kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「配偶者控除『拡充』の体たらく 自民が『廃止』に前向き…解散風で一転、急旋回」(毎日)

この記事は、12月12日に下書きを書き始めたものの、うっかり放置してしまっていたもの。ちょっと遅きに失してしまったうえ、私のコメントは少ししかない記事だが、公開する。

下記毎日新聞12月9日付夕刊「特集ワイド」の記事について、私は記事を書いた毎日の横田愛記者や記事中にコメントが掲載された大沢真理・東大社会科学研究所所長の問題意識を諒とする立場だ。

http://mainichi.jp/articles/20161209/dde/012/020/003000c

特集ワイド
続報真相 配偶者控除「拡充」の体たらく 自民が「廃止」に前向き…解散風で一転、急旋回
毎日新聞2016年12月9日 東京夕刊

 あぜんとする幕切れだった。妻が専業主婦やパートの世帯の税負担を軽減する配偶者控除の廃止が見送られ、逆に拡充されることになった2017年度税制改正のことだ。1961年に「内助の功」への配慮から設けられたこの制度は、これまでも廃止が模索されてきたが、半世紀以上を経てなお存続する背景には何があるのか−−。【横田愛

世論に根強い性別役割分担意識

 わずか3カ月前、自民党税制調査会配偶者控除の抜本的見直しに前向きだった。それは宮沢洋一・同会長の発言に見て取れる。8月30日、記者団に「働きたい方にしっかり働いていただける状況を生み出す。『働き方に中立な税制』という観点で議論を進めていきたい」と踏み込んだ。

 配偶者控除は、専業主婦や夫の扶養の枠内でパートで働く妻がいる世帯を優遇する制度。多くの女性は、夫が税負担の軽減を受けられる「年収103万円以下」に抑えようと就労時間を調整するので、女性の働き方が制約される、と指摘されてきた。

 ようやく見直しに踏み込むと思いきや、年末年始の衆院解散がささやかれ始めると、専業主婦世帯などの反発を招きかねないとの懸念が政府・与党内で広がった。見直しを打ち上げた宮沢会長も、年末の税制改正議論が本格化する前の11月18日には「『働き方に中立な』という意味は極めてあいまい」と発言を180度転換した。こうして議論は瞬く間にしぼんだ。

 結局、政府・与党が導き出した答えは、税負担が軽減される妻の年収上限を150万円まで引き上げる「拡充策」だった。

 一連の流れをあきれ顔で見ていたのが、東京大社会科学研究所所長の大沢真理教授(社会政策)だ。開口一番、「またぞろ茶番をやっている、と思っていました」。

 大沢さんは男女共同参画社会基本法策定など、歴代政権の女性政策に携わってきた第一人者。「選挙を念頭に置いた減税に、政府・与党は恥も外聞もなく転んだということです」と痛烈に批判した。

 <配偶者に係る税制については、女性の就業に対する税制の中立性を損なうこととなっているとの指摘もある(中略)。速やかに検討し、必要に応じて制度の見直しを行うべきである>

 この一文、最近のものではない。今から20年前、96年に大沢さんも関わった橋本龍太郎首相(当時)の諮問機関が答申した「男女共同参画ビジョン」に盛り込まれた文言だ。

 ビジョンを受けて99年に成立・施行した同基本法4条には「制度や慣行はできる限り中立なものとするよう配慮する」とある。

 この時期、政界では女性の社会進出を後押しする動きが熱を帯びていた。「政権流動期で、女性政策に熱心な社民党新党さきがけが力を持っていた。政党の力関係が政策にも影響していたのです」と大沢さんは振り返る。

 女性政策の改革を掲げた政党が力を失った後では、小泉純一郎政権や民主党政権配偶者控除の見直しを模索したが、煮詰まらないまま制度は存続してきた。

 大沢さんは、ため息交じりに話す。「男女共同参画ビジョンには、男が稼いで妻子を養うことを前提とした制度のままでは、少子高齢化や産業の停滞が進み、日本社会は劣化すると書いてあります。見事に予言が当たってしまったという感じですね」

専業主婦世帯と共働き世帯数の推移

 ここ30年の社会の変化の一つに、夫婦共働き世帯の増加がある。80年に1114万世帯だった専業主婦世帯は、15年に687万世帯まで減少。一方、共働き世帯(パート含む)は90年代半ばに専業主婦世帯を超え、15年には1114万世帯にまで増えた。

 一見、女性の社会進出が順調に進んできたかに見えるが、女性政策に詳しいジャーナリストで日本女性学習財団理事の福沢恵子さんの見方は違う。「90年代から経済状況の悪化で賃金の伸びが悪くなり、男性1人の収入では一家を養えなくなったことが、女性が働きに出た要因。共働きといっても『夫は正社員、妻はパート』という組み合わせが多いのです」と解説する。妻の稼ぎはあくまで「家計補助」で、家事・育児は女性が担うという「性別役割分担の意識は変わっていない」と言う。

 福沢さんは、この意識のルーツをさかのぼると、自民党が79年にまとめた「家庭基盤の充実に関する対策要綱」に行き着くと言う。同要綱は、家事、育児、介護などを家庭の責務とし、専業主婦が担うことを想定した「日本型福祉社会」の実現を掲げたからだ。

 「この考え方が今も基本的に残っています。『夫や子どもの世話や介護があなたの本来の仕事で、それをやって余力があればパートもやってください』と。女性が働くのは、キャリア形成という位置付けではなく、日銭を稼ぐためとみなされる。今回の配偶者控除の上限引き上げも全く同じ考え方です」

 性別役割分担意識は、政治や行政側に根を張っているだけではなく、「女性の側もそれをよしとしている部分がある」とも福沢さんは言う。

 確かに、配偶者控除を巡る議論が事実上決着した11月末の日本経済新聞社世論調査では、控除を受けられる妻の年収を150万円まで引き上げる方針を支持したのが38%と最多で、「現状を維持すべきだ」が30%、「配偶者控除は廃止すべきだ」は15%だった。存続を支持する声は、意外と根強い。

 「男女が同じように働くなら男性も家事・育児に参加するのが当然ですが、それができない前提で『結局、家のことは全部私がやるんだから男並みに稼ぐなんて冗談じゃない』ということだろうと思うんです」。福沢さんはこう分析する。

「耐用年数過ぎた制度」なのに…

 この諦めにも似た境地は、どこから来るのか。

 大沢さんは、配偶者控除のほかに国民年金の第3号被保険者制度などの専業主婦を優遇する制度が長く続いてきたことも問題視する。「短時間労働で低賃金、税も社会保険料負担もなし、という働き方の枠に女性自身がとらわれてしまっている」と指摘する。それに、夫が早く帰宅できるわけでもなく、就労時間を延ばせば子どもの延長保育料など新たな出費も増えてしまう。だから「社会進出よりも家計を第一に考えざるを得ない」という判断に傾きがちになるというわけだ。

 「かつての大企業や優良企業も、この先どうなるか分からない時代に『一本の大黒柱』は危ない。生計の支えを複数化することがセーフティーネットにもなるが、配偶者控除がそれを邪魔している」と大沢さん。「政治の責任は大きい。見直しに手を付けないのは怠慢以外の何ものでもない」と語気を強めた。

 配偶者控除を巡る議論では「専業主婦の優遇は少子化対策にもつながる」という擁護論が自民党などでくすぶる。

 この考え方に、中央大の森信茂樹教授(租税法)は真っ向から反論する。「OECD経済協力開発機構)諸国を見ると、女性の就業率を上げながら出生率も上げてきている国が多数派です。配偶者控除の存続・拡充は、日本だけがガラパゴスの道を歩むような話です」

 森信さんが、OECDの統計を基に各国の女性の社会進出の度合いと出生率の関係を調べたところ、80年時点では女性の労働力率が高いほど出生率は低かったが、00年時点では大半の国が女性の労働力率が高いほど出生率も高くなる「正の相関関係」に変化した。世界の潮流が転じる中、日本や韓国などごく少数の国だけが、旧態依然としていることが分かったという。

 「オランダでは中所得世帯までの配偶者が働きに出ても税負担が大きく増えないような税制に変えるなど、OECD諸国は、国と社会と家庭が協働して制度や慣行を変え、『女性の就業率を上げ、出生率も上がる』世界を作り上げてきました。今回は日本も改める機会だったのが、専業主婦世帯だけの優遇がいいのかどうかという議論も全くされないままに終わってしまった。配偶者控除はもう完全に耐用年数は過ぎています」

 森信さんは諦めた表情で続ける。「日本は、完全に『逆走』しています。女性の働き方の壁をなくすという話だったのが新たな壁を作ってしまった。これでは、もう一回世論を起こすのは難しい……」

 社会に深く根を張った性別役割分担意識を変える大きなチャンスを逸し、暗たんたる気分になる。この国は一体いつになったら「ガラパゴス」から脱することができるのか。

毎日新聞より)

自民党にくすぶっているという「専業主婦の優遇は少子化対策にもつながる」などというお花畑の「擁護論」を目にすると、そんな世間知らずが国会議員やってるんだあ、と開いた口がふさがらないのだが、事情は「来年の都議選で小池百合子に協力を求める」とかいうお馬鹿な党首(代表)を戴く民進党も似たようなものらしい。下記は元民主党衆院議員・井戸正枝氏のブログ記事。

「カチマス」が勝てない理由(2016年11月24日)

「カチマス」が勝てない理由

昨日、民進党の国会議員37人でつくる野球チーム「民進カチマス」が23日、東京都内で初の試合を行った。

ニュースを見ながら、のけぞった。 山尾氏の「内助の功」発言に、だ。 さらに、今朝になって前原氏のTwitter(以下参照)が流れて来て、絶望的な気持ちになった。 そもそも、なんのための「カチマス」なのだろうか。 「党内融和」のアピールなら、別のところでやればよい。 マスコミがこれだけ来ているのであれば、民進党の掲げる政策や、与党との違いを示さなければもったいない。

内助の功」…結果的にでも、打席に立った人を普通はそうは呼ばない。 そもそも、言わなくてよいことを、なぜ? たぶん、深い意味はない。
だから、よけい罪深い。 リラックスした中で発言したからこそ、本音が見え隠れする。
世の中の感覚とズレていること、目指すべき社会像とも違うことに気がつかないと、政権どころか・・。

「全員野球」を掲げるならば、そもそももっとわかりやすい形での男女混合チームにすべきだったのかも。 ひととき前、「おにぎりマネージャー」は大きな話題になったが、 「マネージャー」職をアピールするなら、同様に女子だけでなく、男子のマネージャーもおくべきだ。

まあ、こういうことを書くと、「党内のバラバラ感をあおるな」と、また国体や選対からお叱りがくるかもしれない。

でも、それと、これとは違う。
ワタクシは政策論を言っているのだ。

民進党民主党)の良さは、自由闊達に議論ができるところだった。 特に、社会の状況と乖離している所は、 きちんと指摘ができる土壌があった。 が。
選挙に破れ、縮小して行く中で、そういうことを指摘する人は内部に少なくなり、 私のような総支部長とて公認権を握られているから、弱い立場で発言する(勇気のある)人もいなくなって来ている・・ような(泣)

条件や環境の良い中で育ち、強い男性に庇護された範疇のみ女性は活躍できるが、それでも所詮「内助の功」要員。 「女性議員を増やす」と表向きには言っていても、結局、こう。

・・というふうに、とられかねないようなことは、やめようよ。

真に、全ての人が、それぞれの個性を生かしつつ、生きられる社会を。
「カチマス」がプレーを通じて体現しなければならないのは、そんなことなのではないだろうか。
ということを、ご本人に直接伝えようと思う。 「カチマス」が勝てない理由はそこにある、と。 以下、前原誠司Twitterより

昨日の試合で私は1度だけ打席に立ちましたがデッドボールでした。でもあれだけ大勢のマスコミ・カメラが注目したら、ストライクが入らないのは当たり前ですよね。私はマスコミがいなくても、なかなかストライクは入りませんが。私が対戦した投手を含め、投手陣は皆さんレベルが高かったです。(誠)


昨日の試合で、打のヒーローは参議院議員森本真治さんです。ヒットを2本も打ち、内1本は唯一の得点となったタイムリーヒットでした。さすが準硬経験者です。可愛い息子さんの応援も、森本さん活躍の原動力になりました。(誠)


意外と言ったら失礼ですが、衆議院議員篠原孝さんの野球センスの良さには感動しました。最年長の68才にもかかわらず、2度の打席とも芯でとらえ、1本はセンター前のクリーンヒット。ファーストの守備も難なくさばき、お見事でした。(誠)


昨日は先発投手が参議院議員那谷屋正義さん、リリーフが衆議院議員階猛さんでしたが、二人とも素晴らしいピッチングでした。1ー8で敗れましたが、2投手の自責点は0です。
階さんは東大野球部のエースだったので期待通りでしたが、那谷屋さんは59才とは思えない球速とコントロールで、4回を投げ抜かれました。あっぱれです。尚更、守備の練習が必要だと感じました。(誠)


山尾しおりさんには、マネージャーとして「内助の功」を発揮してもらいました。始球式を務めてもらい、また最終回には打席にも立ってもらいましたが、やはり彼女には華があります。山尾さんが打席に立った時、乗り出して応援していた5才の息子さんのキラキラ感が、たまらなく可愛かったです。(誠)


Twitterより


人間社会に働くもっとも強い力はやっぱり「惰性力」だな、と改めて思わされる。前原誠司は印象通りだが、もともと保守派とはいえ今年「日本死ね」のはてな匿名ダイアリーを国会で取り上げて注目された山尾志桜里の保守性には(もともとこの人をあまり評価しない立場の私ではあるが)失望させられる。