kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

共同通信と朝日新聞の東京都知事選出口調査結果より

昨日(8/1)昼、喫茶店で隣に座っていた30歳前後と思われる女性2人が都知事選を話題にしていた。

「どうして自民党は小池さんを公認しなかったのかしらね」

この件には結論は出なかった。

「鳥越さんは頼まれてイヤイヤ出たみたいな感じだったよね」

確かに選挙戦を通じて鳥越俊太郎に覇気が感じられなかった。

しかし思うのだが、街角で政治の話題を耳にするのは珍しい。5月下旬に山登りから降りてきた時、湧き水を汲みに出てきた中年男女3,4人の会話で、神奈川県秦野の農家の生まれだという女性が舛添要一の公私混同問題に言及したのを耳にして以来だ。ともに東京都知事絡み。ここ数か月、いかにテレビ(特にワイドショー)が舛添前知事や都知事選の話題に明け暮れていたかがうかがわれる。参院選の時にもワイドショーは参院選そっちのけで都知事選候補(小池百合子)の話をしてたみたいだし。

さて、出口調査の結果が出つつある。今回の都知事選では、世論調査出口調査共同通信が大々的に行い、他のメディアは朝日などを除いてそれに乗っかった観がある。例えば下記の産経の記事も、産経の独自調査ではなく産経が共同通信に乗っかった(名目上では「協力した」)ものであることは明らかだ。

【東京都知事選】出口調査分析、自民党支持者も小池百合子氏圧勝 - 産経ニュース

2016.8.1 01:22更新
東京都知事選】
出口調査分析、自民党支持者も小池百合子氏圧勝

 東京都知事選投票日の31日、産経新聞社は出口調査を実施し、有権者の投票動向を探った。増田寛也氏を推薦した自民党の支持層の半数以上が小池百合子氏に投票するなど、与野党ともに推薦候補者に票を集められず、組織票に頼らない小池氏の圧勝につながった実態が浮かび上がった。

 自民党支持層の52・3%が小池氏に投票し、増田氏は39・8%にとどまった。同じく増田氏を推薦した公明党の支持層でも23・4%が小池氏を選んだ。

 また、こうした現象は、鳥越俊太郎氏を推薦した野党にもみられた。民進党支持層では49・1%が鳥越氏に票を投じたものの、39・3%が小池氏に流れた。共産党支持層では68・5%が鳥越氏に、17・3%が小池氏に投票した。

 無党派層でも小池氏に支持が集中した。51・2%が小池氏を支持し、鳥越氏は20・1%、増田氏は18・8%の支持にとどまった。

 有権者が投票の際に重視した基準は、「政策」(29・7%)がトップで、「人柄」(19・1%)と「政治経験」(17・8%)が続いた。「政策」を選んだ回答者では、47・4%が小池氏、21・5%が増田氏、18・0%が鳥越氏にそれぞれ投票した。「政治経験」や「人柄」でも小池氏は他の候補者を上回った。

 また、新都知事に取り組んでほしい政策を尋ねたところ、「景気・雇用」(22・0%)、「医療・介護」(21・0%)、「教育・子育て」(17・7%)の順番だった。

(産経ニュースより)

上記記事には「共同通信」の文字は出てこないが、共同通信の配信であることを明記した下記日経記事と数字が一致しすぎている。

自民支持の5割、小池氏に 共同通信出口調査 :日本経済新聞

自民支持の5割、小池氏に 共同通信出口調査
2016/8/1 1:27

 31日投開票の東京都知事選で共同通信社が実施した出口調査によると、自民党支持層の52%が小池百合子氏に、40%が増田寛也氏に投票し「分裂選挙」となっていたことが浮き彫りとなった。小池氏は「支持する政党がない」とした無党派層の51%を押さえ、民進党支持層の39%を得るなど、幅広く支持を集めた。

 増田氏は公明党支持層の71%を獲得したが、自民党支持層が伸びなかった上、無党派層も19%にとどまった。「野党共闘」の鳥越俊太郎氏は民進党支持層で49%にとどまり、共産党支持層では69%を集めた。無党派層の支持も20%。共産党支持層の17%、社民党支持層の18%が小池氏に流れた。

 最優先で取り組んでほしい政策は「景気・雇用」が22%で最も多く、「医療・介護」が21%、「教育・子育て」18%、「行財政改革」16%、「治安・防災」6%などが続いた。

 投票先を決める際に最も重視した項目は「政策」が30%でトップ、「人柄」19%、「政治経験」18%。猪瀬直樹元知事、舛添要一前知事と2代続けて「政治とカネ」の問題をきっかけに辞職に追い込まれたが「お金に対するクリーンさ」を挙げた人は9%だった。

 年代別では、10代から70歳以上まで全ての年齢層で小池氏がトップ。増田氏は10代の32%が、鳥越氏は60代の28%が支持した。

 前回の都知事選で、舛添氏に投票した人のうち51%が小池氏に、増田氏が35%、鳥越氏は12%と続いた。告示直前に出馬を取り下げた宇都宮健児氏に前回投票した人は49%が鳥越氏を支持したが、小池氏にも29%が投票した。〔共同〕

日本経済新聞より)


共同通信出口調査の全貌が知りたいものである。たとえば細川護煕に前回投票した人のうちどれくらいが小池百合子に投票したのか。産経の記事(本当は共同通信の調査)によると、民進党支持層の4割近くが小池に投票しているが、おそらくそれと同じくらいの比率ではないか。

なお、先月の参院選世論調査で、久々に他紙を圧倒する正確な議席予想を放った朝日は、都知事選の出口調査でも共同通信に乗っからず自社調査している。

http://www.asahi.com/articles/ASJ7052PQJ70UZPS001.html

都知事選、小池氏に幅広い支持 朝日新聞出口調査
峰久和哲
2016年8月1日04時02分

 東京都知事選で初当選した小池百合子氏は、自民党内の調整がないまま唐突に立候補表明したために党幹部らの逆鱗(げきりん)に触れ、与党を敵に回す形で選挙戦に臨んだ。そんな姿が無党派層過半数、野党支持層の一部の票を呼び込んだばかりか、多くの自民支持層の共感も得たようだ。

 朝日新聞社は都内180投票所で出口調査を実施、1万185人から有効回答を得た。それによると、自民支持層のうち49%が小池氏に投票し、自民が推薦した増田寛也氏の40%を上回った。公明支持層は69%が増田氏に投票したが、小池氏に24%が流れた。

 鳥越俊太郎氏は、さきの参院選で一定の成果を得た4野党共闘に乗った。ところが、4党支持層の票は鳥越氏でまとまらず、民進支持層で鳥越氏に投票したのは56%にとどまり、28%が小池氏に投票した。

 小池氏は共産支持層の19%を…

朝日新聞デジタルより)

無料で読める記事はここで切れているが、グラフが掲載されている。共産支持層はその67%が鳥越俊太郎に投票したものの、19%が小池百合子に流れた。増田寛也に流れたのは6%。無党派層は51%が小池、17%が増田、19%が鳥越だった。

共同通信の調査に戻れば、同じ共同通信は選挙戦序盤の世論調査として、民進と共産支持層のそれぞれ約6割が鳥越に投票すると答えたものの、民進支持層の約2割と共産支持層の約3割が小池に投票すると答えていた。

この世論調査の結果に共産党の指導者たち、特に参議院東京選挙区選出の小池晃は真っ青になったに違いない。慌てて小池の危険性のアピールを強化して、党員や支持者が小池に投票しないよう引き締めに走ったに違いない。その効果はある程度はあったが、それでも共同調査で共産支持層の17%、朝日調査では19%が小池に投票した。

もともと流されやすい民進支持層に至っては、序盤で小池に投票すると答えていたのは2割だったが、出口調査民進支持層は共同調査で39%、朝日調査で28%が小池に投票した。

無党派層は共同・朝日調査とも小池が51%、増田は共同で19%、朝日で20%、鳥越は共同で17%、朝日で19%だった。

さもありなん、という結果だ。完全にバンドワゴン現象を起こしている。いやでも2005年の「小泉郵政選挙」が思い出される。

最初に、街角で政治の話題を耳にすることは珍しいと書いた。しかし、小泉郵政選挙の前日に、四国の某市の某公園近くにある英語教師の家の庭で行われたバーベキューパーティーでは衆議院選挙の話が出た。あの時、大学で経済学を教えているという学者までもが小泉を応援するかのような発言をしたのに血が昇った私は、浴びるほど酒を飲んだ。パーティーが終わった時には終電が出たあとで、数キロ離れた自宅まで歩いて帰ろうとしたものの足が動かず、路上で寝てしまった。残暑の季節だったから良かったものの、冬だったら凍死していたかもしれない。気がつくと薄明るくなっていて、重い足を引きずりながらやっとこさ帰宅すると、朝日新聞が既に配達されていた。その社説の文章を見て目を疑った。

小泉首相はこれまで見たこともない型の指導者だ。

単純だが響きのいいフレーズの繰り返しは、音楽のように、聴く人の気分を高揚させる。

これは小泉に対する皮肉なのかと思い、二日酔いの朦朧とした頭で読み返したが、何度読んでも皮肉とは読み取れなかった。

総選挙の投票所は、少し離れた山の麓にある小学校だった。なかなか行く気にならなかったが、二日酔いが幾分さめてきた夕方にやっとこさ投票した。その結果は最悪だった。

四国の経済学者氏については後日譚があって、翌2006年に同じ英語教師の家で飲み会をやった時には、経済学者氏は民主党(代表は既に前原誠司から小沢一郎に代わっていた)を支持するような発言をしていたのだった。私は、あの郵政総選挙前日の小泉びいきの発言はいったい何だったのかと呆気にとられたのだった。

以上長々と書いたが、小泉郵政選挙はそういう苦い経験を体が覚えているため、あの選挙を思わせるものに私は怖じ気を震うのだ。

郵政総選挙では、2003年の衆院選と2004年の参院選で、それぞれ都市部の浮動票に乗って議席を伸ばしてきた民主党が、浮動票をかっさらう小泉純一郎に完敗したわけだが、今回の都知事選では、既に先行して突出した「劇場型アピール」をしていた小池百合子に、小池同様のキャラクターの持ち主ともいえる鳥越俊太郎(杉山真大(id:mtcedar)さんご指摘の通り、鳥越自身はテレビ朝日のワイドショーの司会者だった)をぶつけた。だから2005年衆院選民主党よりさらにひどい惨敗を喫したのだった。小泉だけではなく、石原慎太郎や大阪の橋下徹ら、剥き出しの野蛮な本音剥き出しで勝負する候補に対抗する候補や政党が選挙で勝利を収めたことは一度もない。今回もまた、大都市の有権者はまたしても同様の候補者に引き回され、一部は熱狂的に支持するに至ったのだった。

だが、11年前よりさらに深刻だと思うのは、11年前の郵政総選挙にショックを受け、以降小泉やその後継者の安倍晋三を批判していた人たちの一部に、著しい感性の鈍磨がみられることだ。

たとえば、私が定点観測しているある「リベラル」のブログは、こんなことを書いていた。

 ○○○は小池百合子氏を応援していたわけではないけど。ただ、正直なところ、○○○は、石原伸晃氏が会長、下村博文氏(安倍盟友ゆえ総裁特別補佐に)が会長代行、内田茂氏(都議会議長)が幹事長を務める東京都連が推薦して全力で支援して来た候補が敗れたこと自体には、かなり喜びを覚えているところがあって。(ざまあ、と申しましょうか?)
 伸晃氏や下村氏がどのように責任をとるのか、注目したいと思うです。(・・)

 ここから小池氏と自民党の本部、都連、都議会の関係がどうなるのか。TVメディアは、今後も小池氏と彼らの戦いを追い続けるのか・・・それなりに見ものかも。(++)

 そして、鳥越氏が惨敗することになった上、何故か突然(しかも都知事選中に)岡田代表の代表選不出馬宣言したことで、ここから民進党は保守勢力が動き出してバタバタするんだろうな〜と、ちょっと冷ややかに見ている○○○なのだった。(@@) 

これが、郵政総選挙にショックを受けて、その数日後にブログを立ち上げた人の文章なのだろうかと目を疑った。それでなくても、都知事選の最中にも、明らかに小池百合子を応援している猪瀬直樹のインタビューを記事にするなど、この人は小池圧倒的有利の情勢を理解しているのかと訝っていたが、どうやらこの人は、石原親子が推す増田寛也には強い抵抗があったものの、小池に対してはさほどの抵抗はなかったのかもしれない(小池は「郵政総選挙」における「刺客」でもあったのだが)。さすがに終盤には小池と橋下徹の類似性を指摘する記事を紹介したりもしてはいたが、終わってみるとこの冷めた記事。

まさか、小泉は自民党総裁として戦ったからダメで、小池は自民党都連と戦ったからOKとでも言うのだろうか。完全に小池の、そして自民党安倍晋三)の術中にはまっているとしか言いようがない。

「崩壊の時代」は、長年ブログで小泉純一郎安倍晋三や極右勢力を批判してきた人の感性までをもここまで鈍磨させてしまうのかと呆れる今日この頃なのだった。