引き締めであった。

レーガンが打ち出した経済政策は減税による供給面からの経済刺激を主張するサプライサイド経済学に基づいており、またスタグフレーションの物価上昇という弊害を抑えるために、マネーサプライを操作目標とするマネタリスト的な「通貨高政策」を前提条件にしていた。経済学者の多くは、減税を経済の需要面から刺激する政策として考えるのに対し、サプライサイド経済学支持者は供給面においてはるかに大きな効果があると主張した。

当初これらの政策は、アメリカ合衆国大統領予備選挙を争ったジョージ・H・W・ブッシュが副大統領就任前に「呪術経済政策(ブードゥー・エコノミー)」と揶揄したが、その後すぐにレーガノミクスとして知られるようになった。軍事支出の増大と並行して行われた減税は、巨額の財政赤字と累積債務の増加をもたらし、政府の累積債務はレーガン大統領の就任時と比較して、後任のジョージ・H・W・ブッシュ大統領の就任時には、金額では9090億4100万ドルから2兆6011億400万ドルへと2.6倍に、GDP比では33.4パーセントから51.9パーセントに増加した[4]

 

出典:レーガノミクス - Wikipedia

 

 「レーガンが打ち出した経済政策は減税による供給面からの経済刺激を主張するサプライサイド経済学に基づいており」と書かれている。岸田が今やろうとしている政策そのものではないだろうか。しかも岸田は当時のレーガンと同じように軍事支出の極端な増額までやろうとしている。かつてのレーガンの政策を40年以上経った現在の日本で実行しようとしているかのようだ。

 なぜそれが「立民党の考え方に近い」ことになるのだろうか。もしかしたらmew氏が嫌っているはずの泉健太の考えにはかなり近いのかもしれないが、「枝野ビジョン2023」を公開した枝野幸男が上記mew氏のブログ記事を読んだら頭を抱えてしまうのではないだろうか。

 

 今回の『日本がアブナイ!』のブログ記事などを読んでいると、2005年の郵政総選挙の直前に「小泉構造改革」が絶大な支持を得ていたことに危機感を抱いて立ち上げられたはずのブログの運営者までこんな記事を公開するようになってしまったのかと愕然とする。

 現在はその2005年(前回阪神タイガースがリーグ優勝した年だ)と比較しても、日本国民の新自由主義への傾斜は極端になったとみなすほかない。

 なお岸田が掲げる「車の両輪」のもう一つであるらしい「国民への還元」の方は、mew氏の記事にも軽く触れられている通り異論が噴出している。代表的なものとして朝日新聞デジタルの下記記事を挙げておく。これは有料記事らしいので月に5回使えるらしいプレゼント機能を使うことにする。但し有効期限は1日だけだ。記事の引用はしない。

 

digital.asahi.com

 

 それにしても本当にひどい時代になったものだ。