NHKと時事通信の世論調査で、立憲民主党(立民)の政党支持率が真逆の傾向を出したことが一部で話題になっている。
いつものことだが、対面方式をとる時事通信の方がNHKより調査から結果の報道までの時間が長い、というより、NHKも民放局も大新聞社も通信社も調査を終えたらすぐ記事にするのに対し、時事通信は数日のタイムラグがある。
だから気づきにくいのだが、調査日はNHKが7月5〜7日、時事通信が7月5〜8日でほぼ同じ、というか時事通信の方は都知事選翌日も調査期間に含まれる。
それなのに立民の政党支持率はNHKでは前月比4.3ポイント減の5.2%、時事通信では同1.9%増の6.1%だった。
もちろんこれは主に統計誤差による。
はい。NHKだと立憲の支持率は下がり、時事では上がりました。世論調査には誤差があるのでこうしたことがおこります。平均は微減ですが、今月の調査がまだ少ないためそれも誤差範囲になります。しかし一般には、国会が閉会したため野党第一党の支持率は落ちるように思います。https://t.co/0rios7JAIF
— 三春充希(はる)⭐第50回衆院選情報部 (@miraisyakai) 2024年7月11日
まあ、NHKの調査だけをみて、立憲は解党的出直しだなんだと言ってた人は、やはりそもそも事実認識から見直すべきだったということ。 https://t.co/9W6Mvg349U
— ふす (@fusufusu45) 2024年7月11日
世論調査には誤差があるので、なるべくいろいろなものを見て傾向を確認することが大事ですね。一つの調査の増減に驚いてしまうことはあるけれど、他で異なる結果となることもしばしばあります。https://t.co/rn6CLtMhQO
— 三春充希(はる)⭐第50回衆院選情報部 (@miraisyakai) 2024年7月11日
この問答でふす氏(チェコの宗教改革の先駆者ヤン・フスの名前に由来するHNだろうか)がいう「NHKの調査だけをみて、立憲は解党的出直しだなんだと言ってた人」とは、こたつぬこ(木下ちがや)氏のことだろう。
せつなりっとく氏のXより。
時々書いてることだけどこたつぬこやそのお仲間はよく統計データをデタラメな読み方してそこに願望くっつけて左派バッシングに使ってるので、そういう観点で一番ダメな人々なんよね
— せつなりっとく (@setsuna0417) 2024年7月12日
確かにこたつぬこ氏のXにはそういう欠点(弱点、問題点)がある。例えば某元号新選組の支持率が半分になった云々というのが以前あったように記憶するが、新選組程度の政党支持率だと支持率自体よりも統計誤差の方が大きいくらいだから、そんな議論は成り立たないのである。
こたつ周辺が憎悪してる未来社会の人はこのへん結構抑制的だから いやまあ個人の主観で語ってることは結構多いけど、意見とデータをかなりちゃんと分けているし意見が同意できなくてもデータ部分だけ見ればいい https://t.co/8XUzLbRfwq
— せつなりっとく (@setsuna0417) 2024年7月12日
ここでいう「未来社会の人」とは三春充希氏のことだよね。私は、三春氏はことデータの取り扱いに関しては抑制的を通り越して厳格だと思っている。氏は東大理学部物理学科の出だからそうなるのだろう。一方、「個人の主観で語ってること」も確かにあって、私も特に新選組関連で三春氏に同意できないことが少なくなかった。しかしその色合いも最近はかなり薄まっている。皮肉にも、それを指摘しているのが三春氏を激しく嫌っているらしい軍畑先輩だ。
もっと言えばヤマシン全開路線の時は「野党共闘から自由になろう!!」とか言ってたんやであいつ。
— 軍畑先輩 (@ixabata) 2024年7月9日
基本的に市民様相手にnote、有料メルマガ売ったり、YouTubeやってる奴らは信用したらアカン https://t.co/eeky8KUak3
私には、三春氏が「ヤマシン全開路線」から意見発信がいくぶん抑制的になったのであれば大いに結構なことだとしか思えないのだが。
下記は軍畑先輩が反応したXの単独の再掲。
三春充希さん、泉さんの対案路線のときは自分の言うことを聞かないから立憲は負けるのだみたいなことをさんざん言ってたのに、今回は「勝ち負けは常に一時的なものにすぎません。次があります」って…。
— 小波 (@VUtyt) 2024年7月9日
2022年参院選の件で私が言いたいのは、もう何度書いたかわからないが、泉執行部下で最初に行われた国政選挙であるあの選挙で、立民が前年秋の衆院選比例ブロックで得ていた20.0%の比例票を、参院選比例区で12.7%にまで暴落させたことだ。
選挙での得票率(議席数ではなく、あくまでも得票率)は「全数検査」の結果なのだから、世論調査の動向を論じるのであれば何よりも重視しなければならない数値だ。当然ながら統計誤差はゼロである。
あの選挙で泉の「提案型野党」路線が否定されたことももう歴史的事実の範疇に属する事柄だ。なにしろ立憲民主党自体が敗因を「提案型野党」路線に求める総括を行ったくらいだ。泉はそれを了承しながらもなぜか代表を辞任しなかったが。その後も泉は維新に接近して足蹴にされた。しかしその維新の現代表・馬場伸幸は泉以上の無能で、自民党にすり寄りまくっているうちに自民党の裏金問題が発覚した。これが泉に幸いする一方、維新には災いした。維新の失速は昨年12月の江東区長選で擁立した公募候補が得票率7.8%で供託金没収の大大大惨敗を喫した時点でもはや明らかで、今年4月の衆院東京15区補選で金沢結衣が立民の酒井菜摘ばかりか無所属の須藤元気にさえ負ける大惨敗(3位)を喫したのも当然だったかもしれない。なおこの補選では小池百合子や民民が推した乙武洋匡が超極右の飯山陽にも負ける5位の大大大惨敗を喫したことも忘れてはならない。
「小波」氏は、三春氏は泉健太にはあんなに厳しかったのに手塚仁雄にはずいぶん甘いじゃないかと言いたいのかもしれないが、選挙で特に重視しなければならないのは当落ではなく得票率だ。その意味では得票率29%で勝った酒井菜摘にも課題は大きいことはいうまでもない*1。
2021年衆院選での比例ブロック得票率20.0%も、当時の立民の伸び悩みを示す数字ではあり、何より議席数で立民が自民に大きく水を開けられたのは事実だが、得票率だけを取り出してみれば21年衆院選は「惜敗」であり、22年参院選こそ「大大惨敗」だった。まずこのことを共通認識としなければ話は始まらない。下記naoko氏のXのような認識では困るのである。
私が代表なら今よりこれだけ良くなる、党の躍進を確約できる、という意欲と自信がある人が代表選に出てほしい
— naoko (@konahiyo) 2024年7月12日
党勢が急降下した時に党を引き継ぎ、どれだけ罵倒されようが3年耐えて地道に働き、一部世論調査では投票先で自民党を抜くところまでもってきた若い代表を一期で取り替えようというのだから
上記Xのうち、「党勢が急降下した時に党を引き継ぎ」と書かれているが、これがとんでもなく大きな間違いだ。
「泉健太が党を引き継いだら党勢が急降下した」というのが正しい。衆院選比例ブロックの得票率20.0%は枝野代表時代、参院選比例区の得票率12.7%が泉代表時代の国政選挙の数字だからだ。
何より大事なことは、議席数よりも得票率を重視することだ。これをやらなければ政治の流れは読めない。
もちろん今衆院選をやれば(通常国会はすでに閉じられているけれど)泉代表下でも立民が比例ブロック20%前後の得票を得る可能性はかなり高い。
しかし、それは「枝野がどん底まで落とした党勢を泉が立て直した」ものでは決してない。泉はそのようなイメージを与えようと印象操作に躍起になっているのだが、naoko氏はもののみごとにつられてしまったように私には見える。事実は、「泉がいったんどん底まで落としたが、自民と維新の敵失に助けられて枝野時代末期くらいにまで持ち直した」というものであろう。泉も参院選敗北後には岡田克也のサポートを受けて無難にやってはきたが、それでも3補選に全勝した直後に極右レイシストの野口健を持ち上げるXをポストするなど、泉は今なお問題含みだ。
なお、せつなりっとく氏が三春氏について「意見とデータをかなりちゃんと分けているし意見が同意できなくてもデータ部分だけ見ればいい」と書いていることには完全同意(昔ふうにいえば「禿同」)だ。私は氏のnoteの有料読者だが、強度のアンチ新選組である。
そして、NHKと時事の両方の世論調査を合わせても、立民の支持率や「リアルタイム得票数推定」はかなり下がっている。
7月11日現在の政党支持率の平均(10%未満拡大)
— 三春充希(はる)⭐第50回衆院選情報部 (@miraisyakai) 2024年7月11日
無党派 44.1 %
自民 25.2 %
立憲 8.8 %
維新 5.4 %
共産 3.4 %
公明 2.9 %
れいわ 2.4 %
国民 2.1 %
参政 0.5 %
社民 0.4 %
教育 0.3 %
みんな 0.1 %
最新の時事通信の世論調査を反映しました。 pic.twitter.com/wg7D8tBCBE
7月11日現在のリアルタイム得票数推定
— 三春充希(はる)⭐第50回衆院選情報部 (@miraisyakai) 2024年7月11日
自民 1524 万票
立憲 935 万票
維新 617 万票
公明 559 万票
共産 419 万票
れいわ 309 万票
国民 274 万票
参政 82 万票
社民 74 万票
教育 46 万票
みんな 20 万票
最新の時事通信の世論調査を反映しました。 pic.twitter.com/XtoQNmcX9u
そして、こたつぬこ氏がXにポストして激しい批判を浴びた「解党的出直し」は、かつて民進党右派が好んで用いたフレーズだった。たとえば2017年の東京都議選で民進党が大敗した時には、弊ブログが一昨日公開した下記記事で紹介した通り、松原仁が「解党的出直し」と口走った。
そしてその2か月あまりあとに起きたのが「希望の党」騒動だった。
私はよく覚えているが、2017年9月の民進党代表選で、前原誠司が勝っても枝野幸男が勝ってもたいして変わらないとツイート(当時)したのがこたつぬこ氏だった。それに対し弊ブログは、前原が勝ったら党が割れると予想した。そして、小池百合子が「排除」騒動を引き起こすことも、その2か月前の2017年8月2日の記事で言い当てていた。このことはもう何度書いたかわからないから改めてリンクを張ったりはしないけれども。
思うのだが、こたつぬこ氏が望んでいるのは「『排除』なき『希望の党』」なのではないか。小池百合子が維新の防波堤になっているなどと繰り返し書いていることからもそう推測される。
私には全く同意できないけれども。
あと、堀新氏の思い違いについても指摘しておく。
仮に立憲が共産抜きで蓮舫を擁立していたらどうだったか。共産の組織票が抜けて代わりに連合の組織票がくる。
— Shin Hori (@ShinHori1) 2024年7月9日
と同時に共産は独自候補を立てる可能性が高く、左派寄りの有権者の選択肢は2つになる。
逆に中道右派的な票が今より見込めたかも知れない
果たしてどこまで票がきただろうか?
このXについては、下記政治おじいちゃんお化け氏が指摘する通りだ。
残念ながら共産抜きでも、連合は2020年と同様に、小池さんを推した可能性が高い。
— ツイッター政治おじいちゃんお化け (@micha_soso) 2024年7月9日
まあ、よほど配慮てしもらっても自主投票に留まったと思う。 https://t.co/XOdOhfF2NR
連合は既に2017年の都議選で都ファの候補を推薦していた。この記事からリンクした2017年公開の弊ブログの過去記事の中にも書いてある。
連合はずっと小池とはズブズブだから、私は仮に立民が共産と共闘しなくても、連合が「自主投票に留まった」可能性はほぼ皆無だと確信している。衆院東京15区補選で自主投票にしたのは、立候補したのが小池百合子ではなく乙武洋匡だったからに過ぎない。
堀氏はあまり政局については書かない方が良さそうだ。書けば書くほどボロが出る。