kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

大阪市長選候補・横山英幸(維新)が昨年2月に発した「新型コロナ第6波による大阪府の致死率は全国で27番目」というツイートは大嘘。実際には大阪府はワースト3位だった(呆)

 新型コロナウイルス感染症の5類移行を来月のゴールデンウィーク明けに控えるが、国内の新規陽性者数が下げ止まって第9波が立ち上がる気配を見せ始めた。以下にNHKのち厚労省のデータに基づいた新規陽性者数と死亡者数のグラフ(7日間移動平均値)を久しぶりに示す。

 

国内COVID-19新規陽性者数・死亡者数 (2020/3-2023/3, 7日間移動平均対数=NHK/厚労省)

 

 7日間移動平均値による折れ線グラフにすると、青線で示した新規陽性者数が底を打って増加に転じていることがわかる。3月22〜28日の移動平均で底を打っているので、ちょうど真ん中の3月25日頃を境に第9波入りしたといえると思う。そういえば小沢一郎がコロナに感染したらしい。

 政府は5類への移行後は死亡者数の発表が早くとも2か月後になるとかふざけたことを言っているが、あと1か月あるので今月中には死亡者数が反転増加する数値が示されることになるだろう。

 ところでこの件を取り上げた宮武嶺さんの下記ブログ記事に興味深いコメントがあった。

 

blog.goo.ne.jp

 

 以下コメント欄から引用する。弊ブログにもしばしばコメントを下さるnanijiro-i(郁 何次郎)さんのコメントだ。

 

横山英幸大阪市長候補(大阪維新幹事長)の昨年2月15日のツイートについて (nanijiro-i)

2023-03-31 01:18:37

 

横山英幸大阪市長候補(大阪維新幹事長)の昨年2月15日のツイートについて

*コロナの現状はどうだったんだろう?

*コロナの現状を知ってたんだろうか?

 

ひさしぶりにまた雑文を書きました。

 

第6波のときの横山英幸・大阪市長候補のツイートに、こんなものがありました。

大阪府では2021年12月17日から新型コロナの第6波が始まったとされ、感染状況は翌年1月に急激に悪化し、2月に入るとさらに悪化状況が加速した。

そのさなかに、いまの大阪市長候補である横山英幸(大阪維新幹事長)さんが、大阪府の致死率(感染者数に占める死亡数の割合)は、全国でも下位である、とツイートしたことをとりあげたい。

これは、第6波の始期から2月13日までの3か月弱の感染者数・死亡者数(その時点で公表された人数)をもとに「致死率」を都道府県ごとに算出してくらべたものだ。大阪府は全国27位で、0.10%だったというもの。

https://twitter.com/yokoyama_hide/status/1493514343006482433

kojitakenさんも、このツイートについて、ブログでとりあげていた話である。ほかにも多くの人が、これを批判するツイートをしていた。ひとりひとりの人の死は、数字・割合でとらえるものじゃない、などなどの批判を多く見た。

まず、当時の現状は、あとで明らかになった諸数値などのデータをみると、どうだったんだろう?

 

○感染者数・死亡者数の諸数値からみえてくるもの

1.横山さんが示したデータをみるだけで、大阪府での同期間の死亡者数と感染者数の突出ぶりがわかる。

 死者数の上位5位は

  大阪府 302人(感染者29万9409人)

  兵庫県 162人( 同 11万5927人)

  愛知県 158人( 同 14万6126人)

  東京都 138人( 同 43万5957人)

  北海道 121人( 同  7万3798人)

 ついで、死者数では、神奈川118人、福岡117人。

 感染者数10万人超の県には、上記の6県のほか、埼玉県・千葉県がある。

 この時点の第6波で、死者300人超は大阪府のみ。ついで隣県の兵庫県

 東京都とくらべ、大阪府は人口が63%弱(2020国勢調査)のところ、感染者数は3分の2強だが、死者数は2倍超。

 でも、致死率は、この時点のデータでは大阪府は27位で下位に属したので、横山さんは、それを取り上げたわけです。

  

 これらは、だれでも気づくことだが、さらに見ていく。

 

2.第6波の最後には、横山さんが“誇る”大阪府の致死率は、全国3位に上昇してしまう。

 以下は、6月28日の各都道府県の感染者数・死亡者数の公表データまでを集計したものである。

 第6波は6月24日までとされていますが、6月28日までで集計したのには理由があって、大阪府はこの日に、大阪市で、死者数の92人もの集計もれが、1~3月に、あったことを公表したからです。

 つぎが、nanijiro-i による集計結果です。

 https://twitter.com/nanjiro_i/status/1601937871384240128?cxt=HHwWgIDTgbaAnbssAAAA

 2位から5位までを、大阪の周辺県がしめています。

 2位は奈良です。いま行なわれている奈良県知事選では、現知事の荒井正吾候補と平木候補とで自民分裂があって、維新の山下候補が現状で優勢という報道もあるようです。ですが、維新のコロナ政策はどうなのか? 荒井知事のコロナ政策には問題が大ありだったんじゃないかと思いますし、高市氏の元部下の平木氏にも投票できない奈良県民は、どうするべきなんでしょうか。維新はまっさきに投票すべきでないと思いますが。

 横山さんが、致死率を見よというのでみてみたところ、大阪は、他の周辺県とともに最大の致死率群をなしている。そういう結果になったのが、第6波だったというわけです。

 

3.結局、第6波の死亡者数統計の〆日を6月28日とみたとき、死亡者数は、大阪府が2138人と、突出して最多だった。

 第6波での死者数の上位5位までの都道府県は、つぎのようになった。

  大阪府 2138人(感染者数 80万6439人)

  東京都 1398人(感染者数120万9026人)

  愛知県  936人(感染者数 46万0990人)

  神奈川県 919人(感染者数 60万8404人)

  兵庫県  852人(感染者数 36万3581人)

大阪府の死者は2位の東京都を5割以上上回る。感染者数は3分の2をわずかに上回る。

致死率は2.25倍をやや上回り、2.29倍だ。

大阪府の集計では、6月24日までの第6波の死者数は2151人、tadabenさん(後出)の集計では2154人となっている。

 差異の理由は、集計時期の違いによって、新たに、第6波の死者が遅れて報告されたためなのかもしれない。

 

4.大阪府では、1月末には、すでに、死者数のデータが、実際を反映しないものになっていたと見られます。

 横山さんが「大阪府の致死率は低い」というツイートは、そうした「実際を反映しない」死亡数をもとに行なわれていたという点でも、問題があると思います。

 大阪府の2月13日までの第6波の死者数の公表数は、302人だったので、横山さんは、その人数で計算しました、

 ところが、あとから報告された死者数を加味して、実際の死者数を、実際の死亡日別にまとめるとどうなるか。

 tadabenさんという方が、死亡発表日別ではなく、死亡日別で集計した大阪府のコロナ死者数を公開されているのを発見。

 https://tadaben.mydns.jp/covid/osaka_covid.html 

 ※以下の記述は、末尾の「大阪府の死者データ」から、nanijiroが集計。

 このサイトのデータをつかって集計したところ、2月13日までの大阪府の第6波のコロナ死者数は576人でした。

 2月13日の横山さんによる第6波感染者数でわると、致死率は0.1924%。一気に都道府県別致死率は8位浮上です(①)。

 12日現在では死者数530人。これをもちいて、13日現在の死者数をわると、0.177%。これだと、12位です(②)。

 大阪府では、死者は死亡日の翌日以降に報告され、当日には報告されないので、②も計算してみました。

 もちろん、他の都道府県にも、報告遅れがあるはずですが、それにしても大阪府のこの相違(27位⇒8位)は極端ですね。

 実際には、第6波の2月13日までで、横山さんの計上したよりも倍近い(1.9倍)コロナ死者を大阪府は出してたのですね。

 けっきょく、大阪府の致死率が平均以下の数値になった最大の理由は、大阪府での死者報告が遅れる状況になっていたからということになるでしょう。これも医療逼迫・崩壊のひとつの側面なのでしょう。

 

5.横山さんのツイートは、2月13日(日曜日)でしたが、じつはこの日までの、コロナ以外を含む大阪府の死亡者総数が、1週間ごとにどうだったかの統計があります。

 1週間の死者数のピークは、毎年、1月にあるのですが、2022年は、1月31日-2月6日の週に、2380人がなくなります。

 年末年始の12月27日から1月2日までに、死者2298人と、おそらく過去最多でしたが、それを82人も上回ります。

 年末年始の医療は、さぞやたいへんだったかと思いますが、1月末から、さらに過酷な状況が加速しはじめたのです。

 2月7日から13日までの1週間の死者数は、さらに大幅に増えて、2605人がなくなりました。前週比225人もの増加です。

 未曽有の死者数を、大阪府は2週連続で記録し、さらに翌週以降に、死者数が最多を更新しようというその週の終わりに、横山さんは、大阪府では、致死率が平均を下回る、と言い出したわけです。

 そこで、ここまでに述べてきたような、数字でみた大阪のコロナ死者数や、それ以外を含む死者数の状況、さらには具体的な医療現場からの状況を伝える声が、横山さんの耳には、はいってこなかったのでしょうか。気になりますね。

 翌週も、大阪府の週間死者数は、最多を更新します。14日から20日には、2750人がなくなりました。

 下記の国立感染症研究所のサイトでは、1月31日から2月27日までの大阪府のコロナ以外も含む死者数は、1万0423人となっています。

 大阪府の人口統計(推計)では、2月の死者数は、9978人でした(ちょっと差異が気になりますが…)。

 また、発表日ベースでは2月のコロナ死者増加数は852人でしたが、tadabenさんのデータでは2月死亡日のコロナ死者数は1171人。319人も、発表日ベースの死者数を上回っていたのでした。

 これは、発表日ベースで現在最多(865人)の2023年1月の死亡日別コロナ死者数(現時点で852人)を大きく上回っています。

 ちなみに、2020年2月(閏年)の大阪府・市の総死者数は、府7590人、市2500人。2022年2月(平年)は、府9978人、市3332人。

 府で2388人、市で832人の死者が増えました。2年前と比較して、31.5%、25%の増加でした。(毎月人口推計による)

※データの出典:日本の超過死亡数・過少死亡数ダッシュボード(国立感染症研究所)

 https://exdeaths-japan.org/graph/weekly (週毎・死亡数、地域:大阪府 を選択。グラフにカーソルを当てる)

 

6.直前にしるした「日本の超過死亡」をみると、2月7-13日の週は、超過死亡数でも、過去最多だったようです。

 超過死亡とは、国立感染症研究所の予測死亡数と予測閾値上限を、現実の死者数がどれだけ上回ったかを示すもの。

 この週には、予測死亡数を511人、予測閾値上限を351人、上回りました。

 これまで過去最多だったと思われる2021年5月3-9日の週が、それぞれ417人、309人上回ったのを、こえました。

 超過死亡も、翌週に最多となります(それぞれ711人、566人超過)。翌々週も同規模で、それぞれ688人、547人超過。

 2月28日-3月6日は、それそれ603人、462人と、同じような状況がつづきました。

 3月7日-13日は、それぞれ393人、256人。その翌週は、231人、87人。……。4月下旬に、やっと超過死亡がなくなる。

 この超過死亡という点でも、2月7日-13日の週の状況が、たいへんなものだったことが、わかりますね。

 1月31日-2月27日で集計すると、超過死亡は、それぞれ2155人、1558人でした。

 コロナ死以外にも、コロナ関連死・インパクト死、医療逼迫による死、などが多くあったのではないでしょうか。

 そうした時点に、横山さんの上記のツイートがなされた。

 

以上、横山さんの、第6波での大阪府での「致死率」の低さについてのtweetについて、その実際を私なりに考えてみた。

(2023、3.31しるす)

追記)宮武さんの記事にある、死亡者数の集計と発表についての、5類転換にともなう改悪は、ただでさえおくれがちな、大阪府などのコロナ対応をさらに遅らせて、実態も見えなくさせるでしょうから、困りものだと思います。ここで試みた死者数の発表数だけではないソースからの検討は、時間的にも遅れてしまって、あとからの検証になってしまいますね。

追記2)大阪の死亡統計を、地域別にみることにも意味がありそうと思ってます。地域格差が大きいのです。のちほど、それもとりあげてみるかも。

 

URL: https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/19feeca622dad200ebfba3ad34adc319#comment-list

 

 上記のコメントは大変な手間をかけた労作だ。いかにリベラルブログ界最大級のアクセス数を誇る宮武さんのブログといえどもコメント欄まで目を通す読者はごく少数だろうと思われるので、ここに(無断だけれども)転載させていただいた。

 コメント中で何次郎さんが言及された弊ブログの記事は下記。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 現在行われている大阪市長選に立候補している横山英幸が昨年2月に発した問題のツイートは下記。

 

 

 これと何次郎さんが昨年より12月に発した下記ツイートを対比されたい。

 

 

 横山は昨年2月13日時点での死亡者数のデータから、第6波による大阪府の致死率は全国47都道府県中27位の低さだと言って威張っていたのだが、当時私が批判した大阪の高齢化率が全国で下から7番目の低さであることの影響だとか感染の波が収まっていない時期のデータである等の要因もさることながら、なんと大阪府の集計に大幅な数え落としがあったために大阪府の成績が不当に良く見えただけであって、実際には第6波の致死率でも大阪府は(いつものように)47都道府県中下から3番目というとんでもない不成績だった。

 もちろん横山が意図的にデータを捏造したわけではないが、少しでも自分たちに都合の良いデータを探してやっとみつけたと思ったら数え落としが原因だったわけだ。なんとぶざまな話だろうか。

 しかしこの件での最大の問題は、このことがあとからわかってもそれを知る人はごく一部にとどまり、多くの大阪人に植え付けられた「吉村はんはようやってはる」「吉村はんはようやっとる」などという誤った印象は今なお根強く残っているに違いないことだ。

 弊ブログがこの件を取り上げたところで横山の優位は動かないかもしれないが、いつものように蟷螂の斧をふるわないわけにはいかない。

 それと同時に維新の候補が有力とされる奈良県民の方にも、あるいはまたご自身の支持政党が維新と共闘することを肯定する立憲民主党の支持者の方にも維新の正体をよく知っていただきたい。前者に関しては高市早苗が推す候補も容認しがたいが、維新の候補はそれ以前の論外ではなかろうか。また後者に関しては維新へのすり寄りこそ弊ブログが泉健太を絶対に認めない最大の理由になっている。

 弊ブログは何があっても維新(と某元号新選組)は絶対に容認しない。