kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

WBCで日本が3大会、14年ぶりに優勝。MVPは大谷翔平

 昨日はWBCで大盛り上がりだったようだが、私は昼休みもほとんどなしで仕事をしていたので、結果は夕方知った。大谷翔平が救援してトラウトを打ち取って終わったことなど夜のテレビで初めて知った。

 ニュースではテレビ朝日報道ステーション)が馬鹿みたいに大谷がトラウトに投じた最後の6球目のスライダーばかり写していたが、それよりも放送時間自体は短かったTBS(news23)が全球を見せてくれたのが良かった。ボールとストライクが交互に続いて、最初の4球はストレート、最後の2球は変化球だった。ストレートのストライクはコース自体は厳しいとは思えなかったがトラウトは空振りした。そして最後のスライダーの変化は鋭く、トラウトのスイングは空を切った。大谷は昨年急に変化球の切れがダルビッシュの域に近づいたほど鋭くなったような印象があり、それに合わせて先発投手としての勝ち星も一昨年の9勝を15勝に増やした。日本人MLBプレーヤーとしては松坂大輔が2008年に18勝しているが、それに続いては延べ8人が16勝を記録している。これは野茂英雄が3回、ダルビッシュ有が昨年を含む2回記録しているため、実際に記録したのは他に黒田博樹岩隈久志前田健太の計5人だ。大谷は前述の6人に次ぐ7番目の記録ということになる。他に松坂と岩隈に15勝のシーズンがあるので、この2人は15勝以上を2度記録していることになる。

 ダルビッシュの変化球の切れはすさまじく、日本人MLBとしてはこれまでで最高の投手ではないかと私は思っているが、今回のWBCを報じるスポーツニュースを見ていると、ダルビッシュや大谷に限らず、日本人投手たちの投球もいわゆる「きれいなまっすぐ」がほとんどなく、さまざまな球筋が見られた。これは日本プロ野球WBCとで使用しているボールが異なるためかもしれない。詳しくは知らないが、おそらくWBCの使用球はMLBと同じなのだろう。

 以上は投手の話だが、大谷の本領は投手よりも打者にあることはいうまでもない。今回のWBCでも日本を優勝に導いた決定的な一打としては(残念ながら)準決勝での村上宗隆の逆転サヨナラ二塁打ではなく、その2人前の打者だった大谷の二塁打を挙げるしかないだろう。それに次ぐのは同じ試合での吉田正尚の同点3ランだ。ヤクルトファンの身勝手な言い草かもしれないが、村上はまだしばらく日本でのレベルアップが必要だ。ポスティングではなくフリーエージェントで渡米してもらいたい。その前にバレンティンの記録を破ってほしいものだ。性急な渡米だと筒香嘉智の二の舞になってしまう。筒香ベイスターズでの10年で205本塁打を打ったのにMLBでの3年ではわずか18本塁打だ。思い出されるのは2019年の終盤で、阪神戦の途中経過が5対1の阪神リードだったのに、帰宅してPCを見るとツイッターの「日本のトレンド」に「#横浜優勝」が現われたのには驚いた。その試合で筒香サヨナラ本塁打を打っていたのだった。筒香ベイスターズファンにあれほど愛された選手だったのにと、現状が残念でならない。早めに見切ってベイスターズに復帰した方が良いと思うのだが。

 なお筒香の日本での成績は通算977安打、打率.285だった。村上は5年間で543安打、160本塁打、打率.281だ。

 最初から二刀流をやっていた大谷翔平日本ハム時代に投手として42勝15敗、防御率2.52、打者として296安打、48本塁打、打率.286だった。MLBの4年では投手として28勝14敗、防御率2.96、打者として530安打、127本塁打、打率.267だ。日米通算では70勝、826安打、175本塁打。試合数の少なかった2020年は故障で0勝、7本塁打に終わっていて本塁打数は筒香より1本少なかったが、一昨年と昨年で筒香とは大差がついた。

 大谷やダルビッシュをはじめとしてMLBでも活躍した選手たちと筒香川上憲伸井川慶ら日本では中心選手でありながらMLBでは活躍できなかった選手たちとの差は歴然としている。本当に選ばれた者でなければMLBでは通用しないということか。

 大谷の打撃が日本で本格的に注目されたのはシーズン22本塁打を打った2016年だった。この年日本ハムは優勝したが、大谷は日本シリーズ第1戦に先発して広島打線に打ち込まれた。松山竜平に目のさめるような本塁打マツダスタジアムの右中間スタンドに叩き込まれたと記憶する。その大谷が本拠地での第3戦でサヨナラ安打を放った。同点の延長戦で、広島のリリーフ・大瀬良大地が勝負するとも敬遠するともつかない、くさい球で打ち損じを狙った投球につけ込み、悪球を狙って打つという水島新司の漫画『ドカベン』に出てくる岩鬼みたいな打法だった。あの試合をテレビの生中継で見て、これは規格外の選手だ、大谷の本領は投手よりも打者にあると思ったものだ。現役時代に天才とうたわれた元広島の前田智徳が「なんなんでしょうね」と呆気にとられたくらいの打撃だった。その大谷が今回のWBCでMVPに選ばれたのは当然だろう。

 WBCの日本監督は2016年に日本ハム監督を務めていた栗山英樹だった。正直言って、大谷とダルビッシュがいればそりゃ勝つよなあ、栗山はおいしいところを持って行ったなあとも思うが、しかし栗山が監督でなければ大谷の二刀流が許されることもなかっただろう。当時のプロ野球評論家たちは大谷の二刀流に対して否定的なことばかり言っていた。張本勲のコメントなどその最たるものだった。肯定的だったのは落合博満くらいではなかっただろうか。当時の張本は、かつて1995年に野茂英雄をこき下ろした鈴木啓示に通じるものがあった。 

 張本方式で上から押さえつけるのではなく、本人の天性を見抜いて希望をかなえさせた栗山の功績は否定できない。たとえ斎藤佑樹に対する依怙贔屓などの問題があろうとも栗山監督を評価しないわけにはいかない。2016年に続いて改めてそう思わされた。完璧な人間などいない。指導者だって時には誤りを犯す。別にどっかの政党だの組だののことを言いたいわけではないが「誰それは賢いから間違えない」ということなどあり得ない。

 栗山英樹は今大会限りでユニフォームを脱ぐとのこと。お疲れさまでした。