昨日(12/20)、朝日新聞の世論調査が発表されたが、内閣支持率が暴落(三春充希氏の表現*1に倣った)しているであろうことは予想できたし、支持率の数字も4割前後、たぶん少し切るだろうなと思っていたら予想通りだった。調査の信頼性に問題のある毎日新聞と社会調査研究センターの調査ばかりではなく、共同通信やNHKの調査でも菅内閣支持率は前の月よりも10ポイント以上下落していたから、「二度聞きをしない」朝日の調査で4割前後になるであろうことなど誰にでも想像がつく。
以下引用する。
内閣支持率39%に急落 GoTo停止「遅すぎ」79%
2020年12月20日 22時45分
朝日新聞社は19、20日に全国世論調査(電話)を実施した。菅内閣の支持率は39%(前回11月は56%)に急落した。不支持率は35%(同20%)に増えた。菅義偉首相が政府の観光支援策「Go To トラベル」を年末年始に全国で一時停止することを決めたタイミングについて聞くと、「遅すぎた」が79%だった。
男性は支持43%、不支持38%。女性は支持36%、不支持33%だった。支持はすべての年代で5割を切った。50代以上は不支持が、支持を上回った。
自民支持層の内閣支持率は67%(前回11月は83%)に下落。無党派層も22%(同39%)に下がった。自民党の政党支持率は38%(同39%)で横ばいだった。
新型コロナウイルスに対する政府の対応を「評価しない」は56%で、11月の40%から大きく増えた。「評価する」は33%だった。菅首相が新型コロナ対策で指導力を「発揮していない」は70%に対し、「発揮している」は19%だった。
「Go To トラベル」を2…(以降は登録者のみ閲覧可=引用者註)
(朝日新聞デジタルより)
上記引用文から気がつくことが3つある。以下箇条書きにする。
- 50代以上より40代以下の層の支持率の方が相変わらず高いとはいえ、40代以上でも支持率5割以上の年齢層はない。
- 「支持する」と「支持しない」の比率を両者の和で割った値は、男性53%に対して女性52%であり、性別による差はほとんど認められない。あえて言えば、男性の方が支持率も不支持率も高い。
- 新型コロナウイルスに対する政府の対応を「評価」する人間が33%もいる。この人たちは、何があっても自民党(または自公)政権を支持する人たちであろう。これがいわゆる「岩盤」の数字だと思われる。
支持/不支持の比率が男女でほとんど変わらないのは、命や健康に対する不安には男性も女性もないことを意味するのではないか*2。
また、新型コロナの重症率や致死率には年齢層との相関が著しいにもかかわらず、若年層でも内閣支持率が暴落していることは健全な傾向だと思われる。
以上の観点から見ると、たとえば下記ブログ記事などは奇異に思われる。
以下引用する。
昨日は、朝日新聞の世論調査の結果が発表されたのだが。菅内閣の支持率は39%(前月から17Pダウン)、不支持率は35%(15Pアップ)になっていた。(@@)
先週は、コロナ対応の遅さに加え、11日のガースー発言への批判もあって、40%台まで支持率が下落。毎日新聞の調査では不支持率が上回ったのだけど。
<『ついに不支持率が上に。コロナ対策不信進むも、菅は尾身を逆恨み?+森友自死で国が改ざん記さず』>
今週は、それに加えて、14日の急な方針転換や8人での忘年会への反発が、支持率を大きく低下させたものと思われる。^^;<でも、相変わらず、男性や40台以下は支持率が高いのよね~。(-"-)>
(「日本がアブナイ!」より)
まず、朝日新聞の世論調査で支持率が暴落したことに驚いておられるようだが、そのことに驚いた。毎日ブログに政治記事を書いている割には、世論の動向に驚くほど疎いと思ったのだ。その疎さは、NHKの世論調査に接して慌てて「GoTo」中断を決めた菅義偉と張り合えるだろう。
また、今回は支持/不支持の比率は回答者の性別によらない。もともと菅内閣支持率にはそういう傾向があって、安倍内閣当時のように男性の支持率が女性と比較して際立って高いという現象はあまり見られない(少しは見られるのだが、今回は支持/不支持の比率に関しては性別による差はない)。さらに、40代(ブログ主は「40台」と表記しているが誤り)以下では確かに支持率が高いが、少し前の毎日新聞の世論調査について三春充希氏が指摘した通り、どの世代でも支持率は急落している。
18~29歳の内閣支持率が80%であるという情報が広まっていますが、古いです。同じ調査機関(※)が12月に実施した最新の世論調査では45%となっています。
— 三春充希(はる)⭐Mitsuki MIHARU (@miraisyakai) 2020年12月15日
(※毎日新聞・社会調査研究センターによる)
毎日新聞・社会調査研究センター世論調査(12月12日実施)
— 三春充希(はる)⭐Mitsuki MIHARU (@miraisyakai) 2020年12月15日
年齢別の内閣支持率・不支持率(%)
18~29歳:支持45 不支持39
30~39歳:支持49 不支持40
40~49歳:支持47 不支持42
50~59歳:支持38 不支持54
60~69歳:支持35 不支持54
70歳以上:支持31 不支持55
三春氏が「同じ調査機関」と書いていることから推測して、毎日新聞と社会調査研究センターが菅内閣発足直後に行った世論調査では、18〜29歳の内閣支持率は80%以上だったのだろう。その時点と比較して、同じ年齢層の内閣支持率は実に35ポイント以上も下落した。15年以上も政治ブログを書いている人なら、この点を見落としてはなるまい。
世論調査からは離れるが、同じブログ記事の下記の文章には開いた口がふさがらなかった。
昨日、ギョッとさせられたことに、何と国内の新型コロナウィルスの感染者が累計で20万人を超えたという。(゚Д゚)
何万人、何十万人単位で感染しているのは、何か海外のことにように思っていたのだが。日本も、感染者数が20万人を超えているのだ。<実際には、その何倍かいるかも。^^;>
しかも、1月に初の感染者が判明してから、10月29日で10万人に達したのだけど。何とそこから2ヶ月もかからずに、20万人を超えてしまったわけで。いかに第三波の感染者数の増加がすごいのか、改めて思い知らされたところがあった。(~_~;)
<尚、死亡者の累計は2917人で、年内に3000人を超す可能性が大きい。(-_-)>
早めに対策を講じた大阪や北海道はピークを超えて、少しずつ感染者が減少しつつあるのだが。いまだに重症者や死亡者が多いし。東京に至っては、17日に1日の感染者が8百人超えの過去最多を記録。1週間で4千人と過去最多を更新中の状況にある。<愛知も増加途上かな?>(ノ_-。)
(「日本がアブナイ!」より)
「何万人、何十万人単位で感染しているのは、何か海外のことにように思っていた」とは、よくもいけしゃあしゃあとこんな恥ずかしい文章を書けるものだ。どうやらブログ主はこれまで新型コロナウイルス感染症に対する関心が薄かったらしい。この緊張感のなさでもまた、菅義偉と十分に張り合える。
しかも、陽性者の急増で対策に追い込まれた大阪(吉村洋文)や北海道(鈴木直道)を「早めに対策を講じた」などと評価している。そういえばこの人は昔から橋下徹だの小池百合子だのといった新自由主義者たちに異様に甘かったが(小池と民進党の「連携」に「ワクワク」しておられたこともあった)、現在でも吉村にはずいぶん甘いようだ。
小池百合子はもちろん論外であって、「GoTo」からの東京の対象除外を国と都のどちらが主導するかで菅義偉と責任を押しつけ合っていた。その結果が17日の「新規陽性者822人」であって、昨日(12/20)も日曜日としては最多の556人の新規陽性者を記録した。小池に対しては、今やあの「日刊ゲンダイ」でさえ手厳しく批判しているのだが、ブログ主は相変わらず大甘だ。
実際にはこれまで批判したブログ主氏はほんの一例であって、新型コロナに対する感覚の鈍さには、どうやら「左」「右」によらないところがあるらしい。下記記事にいただいた弊ブログへのコメントを紹介して、いささか八つ当たり気味のこのエントリを締める。
urinarazuke
小林よしのりに限らず、コロナに関して妄言を吐く輩は右派が多いが、左派でも想田和弘のようにコロナを矮小化したがるダメな奴はいるし、右派でもコロナに関する限りまっとうな意見を表明している人も結構多い。
堀江貴文や池田信夫は「コロナは風邪」「集団免疫」派だが、彼らと親交のあるひろゆきや藤沢数希はコロナ封じ込めを主張しているし、「とにかく経済活動を再開しろ」と専門家会議・分科会を罵倒し暴走している藤井聡を「お仲間」のはずの中野剛志・佐藤健志・適菜収が批判していたりもする。
理由はよくわからないが、この問題に関しては、右派・左派で単純に割り切れないところが多い。