kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小林亜星死去

 小林亜星が亡くなった。

 小林亜星といえば直ちに思い出すのが、都はるみが歌って大ヒットした「北の宿から」(1975)だが、メロディーがショパンのピアノ協奏曲第1番の第1楽章に出てくる副主題とそっくりであることも一部では有名だ。私は少しの差でショパンの方を先に聴いたことがあってレコードも持っていたが、「北の宿から」を聴いてメロディーがそっくりだとは、どっかで指摘されたのを知るまで気づかなかった。両者はメロディーの最初の9つの音が同じで本当によく似ているのだが、両者はリズムというかメロディーの切れ目が違うのだ。で、あれがパクリだったかといわれれば、そうとも言い切れないと思う(酷似していることは間違いないが)。以上については10年前にも一度記事にしたことがあった。但し、下記記事からリンクを張ったYouTubeの動画は現在では参照できない。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 ショパンなら幻想曲と中田喜直の「雪の降るまちを」(1952)の方が、リズムまで同じなのですぐに類似に気づく。中田の方は私が生まれる前に作曲されており、有名な歌だったので小学生時代から知っていたが、初めてショパンの幻想曲を聴いた時、すぐに「雪の降るまちを」を連想した。このことも、もしかしたらブログに書いたことがあったかもしれない。

 で、小林亜星の話に戻ると、本当に盗作の裁判沙汰になったことも有名だ。但し、小林は訴えられた方ではなく訴えた方で、それは1998年のことだ。昨年(2020年)亡くなった服部克久を訴えて、一審では敗訴したものの二審で逆転勝訴し、服部の上告は退けられたという。この件は争いが起きた時にかなり大きなニュースになった。この件に関するブログ記事を下記に示す。

 

skawa68.com

 

 いわゆる「調性音楽」で作ることができるメロディーは限られているだろうと私などは思う。盗作を意識しないで作ったと思ったメロディーが、実は昔聴いたことのある音楽を無意識になぞっていた*1というのはよくあることだろう。

 しかし、中には意図的になぞったケースもあるかもしれない。小林亜星服部克久が争った件がそのいずれだったのかは知る由もないが。

 小林亜星は「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」の主題歌も作曲していたという。いずれも1960年代後半の人気アニメだ。60年代から70年代にかけてが小林の全盛期だったのだろう。テレビにもよく出演していた。30代から40代にかけて才能を開花させた人だったのだろうか。

 このところ、昔の「歌謡曲」で一時代を画した人たちの訃報が相次いでいるが、その中でも大物の一人だった。

*1:同じ作曲家の例だが、シューベルトがD(ドイチュ)804の弦楽四重奏曲の第2楽章に使った旋律は自作の劇音楽「ロザムンデ」からの直接の引用だけれども、ピアノのための4つの即興曲D935の第3曲は「たまたま似てしまった別の曲」だろうと思っている。