昨日(4/8)、衆院東京15区補選に関して乙武洋匡の出馬表明と共産党・小堤東候補の立候補予定取り下げが発表された。以下朝日新聞デジタルの無料記事より。
以下引用する。
乙武氏が立候補を表明 共産は候補取り下げ 衆院東京15区補選
中村英一郎 小林圭 2024年4月8日 20時45分
衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)をめぐり、作家の乙武洋匡氏(48)が8日、記者会見し、無所属での立候補を表明した。一方、共産党は立憲民主党の元東京都江東区議、酒井菜摘氏(37)を支援すると発表。公認候補を取り下げて一本化する。
乙武氏をめぐっては、地域政党「都民ファーストの会」の特別顧問を務める小池百合子・東京都知事がすでに擁立方針を表明していた。乙武氏はこの日、「政治に希望が失われた状態をリセットしたい」と述べ、都民ファ側に推薦を依頼する考えを示した。また、自民も推薦の方針を明らかにしており、公明は支援が可能かを検討している。
対する野党は、共産が党地区委員長の小堤東氏(34)の擁立取り下げを決めた。東京15区と同日に投開票される島根1区と長崎3区を含む三つの衆院補選で、共産が立憲の候補者を支援する「共闘」が成立した。小池晃書記局長は8日の会見で、「次期衆院選での共闘につながるような戦いをやっていきたい」と話した。
同補選では、維新の金沢結衣氏(33)、参政の吉川里奈氏(36)、諸派の飯山陽氏(48)、諸派の根本良輔氏(29)、同区選出の元自民議員で無所属の秋元司氏(52)、参院議員で無所属の須藤元気氏(46)も立候補を表明している。(中村英一郎、小林圭)
URL: https://www.asahi.com/articles/ASS483GLTS48OXIE00XM.html
乙武の出馬表明には「なんだ、まだやってなかったのか」と思った。一方、共産の小堤東氏出馬予定取り下げは、朝日の有料記事などは早い時期から候補者取り下げが共産党の既定の方針であるかのように書いていたし、同じ朝日に立民の誰か(実名は書かれていなかったと思う)が発した先走り気味のコメントも載っていたので、これは九分九厘取り下げるんだろうなと思っていた。
小堤氏の出馬予定取り下げは2021年衆院選に続いて二度目だ。
江東区民として私が街角で観察した限りでは、衆院選に向けての小堤氏の活動開始時期は維新の金沢結衣と同じ頃ではなかったかと思う。ああ、共産も維新も次の選挙では若い人を立ててくるんだなあと思ったものだ。まだコロナ禍になる前の2019年か、もしかしたらその前年の2018年からだったかもしれない。
前回の衆院選では「希望の党」騒動で希望の党に移ったものの国民民主党には入らず無所属になった柿沢未途が、地元自民党の東京15区支部だか江東総支部だか知らないが(私は一貫して強い反自民・反維新・反小池なので自民党の組織についてなど知りたくもない)、極右色の強い地元の自民党の連中が推した今村洋史と競合する形で2人とも自民党の推薦を受け、勝った方が自民党衆院議員になる選挙になった。
2017年衆院選では、旧立民は希望の党の候補には刺客を立てなかった。私は当地に越してきてから三度の衆院選(2012年、14年、17年)で選挙区ではいずれも共産党の吉田年男候補に投票してきたが、決して彼を積極的に支持していたわけではなく、それどころか前に住んでいた香川1区の共産党候補と比較しても(申し訳ないが)冴えない人だよなあと思っていたが、消去法では彼を選ぶしかなかったので*1)若い小堤氏にはそれなりに期待したものだ。もちろん維新の金沢結衣とは立場が相容れない。
だから、共産と立民との取引によって小堤氏が降りて急遽東京4区から井戸まさえ氏がやってくると知った時には怒りの記事を弊ブログに公開したものだ(下記リンク)。
しかしその後井戸まさえ氏*2が良い候補だということを、弊ブログコメント欄常連のid:suterakusoさんに教えていただいて、その9日後には下記記事を公開した。
上記記事で私は、東京4区と東京15区のどちらを立民、どちらを共産の選挙区にするかの取引で、自民党陣営が柿沢と今村とに分裂したために好機が生まれた立民が15区を強硬に要求したに違いないと推測していた。しかしその後、共産が東京4区を強硬に要求したとの情報も聞いた。真相は藪の中だが、あの選挙では井戸まさえ氏が国替えを、小堤東氏が立候補の取り下げをそれぞれ余儀なくされた。そして今回の補選に至るまでのプロセスで、井戸氏は泉健太支持者のnaoko氏の1年3か月前の願いもむなしく東京15区の総支部長に再任されないまま*3酒井菜摘氏の擁立が決まり、小堤氏は再度の立候補取り下げを余儀なくされた。いずれにせよ、立民(枝野前執行部)と共産(志位前執行部)の恣意的な人事権行使に、立民・井戸氏、共産・小堤氏という候補予定者2人が強い痛みを強いられたわけだ。このことについて、両党の支持者たちは真剣に思いを致すべきだ。それは立民が泉、共産が田村になった現執行部についてもいえる。
今回の補選については、後述の通り乙武洋匡の出馬表明が予想外にしょぼいものであったらしいことからも、この選挙は酒井菜摘陣営にとっては負けられない戦いになった。少し前にも書いた通り、3補選は全勝でない限り泉健太の責任が問われて当然というか、一つでも落としたら泉を更迭すべきだと私は考えている。
この件に関しては立民愛知10区の藤原規眞氏の下記Xが印象に残った。
これは本当に大変なこと。一度立った候補をおろすエネルギー、本人の無念、支持者の思い、筆舌に尽くしがたいものがある。
— 弁護士 藤原のりまさ(立憲民主党 一宮市 岩倉市) (@CDP_AICHI10) 2024年4月8日
「見返りは民主主義」という名言(小池晃日本共産党書記局長)は確かに尊い。しかし譲られた側は、その言葉に甘えることに終始してはならないと強く思う。
自戒を込めつつ。 https://t.co/zvr1QY5531
そして私は、選挙区調整の前には2021年衆院選に投票しようと思っていた小堤氏に加えて、ついに総支部長に再任されないまま次の総支部長が決まって立候補することになった井戸氏の無念をも思わずにはいられない。真偽のほどはさだかではないが、立民の内部調査によると、東京では自民党の党勢の低下が特に著しく、現時点で衆院選が行われれば立民の候補が自民党候補に負ける選挙区は1つしかないとのことだ。だから、仮に候補者が酒井氏ではなく井戸氏であっても、本選で出てくるのは(想定したくはないが)乙武だか山崎一輝だかその他の誰だかは知らないが、与党候補相手に勝てるはずだとの計算が成り立つからである。
候補者選定のプロセスの透明化は、何も与党だけに限らない。どの政党にとっても大きな課題なのであって、各党の支持者たちは党執行部や地元の党組織に対して無批判であってはならないと強く思う次第。
話題を変えて相手方の話だが、乙武の出馬表明に関するnks氏のXの連続ポストを以下にリンクする。
乙武会見、司会はファーストの会おじま、小池都知事との二連ポスターを背景に「無所属で立候補します!」と高らかに宣言。
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
???
乙武洋匡氏が会見 衆院東京15区補選に無所属で立候補表明(2024年4月8日) https://t.co/QM6bmiSuzp
乙武「政治に希望が失われている状態をリセットしたい。無所属で出馬する。現時点でどの政党にも推薦依頼は出していない。」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
あのー、司会(おじま紘平)と一緒に写ってるポスターの人(小池百合子)は???
記者「無所属ということでファーストの会の公認ではないということか。今後推薦を受けるつもりは。」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「無所属か公認か非常に悩んだ。3年前完全無所属で挑んだ時に投票してくれた人が応援していただきやすい。どの政党からも支援を頂けるのはありがたいが現時点で推薦依頼している事実はない。」
乙武「(自民党から推薦を受ける)可能性はゼロではない。わたしも裏金には憤っている。大切なのは自分の政策を応援していただけるか、忖度なく自分の政治ができるかだ。」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
????
記者「無所属とさっきから言ってるが後ろの二連ポスターは??」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「都ファの政策には非常に共感している。小池知事の手腕を評価している。ファーストの会には推薦依頼をするつもり…これで(推薦)出なかったら笑っちゃいますけどね!Hahaha……」
無所属 #とは
記者「国民民主党榛葉幹事長は乙武本人から推薦あったと言ってたが?」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「国民民主党とは近い立ち位置。『よろしくお願いします』とは『ご査収ください』の意味だったが推薦依頼と捉えられてしまったのは言い方が拙かった。」
記者「公明党は過去の女性トラブルを理由に推薦は難しいと言ってるが」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「公明党は福祉の党として非常に近い考えを持っている。自分の素行でそのような対応となったことは不得の致すところ」
いやいや八方美人か。
乙武「松本人志は恩人。政治的に利用したくないので出馬について報告したかは控えてる。ひろゆきは選挙の応援に来てくれるとのこと^ ^」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
うぎゃぁーーーーーーー地獄🙀
乙武「選挙において最っっっも卑劣な、有権者を買収するというのは、公民権停止は3年とか5年で明けるわけですよね………8年も…前の…私生活の事で再チャレンジが許されない、二度と表舞台に出て来るなという社会は……非常に、、、」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
いやあんた現に選挙出られてるだろうがww
西日本新聞「よく分からないんですがご自身は与党候補として出られたのか野党候補として出られたのか」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「与党でも野党でもありません!自身の重度障害福祉の問題等は与党も野党も関係ない。国会で無所属でどれだけできるのかは批判があると思うが無所属を貫く。」
会派にも所属しない感じかな?
記者「結局のところ政党に推薦依頼は出すのか、受け身なのか」
— nks🍈 (@Yuki37167516) 2024年4月8日
乙武「ファーストの会には出します!^ ^
他の政党には待ちの姿勢で挑みます。」
無所属と言いながらなるべく多くの政党(都ファ、自民、公明、民民)から推薦が欲しそうな乙武さんの会見でした。。
※個人の感想です
いやはや実に無惨である。
これだと、逆に現時点では埋没気味だという維新の金沢結衣が巻き返してしまうのではないかと心配になってくるレベルだ。
維新の金澤さんが話題でも情勢調査でも埋没気味な理由として「都ファと立ち位置が被ってるから」というのは非常にしっくり来た。
— まめぴっぽ (@C9SDV2hLnx67990) 2024年4月7日
東京での第三極は維新じゃなくて都ファだと言うのを忘れていた。
こういうXも見た。
酒井なつみさん、共産党支持者からの人気は高い https://t.co/QxFE3R6vDG
— カタコト明明🍥(メェメ)🍥 (@yoyaMACD) 2024年4月8日
昨年12月の区長選の情勢調査で立民支持層が酒井氏に投票すると超えたはわずか4割で、共産支持層の7割を大きく下回っていたという。
でもそれって、2022年参院選で前年の衆院選と比べて江東区での立民比例票が38%も流出してしまったことと関係があるかもしれないと思った。つまりまともなリベラル層が右派新自由主義的な泉健太執行部を見限って立民支持を止めていたから、残った保守層中心の支持者たちの4割しか酒井氏に投票しようとは思わなかった、そういうことなのではなかろうか。
やはり選挙結果に関わらず、泉は下ろした方が良いのではないかと改めて思った(しつこいか)。