kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

立岩陽一郎氏の「吉村知事の大阪府が抱える不都合な真実」が指摘する、吉村洋文と大阪維新の会の「新自由主義」府政の根本的な問題点

 「コイズミカイカク」あるいは「小泉・竹中」の派生物の一つが「大阪維新の会」だ。いわゆる「中道」的な人たちの中には、「竹中平蔵の『悪魔化』は怪しからん」と仰る方もいるが、1990年代後半にテレビ番組、特に田原総一朗が司会を務める番組でやたらと持ち上げられていたのが竹中平蔵だった。その竹中は今も菅義偉と直結しているのだから、竹中を「悪魔」視して何が悪い、と私などは思ってしまう。

 維新についていえば、橋下徹が最初に大阪府知事選に出馬して当選したのは2008年1月だった。それからもう13年も経つから、今では維新そのものが「既得権益化」しているのだが、大阪では今でも維新が「大阪人の反骨心」を体現した政治勢力と捉えられているのだろうか。一度当選したら惰性力によって現職の強みは時間が経つほど強まる。このことからも、衆院選で「ほどほどの、腹八分目の勝利が一番良い」などと主張する野党第一党の支持者たちの言説が許されないことは明らかだ。

 大阪維新の悪政をよく表していると思う記事が下記立岩陽一郎氏の記事だ。おことわりしておくが、以下の引用文ではリンク先にある画像の引用を省略しているので、是非ともリンク先の記事を直接ご参照いただきたい。

 

news.yahoo.co.jp

 

吉村知事の大阪府が抱える不都合な事実

立岩陽一郎 | 「インファクト」編集長

 

 

その実務能力と弁舌が高く評価される大阪府の吉村洋文知事。情報番組でも人気は高いが、実は不都合な事実を抱えている。新型コロナでの飲食店への協力金の支払いが他の自治体と比べて群を抜いて遅いのだ。詳細を明かす。

 

 

「いろんな企業、飲食店がある。それを完全補償するとなると、無責任には言えません。コメンテーターではないので」。

 

5月26日、私がコメンテーターを務める毎日放送の情報番組「4ちゃんTV」で大阪府の吉村洋文知事は言った。それは、飲食店で時短やアルコールの提供を控えるとの要請が守られなくなっているという状況を踏まえて、私の、「「実務派の知事だが(メッセージが)現状、届いていない。求められるのは、もっと強いメッセージ。延長で休業要請に応じたところを『潰さない』と明確に言ってほしい」という言葉への返答だった。

 

吉村知事は、「大阪府の財源で、お札を刷る力もない中で『倒産、閉鎖させません』と言うこと自体、無責任では」とも語った

 

私の発言は一部の報道では「無茶ぶり」と批判されたが、「強いメッセージを発するタイミングではないか?」との問いだった。

 

それに対する吉村知事の回答について批判する気は無い。実務派の知事らしい回答だとも言える。

 

問題は、議論の前提となる飲食店への協力金の支給だ。この協力金については吉村知事も緊急事態宣言を実施する上での条件として重視していた筈だ。ところが、その協力金の支給が大幅に遅れている。しかも、大阪府が最も悪い数値となっている。

 

具体的な事例で説明したい。私の手元に、全国で飲食店を展開する企業の内部資料が有る。その詳細をここに書く。

 

(画像の引用を省略=引用者註)

 

数値は5月28日の時点のものだ。

 

大阪府は入金率が30.1%。では他はどうか?軒並み70%を超えている。愛知県は100%。既に入金されているということだ。大阪府より規模の大きい東京都も90%だ。大阪府が極端に低いことがわかる。

 

「入金までに掛かった期間」を見たい。ここも大阪府は他の自治体に比べて入金が遅いことがわかる。

 

大阪府は申請日からだと10.8週。70日余りかかっている。では、愛知県はと言うと、4.9週。東京都は2.4週だ。これを規制が開始された時点からで見ると、大阪府は18.1週だ。126日余、4か月余りだ。これが深刻なのは、協力金の申請は規制が終了してからの申請になるからだ。飲食店が資金繰りに困るのは規制が始まった段階だ。時短やアルコールの提供を止めるのは規制が始まってからだから当然のことだ。

 

因みに愛知県では11.4週、東京都は11週。これも短いとは言えないが、少なくとも大阪府に比べれば迅速に対応していることがうかがえる。

 

(画像の引用を省略=引用者註)

 

まさに大阪府にとっての不都合な事実だ。この協力金の支給については吉村知事も自身で責任を持って対応するとしている。つまり、大阪府の遅れはどう言い訳をしても、知事の責任だ。協力金の原資は「地方創生臨時交付金」、つまり国が負担する。大阪府が「お札を刷る」必要も無い。制度設計だけの問題だ。

 

もう1つ大阪府にとって不都合な事実が有る。

 

この企業は、大阪府とは別に大阪市についても数値を集計している。実は大阪市の数値は大阪府ほど悪くない。加えて大阪市は家賃負担額に応じた加算金を上乗せすることにしている。ところが、その支払いは大阪府の協力金とセットで申請することになっており、結果、入金が遅れるという事態になっているという。

 

資料では、「これまでの実績から考えると、入金はかなり遅くなるであろうことが容易に想像できます」としている。

 

この企業は、各自治体において申請から入金までの期間が短くなる傾向になっていると分析している。一方で大阪府については、「今後については読めない」と厳しい見方をしている。

 

この資料の数値には、4月25日から大阪府を対象に始まっている緊急事態宣言についての協力金は含まれていない。宣言は順調に行っても6月20日まで続く。この2か月もの規制に対する協力金の入金はいつになるのか?資料を提供してくれた企業関係者は、「考えることすらできない」と話した。

 

冒頭の番組で、支給の遅れを問われた吉村知事は制度を改善して対応すると話した。要請に真面目に対応している飲食店を見殺しにしてはいけない。

 

※当初の原稿では、今回の緊急事態宣言の開始を5月12日からとしていましたが正確には4月25日からですので訂正しています。

 

出典:https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20210613-00242728/

 

 上記記事についた「はてなブックマーク」を見ると、記事冒頭の「実務能力と弁舌が高く評価される」という部分にのみ突っ込みが入ったものが多いが、それは勿体ない。記事は何も、普段から吉村や維新に批判的な人のために書かれたものではないからだ。

 ここでは、なぜ大阪府がこのような醜態を呈するに至ったかに焦点を当てたブコメを取り上げる。

 

吉村知事の大阪府が抱える不都合な事実(立岩陽一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

邪推ですが、公務員を減らしたから対応が遅れているのでは? だとしたら、吉村知事の方針が間違えていることの実証になると思うのです。

2021/06/13 14:33

b.hatena.ne.jp

 

吉村知事の大阪府が抱える不都合な事実(立岩陽一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

維新に限ったことでないけど小さい政府的な思想がもしものときに脆弱だということを改めて見せつけられたということだな/政治の運営を企業の運営や家計と同一とする考え方はやめるべきだな

2021/06/13 19:30

b.hatena.ne.jp

 

 まさにその通り。「小さな政府」は今回のコロナ禍のような「もしものとき」には脆弱きわまりないのだ。

 

吉村知事の大阪府が抱える不都合な事実(立岩陽一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

今だ日本の政治は「合理化で行政効率が上がる」小泉竹中イズムの迷信に囚われている、結果としては単なるコストカットで必要なものを切り捨て脆弱化しただけ。やってるフリ詐欺に特化した政治家は他に何もしないし。

2021/06/14 01:53

b.hatena.ne.jp

 

 このブコメも核心を突いている。「単なるコストカットで必要なものを切り捨て脆弱化」させるだけの経済政策を「小泉竹中イズム」というのだ。

 

 しかし、昔から新自由主義を批判してきた人間にとっては自明な常識的事項が、まだまだ人々の間には十分に浸透していない。その表れがこのところ地方選で目立つ維新またはその系列の政党の「躍進」だろう。維新系の躍進は2019年後半から2020年前半に書けてピークに達し、その後はやや勢いを落としているようではあるが、それでも4年前の衆院選が行われた2017年などと比較すると維新への支持が「高止まり」している。これは野党第一党立憲民主党共産党との「共闘」路線をとっていることによって、民主党系支持者のうち新自由主義的な傾向が強い人たちが維新に流れたという側面もあるだろう。それには止むを得ない面がある。というのは、世の中は惰性で動くから、これほどまでにも世に深く浸透したネオリベラリズムの流れが十分に減衰するまでにはまだまだ時間がかかるからだ。

 だが、長期的に見れば維新や「小泉竹中」に代表される新自由主義の退潮は明らかだ。そもそも新自由主義ではコロナ禍などの非常時に十分対応できないことが、この1年半ではっきり示されたのだから。竹中をブレーンに掲げる菅義偉政権や、「不都合な真実」を連日のテレビ出演で必死に糊塗する吉村洋文は、この「大きな流れ」に抵抗してあがいている。それが現状なのだ。

 保守政治家である枝野幸男に対しては私も多くの不満を持っているけれども、枝野で一番買えるのは、こうした「大きな流れ」を見誤らない「空気を読む力」を持っているように見受けられることだ。逆にこの能力が全く欠ける代表的な人物が玉木雄一郎だろう。

 このことを考えると、現在立憲民主党の一部の支持者たちが妙に小泉純一郎(や竹中平蔵)に甘かったり、「今年の衆院選は『腹八分目の勝利』が一番良い」などと言っている現状に対して強い懸念を持たないわけにはいかない。