東京の猛暑が一段落したのも束の間だった。昨日(9/4)、連続熱帯夜の記録が過去最長の32日で止まったが昨夜はまた熱帯夜だった。
東京の気温の測定地点が2014年に変わり、それ以前よりも1度くらい気温になる地点で測られるようになったことを覚えておられる方はどれくらいいるだろうか。この不連続性があるため、年毎の東京の気温変化や真夏日・猛暑日・熱帯夜の移動平均値を示すグラフは2013年までで線が切れていることが多い。このように、以前より気温が低く出るはずであるにもかかわらず過去最長の連続熱帯夜だったのだ。
そもそも熱帯夜や(猛暑日ではなく)真夏日の連続記録などテレビのニュースはもう何も言わなくなった。昨日は連続熱帯夜の記録こそ途切れたものの連続真夏日は継続し、連続61日になった。
もちろん今年の日本が特に暑い夏で、来年は今年ほど暑くはならないかもしれない。しかし問題は地球全体の平均気温が上がり続けていることだ。
今年は世界各地で山火事が発生してなかなか鎮火しなかったが、ヤフコメを見ていると「なんで消火しようとしないのか」と書いていた人がいた。いうまでもなく「消火しない」のではなく「消火できない」のだが、人間とは正常性バイアスにとらわれやすい生き物なので、ついついこのヤフコメの主みたいに考えがちだ。
以下Wikipediaより。
正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で[1]、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりするという認知の特性のこと。
自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい[2]、都合の悪い情報を無視したり、「前例がない」「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる[3][2][4]。「正常化の偏見」[5]、「恒常性バイアス」とも言う。
概要[編集]
人間の心は、予期せぬ出来事に対して、ある程度「鈍感」にできている[6]。日々の生活の中で生じる予期せぬ変化や新しい事象に、心が過剰に反応して疲弊しないために必要なはたらきで[6][7]、ある程度の限界までは、正常の範囲として処理する心のメカニズムが備わっていると考えられる[3][7]。
古い防災の常識では、災害に直面した人々の多くは、たやすくパニックに陥ってしまうものと信じられており[8][9]、災害に関する情報を群衆にありのまま伝えて避難を急かすようなことは、かえって避難や救助の妨げになると考えられてきた[10]。ところが後世の研究では、実際にパニックが起こるのは希なケースであるとされ[8][11][12]、その状況が前例から外れることはないと思い込むため、逃げ遅れの原因となる。むしろ災害に直面した人々がただちに避難行動を取ろうとしない原因の一つとして、正常性バイアスなどの心の作用が注目されている[13]。
しかし、その正常化バイアスももう限界に達しつつあると思わせる今年の世界の猛暑だった。スペインのマドリードでは気温40度を記録した。
平均気温の上昇とともに気候の変化が激しくなっていて、たとえば8月のフランス北部では11月のような寒波に襲われたとも報じられたが、気温の平均値がジワジワ上がっていることも無視してはならない。
このあたりについては、東大理学部物理学科を卒業し、現在では選挙や世論調査のデータ解析によって特にネットの政治部門で有名になった三春充希氏が「気候変動ではなく地球温暖化と言え」とツイート(当時の呼称)していた印象が強い。X(旧Twitter)はネット検索との相性が悪くてなかなか検索に引っかからない上、2ヶ月ほど前からXがアカウント未解説者を排除するようになったため当該のXをここにリンクすることはできないが。
何度も書く通り、私は三春氏の政治的発信、特に元号新選組やウクライナ戦争に関する発信には異論も少なくないが、データの取り扱いや分析などの理系的な側面については強く信頼している。氏は典型的な理系人だと思う。私などは理系の学部は出ているものの文系とのハイブリッドではないかと勝手に思っている。まあおそらくどちらの才能も私にはないのだろうけれど。でも理系の学者の中にも歳をとると文系的な分野への関心が強まってきたと仰る方が少なからずおられることは確かだ。結局一番理解が困難なのは人間ではないかと最近特によく思う。
ところで、昨日のコメント欄でSEALDsに否定的に言及したコメントを書いてきた人がいたので、そのSEALDsが2017年の「希望の党騒動」から旧立憲民主党が出てきた時にそれに関与していたとする、少し前の9月1日にいただいたコメントを以下に紹介する。
だつだつ
コメントから張られたいくつかのリンクを改めて以下に張る。これは単なる見映えの問題だが、長い文章だとどうしても読者が読まないことが多いから、特にXの発信を紹介する時には埋め込みリンクを張ることにしているだけのことだ。
私は不勉強なもので、昔習った光学の「フラウンホーファー回折」は覚えていたが、日本の産総研に当たるドイツの研究機関がそのヨゼフ・フォン・フラウンホーファー(1787-1826)の名前を冠していることは知らなかった。『魔弾の射手』で有名なドイツの作曲家カール・マリア・フォン・ヴェーバー(1786-1826)と生没年が近いなと思った。まあそれはどうでも良い話。ドイツは2022年に原発を完全に止めて以来、電力は確かに輸入超過になっているが、フランス等からの原発輸入で埋め合わせをしているのではなく、不足分も主に他国からの自然エネルギー輸入で補っているという話で、確かに「疑問」氏*1たちには不都合な話かもしれない。
そのあとがSEALD's絡みのXのスレッド(ツリー)。政治おじいちゃんお化け氏などのNitterでも再びXが表示されなくなって以降、Xのスレッドが全く追えなくなっているので大いに助かった。コメント主に感謝します。以下はいただいたコメントからさらに遡った分まで含めたスレッドの紹介。
総選挙の結果を受けて、様々な報道が飛び交っています。課題も見えてきましたが、私は今の政治を変えるために野党共闘の流れをこれからも進めていきたい。写真は2017年10月1日、東京・新宿にある柏木公園。市民と野党の共闘を象徴する出来事のひとつです。 pic.twitter.com/qoBHhc1fUC
— MaedaTomoya (@Mae_To_Ushiro) 2021年11月2日
この日の晩を通した朝に、枝野さんは立憲民主党の立ち上げ決意した。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
徹夜で立憲民主党のロゴなどが作り上げられていった。 https://t.co/NHlODJMdac
この日のことはよく覚えてます。シールズのメンバーがリベラル政党結成のために枝野さんを強く説得した(らしいです)。僕はサウンドカーの上で「前原許すな」と叫んでました笑。 https://t.co/3Tdv8kCr6m
— Ushida Yoshimasa (@UshidaYoshimasa) 2021年11月2日
色々とあの時の事を知っている人間として、何が起きていたのかを牛田くんのツイートに被せて連投します。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
あの時俺らは元SEALDsの女性からデモをやってくれと頼まれた。最初は市民連合の街宣があるからそれに勢いをつける為にという感じだった。けれど市民連合から俺らのデモが疎まれたんだよね。 https://t.co/rTEMZTIpXV
【超重要】
— Ushida Yoshimasa (@UshidaYoshimasa) 2023年8月27日
民進党がなくなったあの日。元SEALDsのメンバーが枝野氏に「政党を作ってくれ!」と呼びかけ現在の立憲民主党ができた。明らかに立憲民主党はSEALDsの流れが作り出した。これは改めてしっかり記述しないといけない。だがいま、あの日の裏切り者(希望の党に流れた泉健太)が党首をしてる。 https://t.co/hNDG5Ms9GR
元SEALDsの彼女はその事に怒ってくれた。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
じゃあ市民連合の街宣はもう無視して、ある作戦を一緒に考えた。
先ずは #枝野立て ハッシュタグで盛り上げ、そのデモのタイミングに彼女が移動中の枝野さんを乗せたタクシーを半ば無理やりあのデモの出発集合場所の公園に立ち寄らせた。
(続)
熱気が立ち込めるあの場所に来た枝野さんはその光景とコールの中で「もう少しだけ待ってくれ。」と約束した。報道がそれをおさえた。そのデモで元SEALDsの人達がコールした。希望の党が希望の党でもなんでもないことをコールした。(続)
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
その晩に他の元SEALDsのメンバーはハッシュタグ #枝野立て を総プリントして枝野を励ました。各々繋がりのある民主党の議員に希望の党ではなくあの党へとロビイングした。その2日後に立憲民主党は公式に立ち上がった。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
(続)
俺達や世間を焚き付け、率先して動いていたのは市民連合でも学者の会でも無い。元SEALDsの奴等だった。俺らはそれを知っているし、全力で協力した。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
とんでもない絶望の中で彼女彼等は諦めなかった。その中であの党は誕生した。
コレが俺が見た事実です。
— TAKUYAMA (@takuichiroyama) 2021年11月2日
立憲民主党が立ち上がった、あの時にさした光は忘れない。枝野さんが立ち上がった希望は忘れません。
枝野さん福山さんが執行部から居なくなってもあの絶望の中で立ち上がった理念だけは絶対に忘れて欲しくない。
コメント主ご指摘の通り、私は2015年当時からSEALDsに否定的だった。その認識は今も変わっていないが、上記スレッドはSEALDs側から「希望の党」騒動及び旧立民創設劇を見た証言として議論の叩き台にし得るものだと考えたので、遅ればせながら紹介する次第。そういや、泉支持者というよりは信者に近いと思われるnaoko氏の「立憲民主党はわしが育てた」云々の思わせぶりなXは、このスレッドに対する嫌味だったのだろうかと思い当たった。あれを単独で見た時には枝野幸男に対する嫌味かと思ったものだが、2021年のスレッドが今になってバズったらしいことを思えば、SEALDsに対する嫌味だと考える方が自然だ。
なおフランスについては、これもご指摘の通りゴーリスムを権威主義ととらえ得ると思います。でもあの国も面白い国ですよね。最近フランスに対する興味が増してきました。
*1:私には氏のコメント自体が大いに疑問で、承認こそしているもののほとんど読んでいない。あまり氏のうざい発信でコメント欄が埋め尽くされるようならコメント禁止処分にする必要があるかもしれないと思い始めている。
2点。
まずドイツの電気供給についてですが、こういった解説記事があります。
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20230720.php
「自然エネルギー財団」は孫正義氏の設立した団体であり、その名の通り自然エネルギー開発と『アジアスーパーグリッド』なる国際系統接続のロビー活動に力点を置く組織であることは割り引いて考える必要はありますが、データ元はフラウンホーファーというドイツの産総研みたいなところのものなので、はなから疑うほどのものではないでしょう(まあ疑問氏のような人は「こんな出所の記事は信用しない」とか言うのでしょうが)。
この記事によれば、22年4月にドイツが原発をフェーズアウトして以降、ドイツの電力構成は発電超過(輸出)から消費超過(輸入)に転じています。電気代高騰に伴って消費量も減少しているのですが、原発フェーズアウトに加えて火力発電(特に石炭)の減少量が大きく、自然エネルギーの稼働が低調だったために減少量をカバーできず輸入で不足分を埋めた……ように見えるがそうではない、つまり、欧州は単一市場で電力網はメリットオーダー制が定着しているので、原料価格高騰の影響をまともに食らった「国産」の火力発電が「海外産」の自然エネルギーに価格で太刀打ちできず、結果として火力減少+輸入増加となったのだ、そしてそこには原発の増減分はほとんど影響しておらず、実際輸入の内訳も大部分は自然エネルギーが占める、という主張です。
ドイツが今の電気代高騰にどう反応して今後どのような政策を展開していくのかというのはまた別の話ですが、必ずしも本邦の「科学者」や右派が望むような未来が待つとは限らないな、と思います。
もう一つは、枝野元代表のNHK記事に関連して「バズって」いたXのpostです。(ブログ主にも読めるよう全文転載しますが、もし問題あるようでしたら不承認で結構です)
https://twitter.com/UshidaYoshimasa/status/1695821695154851962
>【超重要】
>民進党がなくなったあの日。元SEALDsのメンバーが枝野氏に「政党を作ってくれ!」と呼びかけ現在の立憲民主党ができた。明らかに立憲民主党はSEALDsの流れが作り出した。これは改めてしっかり記述しないといけない。だがいま、あの日の裏切り者(希望の党に流れた泉健太)が党首をしてる。
このpostは以下のpostを引用repostしています。
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455568475578011648
>色々とあの時の事を知っている人間として、何が起きていたのかを牛田くんのツイートに被せて連投します。
>
>あの時俺らは元SEALDsの女性からデモをやってくれと頼まれた。最初は市民連合の街宣があるからそれに勢いをつける為にという感じだった。けれど市民連合から俺らのデモが疎まれたんだよね。
このpostからは以下の順でツリーが連なります。
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455568788728864769
>元SEALDsの彼女はその事に怒ってくれた。
>じゃあ市民連合の街宣はもう無視して、ある作戦を一緒に考えた。
>先ずは #枝野立て ハッシュタグで盛り上げ、そのデモのタイミングに彼女が移動中の枝野さんを乗せたタクシーを半ば無理やりあのデモの出発集合場所の公園に立ち寄らせた。
>(続)
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455568923118559235
>熱気が立ち込めるあの場所に来た枝野さんはその光景とコールの中で「もう少しだけ待ってくれ。」と約束した。報道がそれをおさえた。そのデモで元SEALDsの人達がコールした。希望の党が希望の党でもなんでもないことをコールした。(続)
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455569128027156480
>その晩に他の元SEALDsのメンバーはハッシュタグ #枝野立て を総プリントして枝野を励ました。各々繋がりのある民主党の議員に希望の党ではなくあの党へとロビイングした。その2日後に立憲民主党は公式に立ち上がった。
>(続)
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455569426086912007
>俺達や世間を焚き付け、率先して動いていたのは市民連合でも学者の会でも無い。元SEALDsの奴等だった。俺らはそれを知っているし、全力で協力した。
>とんでもない絶望の中で彼女彼等は諦めなかった。その中であの党は誕生した。
https://twitter.com/takuichiroyama/status/1455570492652285953
>コレが俺が見た事実です。
>立憲民主党が立ち上がった、あの時にさした光は忘れない。枝野さんが立ち上がった希望は忘れません。
>枝野さん福山さんが執行部から居なくなってもあの絶望の中で立ち上がった理念だけは絶対に忘れて欲しくない。
過去記事をいくつか拝見した限りではブログ主はSEALDsを否定的に評価されているようですので、これらの証言もただの誇張、あるいは勘違いだ……という意見を持たれるかもしれません。それを否定するものではないですが(むしろ発端の部分はそれを補強するエピソードでもあるかもしれません)、私はこれを読んで、率直に感心しました。ブログ主の感じた「きな臭」さももしかすると、背後に彼らがいる……というのは、流石に穿ちすぎでしょうか。しかし冒頭のツイート、もといpostは、それを強く示唆するものです。
あとこれは余談というか大きなお世話ですが、「原発の推進と国家の権威主義の度合いには正の相関があるとの仮説」の反例として真っ先に槍玉に上がりそうな国にフランスがありますね。政治情勢はフランスも色々と怪しいですが(最近怪しくない国がない)、フランスの原子力は歴史的な(負の)遺産の側面が強いですから、冷戦時代のことは権威主義とは無関係と見るか、あるいはゴーリスムも権威主義の一端であると看做すか、ということになりますね。