kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

「言論では届かなかった氷河期世代の声」(ニャート氏のブログ)

 今日は参院選の投票日だが、第1次安倍内閣当時に行われた2007年の参院選自民党は惨敗した。安倍晋三はその1か月半後に政権を投げ出したが、安倍の失敗の原因として、安倍が右翼であるだけではなく「新自由主義」の尻尾も一緒についていたことを当時よくブログ(主に弊ブログではなく『きまぐれな日々』)で指摘したものだ。2006年の大晦日だったかその前日だったかの朝日新聞で、星浩が安倍の本心は「反小泉」だろうと推測していたが、私もその通りだろうと推測した。しかし安倍には「小泉純一郎の後継者」という縛りがあったし、何より自身がものすごいセレブだったために、新自由主義との縁を切ることなど終生できなかった。弊ブログが現元号や某プロ野球球団の日本語の愛称ともども禁句にしている、片仮名6文字で表される第2〜4次安倍内閣の経済政策は、金融緩和や財政出動のオブラートを被せてはあるが、それにくっついている「成長戦略」は紛れもなく新自由主義の経済思想に基づくものである。これが適切に批判されているとは現時点でもまだいえないと私は認識している。

 下記ブログ記事は、今回の安倍暗殺事件について、安倍(というより昔からの自民党)の韓国カルトとの癒着以外に、主に1980年代以降の自民党ネオリベ志向の経済政策による格差の拡大と貧困、とりわけ派遣労働の範囲を野放図に拡大した労働政策との因果関係を強く訴えるものだと思う。

 

 

 以下に冒頭部分を引用する。

 

安倍元首相銃撃事件の山上容疑者は41歳。就職氷河期世代だ。
彼を語るのに「元派遣社員、現在無職」という要素は欠かせないと思うが、ニュース記事の見出しに「派遣」の文字が大きく載ることはない。

今年5月までの約1年半、派遣社員としてフォークリフトで倉庫の荷物を運搬する仕事をしていた。
4月に体調不良で退職を申し出て、おそらく傷病手当も使えなかったのだろう、有給休暇消化のみで5月中旬に仕事を辞めている。

高校は進学校を出ているが、母が自己破産。
(その影響で、同志社大学工学部を中退しているという説もある)
任期制の海上自衛隊で3年を過ごした後、アルバイトとして測量会社で働きながら測量士補の資格を取得。
宅建ファイナンシャルプランナーの資格も取るが、人生は上向かない。
直近10年ほどは職場を転々とする。家賃は3万8千円、一人暮らし。

「夜にギコギコという音が聞こえた」 銃撃事件容疑者の隣室の男性:朝日新聞デジタル

「口数少ない」「仕事は時間内に」 安倍氏銃撃、容疑者を知る人は:朝日新聞デジタル

《安倍元首相銃撃》「家を全然出たがらない子だった」「挨拶しても俯いたり、目をそらす」“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは | 文春オンライン

事件の動機は、現時点では、宗教団体への恨みの転嫁と言われている。
しかし、恨みはいつも同じ濃度で人を駆り立てるわけではない。
正規雇用で安定した生活を送れれば、過去の恨みも次第に薄れていく。
彼は複数の資格を取るなど、人生を立て直す努力をしていた頃もあった。
彼の人生につきまとう経済苦は、直接の動機ではなくとも、心の暗がりで燃え続ける恨みの火を絶やさない燃料になっただろう。

出典:https://nyaaat.hatenablog.com/entry/2022/07/09

 

 ブログ主自身も「受験競争が激しかった時代に一橋大学に入った」ものの、「40代の今、私はパートの介護職で、しかも身体の病気で辞めようとしている」とのことだ。以下ブログ記事から再び引用する。

 

まだブラック企業という概念がなかった時代に、大卒後の就職先では毎晩遅くまで働き、家に仕事を持ち帰り、土日も正月休みも働いた。
その結果、過労でパニック障害になって退職するが、その後も人生を立て直したいと努力はしてきた。

司法書士の勉強をしながら、法務部で派遣として働いた。
パニック障害が再発後、英語とプログラミングを勉強して、別の会社の法務部で派遣として翻訳と社内HP制作をやっていた。
再々発後は、介護福祉士(3年の実務と試験合格が必要)を取るために、パートで介護の仕事を約2年、コロナ禍のなか他人の糞尿にまみれながら、前向きな気持ちで頑張ってきた。

出典:https://nyaaat.hatenablog.com/entry/2022/07/09

 

 以下、ブログ記事の後半部から三たび引用する。

 

(前略)私の個人的事情とは全く別に、KやTが日本を下請け・派遣の中抜き天国にして、格差を拡大し日本全体を貧しくしたのは事実だ。
中抜きの構造がなくならない原因は、氷河期世代の非正規雇用を「お前が貧しいのは自己責任だ」と非難するだけで思考を停止し、貧困に陥らせる社会構造をあえて考えない社会ではないか。
貧しい人を「自己責任」の名のもとで切り捨てるだけの政治ではないか。

私のような氷河期世代は履いて捨てるほどいる。
皆、凸凹なキャリアしか積めていない。「自己責任」と切り捨てられる隙に溢れている。
氷河期世代の「自己責任」に目を奪われ、失われた30年でなぜ日本が貧しくなったのか、真の元凶にはだれもが思考停止で切り込まない。

日本経済を本当に再生したいなら、真っ先に取り組むべきは下請け・派遣の撤廃だ。
なのに、政治家は中抜きがもたらす利権、ただただ利権だけが欲しくて政治をやっている。

言論という正当な方法では、氷河期世代の声は届かずに無視されてきた。
無敵の人は、正当でも遠回りな方法を選ぶ余裕がない。
自己責任論を推し進めた政商は、今後「自己責任」の真の意味を知るのかもしれない。

……………

安倍さんのご冥福をお祈りいたします。
突然、暴力によって命と明日を奪われるのは決してあってはならないことで、無念だったと思います。

……………

ここ2年ほどブログを更新しなかったのは、氷河期世代の言い分など「言ってもムダ」だと思い知らされたからだ。
こんな負け犬のブログを書くくらいなら、その時間を働いた方がよっぽどいい。

しかし、それでは社会は何も変わらないと、この事件で意識が変わった。
たぶんこれから、経済と治安はどんどん悪くなっていくだろう。
私には資金がなく政治家にはなれないが、できるだけのことをすべきでは?
たとえば、派遣制度がどれだけ日本を貧しくしたのか、メディアのバックには政商がいるためどこも取り上げない事実を、このブログで淡々と検証していくべきでは?

出典:https://nyaaat.hatenablog.com/entry/2022/07/09

 

 上記引用文の冒頭の "K" が小泉純一郎、"T" が竹中平蔵をそれぞれ指すことはいうまでもない。しかし、新自由主義的な労働のあり方は、何も小泉や竹中が始めたものではない。そのずっと前の中曽根康弘や、さらに前の大平正芳に遡ることができる。

 今回の安倍晋三殺害事件を引き起こした2つの要因として、岸信介の時代に遡る韓国のカルト教団*1との癒着と、1970年代にまで遡れる経済政策の新自由主義化が挙げられることは、もはやはっきり断言しても良いだろう。

 一度は2009年に多くの人々に選択された「政権交代」によって、これらの課題を克服する流れになるかと期待されたが、民主党政権の自滅によって2012年に第2次安倍内閣の発足を許してしまった。

 その「反動の流れ」の「終わりの始まり」を告げるのが、今回の安倍晋三殺害事件だったといえるのではなかろうか。

*1:当時、韓国は「反共の砦」と目されていた。