今回の東京都知事選は、前々回の2014年に続いて反小池の「リベラル・左派」系に複数の候補が立ったために、6年前の反舛添側と同様に、反小池側の足並みが乱れている。
6年前には民進系と小沢系が呉越同舟、小泉純一郎を含めると三者が「野合」した形で細川護煕を担いだが、選挙戦中に失速して投票日までに宇都宮健児に逆転され、宇都宮候補の得票が僅差で細川を上回った。
前回の2016年は共産・社民も「宇都宮降ろし」に加わったが、担いだ候補が鳥越俊太郎だったこともあって小池百合子に歯が立たなかった。この時、宇都宮氏支持者の中に「鳥越と小池なら小池を選ぶ」という軽挙妄動に出た人間が少なくなく、これはこれで大きな問題だった。その前の2012年にあったという宇都宮陣営内での揉めごととともに、宇都宮陣営にもまた大きな問題があったということだ。
今回はどうかというと、先ほど公開した記事でも少し触れたように、例の都会保守氏などは「山本太郎にひそかに期待している」などと書いている*1。但し宇都宮・山本両候補のいずれにブログ主が投票するつもりなのか、記事からは読み取れない。
一方で、今回の無理筋の立候補で、これまで熱心に山本太郎を応援していた人たちが山本から離反する傾向も見られる。
私の趣味である「オザシンヲチ」に関していえば、たとえば堀茂樹氏などは山本を厳しく指弾している。
山本太郎氏が、自分は東京都知事選に立候補しても、「国会議員予定候補者」であり続けると言っている以上、都知事に当選する意志は全くないのでしょう。なお、れいわ新撰組のHPへ規約(←おそろしく簡略!)を見に行き、身も蓋もない山本太郎独裁体制を敷いていることに、今更ながら一驚しました。 https://t.co/dTj0iLmPw2
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) 2020年6月20日
まあ堀氏あたりになると、オザシンではあってもそれなりに筋は通っている。しかし堀氏は例外的な存在だ。
かつて故三宅雪子氏に「極オ」(極端なオザシン)と評された壺井須美子氏に連なる面々の中には、宇都宮氏に怨恨を抱いている人間が少なくないことに気づいた。下記2件のツイートは、いずれも壺井氏がリツイートしたものだ。
小沢さんが宇都宮氏を許しても、私はどうしても宇都宮氏に投票する気になれない。陸山会事件で検察審査会の審査補助員が「反小沢派弁護士」に「直前で」差し替えられた件。仙石氏と繋がりを持ち、当時日弁連会長だった宇都宮氏。勿論二人の関係は分からない。でも絶対に投票したくないのだ。#都知事選
— samsara (@samsara2584) 2020年6月19日
宇都宮健児氏は仙谷由人氏、枝野幸男氏、小宮山洋子氏ら反小沢の急先鋒に献金していたようですね。仙谷氏は小沢氏の2010民主党代表選への出馬に対し、「出られるものなら出てみろ」と言い放ってきた、強気の背景には、この強力な法曹界とのパイプがあったのでしょうか。https://t.co/Q6UqWlFz2R
— よしぼ~ (@yocibou) 2020年6月19日
前者の「仙石」は「仙谷」の誤記。仙谷由人氏が亡くなったのは2018年10月だった。後者のツイートからリンクされた2010年の「週刊現代」の記事は「プレミアム会員」とやらでなければ読めないので、内容はわからない。
今回の都知事選で山本太郎に顔を潰された小沢一郎は宇都宮氏支持に転じたが、かつて敵対した相手とでも手を結ぶのは「権力闘争が第一」の小沢にとっては日常茶飯事であって、だからこそ菅直人がいる民主党との合流を決めたこともある。しかし「信者」たちは根に持った人間は絶対に許さない。この点は、10年前以上前に自分を批判した溝手顕正を絶対に許さず、河井案里に大金を注ぎ込んで当選させたものの、当選した案里と夫の河井克行を逮捕に追い込んだ安倍晋三とよく似ている。
話が脱線するが、昨夕のTBS「報道特集」で見たのだが、若き河井克行に接近したのは、あの「裏切りの人生」(下記リンク参照)で知られた故鳩山邦夫で、鳩山は極右の立場から新党結成を目指して河井克行を子分に引き入れた。鳩山に誘われた克行・案里の河井夫妻は10年前に「自民党には未来はない」と言っていた。心情的に夫妻に近かったのは、おそらく引退した平沼赳夫あたりだったに違いない。しかし鳩山邦夫が2010年に自民党を離党した時に、克行は同調しなかった。この点では、平沼や与謝野馨の熱心な誘いについに応じなかった城内実を思い出させる。
私は広島の極悪夫妻に対して同情など一切しないけれども、夫妻は鳩山邦夫や安倍晋三らによって人生を狂わされたとは確かにいえる。
ろくでもないことだらけの今回の東京都知事選だが、こんなのはもう今回限りにしてもらいたい。それを満たすための大きな条件が一つあって、それは今回せこい「後出しじゃんけん」をやらかした筋の通らない候補の得票を極力抑えることだ。これだけでは正常化のための十分条件とは到底言えないが、間違いなく必要条件だと信じる今日この頃。