kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

江田憲司・落合貴之らによる立憲民主党「『みんなの党』化」の脅威を憂う/山本太郎が東京8区から出馬か

 まず最初に、私は岸田文雄の2Aないし3A傀儡政権は論外であり、衆院選は野党に議席を伸ばしてもらわなければならないと考えている。これが大前提だ。しかし、だからといって現在の野党のあり方に無批判でいることもまた許されない。

 ことに、このところ立憲民主党が「先祖返り」というべきか、新自由主義的な傾向をどんどん強めていることを強く警戒している。私の見るところ、その元凶は江田憲司であって、枝野幸男は呆れたことにこの元「みんなの党」幹部に立民の経済政策を任せているという。私はかつて、小沢一郎が自らの党の安全保障政策を元公明党にしてオスプレイを絶賛した論外の東祥三に任せていることを知って激怒し、ブログで東の呼称を「オスプレイ東」と書いて何度も非難した。民主党政権時代後半の2012年のことだ。分野は違うとはいえ、小沢にせよ枝野にせよ、保守政治家たちはどうしてこういう危険な火遊びをしたがるのだろうか。そして支持者たちはなぜ指導者たちの妄動を批判しないのだろうか。不思議でならない。

 そんな中で、敢然と江田憲司の危険性を指摘して批判しているのが黒川滋(くろかわしげる)氏だ。私は税制のあり方など、氏と意見を異にする部分も多いが*1、氏の江田批判には共感する。一例が下記3件のツイート。

 

 

 

 

 この立民の「『みんなの党』化」問題は思いのほか深刻だ。

 たとえば衆議院東京6区という選挙区がある。世田谷区の西部であり、リベラルの牙城だった。2014年衆院選で、当時民主党は維新の党(日本維新の会江田憲司の「結いの党」が合流して成立した政党)と選挙協力をして選挙区の棲み分けをしていた。この選挙区は2012年衆院選で落選するまで民主党小宮山洋子議席を持っていたので、2014年にも候補*2を立てようとしていたが、そこに江田憲司落合貴之を強引にねじ込んだのだった。私は当時、この経緯を強く批判する記事を公開した。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 上記記事でいう「野党共闘」は今のそれとは全く違う。民主党と維新の党を中心とした選挙協力のことだ。より正確には「民主、生活、維新(=旧みんな+大阪維新系)、社民」の枠組だ。生活の名前が入っていることからわかる通り、小沢一郎が一枚噛んでいた。それに共産党が加わり、民主系の一部がそれに反発して遠心力を働かせているのが現在の枠組だ。共産党が加わった時には、2015年に共産党が改めて共闘を言い出す形をとったが、この時にも小沢が一枚噛んでいる。現在小沢は立民に属しているが、この経緯を思い起こせば小沢の立民入りはごく当然の選択だった。

 結局落合は選挙区では負けたが、落合の正体を知らなかったであろう「リベラル」票の上乗せで比例復活した。そして2017年には選挙区で越智隆雄を破った。今回もこの選挙区は落合と越智の「落ち落ち対決」になるのだろう。

 興味深かったのは立民支持の神子島慶洋氏のツイートで、氏は2017年衆院選が終わってしばらく経った頃までは落合に比較的好意的だったが、次第に落合に対する批判を強めていった。この氏のスタンスの変化を見ながら、僭越ながら私は「神子島氏もわかってこられたようだな」と思っていた。ネット検索をかけると下記ブログ記事が引っかかった。

 

ameblo.jp

 

 記事に引用は省略するが、私は上記記事中に言及のある田中信一郎氏に対してもMMTに対しても距離を置いているのでどちらにも与するわけにはいかない。しかし不思議なことに「みんなの党経由でMMT」という流れがあるのは確かだ。みんなの党の緊縮がMMTの積極財政に何の脈絡もなく(としか思えないが)直結する。あと「右翼民族主義者がMMT」という流れもあって、山本太郎が総理大臣にしたい人だと言ったとか言わなかったとかいう、次期衆院選には出馬しないらしい自民党の安藤裕がその代表例だ。このように、日本ではMMTネオリベや極右が飛びつく現象があり、本家アメリカとはずいぶん傾向が違うらしい。私が下手に首を突っ込もうとは全く思わないのは、ここらへんの事情にもよる。今の状況では、下手にMMTに首を突っ込むより、ミステリでも読んでいた方がよほど良い。

 余計な話はともかく、落合貴之は今も全く信用できない。その点については神子島氏と同じ意見であり、私も去年落合を改めて批判する記事を公開した。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 しかし、落合批判でとどめているようでは核心というか、もっとはっきり書けば「敵の本丸」には迫れない。立民の「みんなの党」化をどんどん進めている原動力あるいは元凶はなんといっても江田憲司だ。

 現在は衆院選前だからあまり江田憲司批判にかまけているわけにもいかないのかもしれないが、2017年まで前原誠司長島昭久細野豪志玉木雄一郎馬淵澄夫らが中心となって民主・民進党内で大きな勢力になっていた、主に政治軸上の右派だった勢力の多くが(馬淵ら立民入りした人間もいるけれども)弾き飛ばされたあと、今度は江田憲司を中心として落合貴之ら旧みんな系を中心とした、経済軸上の右派が、立民支持層の多数派であろう人々のニーズと乖離が生じ始めている。少なくとも私にはそのようにしか見えない。これを放っておくとまたぞろひずみエネルギーが溜まっていき、いつかまた「希望の党」騒動の経済政策版みたいにエネルギーが一気に解放される、そう、昨夜千葉県を中心として起きた地震のような事態が起きるのではないかと予想する次第だ。つまり、現在の江田憲司一派の動き、というより江田一派が立民の経済政策を決める権限まで手にしてしまった問題は極めて重大であって、これは決して放置してはならないと考えている。

 

 以下は蛇足。一説によると今日の夕方、山本太郎が立候補する選挙区を発表するという。東京8区ではないかとも噂されているが、本当のところどうかはわからない。

 と、こう書いてきたら、どうやら蛇足で終わらせるわけにはいかなくなってきた。こたつぬこ(木下ちがや)氏が、東京新聞が報じているとツイートしていた。

 

 

 

 

 東京新聞記事を以下に示す。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

【独自】山本太郎氏 衆院選、東京8区で出馬へ 石原伸晃元自民幹事長と対決 野党共闘の象徴目指す

2021年10月8日 02時00分

 

 れいわ新選組山本太郎代表が次期衆院選で、東京8区から出馬する意向を固めたことが分かった。関係者によると、同選挙区では立憲民主、共産両党が候補者擁立の準備を進めてきたが、各党で調整し、山本氏が野党統一候補になる見通し。同選挙区では、自民党石原伸晃元幹事長が8期連続当選している。知名度が高い山本氏が統一候補となれば、野党共闘の象徴として注目が集まりそうだ。

 山本氏は8日夕、JR新宿駅南口で街頭演説を行い、出馬表明する方針。東京8区での出馬について、れいわの広報担当者は本紙の取材に「街頭演説まで言えない」としている。

 山本氏は野党共闘が可能な選挙区を模索し、各党と協議を続けてきた。山本氏の出馬表明により、東京都や千葉県など複数の選挙区で、野党による候補者一本化の動きが本格化するとみられる。

 東京8区は杉並区の大部分で、山本氏が2012年に「反原発」などを掲げて初出馬した原点となる選挙区。当時は、約6万票差のほぼダブルスコアで石原氏に敗れた。

 17年の衆院選東京8区で、立民、共産の候補者が獲得したのは計約9万9000票で、石原氏の得票とは約1000票差だった。(沢田千秋)

 

東京新聞より)

 

出典:https://www.tokyo-np.co.jp/article/135543

 

 記事には「各党で調整し、山本氏が野党統一候補になる見通し」と書かれているが本当だろうか。木下氏のツイートのニュアンスとはずいぶん異なる。

 上記東京新聞記事についた下記ブコメコメントが指摘する通り、この選挙区には4年間同区の立民支部長を務めた候補予定者がいる。

 

【独自】山本太郎氏 衆院選、東京8区で出馬へ 石原伸晃元自民幹事長と対決 野党共闘の象徴目指す:東京新聞 TOKYO Web

ある意味一番本命のところ(もともとの選挙区)から来たが、まあよく④年間支部長やっていた人がいる立憲と調整出来たなあと(比例区転出かもしれんが)。

2021/10/08 04:19

b.hatena.ne.jp

 

 本当に某組長は立民と「調整出来た」のだろうか。東京新聞に記事を出させて既成事実を作り、これをトリガーにして一気に調整を有利に進めようとしている(=ゴリ押ししようとしている)のではなかろうか*3。そういう疑問は拭えない。そこらへんはこのあとの動きを見て判断したい。ただ、共産党の候補予定者がいる滋賀3区にも某組の候補者を立てたことは、「共産党さんが出す選挙区にも候補を立てるんだから」みたいな、変にバランスをとるエクスキューズ(?)のようにも見える。

 いずれにせよ、山本太郎と思考様式の共通点が少なくないと見受けられる玉木雄一郎についてもよく思うことだが、権力志向の強い人たちの幼児性には呆れるほかない。

 しかしその一方で、共産党系の軍師でありながら、江田憲司ら旧みんなの党系による立憲民主党の「みんなの党」化、すなわちネオリベ化に関しては何も言わない木下氏の姿勢に対しても、私は強い疑問及び批判を持っている。このことをここに明記しておきたい。

*1:私は税収自体は大いに拡大する必要があるが、消費税を基幹税とする方向性には反対で、過重になった消費税の比重を下げるべきだと考えている。

*2:たしか大河原雅子の名前が上がっていたと記憶する。

*3:山本太郎は、2019年の参院選で旋風を巻き起こした自らの実績から、シンパたちの後押しが得られるに違いないと計算していると推測される。