水島宏明が赤恥をかいた記事に「追記」をしていた。
以下、「追記」の部分を引用する。
(4月29日11時30分、情報訂正放送を受けての追記)
この翌日、『モーニングショー』を見ていた筆者は飛び上がらんばかりに驚いた。
この記事で、あるべきテレビ報道の姿として筆者が大きく評価していたこの番組が、翌日29日の放送で玉川徹が「解釈が違っていました」「申し訳ありませんでした」として内容について訂正し、謝罪したのだ。しかも「すべて民間の検査機関」という根本的な情報で間違っていたという。大事なことなので彼のコメントの一字一句を正確に記しておく。
(玉川徹)
「きのうの放送の中で、月曜日の都内の感染者数、39名すべてが民間の検査機関によるものだというふうに私はお伝えしました。さらに土日に関して、行政の検査機関は休んでいたというふうにお伝えしました。
しかし正しくはその39名の中に行政機関の検査によるものが多数含まれていたことが分かりました。
そして土日に関しても行政の検査機関は休んでいなかったというふうなことも分かりました。
なぜ、このような間違いが起きてしまったのか。
私たちテレビ朝日の記者が都庁でのレクチャーを取材し、メモを作成しています。
そのメモを番組内で解釈をする時に、その解釈を間違ってしまいました。
その間違った解釈、そのまま私がコメントをしてしまったというふうなことで、このような間違いが起きてしまいました。
コメントのすべての責任は私にあります。
私がコメントの内容をすべて考え、話しているわけですが、その中身は私が再度確認をして、正確性を保たねばならない立場であるにもかかわらず、その責務を果たさず、このようなことになってしまいました。
このことにより、土日も働いてらっしゃる都庁関係者のみなさま。保健所のみなさま。そして検査機関のみなさま。検体を採取する医療関係者のみなさま。すべてに多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当にすみませんでした」
玉川は深く頭を下げてから、話を続けた。
「私は1月の末以来、新型コロナ感染症についてお伝えするに際し、もし私自身が感染したら、私の家族や大切な人まで感染したら、そして、日本に住むすべての人が感染した時にどうしたら、その命が救えるのか、また、どうすればその苦痛を少しでも少なくできるかを考え、取材し、コメントをしてきました。
しかし今回、その命に直結する検査というふうなものに関して、間違った取材を、間違ったコメントをしてしまったこと、慚愧の念に堪えません。
改めて関係者のみなさま、そして番組を信頼して見ていただいた視聴者のみなさまに対し、おわび申し上げます。本当にすみませんでした」
(頭を下げる)
この後で羽鳥慎一キャスターが引き取って頭を下げた。
(羽鳥キャスター)
「行政の機関の方々、土日も頑張ってくれています。そういった方々の気持ちに反する放送になったと思います。大変、申し訳ありません」
報道機関として最もしてはならない「事実確認のミス」。玉川および『モーニングショー』それをしてしまった。
筆者がなにげない番組トークの中で披露された情報が「スクープでは?」と感じた重みを当人たちは感じていなかったため、事実確認が疎かになてしまったのかもしれない。
しかし、報道機関として、たとえスタジオトークの一言であっても、その前提になる「事実」が間違ってしまってはそれまで積み上げてきたものすべてが台無しになってしまう。玉川、羽鳥の2人がテレビの前で長々と頭を下げたのはその重みを承知しているからだろう。
たとえスタジオトークの中の一言であったとしても、そこに「事実」としてのまだ未知の要素があるならば、「スクープ」と評価すべきではないかという筆者の考えには揺るぎはない。
ただ、もしも番組関係者の中で、たかがスタジオトークの情報だからと、事実確認の「甘さ」が存在していたのなら、大変残念なことだ。それこそあってはならないことだ。今、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、信頼できる番組として、この番組を見続けてくれている視聴者に対して信頼を裏切ることになってしまう。
このことで番組の信頼や玉川の信頼、テレビ朝日という局の信頼は大きく傷ついた。
間違いは間違いとして認め、2度と同じようなことがないよう正確な報道に努めてほしい。ただし、これで萎縮することがあっては本末転倒だ。これから、もっと正確、で信頼できる放送をしていってほしい。
この記事は、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』という番組が新型コロナの感染拡大でどのような役割を果たしたのかを後々から検証できるように、注釈付きで残しておきたいと思う。
玉川にしても羽鳥にしても、放送で失った信頼は放送で取り戻すしかない。
それを見守っていくのがテレビ報道の観察者としての筆者の役割だと考えている。
さて今回の件では筆者にも責任の一端があります。結果的に、玉川のコメントを信頼し、その取材力や見識を日頃から評価していた筆者は、玉川が「誤報」する可能性などつゆほども疑わず、かえって「スクープ」ではないのかと評価したことで結果的に彼の「事実誤認」を世の中に広げてしまう役割を担ってしまいました。関係者のみなさまに申し訳ない気持ちでいっぱいです。関係者のみなさまに深くおわびいたします。申し訳ありませんでした。
テレビ番組というメディアが今後もっともっと「事実」や「裏づけ」を大事にして、この点に厳しく向き合って発信する存在になっていくように。研究者そして評論家という立場で微力ながら力を注いでいくことをお誓いしたいと思います。
出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200428-00175678/
この追記はいただけない。
玉川徹の謝罪は評価しながら水島宏明の追記を批判するのはフェアでないと思われるかもしれない。なぜこのような評価になるのか。それは、私にはもともとワイドショーに対する強い偏見があってこれを低く見ている、つまり期待値がいたって低いため、どうせ好き勝手なことを言いっぱなしなんだろと思って蔑視していたワイドショーで訂正と謝罪に接することができたのに対し、ドキュメンタリー番組に対する期待値が高いため、「元日本テレビ『NNNドキュメント』ディレクター」(現在は上智大学教授)という肩書の人がこんなことでは困ると思ったからだと自己分析した。
テレビを含むマスメディアが事実や裏づけを大事にすべきことは当たり前だが、同じことは研究者や評論家にも求められるはずだ。水島宏明はそれを怠った。
この人が大学で何を教えているのかは知らないが、教壇に立つ資格があるのだろうかと疑う。また、この人の「研究」の水準も疑わないわけにはいかない。