kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

千葉県民って京都が苦手なの?

 これには私も笑った。

 

 

 特に福島県民が山口県を苦手にしているというのと、広島の周辺県が揃って広島県を苦手にしていることは、さもありなんと思った。後者について、私には岡山県民だった時期があるので、広島を嫌いまくっている岡山県民が少なくないことは事実として知っている。もっとも、岡山県内にも岡山市 vs. 倉敷市という「宿命のライバル」関係があるのだが。私は倉敷市民だったが、関西出身のため岡山対倉敷の敵対関係とは無縁だろうと思ったさる岡山市民の方に「他県の人間には、倉敷が岡山県の県庁所在地だと思われている」という被害妄想の愚痴を聞かされたことがある。私は心の中で、「違うよそれは。一番多いのは『倉敷って何県なの?』と言う人だよ」と思ったが、口には出さなかった。その同じ人が、広島の悪口も散々言っていて、岡山は広島と同じ中国地方ではなく、関西の仲間に入れてほしいとも言っていたのだった。実際、岡山にはカープファンよりタイガースのファンの方がよほど多く、私が一度倉敷マスカットスタジアムに見に行った広島対阪神戦は、広島の主催戦だったのにスタンドは阪神ファンが圧倒的多数を占め、タイガースの圧勝にご機嫌で「六甲颪」を歌う大勢のタイガースファンを目にした。2000年の話。その後カープはいつの頃からか阪神戦に限らず倉敷での主催戦をやらなくなった。なお、カープの人気が増してきた最近は、岡山でカープとタイガースのどちらのファンが多いかは知らない。首都圏では今やカープの人気がタイガースを凌ぐようになっており、神宮球場ではカープファンの方がタイガースファンより多い。今年のコロナにより変更になる前の日程では、タイガース戦はドラゴンズ戦ともども東京ドームに2カードが回されたが、カープ戦だけは全主催試合を神宮球場で行う予定が組まれていた*1。最近は読売もあまり人気がないので*2カープ戦が神宮球場の最大のドル箱になっている。

 プロ野球の話にそれてしまったが、「苦手な都道府県」の件に戻ると、どうしても近隣の自治体に対する苦手意識は生じる。私が神奈川県から岡山県に引っ越した早々、新聞の勧誘員(毎日新聞だった)から「岡山や倉敷は人情が薄い」という悪口を聞かされたことがあったが、話を聞くとこの人は鳥取県出身だった。実際、私の印象でも中四国では鳥取県愛媛県高知県に旅行者に親切な人が多いのに対し、私の居住経験がある岡山県及び香川県や、香川に隣接する徳島県はそれほどでもなかった*3。これを一言で言えば「田舎ほど人情が厚い」ということではないかと書くと、鳥取・愛媛・高知などの方々からお叱りを受けるのかもしれないが。もちろん岡山の方が東京や大阪などよりよほど人情が厚いことはいうまでもない。

 ところで、一つだけどうしてもわからなかったのは、千葉県民が京都を苦手にしているらしいことだ。そんな話を聞いたことは一度もなかったので驚いた。

 前記ツイートへの反応より。

 

 

 へえ、知らなかった。調べてみると、ここにエビデンスは示さないけれどもどうやら事実らしい。しかし、「修学旅行の出禁」って千葉県の一部に過ぎないんじゃないかという疑問は拭えない。

 最後に、福島県民が山口県を苦手にするのは、いうまでもなく会津と長州の関係に起因するのだろうが、実は私にはここには書かないある理由によって、80年代から90年代にかけての一時期、会津を苦手にしていた時期があった。しかしそれも今は昔。今では「敵の敵は味方」の論理によって会津にシンパシーを抱いていることはいうまでもない。

*1:これはベイスターズ主催戦でも同じで、カープ戦だけは全試合横浜スタジアムで行う予定が組まれていて、スワローズ同様、タイガース戦はドラゴンズ戦と同じ括りに格下げされていた。今年は、佐々岡新監督下でカープが不振を極めているので、また傾向が変わるかもしれないが。

*2:実際、近年はスワローズもベイスターズも読売相手の主催戦の一部を地方開催に回すことが多くなった。

*3:広島県の安芸地域には行くことが少なかったので不明。備後地域は方言から言っても安芸よりは岡山県備前や備中の仲間だろう。なお山口県には中四国在住時代を通じて一度も行っていない。

斎藤美奈子が「女帝」本をこき下ろしているようだが……

 斎藤美奈子石井妙子の著書『女帝 小池百合子』をこき下ろしているらしい。下記平河エリ氏のツイート経由で知った。

 

 

 上記ツイートから張られたリンクを下記に示す。現代書館のサイトにある、斎藤美奈子森達也が交互に書く「web掲示板談話」だ。

 

 斎藤の文章は引用しない。

 私が思い出したのは、斎藤が、まだ小池百合子の側近だった頃の音喜多駿と対談した醜悪な記事だった。対談は小池百合子が2016年の都知事選に当選してしばらく経った同年秋に行われた。リンクを下記に示す。

 

gendai.ismedia.jp

 

 上記記事の引用もしないが、斎藤は呆れんばかりに音喜多に迎合していた。斎藤は、2016年から翌年にかけて続いた小池の人気絶頂の時期に、その流れに棹さしていた人士だった。

 斎藤の「女帝本」に対する書評は、そのような背景を頭に入れた上で読んだ方が良い。

 なお、以前に書いた通り、私も「女帝」本を読んだ。面白かったが、意外性はさほどなかった。この本は反小池の人々よりも小池支持者にこそ読まれるべきだが、彼らはどうせ読まないだろうな。そんなことを書いた覚えがある。

 真に問われるべきは、斎藤美奈子のような「リベラル・左派」とみなされてきた人たちが、なぜ3,4年前の「小池人気」に迎合するような言説を展開したのか。

 なにしろ小池は、2017年に「排除」発言を発して野党第一党を分裂させたのだ。もちろんその経緯で本当に悪かったのは小池百合子とともに前原誠司小沢一郎だが、小池を持ち上げてきた人たちの責任も問われてしかるべきだ。

 しかるに、斎藤美奈子を含む当該の人々は、この件に関して総括も反省もしていない。説明責任を果たさないまま、今に至っているのである。この点こそ批判されなければならない。

サッカーJ1では選手から発熱者が出たのに試合強行の暴挙。「鳥栖発熱者も試合決行『やらないべき』東京監督訴え」(日刊スポーツ)

 サッカーJ1では、「発熱者が出ているのに試合強行」という暴挙が行われた。下記は日刊スポーツの記事。

 

news.yahoo.co.jp

 

 以下引用する。

 

鳥栖発熱者も試合決行「やらないべき」東京監督訴え

8/1(土) 22:16配信

明治安田生命J1:東京2-3鳥栖>◇第8節◇1日◇味スタ

 

FC東京がホームでサガン鳥栖に2-3で敗戦した。試合後の会見に出席した長谷川健太監督が、試合当日の午後に鳥栖の選手に発熱者が出たという報告を受けたことを明かした。

 

新型コロナウイルスへの不安から「抗原検査を受けたい」との内容だったという。選手には「不安なら試合をやらなくていい」と話すなど、チームには複雑な思いがあったと吐露した。

 

Jリーグに判断を求めた結果、新型コロナウイルス対応ガイドラインに基づき試合開催に問題ないとの返答を受けたという。当該選手は7月31日に発熱し、試合前にはチームを離れたという。

 

試合が開催されたことについて、同監督は「やらないべきだと思う」と私見を述べた。「前日の夜に熱を出した選手がいた。また全員がPCR検査をやって陰性なら安心できるが、それが担保できない中で試合をやらせるのは考えてもらいたい」と、選手を預かる監督の立場から訴えた。

 

(日刊スポーツより)

 

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/6e1db9ffb1b290df76a3ee7453b336e27d05bb7d

 

 報道にある通り、佐賀県をホームとするサガン鳥栖の選手が新型コロナウイルスに感染していたかどうかは明らかではない。しかし、選手当人が不安を訴えたというのに試合を強行するとは、安倍政権が推し進めている「何がなんでも『経済を回す』」という政府の方針が醸し出す空気に流された暴挙以外の何物でもない。このように断じるほかはない。

 この国はいよいよ本格的におかしくなってきた。

 それにしても、ホークスの福岡とサガンの佐賀か。九州も相当深刻な状況のようだ。

プロ野球・ソフトバンク対西武戦が「新型コロナ感染のため中止」

 やはりこの日がきたか。アメリカでも新型コロナ感染者が非常に多いフロリダで、マーリンズの選手から感染者が出て中止になった試合があったから、日本でも同様のケースが起きるのではないかと予想していたが、その通りになった。予想と違ったのは球団であって、名古屋市で明らかに検査が追いついていないことから、中日ドラゴンズから出るのではないかと思っていたが(現にサッカーJ1名古屋グランパスエイトサンフレッチェ広島戦が中止になっている)*1、感染者は福岡ソフトバンクホークスから出た。ベテランの長谷川勇也選手だ。

 下記はNHKニュースへのリンク。

 

www3.nhk.or.jp

 

 以下引用する。

 

ソフトバンク 長谷川選手が新型コロナ感染 2日の西武戦中止に

 

プロ野球ソフトバンクは35歳のベテラン、長谷川勇也選手が1日、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたことを受けて、2日に福岡市で予定していた西武との試合を中止することを決めました。球団はすべての選手やスタッフの検査を速やかに行い、今後のチームの活動について判断するとしています。

ソフトバンクは1日夜、球団幹部が会見を行い、35歳のベテランで、7年前の平成25年には首位打者最多安打のタイトルに輝いた長谷川選手が、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。

プロ野球で選手の感染が分かったのは、ことし6月19日にシーズンが開幕してからは初めてです。

球団によりますと、長谷川選手は31日、37度台の発熱やのどの違和感があり、1日になっても発熱が続いたことからPCR検査を受けて感染が確認され、保健所の指示に従って自宅で待機しています。

長谷川選手は2軍で調整中だったため、1軍の監督やコーチ、選手と直接の接触はなかったということですが、ファーム施設を利用している選手やスタッフなどを経由しての感染の可能性は否定できないとして、球団は2日に福岡市のPayPayドームで予定していた西武との試合を中止することを決めました。

球団は、先月22日と23日にすべての選手やコーチ、スタッフ合わせて202人の検査を実施し全員の陰性を確認していますが、2日以降、速やかに再検査を行い、その結果を踏まえて4日から仙台市で予定されている楽天との6連戦への対応など、今後のチームの活動について判断するとしています。

プロ野球の新型コロナ対策は

プロ野球新型コロナウイルスの感染予防ガイドラインでは、チーム内で感染者、または濃厚接触者と判定される可能性がある場合、検査結果が出るまでは感染拡大の予防のためチームから即時離脱させ自宅待機させることを基本方針としています。

さらにガイドラインでは、感染者や濃厚接触者をチームから離脱させて入院または隔離する期間も定めています。

具体的には、検査で陽性となり、かつ症状がある場合は保健所の指示に従いながら発症日から10日間と、さらに症状が改善されてから72時間は、入院または隔離するとしています。

発症日から10日間経過する前に症状が改善した場合は、そこから24時間が経過したあとに2回の検査を24時間の間隔を空けて行い、陰性が確認されるまでは隔離が必要としています。

一方、検査で陽性となっても症状がない場合は、検体を採取した日から10日間か、6日間経過したあとに2回の検査を24時間の間隔を空けて行い、陰性が確認されるまでは隔離が必要としています。

また、濃厚接触者と認定された場合や、同居する家族から感染が確認された場合は、保健所の指示に従いながら、10日間、自宅待機するとしています。

試合開催の判断については、チーム内に感染者や濃厚接触者などが出て、試合の2時間前までにベンチ入りの選手26人、またはその球団が試合を行えると考える選手数がそろわない場合は、リーグや相手球団の了承を得たうえで、事前に試合中止を決定できるとしています。

ただ、感染者や濃厚接触者が何人出れば試合を中止するかなどの明確な基準はなく、それぞれの状況によって試合ができるかどうかリーグと球団が協議し判断するとしています。

そして、新型コロナウイルスの影響で中止となった試合は雨天中止と同じ扱いとし、改めて試合の日程を組むとしています。
 
NHKニュースより)
 

 

 思うのだが、日本プロ野球が決めた120試合のリーグ戦なんかとてもではないが完了できないだろう。プロ野球選手との契約期間(2月から11月まで)終了直前の11月にまで公式戦が組み込まれていて、そのうえ日本シリーズまで実施するという、呆れるばかりの詰め込み日程が組まれている。アメリカのMLBは7月末からの60試合だが、その方がよほど合理的だ。日本プロ野球も、試合数を120試合を5分の3に当たる72試合に削減し、可能なら日本シリーズを行うという日程に改めてはどうか。このくらいの余裕を持たせても無事完了できるかわからないくらい深刻な状況だと、私は考えている。

*1:もちろん悪いのはグランパスやドラゴンズではなく、名古屋市長の河村たかしである。

「対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会」(時事通信)

 4月の緊急事態宣言発令当時から今に至るまでずっと、安倍官邸は緊急事態宣言を含む新型コロナウイルス感染症対策には一貫して消極的だ。4/8の緊急事態宣言発令時にさえ腰が引けていた。それにもかかわらず、当初から反安倍陣営の一部には、「日刊ゲンダイ」を初めとしてこのことを全く解さない一派があり、「ゲンダイ」などは不必要に西浦博を攻撃したり、「K値」を持ち上げる記事を宮沢孝幸に書かせたりしていた。宣言を再発令すべきかどうかが議論になり始めた現在、前記のようないきさつに対しては自己批判と反省が必要だろう。

 下記は現状をよく表す時事通信の記事。

 

www.jiji.com

 

 以下引用する。

 

対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会

2020年08月01日07時15分

 

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は31日、感染状況を4段階に分類し、次の段階に進む「予兆」が見えた時点で対策レベルを引き上げるべきだとする見解をまとめたが、予兆を見極めるための客観的指標は示せなかった。コロナ対策が経済の足を引っ張ることを懸念する首相官邸が抵抗し、事前の調整がつかなかったためだ。
 分科会が31日の会合後に公表した文書は、指標について「医療提供体制への負荷を重視する必要」を指摘したが、具体的には「今後検討」と記すにとどめた。「1カ月も2カ月もかける余裕はない。次の会で結論を得たい」。尾身茂会長は指標を明確にできなかったことへの焦りをにじませた。


 関係者によると、尾身氏ら専門家は会合前から、指標を数値の形で明示すべきだと主張。これに対し、官邸は数値化に反対した。感染拡大の勢いが止まらない中、具体的な数値を示せば政治判断の余地がなくなり、経済への深刻な影響を承知の上で緊急事態宣言を再び出さざるを得なくなる展開も想定されるためだ。


 4~5月の宣言発令が日本経済に与えた打撃は大きく、30日の経済財政諮問会議で委員から「再発令すれば日本は持たない」との声が上がったほど。もともと再発令に消極的だった官邸は今や「絶対に出せない」(政府関係者)との立場だ。


 尾身氏は来週中にも分科会を再度開き、指標を取りまとめたい考え。しかし、官邸は5月の宣言解除前にも、解除の基準を策定するに当たり「総合的に判断する」との文言を入れ込んで骨抜きにした経緯があり、明確な数値を示せるかどうかは不透明だ。


 政府が急速な感染拡大への対応にもたつく中、東京都が独自の緊急事態宣言を検討するなど、自治体は危機感を強めている。鳥取県知事の経験がある片山善博総務相は31日のTBSの番組で「国は都道府県に対策を丸投げしている。無責任だ」と厳しく批判した。

 

時事通信より)

 

出典:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020073101379&g=pol

 

 こんな記事を読まされたら、絶望的な気分にしかなりようがない。

 記事についた「はてなブックマーク」のコメントより。

 

b.hatena.ne.jp

 

対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会:時事ドットコム

結果的に絶望的なほど経済を破壊する結果になると思う。悪夢の自民党政権

2020/08/01 10:21

b.hatena.ne.jp

 

対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会:時事ドットコム

感染が広まるほど経済的打撃も大きくなるのが分からないの????事実、一ヶ月前に行動してれば東京だけで済んだのに、今や全国規模だし。

2020/08/01 11:05

b.hatena.ne.jp

 

対策強化の指標示せず 経済考慮し官邸が抵抗―新型コロナ分科会:時事ドットコム

専門家の意見聞けなくなったら終わりだと思うなぁ。。。

2020/08/01 10:39

b.hatena.ne.jp

 

 その通り。本来、安倍政権なんかはずっと前に終わらせなければならなかった。

新型コロナウイルス、東京都で472人が陽性。3日連続で過去最多を更新(2020/8/1)

 8/1に東京都で新たに確認された新型コロナウイルス感染症の陽性者は472人。3日連続で最多記録を更新した。

 下記はNHKニュースへのリンク。

 

www3.nhk.or.jp

 

 

宮沢孝幸を重用し、「K値」を宣伝していた「日刊ゲンダイ」(呆)

 これは知らなかった。

 あのイエローペーパー「日刊ゲンダイ」が「8割おじさん」西浦博をこき下ろしていることは、2,3日前の見出しにも出ていたしそれ以前から知っていたが、ゲンダイは中野貴志・阪大教授の「K値」を宣伝していたのだった。下記は6月19日付の「日刊ゲンダイヘルスケア」の記事だが、書いているのはあの京大准教授・宮沢孝幸だ。

 

hc.nikkan-gendai.com

 

 まことに不快きわまりないが、以下に引用する。

 

K値が示す驚愕の事実と日本が感染爆発を起こさない新仮説

 

 公開日:2020年06月19日
 更新日:2020年06月24日

 

宮沢孝幸京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授)

 



 私は今月12日に大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議に出席した。そこでは大阪大学核物理研究センターのセンター長である中野貴志教授と私が専門家会議のオブザーバーとして呼ばれた。中野教授は、感染指標として新たに「K値」という指標を発案した先生である。私はその会議で中野教授の説明を聞き大きな衝撃を受けた。それはなぜか。





■3月中旬までの行動変容で事足りていた?





 会議では「ピークアウトの時期」が大きな議題となっていた。実はこれは既に明らかになっていて、3月28日ごろである。しかし、「K値」は驚くべきことを我々に示したのである。



 3月初旬から下旬にかけて感染者は急増していた。これは実は欧州からの帰国者による「第2波」によるものであった。この第2波は、K値を見る限り、3月15日の時点で既に収束へ向かう兆候は見られていたのだ。第2波の流行と収束は、感染拡大の初期段階で規定されていたというわけである。



 今回の新型コロナウイルスは、国内においては、自然に収束するようになっている。K値の推移については、まるで金太郎飴のごとく全国一律である。大都会でも地方都市でも同じなのである。混んだ通勤電車などの大都会の特殊事情の影響も見られない。

 このK値の発見は物理学者ならではの成果であったが、新型コロナウイルスに関する限り、大きな武器となる。感染の流行が始まってしばらくして、データが集積すれば、大まかなピークと収束までの時間が見えてしまうのだ。野球に例えると、まるで打った瞬間にボールが到達する地点を即座に察知し移動する優秀な外野手のような存在だ。



 今回、大阪府の専門家会議の論点は、緊急事態宣言後の追加の自粛要請は有効であったかである。北海道大学大学院の西浦博教授のデータを読み取る限り、私もそれは否定せざるを得ない。3月中旬以降、自粛要請による行動変容はあったように思えるが、その効果も見られない。これはつまり、3月中旬時点での自粛で事は足りていたということを意味する。ただし、私は自粛の効果がないと主張しているわけではない。マスクなしで近距離で会話したり、歌を歌ったりするのは、大きな感染リスクを伴うので、その自粛は必要である。しかし、それ以上はあまり意味がないということなのだ。

 



■自然免疫で勝てる



 

 なぜ日本では感染者が爆発的に増加せずに収束するのか? これを解くカギは、私は「感染成立ウイルス量」と「自然免疫」だと思っている。



 まず、知って欲しいことは感染に必要なウイルス量である。全ウイルス粒子の一部が感染性を持っており、個体に感染するには、一定量以上の「感染性ウイルス」が必要なのである。



 一言で「感染」というが、定義は難しい。今回の場合、鼻咽頭のサンプルを採取して、そこにウイルスのRNA(遺伝物質)が検出されれば、ウイルスに感染したと見なされる。



 新型コロナの侵入門戸は粘膜である。少量のウイルスが粘膜について、多少増殖しても局所でウイルス増殖が鎮圧されれば、「感染はしなかった」ということになる。むろん、抗体も誘導されない。しかし、実はこの時でも、生体は免疫反応を起こしている。それは自然免疫である。



 自然免疫は、さまざまな病原体を「パターン認識」して、抗ウイルス物質を誘導して、生体を抗ウイルス状態に導く。抗ウイルス状態は、ウイルスが体から完全にいなくなってもしばらく続く。



 今回のウイルスは、ぎりぎりのところで人から人へと飛び移りながら、生きながらえている。ウイルスが体外に一定量以上出ていかないと次の個体に乗り移ることができない。私が「100分の1作戦」を提唱するのも長年ウイルスを研究し、その弱点を知っているからだ。



 感染が流行している時、ウイルスは市中に拡散しているのであろう。私たちは検出感度外での見えない感染によっても、体は抗ウイルス状態になり、感染に必要なウイルス量の閾値も上がる可能性がある。新型コロナウイルスは、マスクや手洗いの励行によって、次の人に感染しにくくなっている。自然免疫により閾値も上がるとなると、ウイルスもお手上げなのである。



 これはあくまで仮説であるが、自然免疫により、新型コロナの感染拡大が抑えられるのだとしたら、新たな戦略が生まれる。自然免疫を人為的に高めればいいのだ。

 



 ◇  ◇  ◇



 

※「K値」とは…大阪大学の中野貴志教授と九州大学の池田陽一准教授が提唱している新型コロナウイルス感染症の感染動向を予測するための新たな指標。その値は、直近1週間の新規感染者数を累計感染者数で割ることで得られるという。西村康稔・新型コロナ対策担当大臣が先月17日の会見で「参考にしたい」と述べ、注目された。K値を求めることで日々の感染者数の増減に惑わされずに感染傾向を捉えることができるとされている。

 

(「日刊ゲンダイヘルスケア」2020年6月19日)

 

出典:https://hc.nikkan-gendai.com/articles/274802

 

 赤字ボールドにした部分には笑ってしまった。

 実際には、「K値」とは打者が打った瞬間、いかなる打球であっても必ずホーム方向へと走り始める外野手のようなものだ。今回の大阪では、外野手が前進してきたのに打球がぐんぐん伸びて野手の頭を大きく越えたようなものだろう。きちんとバックしていたら捕球できたかもしれない打球が飛んできたのに、こともあろうに外野手が前進してきたらどうなるか。長打、それも三塁打か、下手をしたらランニングホームランになるのではないか。今の大阪府新型コロナウイルス対応はこんな感じだ。

 いや、安倍政権だって同じだ。吉村大阪府政の前進守備が「K値」なら、安倍政権のそれは「GoToキャンペーン」だろう。

 ヘボな外野手がこんな守備をしたら、スタンドの観客は呆れて帰るだろうが、府民や国民にはそんなことはできない。外国に行こうにも、観戦者ならぬ感染者が激増している日本から来る客など受け入れられない。

 ところが、日刊ゲンダイの上記記事ときたらどうだ。まるで阪神応援で知られるデイリースポーツの記事で、読売OBの野球評論家が「阪神の外野手は、打球が飛んできたらいかなる場合でも必ず前進しろ」と主張しているようなものではないか。

 しかし、世の「リベラル・左派」には「日刊ゲンダイ」の愛読者が多い。例の「リベラル」こと「都会保守」氏(小池百合子民進党の連携に「ワクワク」した御仁)なども確かそうだった。

 こんなところに、「K値」批判が「リベラル・左派」の間にいまいち浸透しない理由があるのかもしれない。

 私は約40年前というか、正確には39年前の日本シリーズ第4戦で日本ハムが読売に負けた翌日の「日刊ゲンダイ」最終面にデカデカと「日本ハムに 八百長の 疑い強まる」とかいう見出しの文字が踊っているのを見た時*1以来、一貫してずっとアンチ「日刊ゲンダイ」だが、この姿勢は正しかったと改めて思った。

 なお、「日刊ゲンダイ」には今なお宮沢孝幸のコラムが掲載されているようだ。不快なのでリンクは張らないが。

 「日刊ゲンダイ」に「大阪維新の 回し者の 疑い強まる」といったところだろうか。

*1:日本ハムは第4戦に、当時のセオリーだった第1戦と同じ先発投手ではなく、4人目の先発投手を持ってきたため、当時読売のエースだった江川卓との対決を避けて「捨てゲーム」にした、つまり日本ハム八百長をやった、と当時の日刊ゲンダイが主張したとみられる。「とみられる」というのは、私は見出ししか見ていないからだ。