昨夜、プロ野球が開幕し、広島が丸を強奪した読売と本拠地・マツダスタジアムで対戦し、広島先発の大瀬良がその丸から4打席連続三振を奪うなど読売に得点を許さない好投を見せて読売の絶対のエース・菅野(7回1失点)に投げ勝った。カープファンは溜飲を下げたことと思うが、対照的に京セラドームで阪神に延長戦の末サヨナラ負けしたスワローズファンの溜飲は溜まる一方だった。
そもそも今年の開幕戦が京セラドームでの阪神戦だと知った時から悪い予感しかしなかった、というか、やられたと思った。なぜなら近年ヤクルトは同ドームでの阪神戦を極端に苦手にしていたからだ。阪神はそれを知っていたから対戦相手にヤクルトを選んだのではないかと思った。案の定、昨日の開幕戦は勝てる試合を落とした。最後は1982年に今年の相手・阪神の故小林繁が横浜スタジアムでの開幕戦でやったのを思い出させる暴投によるサヨナラ負けを石山泰稚がやらかしたのだった。負けに至るまでの試合経過も最悪で、1回表にいきなり先頭打者から3連打したものの本塁タッチアウトのあとバレンティンが併殺打。阪神先発のメッセンジャーを潰し損ねた。さらに4回に1点を先制したあと三者凡退と思われた6回裏に二死からエラーで走者を出すと、先発の小川が近本に三塁打を打たれて同点に追いつかれた。そして延長11回裏、この回から登板した石山がいきなり代打・鳥谷に三塁打を打たれ、一死後6回に同点打を放った近本の打席でサヨナラ暴投をやらかしたのだった。「負けに不思議の負けなし」の典型のような試合だった。
いったいヤクルトはどれくらい京セラドームでの阪神戦の相性が悪いのか調べてみたら、なんと同ドーム開設以来、昨日の負けで通算10勝31敗であることがわかった。しかも昨日の負けで8連敗中だ。
https://www.nikkansports.com/baseball/news/201902060000798.html
▼阪神は京セラドーム大阪が「大阪ドーム」として開場した97年以降、この球場でのヤクルト戦で、通算30勝10敗の勝率7割5分。現球場名に改めた06年7月以降に限ると、19勝4敗で勝率8割2分6厘と相性のよさを誇る。17年4月5日からは7連勝を継続中だ。
(日刊スポーツ 2019年2月6日)
さらに調べると、京セラドームでの開幕戦自体は「大阪ドーム」時代の白星を合わせて1勝1敗だが、2009年の開幕3連戦では開幕戦を石川雅規で落としたあと連勝していた。つまりその頃には京セラドームに対する苦手意識はそんなになかった。さらに、2010年8月の3連戦緒戦に勝った時点で京セラドームに改称後の阪神戦は通算3勝1敗となった。しかしそのあとがなんと1勝19敗なのだ。つまり11連敗したあと1つ勝ってまた8連敗している。これほどの鬼門は滅多にあるものではない。
負け始めるきっかけとなった2010年8月の試合は、ネットで経過を追いかけていたので覚えている。その頃のヤクルトはこの年リーグ優勝した中日と宿敵・読売を神宮で相次いで3タテするなど絶好調だった。交流戦で泥沼の連敗を重ねた監督の高田繁(元読売)を解任したのが功を奏し、監督代行に就任した小川淳司がみごとにチームを立て直したのだ。その勢いは翌年まで続き、優勝目前までこぎ着けたが、落合博満監督を追い落とそうとした中日球団の妄動のせいで中日の選手たちに「火事場の馬鹿力」を出させてしまって逆転優勝をさらわれたことは先日も書いたし以前にも何度も書いている。そのトラウマがあるにもかかわらず小川淳司は私をスワローズファンに復帰させてくれた監督として感謝している*1。話を2010年8月に戻すと、快進撃を続けていたヤクルトは、京セラドームの阪神3連戦緒戦に勝って連勝を10に伸ばしたが、2戦目で連勝を止められたのだった*2。
この試合をきっかけにヤクルトは阪神戦を苦手にするようになったイメージがある*3。緒戦では当時の阪神キラー・館山を先発させて勝ったものの激しい打撃戦で、館山はかなり打たれた。これは危ないなと思ったら案の定2戦目と3戦目を落としたのだった。ヤクルトはさらに同月末の神宮での阪神戦でも緒戦を館山で勝ちながら2戦目、3戦目に連敗して、中日、阪神、読売が三つ巴で争っていた上位への進出を阻まれた。もっとも9月の甲子園球場での3連戦に2勝1敗で勝ち越して優勝を争う阪神の足を引っ張ってお返ししたのだが、この時助けてやった中日に翌2011年に今度はヤクルトが煮え湯を飲まされた。つまり恩を仇で返された(笑)*4。
その2011年に優勝を逃した元凶が、浅はかな落合降ろしを画策した中日球団のフロントに加えて、京セラドーム大阪での阪神戦だった。この年は東日本大震災の影響で4月に予定されていた甲子園球場での3連戦が10月の京セラドームでの3連戦に振り替えられたが、ヤクルトはその3連戦とそれより前の8月に行われた同球場・同カードの3連戦にともに全敗した。特に10月に3連戦の2戦目だったかに首位を中日に明け渡し、以後一度も首位に返り咲くことはなかった。この3連戦では当時絶対の阪神キラーだった館山までもが当時の阪神のエース・能見に投げ負けて万事休した。
それ以後はなぜかしばらく京セラドームでの阪神戦が少なかったが、2013年8月に3連敗して通算11連敗になったあと、京セラドームでの阪神戦の呪縛を知らないブキャナンが先発した2017年の1回戦に勝ってようやく連敗を止めた。しかしこの年もその後京セラドームで阪神に5連敗し*5、昨年も8月に京セラで阪神に連敗したのだった。なお、ヤクルトのあとを追うかのように中日が一時京セラドームで阪神にやはり11連敗したことを知って、おいおい、ヤクルトの真似をするなよとひそかに思ったものだ。しかしその中日も確か昨年京セラドームで阪神に勝ってヤクルトの仲間から足抜けした。
これで過去20試合で1勝19敗、勝率.050となった京セラドームでの阪神戦2回戦には石川雅規が先発する。石川は昨年阪神戦3勝2敗だが3勝のうち2勝は阪神の金本体制が崩壊していた時期の白星だからあまり参考にはならない。むしろ石川は阪神を苦手にしている投手だ*6。また連敗が伸びるのか、それとも14年ぶりのリーグ優勝がかかった4年前の10月に東京ドームでの天王山で菅野に勝ったり、2012年のやはり東京ドームでの開幕戦であわやノーヒットノーランの好投を見せるなど、時に思いがけない大仕事をやる石川が呪いを解いてくれるのか。まああまり期待しないで注目することにしたい。
なお敵の宣伝みたいになるが、今年から阪神の本来の本拠地・甲子園球場のマウンドの土が変わった(硬くした)らしい。それもこの記事に盛り込もうと思ったが長くなったので別記事にする。
*1:これも何度も書くが、私は高田繁が大嫌いだったし、2000年代には中国地方、次いで四国に住んでいたこともあって一時広島カープを応援していた。
*2:奇しくも昨日の開幕戦でも昨年後半戦以来の阪神戦の連勝が10で止まった。
*3:昨年終盤のヤクルトの阪神戦10連勝は、おそらく阪神のチーム内で金本知憲を監督とする指揮系統が崩壊していたためだろうと推測している(ヤクルトはこういう状態の対戦相手を徹底的に叩くことは昔から得意だ)。金本には人の上に立つ資質がよほど欠けているのだろう。阪神の監督が金本から矢野燿大に代わった今年は昨年後半の成績が参考にならないことはわかり切っていた。
*4:しかもこの年の9月には、ようやく神宮で阪神に3連勝して阪神を蹴落としたと思ったら、優勝争いから脱落したショックからか甲子園に戻った阪神が中日に負け越してしまい、中日が負けてくれるはずの皮算用が外れたのだった。とことん落合博満の思う壺にはまり続けた悪夢のような終盤戦だった。
*5:まあ一昨年負けたのは何も京セラの阪神戦に限らず、年間97敗もしてしまったのだが。
*6:石川は読売との対戦成績は右記リンク先にある通り通算27勝26敗と勝ち越しているが(昨年は読売戦の勝敗なしなので通算成績はリンク先記事の時点と同じ)だが、阪神戦は確か勝率4割を切っているのではないか。https://spaia.jp/column/baseball/npb/6106