昨日(12/9)はまた新型コロナウイルス感染症で新たに確認された陽性者数が最多を更新したらしいが、ひところのように連日最多を更新する状態ではない。しかし、重症者や死亡者のピークは新規陽性者のピークよりも遅れるので、医療崩壊の危機は今後さらに深刻化する。
さすがに各メディアの世論調査で菅内閣の支持率が急落したし、大阪府知事・吉村洋文に対する批判も見られるようになったが、それでも世論やマスメディアの反応は鈍い。ことに、政権に批判的なメディアや人々の間で、菅や吉村に対する批判が弱いように思う。菅には安倍晋三ほど極端な極右趣味はないが、その代わりに新自由主義の信念がある。吉村は安倍に近い極右趣味と新自由主義の信念を兼ね備えているから、ある意味安倍にも菅にも打ち勝てる。本当に最悪だ。人々の命がかかっている非常時に、それをなんとも思わないのが吉村(や菅ら)だからだ。
以下では吉村に的を絞る。少し古い記事だが、共同通信が重い腰を上げて吉村を批判する記事を配信した(12月1日)。それに対する的確な寸評のツイートがあったので、下記に示す。
吉村知事の「やってる感」演出の結果
— ぴー記者 (@p_kisha) 2020年12月1日
「医療崩壊の瀬戸際」大阪で何が 吉村知事に高まる批判 | 2020/12/1 - 47NEWS https://t.co/iR58m9G80i
共同通信の記事の書き出しの部分のみ引用する。
大阪府で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。人口当たりの新規感染者数や療養者数などの指標は東京を上回り、「医療崩壊」の懸念が高まる。
春の緊急事態宣言時には、全国に先駆けた対応で評価を上げた吉村洋文知事だが、今回はなぜ抑え込むことができていないのか。医療現場の声に耳を傾けると、瀬戸際に追い込まれている状況が浮かび上がった。(共同通信=大野雅仁、山本大樹)
出典:https://this.kiji.is/706008113808032865?c=39546741839462401
上記の引用文からして違和感がある。「春の緊急事態宣言時には、全国に先駆けた対応で評価を上げた」というくだりだ。吉村がいったい何をやったのというのだろうか。私がもっとも強く覚えているのは、大阪府内を含む人の移動を止めた方が良いという専門家の助言に対して、吉村が何を考えたか、ターゲットを阪神間(つまり吉村と不仲の知事がいる兵庫県)に絞ったことだ。いったい何を考えているのか、この馬鹿は。そう思った。
それ以降の吉村の言動は、ある意味*1専門家をターゲットにしたものだった。具体的な人名を挙げると、吉村の「仮想敵」は西浦博だったのではないか。
曰く、大阪では緊急事態宣言は必要なかった。僕も「K値」に注目している。緊急事態宣言の効果を検証する。これが5月、6月に吉村が言っていたことだ。大阪府による緊急事態宣言の効果の検証がその後どうなったかは、寡聞にして知らない。
そんな吉村を、春から6月頃にかけて大手メディアは「全国に先駆けた対応で評価を上げた」などと持ち上げた。岡田晴恵らも吉村や大阪府を持ち上げるお先棒を大いに担いだ。実際には吉村は府内の移動については不問に付して、つまり専門家の助言を骨抜きにして阪神間だけを悪者にしたに過ぎなかったが、春先にはそれでも(悪運強く)多少の効果があっただけだ。この事実をごまかすために吉村はテレビに出演しまくり、「やってる感」を演出した。肝心な新型コロナウイルス感染症対策は、新自由主義者にふさわしく何もやらなかった。
だが、馬鹿な吉村はそれでいい気になったのか、大阪市廃止の住民投票などにかまけて新型コロナ対策をおろそかにしているうちに、気がついたら大阪府は日本国内でもっとも深刻な医療崩壊の危機に陥った。そういうことだ。
メディア(特に在阪メディア)は、これまで吉村(や菅)をさんざん持ち上げてきたことを検証しなければならない。
大阪の現状は、下記ツイートが指摘する通りだ。
あまり全国的には知られていないかもしれないが、大阪維新は病院や文化施設を不必要と見なし削減していた。大地震の時にどうするのか不安だったが、図らずしもコロナでこの政策の根源的な過ちが露呈した。取り返しのつかない失政だと思う。
— みあ@Proust (@qYnHe72Z5tCGfwK) 2020年12月8日
*1:吉村の口癖をある意味真似した。本エントリの最初の方の文章でもやったが。