kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新型コロナウイルス感染症の国内新規陽性者は3週間前と比べて38%も増えた/菅政権の支持率回復は「上げ止まり」へ

 昨日、某民放局で土曜日早朝にやっている政治番組に出演しているアナウンサー*1の父親である厚労大臣が、新型コロナウイルス感染省の日本国内での感染状況について「横バイか微増」などと嘘を言っていた。

 事実は、7日間移動平均が1月8日の緊急事態宣言発出後最小値だった3月2日に978人だったのが、昨日(3/23)には1350人にまで増えた。3週間前と比較して38%も増えている。弊ブログでは土曜日にまたグラフで示すが、現状は、どんなに控えめに言っても「急増が懸念される漸増」の状態だ。今や政権は新型コロナ対応、特に変異株対策に集中すべき時期であって、東京五輪開催を気にしたり、ましてや解散総選挙などを画策したりしている時期ではない。解散総選挙などは感染が減少傾向にあり、投票日の時点で今より新規陽性者が減っていることが期待される状況でやるべきことであって、4月に解散して5月の投票などという馬鹿げた日程にしたら、投票日は感染爆発の真っ只中で、本当に「打つ手なし」になっているに違いない。今はそれくらい深刻な感染状況にある。

 しかし、日が長くなり始めてから気温が上昇に転じるなるまでのタイムラグが1か月あまりあるのと同じように、感染者が増え始めてから内閣支持率が下落に転じるまでのタイムラグもある。三春充希氏のツイートなどを見ると、弱い反転上昇傾向にあった菅内閣支持率はどうやら「上げ止まり」つつあり、現在あたりが菅内閣支持率の極大値だと思われる。いわゆる「解散風」は、内閣支持率が小康状態を保っている今のうちに解散を、という計算からきているものだろう。だがその発想からは科学的(ここでは自然科学的及び人文・社会科学的の両方を指す)観点がすっぽり抜け落ちている。今の自公政権の政策はあまりにも非科学的に過ぎるのである。これが他国との大きな違いだ。たとえば中国の習近平政権などは、極めて権威主義的な政府であって私は全く好まないが、政策は科学的にとられる。中国では力ずくの政策が実行可能だから、人の移動を厳しく制限して新型コロナウイルス感染症を抑え込んだ。同政権は最初こそ感染を隠蔽しようとして失敗したが、その後は科学的根拠に基づいた封じ込めを行っているとみられる。

 私は何も中国のように人権を無視してまでも力ずくで新型コロナを力ずくで抑え込め、などと言っているのではない。せめて、素人がグラフを作っただけで直ちにわかるくらい明らかに急増が懸念される状態になっても、厚労相が「横バイか微増」などと嘘をつき、過激な新自由主義者の宰相は何も手を打たない、などという信じられないほど頭の悪い現政権に我慢ならないだけの話だ。なぜ昨年9月に安倍晋三から総理総裁を交代する時に、自民党内で菅義偉になだれ現象が起きたのだろうか。本当は前世紀いっぱいくらいで歴史的使命を終えていた自民党という老朽政党を不必要に長く延命させてしまった、そのつけを今払わされているとしか思えない。菅政権はワクチン確保でも他国に後れをとった。「日本スゴイ」神話を本気で信じていたらしい安倍晋三は、昨年の今頃だったか、日本のすぐれた技術でワクチンが開発されるだろうなどと能天気に言っていたと記憶するが、前世紀末から今世紀初め頃にかけての自民党政権による新自由主義政策のせいで、日本の科学技術の水準はすっかり低下してしまった。昨年の春だか夏だかには、安倍と同様の思考様式を持つ大阪維新の会の首長が「大阪発のワクチン」などと宣っていたが、あれは結局どうなったのだろうか。

 以上の話とはあまり関係がないが、前記三春氏の最近のツイートで、下記の2つが目を引いたので以下に紹介する。

 

 

 

 2015年から2020年というと、その間ずっと「悪夢の安倍政権」が続いていた。しかしあのような超反動政権下にあっても社会の構造は変化し続けていた。

 昨日公開した記事で引用した『アフター・リベラル』の著者・吉田徹は、個人主義リベラリズムが寛容リベラリズムへと転化することなく、代わりに経済リベラリズムと癒着してしまったために、結社なき原子化社会を許してしまったと指摘した(同書294頁)。新型コロナウイルス感染症によって余儀なくされる「テレワーク」も、原子化社会への流れを加速する要因だろう。それに対する社会リベラリズム社民主義)の復権が求められるとともに、それが寛容リベラリズムと結びつく必要があるのではないか。上記同性婚の許容や、最近よく話題になる選択的夫婦別姓制度の実現などは寛容リベラリズムの課題だ。今まではよく「それは選挙の争点にはならない」と言われたが、かつて争点にならなかった案件がいつまでも争点にならないとはいえない。社会は動く時には大きく動く。ただ、三春充希氏も言う通り、「問題は実現する時期」だろう。いつまでも実現しないようでは、日本は世界から取り残された後進国になってしまう。いや、もう既にそうなっているかもしれないが。

*1:なぜか時々夜の報道番組にも出てくる。