kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

麻生太郎の「小池百合子が自らまいた種」発言は、自民党よりも立民や共産により大きな脅威になる

 都議選告示後最初の世論調査で、告示前に言われていたほど都民ファ□ストの会への支持が弱くなく、それなりに「健闘」しているらしい情勢であることに対して、麻生太郎の「失言」が影響しているとの指摘がある。たとえば下記神子島慶洋氏のツイートなどがそうだが、その通りだろう。

 

 

 この麻生の「失言」に「しめしめ、これで自民党の票が減るぞ」とほくそ笑んだ「リベラル・左派」の人間が仮にいるとしたら、それはとんでもない思い違いだ。

 麻生の「失言」で小池百合子に同情が集まり、都民ファ□ストの会への支持率や票が増えるのは間違いないだろう。しかしその結果、麻生の「失言」がなければ都ファより多い票が獲得できたかもしれなかったのに麻生の「失言」のせいで都ファの得票を下回ってしまうのは、自民党よりも立憲民主党共産党の方が多いに違いない。もともとの基礎票自民党の方が多いからだ。

 そもそも麻生の「失言」ではいわゆる「立憲野党」は対立構図の埒外に置かれている意味を考えるべきだ。これだと、前回の都議選や「小泉純一郎対『抵抗勢力』」の対立構図を小泉がでっち上げて自民党に圧勝をもたらした2005年の「郵政総選挙」と同じになる。麻生の「失言」は自民党よりも立民や共産、特に立民により大きなダメージを与えた可能性が高い。「悪名は無名に勝る」とはよく言ったものだ。

 共産党の場合は支持が堅いので影響を受ける度合いは少なく、ただ都ファの票を下回ってしまうリスクが強まっただけだが、立民の場合は立民に投票しようと考えていた人たちの票が、麻生の「失言」によって投票先を立民から(関心を喚起された)都ファに持って行かれる可能性だって相当高いのである。

 弊ブログは昨日「都ファ主要打撃論に立て」と書いたが、それは何も選挙戦で小池都政に対する批判にばかり血道を挙げよという意味ではない。自民党の新型コロナや五輪についての政策を批判すべきは当然だが、その際に都ファの候補と区別がつかないような主張ではダメだということだ。たとえば都ファの候補は東京五輪の無観客開催を求めているが、立民の候補には最低限五輪中止を求めて都ファの候補と差別化を図る必要がある。いやそれくらいは実際にやっているのだろうが、問題は有権者に自らの訴えの方が都ファの候補の訴えよりもすぐれているとの説得力を有権者に与えることができるかどうかだ。それと、東京五輪に関しては小池都政の問題点も多いわけだから、そのあたりをきっちり指摘する必要はやはりあるだろう。「都ファ主要打撃論に立て」というのは、具体的には前記のような戦い方をせよという意味だ。

 最悪なのは「都ファであっても自民党議席を減らせれば良い」と安易に考えて、都ファの「五輪の無観客開催」を積極的にブログ記事で宣伝したような一部の「リベラル」あるいは「都会保守」の人たちのあり方だろう。本心では小池百合子に心惹かれるところが多いために仲間に引き入れたいとの下心から出ているのではないかと私は邪推するが、そうした勝手な思惑がもののみごとに裏切られたのが2017年の「排除発言」で流れが急変した「『希望の党』政局」だった。

 わずか4年前のことをすっかり忘れてしまうのでは、あまりにも愚かというほかない。