求心力を失った菅義偉の迷走で衆院選と自民党内が混乱しているようだが、政権批判側が今もっともやってはならないことは、崩壊しつつあるにもかかわらず自党に世間の注目を引きつけて、そのことによって衆院選を有利に戦おうとする自民党のミエミエの戦術に引っ掛からないことだ。
具体的に言えば、ブログやツイートで自民党総裁選の話題ばかりすることや、その中でも特定の候補(たとえば岸田文雄)をひいきするような文章を書くことは厳禁だ。
ここで私が念頭に置いているのは、もう誰も知らないかも知れないいつもの某都会保守氏*1であって、岸田氏がいいことを言ったとか、石破茂は岸田氏を応援すべきだ、などと、まんまと自民党の術中にはまっている。この人は、都議選の前にも「都民ファ□ストの会が東京五輪の無観客開催を求めている」と肯定的に宣伝した。その頃、東京五輪に観客を入れるかどうかが事実だが、最初から東京五輪開催自体の議論を放棄して戦線を後退させてしまっていたのだ。結局、7月に入って新型コロナの第5波が大きく立ち上がったために、何も都ファが無観客を主張せずとも菅政権も五輪の無観客開催に追い込まれた。しかし、五輪を開催したこと自体が、8月に過去最多の3.6倍にものぼる月間新規陽性者数を出すことにつながった。つまり政権批判側の人間として要求すべきことは、五輪開催の中止であって無観客開催などではなかったのだ。もっとも五輪終了後、氏自身が東京五輪は選手たちのために開催してほしいと思っていたとカミングアウトしたから何をかいわんやで、氏が都議選前に都ファの主張を支持したのも道理かもしれない。都議選での都ファの腹立たしい「踏ん張り」はこういう人たちが後押ししたのだろう。そして現在もまた自民党政権の延命に手を貸そうとしている。
そうではなく、自民党政権そのものを全否定しなければならない。もちろん岸田文雄についても、2019年参院選広島選挙区で河井案里の当選と自派の重鎮だった溝手顕正の落選に手を貸したこと、つまり自派の「一の子分」の首を差し出してなお安倍晋三の靴を舐め続けた卑屈な人間など、総理総裁に値しないことをきっちり認識しなければ話にならない。菅義偉は先月22日の横浜市長選で腹心の小此木八郎を犬死にさせたが、岸田文雄だって溝手顕正を犬死にさせたのだ。菅も岸田もともに自民党政治を崩壊させた張本人たちなのであって、衆院選で絶対に必要なのは自民党を下野させることなのだ。
前記都会保守氏と同じ立民支持層でも、都会保守氏は間違っていて、下記神子島慶洋氏のツイートが正しいと私は思う。
無策の上にGo Toや五輪開催を強行して感染爆発を招いたあげく、政権与党は現実逃避するように政局にうつつを抜かしている。人の命を守ることよりも、「お山の大将」を誰か決めることがそんなに大事なのか。もはや、自民党に政権担当能力はないといえるのではないか。
— 神子島慶洋⊿ (@kgssazen) 2021年8月31日
五輪が終わり、一時的に感染爆発の深刻さが伝えられていたが、今度は政局一辺倒の報道になった。誰が自民党総裁選に出るの出ないのだとか幹事長ポストの行方だとか、そんな報道ばかりだ。そんなことを逐一報道せず、もっと情報がまとまってから伝えれば良いのではないか。現実との乖離を感じる。
— 神子島慶洋⊿ (@kgssazen) 2021年9月1日
今夜の報道1930は、やはり自民党総裁選の話題が中心で、田崎史郎にその内情を思う存分しゃべらせていた。で、最後のほうで野党の話題を申し訳程度に取り上げただけだった。松原耕二氏は野党の存在感が希薄であるかのように語るが、自分たちの番組編成がそれを助長しているという自覚はないのか。
— 神子島慶洋⊿ (@kgssazen) 2021年9月1日
上記神子島氏のツイートが指摘する通り、松原耕二が属するTBSなどの「リベラル」系とされるマスメディアが先頭に立って、前記都会保守氏のブログと同じようなことを言っている。事実上自民党政権の延命に手を貸そうとしている点では、市井の反政権的ではあるけれども保守的な人のブログと全然変わらず、影響力は数桁大きいので悪質きわまりない。現在の反自民政権の気運がそれを上回ることができるかどうかが、きたる衆院選で問われる。