弊ブログではこれまで北京冬季五輪の開催後、この五輪に関して一度も言及してこなかったが、初めて言及することにする。日本選手のメダルの話ではなく、ドーピング疑惑のあるロシア五輪委員会のカミラ・ワリエワが女子フィギュアのフリー演技で大崩れして4位に終わった一件だ。
下記はAFP BBニュースへのリンク。
以下引用する。
「なぜあきらめた?」 悲嘆のワリエワにコーチが詰問
2022年2月18日 5:33
【2月18日 AFP】北京冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルに出場したロシア五輪委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、15)は、17日のフリースケーティング(FS)でミスを連発し金メダルを逃したが、厳しい指導で知られるコーチのエテリ・トゥトベリーゼ(Eteri Tutberidze)氏(47)は同情する様子をほとんど見せなかった。
ワリエワは、禁止薬物陽性となったにもかかわらず、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に出場を許可されたことで、世界中の注目を集めた。また、15歳という若さから、周囲の人々、特にコーチのトゥトベリーゼ氏にも関心が集まった。
「氷の女王」と呼ばれるトゥトベリーゼ氏は、10代のロシア人スケーターを次々と世界トップクラスの選手に育成してきた敏腕コーチだが、その厳しい指導法に疑問を呈する声も出ていた。
この日、演技を終えて動揺した様子でリンクから戻ってきたワリエワを最初に出迎えたトゥトベリーゼ氏は「なぜあきらめたの? なぜ戦いをやめたの? 説明して」と詰問。その後は、点数の発表を待つ間に泣き崩れたワリエワの肩に手を回す様子も見せた。
同じくトゥトベリーゼ氏が指導するROCのアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova、17)とアレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova、17)はそれぞれ、金と銀メダルを獲得した。
競技の終了直後、ロシア陣営では感情が高ぶる場面があった。トゥルソワは怒りをあらわにし「このスポーツが嫌い。もう氷上には行かない」と声を荒らげた。その後、落ち着きを取り戻したが、競技引退については否定せず、「今後についてはよく考えてから決めたい」と記者団に語った。(c)AFP
(AFP BB Newsより)
この件を取り上げたのは、この記事についた下記「はてなブックマーク」コメントに強く共感したからだ。
「なぜあきらめた?」 悲嘆のワリエワにコーチが詰問
何せ国のトップがあの、コワモテで大人気のプーチンなので、それがずっと居座ってたらこういう方針にならない方がおかしい。その所属する社会に人は最適化していく、今の本邦も風向きこういう方角でしょ。
2022/02/18 16:36
これは本当にその通りだ。プーチンにはドーピングどころか数々の政敵暗殺事件に関与した疑惑まで取り沙汰されており、今もウクライナへの軍事行動を起こそうとしている。こんな人間なのになぜか人気があり、遺憾ながら本邦の「リベラル・左派」にも妙にプーチンに好意的な連中がいる。
そのプーチンと懇意であることをしきりにアピールしていたのが安倍晋三だった。安倍の意向による公文書の廃棄・隠蔽まで許してしまった日本は、国中が権力者のやりたい放題の社会になってしまった。安倍晋三や菅義偉の悪影響はもちろんひどいが、自治体では特にひどいのが大阪であることはいうまでもない。
「その所属する社会に人は最適化していく」。本当にその通りであって、大阪では医療従事者までもが「大阪でコロナ死が多い言うたかて高齢者が死んでるだけやろ。何が悪いねん」と平気で口にしたりブログ記事を書いたりTwitterで喚き散らすなどして、今や「日本一薄情な街」になってしまった。
結局本エントリも大阪維新の悪口が本論なのだが、私が書こうとしていたことを米山隆一衆院議員にツイートされてしまっていた。
大阪で死亡者が多い理由は
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) 2022年2月19日
①松井市長のUSJダンスを筆頭に、維新議員、在阪マスコミが「コロナはただの風邪」を広げた為検査数以上に感染が拡大している
②早期の段階で松井市長、吉村知事が適切に対処しなかった為医療崩壊状態となり適切な医療が行われていない
と思います。https://t.co/5mzS6MMHEe
米山氏のツイートからリンクされている阪神タイガース御用達・デイリースポーツの記事を以下に引用する。デイリーは読売テレビと吉村洋文の宣伝をしてやがる。
大阪がコロナ死者数全国最多の理由は 吉村知事が一つの見方示す
2/19(土) 12:32配信
読売テレビ「あさパラS」が19日、新型コロナウイルスの感染拡大を取り上げ、大阪は新規感染者数で東京を下回ることが多いにも関わらず、第6波の今年1月からの死者数が全国最多であることを疑問視。生出演した吉村洋文知事は、専門家にも明確な理由がわかっていないとしながらも、一つの説を紹介した。
番組では、大阪と東京の感染者数などを比較。18日の新規感染者は大阪が1万1505人で東京が1万6129人。重症者数は大阪265人、東京80人。第6波の今年1月からの死者数は東京の229人に対して、大阪は全国最多の484人となっていると報じた。
元厚労省官僚で神戸学院大学教授・中野雅至氏は「高齢化率も同居率も目立った差はないと思う。医療水準も差があるわけない。にも関わらず、なぜこんな484人と多くなるのか。吉村知事がおっしゃったように、高齢者に自粛を呼びかけるのは正しいと思う。(まん延防止等重点措置の)延長も正しいと思うが、その背後にある政策のバックボーンというか、何でこんなに違いが出てくるのか」と首をひねった。
吉村知事は「我々も専門家に聞いてるが、明確にこれが理由だというのは専門家すらもわからないというのが現実、ただ現場で見ていると、明らかに高齢者の方が重症化し、お亡くなりになっている」と説明。
続けて「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近いんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいます。職場もそうだし、生活もそうだし。もともと大阪って狭い所に高齢者の施設もたくさんありますし。大阪市内だけでも1000カ所の居住系の高齢者の施設があったりして。非常に生活圏が近い。だから若い人に広がると高齢者にも広がりやすいというのはあると思う」と、一つの見方を示した。
4日にコロナ感染が判明し、この日が3週間ぶりの番組復帰となったMCのハイヒール・リンゴも「おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでるっていう人も多いし、東京の場合はちょっと働きに出てて田舎があってという方が多いかもしれない。その辺の違いが出てきてるんじゃないかということですよね」と、うなずいていた。
(デイリースポーツより)
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/398bd6ae702cab2a0d3b599da7be591921faafb3
何か、大阪がものすごいド田舎みたいな言い分だな。開いた口が塞がらない。
本論に入る前にどうでも良いことから書いておくと、東京都の重症者が少ないのは都の重症者の数え方が「都基準」とかいう全国基準とかけ離れて厳しいものであるからであって、小池百合子は国の基準に合わせるように指導を受けても頑としてこれを受け入れないからだ。これはこれで東日本二大ネオリベ自治体(もう一つは神奈川県)である東京都の問題だが本論とは関係ない。
この記事で変なのは、元厚労省官僚の神戸学院大学教授が「(東京と大阪で)高齢化率も同居率も目立った差はなく、医療水準も差があるわけないのに、なぜこんなに死亡者が多いのか」と言っているのに、それに対して吉村が「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近い」と言い、番組のメインキャスターだという大阪芸人が「(大阪では)おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでるっていう人も多いし、東京の場合はちょっと働きに出てて田舎があってという方が多いかもしれない」などと、元官僚・現大学教授の指摘に反するコメントをしていることだ。
そんなことを言うなら、日本の大部分の自治体では死亡率が大阪よりも高くなければならない。大阪芸人の言い分など、10年間中国・四国の岡山県と香川県に住んで、両県のを含む中国・四国から大阪への流出が多いことを実感してきた私から見ると噴飯ものの一語に尽きる。こんな馬鹿げた言い分を大阪の視聴者は真に受けるのだろうか。信じ難い。
一般にはその逆に、少し前にも政治学者の菅原琢が指摘していた通り、大都会では人が集まりやすいから感染者が多いとされる。しかし、それならなぜ「もっと人が集まりやすい」はずの東京と比べて大阪の成績が滅茶苦茶悪いのかが説明できない。どちらの理由によるにしても、大阪が東京と他の大部分の自治体との間にある順番なら合理的な説明が可能なのに、人口あたりの死亡者数は全然そうではなく、大阪が突出して悪い。
実際に第1波の時には大阪より人が集まりやすい東京で陽性者や死亡者が多かった。特に人と人との接触機会の多い芸能界からは志村けんと岡江久美子の死亡例があった。ところが第4波と第6波では大阪は目立って東京よりも悪い。
その理由を説明しようとした時、どうしても政治の影響を無視することはできない。
冒頭で取り上げた北京五輪でのロシアのコーチの冷酷非情さをプーチンに結びつけたブコメから私が連想したのは、今年の成人の日にUSJで馬鹿踊りをしていた大阪市長・松井一郎の醜態であって、そりゃ市長があんなことやってたら大阪でオミクロン株によるコロナ第6波が感染爆発するはずだよなあと思ったのだった。
松井一郎は「コロナはただの風邪」だと思っているからUSJであんな馬鹿踊りをしたり吉村や東京の小池百合子らとつるんで「5類指定」を要求したりした。維新の議員たちはもちろん松井に右に倣えだし、テレビに出てくる電波芸者たちは「弱毒だから心配ない」と言い続けた。吉村も吉村で、イキりたいがためにマンボウの適用依頼を遅らせた。そのあげくに「高齢者と若い世代の生活圏が非常に近い」などと「大阪=ド田舎」といわんばかりの虚偽の印象操作を行い、在阪メディアはそれに異を唱えない。
こんな馬鹿げた話があるだろうか。