kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小選挙区制の「ギャンブル性」が生んだメディア各社の衆院選情勢調査間の大きなバラツキ

 一つだけ忘れないうちに書いておこう。

 今回の衆院選、特に小選挙区の予想がメディアによって大きく乖離する最大の原因は、いうまでもないが接戦区が多いことだ。

 小選挙区制の最大の特徴として、第一党と第二党の支持率が7対3から6対4に変化しても両党の議席はほとんど変わらないが、6対4から5対5に変わると大きく変化し、5.5対4.5から4.5に5.5に変わった時に変化が最大になることが挙げられる。二大政党の得票が拮抗している場合がもっとも変化が大きくなる。

 現在は、自民党立憲民主党の支持率にはかなりの開きがあるが、それを「野党共闘」及び投票が野党に偏ることが多いことで、小選挙区制のギャンブル性が強く出る情勢となっている。だから当選を争う候補の得票力をどう見積もるかで予想が大きく異なる。

 問題は、どの社が正確かということではない。今回は読売・日経と朝日・毎日で分かれているが、正解に近かった方の分析力が高いということには必ずしもならない。次回は逆の結果になる可能性が少なからずある。問題は、勢力が拮抗した時に、ちょっとの要因で結果が大きく変わる小選挙区制の「ギャンブル性」にある。

 こういう性質を持つ選挙制度を是認することが果たして「正義」かということだ。こういう問題意識を持っている人は少ない。特に自民・立民の第一党及び第二党を支持する人たちの間では極めて少ない。たまにいても、中選挙区制に戻せというアナクロな意見を持つ人(野田聖子など)くらいのものだ。

 今回の拮抗した勢力分布は人為的に作られたものだが、その過程では相当大きな「同調圧力」が働いている。勢い政党幹部の権力は過剰に大きくなる。衆院選小選挙区制を導入するのにもっとも力を揮った政治家は「剛腕」と呼ばれた小沢一郎だった。

 今のままの選挙制度で良いのか。このことが持続的に問われ続けなければならない。