泉健太の支持者たちは「泉は枝野幸男とそう立場は変わらない」と言っているらしい。
枝野さんと立場はそう変わらないのに、なぜ泉さんばかりが叩かれるのかと疑問を呈する立憲支持者もいるが、それ以前に、明らかに一線を越えた発言をしたから批判が集中しているのでは。自公の補完勢力でしかない維新と改憲の立場が変わらないというのは、野党第一党の党首に相応しくない発言だ。
— 神子島慶洋 ⊿³(粒) (@kgssazen) 2022年10月23日
そりゃ枝野も「保守」を標榜したがる人だから各案件に対する意見は泉とそれほど違わないかもしれないが、違うのは政局観なんだよ。特に維新への対応が全く違う。
2008年に橋下徹が大阪府知事になって以来、橋下は大阪をネオリベ化していった。その結果、大阪府は人口当たりの新型コロナ死亡率が全国ワースト1位の自治体になった。当時から今までの長年にわたる大阪維新の会のトンデモ大阪府政・大阪市政の賜物だ。
東京都の小池百合子も、橋下や維新とは協力関係にもないけれども同型の政治家だ。その小池が2017年に前原誠司と組んで引き起こした「希望の党」騒動で、枝野は小池に「排除」された。
実は当時の枝野の立ち位置にはかなり怪しいところがあり、そのために(旧)立憲民主党の立ち上げが1日遅れた。私は当時からそれを問題視していたが、とにもかくにも枝野は立民を立ち上げて小池・前原ら「希望の党」と対抗する道を選んだ。前原は「希望の党」騒動以前には維新との合流を露骨に目指していた政治家だったことを想起されたい。
小池百合子と対立する路線をとるなら、小池と同型の維新とも相容れないのは明らかだ。だから枝野は衆院選に敗れたあとでも維新を「自公の補完政党」と一言で切り捨てた。それに反論しようとしたのが元希望の党の小川淳也だったことは既に指摘した通り。
また現在、泉健太の維新へのすり寄りぶりはあまりにも露骨だが、これを昨年の衆院選の結果が出た時に枝野幸男が発した「維新は自公の補完勢力」という発言と対比した時、「泉は枝野とそう立場は変わらない」とする主張には無理があると言わざるを得ない。
そして、維新は紆余曲折を経ながらも昨年の衆院選と今年の参院選に連勝して、今や野党第一党の座をうかがおうとする政党だ。それに対して、旧民主・民進系は2017年の旧立民立ち上げからしばらくの間を除いて、基本的には衰勢にある。
こんな状況で維新にすり寄ろうものなら、昨年の立民代表選で旧立民勢が旧希望の党の泉一派に乗っ取られたのと同じように、右翼政党にして過激な新自由主義政党である維新が立民を吸い取る結果にしかならないことは火を見るよりも明らかだ。もちろんその過程で、かつて「希望の党」騒動でも見られたような「排除」劇が再び演じられるだろう。
立民は手遅れにならないうちに泉健太を代表から引き摺り下ろすしかないと強く思う今日この頃。