kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「パン屋『郷土愛不足』で和菓子屋に 道徳の教科書検定」(朝日)

思想戦を仕掛けられているといえばその通りなのだが、集団的自衛権南京大虐殺に関する教科書の記述をねじ曲げる検定(これは本当に悪質だ)はともかく、ネットでも話題になっているらしい道徳の教科書の書き換えは「喜劇」としか思われない。そう、「二度目は喜劇(笑劇)として繰り返される」という例のやつだ。

http://www.asahi.com/articles/ASK3P7KX3K3PULZU00T.html

パン屋「郷土愛不足」で和菓子屋に 道徳の教科書検定
前田育穂、菅野雄介 木村司、沢木香織
2017年3月24日23時15分

 初めての小学校道徳の教科書検定が終わり、8社の24点66冊が出そろった。本来、「考え、議論する」を掲げたはずなのに、文部科学省が検定過程で付けた数々の意見からは、教科書作りに積極的に関与しようとする姿勢が浮き彫りになった。高校の地理歴史や公民の教科書でも、集団的自衛権南京大虐殺などの記述が、文科省の指摘に従って横並びになった。

 「しょうぼうだんのおじさん」という題材で、登場人物のパン屋の「おじさん」とタイトルを「おじいさん」に変え、挿絵も高齢の男性風に(東京書籍、小4)▽「にちようびのさんぽみち」という教材で登場する「パン屋」を「和菓子屋」に(同、小1)▽「大すき、わたしたちの町」と題して町を探検する話題で、アスレチックの遊具で遊ぶ公園を、和楽器を売る店に差し替え(学研教育みらい、小1)――。

 いずれも文科省が、道徳教科書の検定で「学習指導要領の示す内容に照らして、扱いが不適切」と指摘し、出版社が改めた例だ。

 おじさんを修正したのは、感謝する対象として指導要領がうたう「高齢者」を含めるためだ。文科省は「パン屋」についても、「パン屋がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りないため」と説明。「アスレチック」も同様の指摘を受け、出版社が日本らしいものに修正した。

 「ここまで細かいとは」。各社の編集者はこうした検定のやり方に戸惑う。

 検定に臨んだ8社は、2015年に告示された指導要領が学年ごとに定める「節度、節制」「感謝」「国や郷土を愛する態度」など、19〜22の「内容項目」を網羅することを求められた。

 学校図書(東京)の編集者は指導要領やその解説書を読み込み、出てくる単語をリスト化。本文や挿絵、設問に漏れなく反映されているか入念に点検したが、それでも項目の一部がカバーされていないという検定意見が数カ所ついた。別の出版社の編集者は「単語が網羅されなくても、道徳の大切さは伝えられる。字面だけで判断している印象だった」と不満を口にする。

 最終的に、検定では8社の計24点(66冊)の教科書に誤記や事実誤認を含めて244の意見がつき、このうち43が指導要領に合わず、「本全体を通じて内容項目が反映されていない」などの指摘だった。

 各社は指摘に沿って本文やイラストを修正したが、これまで検定の対象外だった副読本より、「横並び感」が強まった。

 中身だけでなく、文科省は教科…

朝日新聞デジタルより)


記事に、「パン屋の『おじさん』とタイトルを『おじいさん』に変え」させた例と「『パン屋』を『和菓子屋』に」変えさせた例が挙がっているが、前者の記述を、「なんで『和菓子屋のおじいさん』」に変えさせなかったんだよ、と思わない読者はおそらく誰もいないのではないか。文部科学省の官僚ってなんて馬鹿なことをやってるんだ。せっかく経産省に入りながら安倍昭恵の秘書役を押しつけられて昭恵の口利きのパシリをやらされたあげくに安倍夫妻に「秘書ガー」と言われて責任を押しつけられるという割の合わないことこの上ない役柄を押しつけられたばかりか安倍昭恵の口利き疑惑などというまったくかんばしくない件でその名前が日本中に知れ渡った谷査恵子(たに・さえこ。大阪府出身、1998年経産省入省とのこと)といい、官僚って何やって食ってるんだ、と思ったが、待てよ、教科書検定って官僚だけでやってるんだっけという疑問が頭に浮かんだのでちょっと調べてみた。下記は文科省のサイトより。

教科書Q&A:文部科学省より

Q5  教科書の検定は,どのような仕組みになっていますか?
 
A  教科書の検定は,おおよそ下図(図の引用は省略=引用者註)のように行われています。この図の流れに沿って概要を説明します。
 
1)  検定に申請された図書は,まず,文部科学省の教科書調査官及び教科用図書検定調査審議会委員による調査を受けます。また,専門の事項を調査する上で必要があるときは,教科用図書検定調査審議会に専門委員が置かれ調査に当たります。これらの調査結果は,教科用図書検定調査審議会に報告されます。
2)  審議会では,それぞれの種目ごとに大学の教授などからなる委員が自らの調査に加え,報告された調査結果も参考にして,記述の内容が学習指導要領に適合しているか,教材の選択や扱い方が適切か,誤りや不正確なところがないかなど慎重に審議し合否の判定を行います。
3),4)  ただし,必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当であると認める場合には,文部科学大臣は合否の決定を保留し,検定意見を通知します。
5)  検定意見の通知を受けた申請者は,検定意見に従って修正した内容を修正表によって提出します。
6),7)  文部科学大臣は,修正が行われた申請図書について再度審議会の審査に付し,その答申に基づいて,最終的に合否の決定を行います。


なるほど、検定意見をつけたのは文科省の官僚とは限らず、「教科用図書検定調査審議会委員」かもしれないのかと思ってそのメンバーを調べてみた。文科省のサイトに名簿*1が載っているが、大学の名誉教授や教授や准教授といった人たちが中心で、その多くは保守または右翼または極右であろうことは想像に難くない。いずれにせよ文科官僚といい大学の先生といい社会的地位の「高い」とされている人たちが大真面目でこんな馬鹿げた検定意見をつけている。思い出されるのは、櫻井よしこ*2だの渡部昇一(「ともみ組」組長)だの青山繁晴だのがあの籠池泰典・諄子夫妻の塚本幼稚園、そう、幼稚園児に「安倍首相、頑張れ」、「安保法制国会通過、よかったです」などと叫ばせた北朝鮮ばりの極右幼稚園を口を揃えて絶賛した醜態が思い出される。

今回のこの笑止千万の教科書検定のバックボーンになっているのはいうまでもなく日本会議の思想だろうが、日本会議の思想とはこれほどまでにもお粗末なものなのだ。道徳だなんだという彼ら日本会議の極右の連中が、自らが持ち上げてきたトンデモ教育者・籠池夫妻をトカゲの尻尾切りしようとして逆襲を受けている昨今の醜態を見れば彼らの思想のお粗末さは容易に想像がつこう。

だが、どんなにひどい笑いものレベルの教科書検定であろうが、どんなにお粗末な思想だろうが、日本会議に担がれて総理大臣に登り詰めた安倍晋三独裁政権下で実行されているという冷厳な事実がある。笑っていられるのは今のうちかもしれない。「和菓子屋なら良いがパン屋はダメ」などというバカバカしい教科書検定を変えさせるための必要条件(もちろん十分条件では全くない)は、安倍晋三政権、というか安倍晋三安倍昭恵を打倒することだ。思想戦を仕掛けてきている相手の思想がいかにしょぼくて「気持ち悪い」ものであろうが、安倍晋三と昭恵をいつまでも独裁者夫妻の座に座らせ続けているようでは、そのうち今回話題になったような教科書検定を笑いものにするだけでしょっ引かれるような時代が必ずやってくる。

そう、笑いごとではないのだ、と自ら今回の教科書検定を笑いものにしていたことを棚に上げながら締める今日この頃なのであった。

*1:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/tosho/meibo/1370955.htm

*2:そういえば昔、「『右』も『左』もない、オレは『下』や」を決めゼリフにしていたブロガー「喜八」は櫻井よしこに心酔していた。さすがは城内実平沼赳夫を応援する旗を振っただけのことはある。