kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

阪神→アスレチックスの藤浪晋太郎、メジャー初登板で炎上して防御率30.86/アスレチックス→阪神のシェルドン・ノイジーは "Noisy" ではなかった

 プロ野球開幕の記事を書いていなかったが、私が懸念しているのはヤクルトの村上宗隆と山田哲人の打撃だ。開幕戦で村上が先制2ラン、山田が2安打を打ってヤクルトが4対0で広島に勝ったが、二人ともそのあとは沈黙するんじゃなかろうなと思ったら2戦目は案の定だった。試合こそ新加入のピーターズの好投などで1対0で連勝したが、山田と村上は沈黙した。懸念はまだ解消されていない。

 それよりもその他のカードの方が目を引いた。下馬評でヤクルトのライバルと目される阪神DeNAがいきなり直接対決したが、阪神が連勝した。また阪神との争いか、いや下手したら一昨年の開幕直後みたいに阪神に走られるかもな、と思った。阪神の「アレ」だけは阻止してもらいたい。

 しかしなんといっても開幕戦では読売と対戦した中日が先発・小笠原に145球を投げさせた立浪監督のろくでもない采配が目立った。Twitterでは「甲子園かよ」などと書かれていたが、私が思い出したのはその甲子園でさる投手に161球の懲罰投球を命じた阪神監督の金本知憲だった。

 金本の怒りを買って懲罰を食らった投手は藤浪晋太郎、時に2016年7月8日、その6年後にあの安倍晋三が射殺されることになる日だった。

 

藤浪の161

Last-modified: 2020-10-18 () 18:28:17

 

201678日の阪神対広島戦(甲子園)藤浪晋太郎が投げた球数のこと。「161球事件」とも。

 

概要

 

この日の藤浪は制球に苦しみ、初回の先頭打者・田中広輔への四球を皮切りに江越大賀大和(現DeNA)らのミスなども絡み計5失点。7回表終了時点ですでに131球を投じており、また裏の攻撃で打順が回ってくること、5-2とこの時点では逆転も十分狙える点差だったこともあって、誰もが今日はこの回までと思ったことだろう……
ところが金本知憲監督藤浪に代打を出さず、なんと8回のマウンドにそのまま送り出す
異様な空気が甲子園を流れる中、疲労を隠しきれない藤浪は案の定四死球も絡んで二死満塁のピンチを招くと、トドメに代打・岩本貴裕に走者一掃のスリーベースを浴びさらに3失点。
最終的に81617被安打8失点で降板。試合はそのまま8-2阪神が敗れ、自力優勝も消滅してしまった。

 

反応

 

勝つために必要な策だったとは到底言えず、また藤浪は前年の右肩故障から復帰したばかりという事情もあり、時代錯誤とも言える金本のこの采配には当然ながら非難が殺到。
「藤浪が可哀想」「球界の将来を担うピッチャーを壊す気か」「懲罰のために試合を捨てた」等、ネット上ではさまざまな声が上がった。

阪神OBからも「理解できない」と厳しい意見が飛んだ他、アメリカのスポーツ専門局ESPNにも「メジャーならクレイジーだ 」と報じられてしまった。

 

なお当の金本監督は「今日は藤浪を何点取られようが、何球投げようが、最後まで投げさせるつもりだった」「あの立ち上がりがすべてでしょう。何回目かな。ストライクが入らず、取りにいって打たれた」「責任は感じて欲しいし、感じないといけない」とコメント。試合中カメラに抜かれた鬼のような形相も相まり、プロ野球ファンを震え上がらせた。

 

また後年いわゆる破壊神と化し、登板するたびに阪神ファンのみならず相手チームの胃も痛くさせている藤浪だが、ここまでスランプに陥った原因の一つとしてこの試合を挙げる声は少なくなく、「金本が藤浪を潰した」という風説が広まる大きな原因となっている。しかし、現在は検証が進み、和田豊政権時代の酷使の影響*1、和田政権での投手コーチだった中西清起指導力の問題、藤浪自身の技術不足などの要因も指摘されており、金本一人に責任を押し付ける風潮は薄まりつつある。

 

出典:藤浪の161球 - 新・なんJ用語集 Wiki*

 

 そりゃ藤浪本人をはじめ金本の前任監督や投手コーチらの責任もあったのだろうが、最大の責任者が金本だったことは疑いない。2年後の2018年には阪神の選手たちが金本から離反してしまい、阪神は後半戦でチームが崩壊したも同然となって最下位に落ちた。ヤクルトはその阪神に第16回戦から最終戦まで10連勝した。そういうチーム状態になってしまった相手に容赦なくつけ込む点では野村克也監督時代からの伝統がまだ生きている。

 金本の後任だった矢野燿大も村上宗隆との一件などでスワローズファンには非常に印象の悪い監督だし私も大嫌いだが、矢野には2年連続で煮え湯を飲ませてやったので溜飲を下げた。金本には最後の年の10連勝こそあったもののやられた印象ばかりが強いので、金本がテレビに出てくるだけで未だに怒りがぶり返す。

 その金本にやられた藤浪がオークランド・アスレチックスに移籍して開幕第2戦に先発したが大谷翔平にあわや本塁打かという適時二塁打を打たれるなど、阪神時代を思わせる3回途中8失点の炎上劇を演じてしまった。この記事を書いているタイミングで金本が白々しいコメントを発していたが、藤浪のメンタルをおかしくしたのはお前だろうが、としか思えなかった。

 

 

 日本でも2013年に藤浪と大谷が交流戦で対戦している。今回と同じように大谷は打者としてのみ藤浪と対戦し、3打数2安打と藤浪を打ったが、試合は阪神が7対1で日本ハムに勝った。

 

full-count.jp

 

 記事は下記の文章で結ばれている。

 

 高校時代は2012年の選抜大会で対戦し大谷は藤浪から右翼席へ特大な一発を放っていた。プロ入り初めての対戦が甲子園2人の対決に球場は大いに盛り上がった。現在は大谷はメジャーでプレーしているが近い将来、再び2人の真剣勝負を見てみたい!

 

URL: https://full-count.jp/2020/04/12/post748428/

 

 一応それは実現した。しかし藤浪は早くも正念場を迎えた。

 

 

 そういうことだ。古くは大野豊(広島)の初年度(1977年)の成績が防御率135.00だった。相手は阪神広島市民球場での試合で、大野は掛布雅之からアウトを1つとっただけだった。以下Wikipedia大野豊」より。

 

1年目の1977年は9月4日の対阪神タイガース戦(広島市民球場)に1試合登板したのみだったが、この時片岡新之介満塁本塁打を打たれるなど、掛布雅之からアウト一つを取ったのみで降板。自責点5、防御率135.00という成績で終わった。大野は後年、「いくら成績が悪くとも、この時の防御率を下回ることは絶対にない。スランプの時にそう考えると、精神的に大分楽になった」と語っている。

 

出典:大野豊 (野球) - Wikipedia

 

 ところで藤浪と入れ替わりのような形でアスレチックスから阪神にシェルドン・ノイジーという選手が入団して、さっそく初打点を記録した。私が注目したのは彼の姓で、まさか "Noisy" じゃないよなあと思ったら当然ながらさすがに違った。

 

torabaka.jp

 

 以下引用する。

 

それにしても変わった名前だ。ノイジーと聞けば、noisy(ガヤガヤうるさい)を想像するが、実際はどんな発音なのだろう。スペルはNeuseで、同じスペルのノースカロライナ州にある川は「ヌース」に近い発音だ。Googleで「neuse 意味」と検索すると「(アフリカーンス語で)鼻」と出る。ほんじゃアフリカーンス語ってなんだと調べたら「オランダ語から派生」とある。ひょっとしたらご先祖はオランダ系なのかな。大きな鼻していたのかな。知らんけど。

 

さて、ノイジー2019年アスレチックスでメジャーデビュー。2020ドジャースを経て2021年アスレチックスに戻った。

今年は89試合、スタメンで75試合に出場。293打席をもらって271打数58安打で打率は.214本塁打4、打点26、得点25OPS.561。攻撃面で特筆すべきはスピードで、盗塁6(失敗2)を記録している。

 

守備では、サードで44試合、セカンドで23試合、ファーストで13試合、ショートで2試合。DH10試合、代打で8試合、代走で3試合出ている。

 

という成績からも明らかなように、今年は便利屋稼業で食っていたようだ。しかも、どうやら究極のユーティリティーのようで、大敗試合で3試合投手として投げている。合計3.2イニングを投げていずれも無失点。このあたりはまあMLB特有の「暗黙の了解」、さっさと終わらせて帰ろうやってなもんだろう。ただこれからして、スローイングに安定感があるのはまちがいなさそうだ。

 

阪神ではレフトとして使おうということになっているが、なんかもったいない感じもあるね。今年はなかったが、2021ドジャースで、レフト4試合、ライト1試合出ている。

 

ま、そんな感じでMLBでの3シーズン、評価としてはパッとせず、秋にはマイナー契約となり、オフにFA自由契約)となった。

 

岡田監督は、「無理に大きいのを狙わないで」みたいな感じで乗せていこうという戦略みたい。「AAA以上MLB未満」の打者を日本で大きくできるかどうかは指導者次第。楽しみではある。投手がイヤになるような「うるさいバッター」になれますように。

 

URL: http://torabaka.jp/torao/archives/18232

 

 "Neuse" をノイジーと読むのか。オランダ読みではないかとのことだがアメリカのネイティブが「ノイズィー」と発音するとはおよそ思われない。しかし本人が「ノイジー」を希望して阪神球団がそれを尊重したといった経緯だろうか。あくまでも推測だけど。

 ノイジーにはインスタグラムのアカウントがある。私は登録していないので詳しく見ることはできないが、およそ阪神タイガースのイメージとはそぐわない。結婚式の画像やマイナーリーグでの思い出の場面などを見ることができるようだ。

https://www.instagram.com/sheldonneuse/?hl=ja

 

 それからMLBで救援登板した時の動画もネットにあった。

 

www.youtube.com

 

 髭面なので「投げるバース」かよと一瞬思ったが、動画を見たら全然違った。試合はホームのヤンキーズ戦で、13対4と大量リードされた場面での登板。ノイジーは山なりの投球しかせず、それをヤンクスの選手たちが気のないスイングで凡打していた。まさしく上記ブログ主が

MLB特有の「暗黙の了解」、さっさと終わらせて帰ろうやってなもんだろう。

と書く通りだった。日本でこんなことをやったら、またぞろクレーム続出で今日もサンモニに出ていた張本勲や金本らに「喝」を浴びまくるに違いない。

 藤浪の投球に怒り狂って、同じホームの試合で懲罰投球を藤浪に強いた金本とはなんという落差だろうかと思った。

 そりゃメジャーにも行きたくなるさ。がんばれ藤浪晋太郎