kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

高橋茉莉氏が衆院東京15区補選の民民公認内定を取り消された本当の理由とは

 衆院東京15区補選の民民公認予定取り消しの件だが、昨日の記事であえて書かなかったことがある。それに気付いたのは、昨日の記事からリンクした下記はてなブログの記事についたブコメによってだった。

 

kyonkyon-senkyo.hatenablog.com

 

 そのブコメは、誠に遺憾ながら、今なお「注目コメント」の冒頭に表示されている(下記リンク)。

 

国民民主党・高橋まり氏が東京15区補選で立候補断念…そのワケは?そして国民民主はどこへ… - きょんきょん(地方議会・政党)

生活保護費を受給しながらラウンジ嬢をやっていた事を本人が言っているので、ラウンジ嬢の稼ぎ次第では不正受給にあたる疑いがあるという話は何故書かないのかな?/高橋氏はリプ以外のポスト全消ししてるな

2024/02/25 13:46

b.hatena.ne.jp

 

 まともなブコメは上記のカスブコメに追いやられて4位にいる(下記リンク)。

 

国民民主党・高橋まり氏が東京15区補選で立候補断念…そのワケは?そして国民民主はどこへ… - きょんきょん(地方議会・政党)

生活保護不正受給は、期間中に申告外の仕事のあるかに関わるので、時期が被ってなかったりちゃんと申告して控除を受けていれば問題はない。ネット上の情報からは確定しにくい。

2024/02/25 14:08

b.hatena.ne.jp

 

 私がお気に入りに入れている地下猫氏のブコメも下記に挙げておく。このブコメには、記事を書いた「きょんきょん」氏のスターもついている。しかし、これも誠に遺憾ながら、スターをつけたのは私が2人目だった。

 

国民民主党・高橋まり氏が東京15区補選で立候補断念…そのワケは?そして国民民主はどこへ… - きょんきょん(地方議会・政党)

生活保護不正受給の判断そのものが不当であることも多い。生活保護世帯の高校生が修学旅行代と大学受験の費用のためにバイトして不正受給認定され、のちに裁判で不正受給ではないと確定したなどの事例多数。

2024/02/25 21:27

b.hatena.ne.jp

 

 また、政治おじいちゃんお化け氏のXにも注目した。

 

 

 

 その赤いマークの人って、確か前回の衆院選柿沢未途応援の旗を振った人ですよね。あの人、「生活保護の不正受給」をがなり立てる人なんですか? 私は全く知らないし、ある件以降あの人についてはブログ記事で触れないようにしてたんですけど。

 

 いずれにしても、私が持った強い心証は、高橋氏が民民の公認を取り消されたのは、いわゆるネトウヨを中心にして「右」側に拒絶反応が強いその件が最大の理由なんだろうなということだ。右側からの支持が何よりも大切な民民としては、こんな人は公認できないと考えたに違いない。

 この件で思い出されるのは、2012年に片山さつきが大々的にアピールして、「右」側にとどまらない拍手喝采を浴びたことだ。あれほど不愉快なことはなかった。

 今回の件について、4月の補選に選挙権を有する東京都江東区民として言わせてもらえば、もし、高橋氏がそれこそ元号新選組でも良いから他の政党から立候補するなら、投票することを考えても良いとさえ思った。これまでは、民民の政策に共鳴するような新自由主義者は嫌だなあと思っていたのだが、意見を変えた。新選組も、須藤元気なんかを担ぐよりも高橋氏を担いだ方がよっぽど良いと思うのだがどうか。

 それくらい、今回の民民の所業には怒り心頭に発している。

元アナ高橋茉莉氏、ラウンジ勤務の過去理由に国民民主から補選断念を強要と訴え 玉木代表は反論(日刊スポーツ)

 今度は国民民主党(民民)がやらかした。

 

www.nikkansports.com

 

 以下引用する。

 

元アナ高橋茉莉氏、ラウンジ勤務の過去理由に国民民主から補選断念を強要と訴え 玉木代表は反論

[2024年2月25日9時35分]

 

4月28日に投開票される衆院東京15区(東京都江東区)の補欠選挙に国民民主党から立候補予定だった、元アナウンサーでタレントの高橋茉莉氏(27)が25日、SNSを更新。「国民民主党から、『立候補を断念しろ』と言われ、涙をのんで引き下がることに致しました。理由は、ラウンジで働いていた過去があるからです」と投稿した。これに対し、玉木雄一郎代表(54)は、高橋氏のXでの投稿をリポストする形で「国民民主党はラウンジ勤めのみを理由に立候補の断念を求めるようなことは決してありません。事実関係を整理の上、週明けに正式に説明いたします」と反論した。

 

国民民主党の公式サイトによると、高橋氏は立教女学院小から大学まで進学する予定が、父が経営する会社が倒産した影響で退学し、生活保護を受給していた時期もあり、調布市立調布中、都立西高を経て奨学金で慶大文学部を卒業。ミス慶応、ミス日本出場をきっかけに、大学在学中にアナウンサーを始めて3年活動し、アクセンチュアで3年間勤務も、奨学金の返済や両親の面倒を見るのに四苦八苦する一方で、最近の政治とカネの問題に憤りを感じて出馬を決意したとしている。

 

高橋氏は、Xで「生活保護を経験し、頑張って奨学金慶應を卒業しましたが、多額の返済が残りました。多額の返済が長期に残らないよう、1日でも早く返したいという気持ちが強く、一時期ラウンジで働きました。それが悪いこととして立候補できないのであれば、『底辺で頑張る女子は一生チャレンジすら許されない』のでしょうか」と訴えた。そして「確定申告を毎年しており、年金など税金は問題ありません。私は本日を持って国民民主党から離れます。『お金に困らない、安心して暮らせる社会を実現したい。』私の志を理解して頂ける政党の方たちと出会い、これからも頑張って行きたいと思います。皆様、今後とも何卒宜しくお願いいたします」と離党を宣言した。

 

また、インスタグラムでライブ配信も行い、涙ながらに「ご報告と告発をさせていただきました。(中略)現在の状況といたしましては、きっと私のSNSは凍結されると思います。私が意見を発する場がなくなってしまうと思います。なので、今ご覧になっている皆さまは、どうか録画を取って証拠を残してください。(中略)体調不良を理由に辞退しろと言われました」などと訴えた。

 

(日刊スポーツより)

 

URL: https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202402250000274.html

 

 本件は下記ブログ記事経由で知った。経緯についても下記ブログ記事が詳しい。

 

kyonkyon-senkyo.hatenablog.com

 

 上記ブログ記事から「これはいえてる」と思った箇所を以下に引用する。

 

何が問題か?過去の事例と比較して

 しかし、現時点でも判明していることがある。まず第一に、国民民主党の代表である玉木氏が職業差別的観念を否定しなかったことである。「ラウンジ嬢として働いていたことのみが立候補断念を要求した原因ではない」という弁明は、言い換えれば「ラウンジ嬢として働いていたこと立候補断念を求めた一因である」ということになる。これは職業差別的な発言であり、公党の党首としての資質に疑義を持たれても仕方がない態度といえる。

 なお、類似の事例として、日本維新の会上尾市議の佐藤恵理子氏が、過去に自らの際どい写真を販売していたことを理由に、彼女を除名したことがある。これは職業差別的理由に基づいて自党の政治家を排除した先例と言えるだろう*2

 次に、これまで批判を続けてきた立憲に対して選挙協力を持ち掛けるほど注力していた東京15区補選の公認候補が僅か17日で立候補断念に追い込まれたこと自体が、如何なる理由にせよ重大な党内カバナンスの欠如を示唆している。このことは国民民主党学生部員のTwitterアカウントからも同様の意見が発信されている。

 

URL: https://kyonkyon-senkyo.hatenablog.com/entry/2024/02/25/092417

 

 私は民民を支持したことなど一度もなく、玉木雄一郎を批判したことは数多くあるが、改めて玉木という政治家及び民民という政党もまた、全く支持するに値しないと思った。

スターリン体制はベリヤやエジョフらの「悪の側近」によるものでもなく、スターリンの「狂気」によるものでもなく、まさにスターリンを頂点とした体制によって引き起こされた。(紙屋高雪氏)

 共産党については、同党の大門実紀史・前参院議員のXも注目される。

 私はXのアカウントを持っていないのでなかなかブログ記事で紹介できないのだが、たまにアクセスできた時に(たいがいはXがポストされた直後だ)URLを記録しておくなどの手段を使っている。何度も書く通り、私は「渇すれども盗泉の水を飲まず」の諺に従う。今後ともXのアカウントを取得するつもりは全くない。

 下記は少し前の2月9日のX。

 

 

 大門さんも大山奈々子さんも京都の出身だ。

 昨日(2/24)ポストされた下記のXはさらに注目される。

 

 

 上記Xからリンクされた西郷南海子氏のXを再掲する。

 

 

 私はXのアカウントを持っていないので、「このこと」が書かれた先行のXがどなたがポストしたどんなXかはわからない。しかし、『しんぶん赤旗』に紙面1ページをまるまる費やして掲載された中北浩爾・中央大学教授に対する強烈な反批判の記事に対する論評であろうことには疑う余地がない。

 共産党執行部批判はもうこんな段階まできた。

 私は、事態がこのような段階にまで至った最初のきっかけは、2021年衆院選の敗北を当時委員長だった志位和夫が拒否したことだったと思う。ついでに書くと、同じ衆院選に対して間違った総括を行なった結果生まれたのが立憲民主党(立民)の泉健太代表である。泉は就任当初にとった「提案型野党」によって翌2022年参院選に惨敗したが、党が「提案型野党」路線の失敗が参院選敗北の最大の原因だったと総括して泉もそれを了承したはずなのに、なぜか「続投」つまり代表職にとどまって、今度は維新にすり寄って「『維新八策』に大部分協調できる」とまで持ち上げたのに維新に足蹴にされた。それでもなお代表職にとどまっているうちに立民の政党支持率が上昇に転じたが、これは何も「提案型路線」だの「維新へのすり寄り」だのが有権者に評価されたからでもなんでもなく、単に岸田文雄内閣と自民党の支持率が歴史的崩壊段階に達したことによる自民党支持層の流出のほんの一部をいただいたものに過ぎない。自民党から流出した多くは無党派層、次いで維新、さらには元号新選組に支持が流れ、立民はそれらに次ぐ4番手くらいの流出先でしかない。それでももともとの立民の支持率が低かったからそれなりの支持率上昇になっているだけのことだ。立民・共産両党が2021年衆院選の総括を誤ったところに、翌2022年7月の安倍晋三銃殺をきっかけとして自民党の崩壊が始まり、これらが現在の政治状況の混迷を招いた。

 しかし共産党の混迷の原因は何も志位和夫個人のせいばかりではない。否、志位氏個人の寄与などむしろ小さいくらいだ。参考になると思うのは紙屋高雪氏の下記ブログ記事だ。

 

kamiyakenkyujo.hatenablog.com

 

 特に印象に残った部分を以下に引用する。

 

 アリルーエワは「スターリンの娘」であることから逃れられなかったけども、スターリンの娘であるという呪いを生きることによって、スターリン体制はベリヤやエジョフらの「悪の側近」によるものでもなく、スターリンの「狂気」によるものでもなく、まさにスターリンを頂点とした体制によって引き起こされたことを正確に洞察し、そのような体制が現代ロシアにも続いていることを見抜いた。

 つまり政治的ポジションとして、スヴェトラーナ・アリルーエワ、すなわち「スターリナ」は自分の生き方を通じて到達した、徹底かつ慧眼の反スターリン主義者であったということができる。

 

URL: https://kamiyakenkyujo.hatenablog.com/entry/2024/02/20/010848

 

 「スターリン」を「志位和夫」に、「現代ロシア」を「日本共産党」に置き換えれば、そのまま現在の日本共産党に当てはまると思った。

 なお、少し前に紙屋氏が田村智子委員長を「スターリナ」と表現したXがあったが、あのXにおいては田村智子はスヴェトラーナ・アリルーエワ、旧姓スターリナになぞらえられたのではない。スターリナはスターリンの女性形だから、あのXには単に「(田村智子委員長は)スターリンのような女性だ」という意味しかない。

 そして田村委員長はもともとああいう人ではなかった。2021年の衆院選敗北では、本来あるべき総括を示唆するXを発信し、ウクライナ戦争勃発直後には、ウクライナに防弾チョッキを送ることに賛成する発言をした。これらはおそらく志位和夫小池晃らの意向によってXを削除し、防弾チョッキの発言は取り消した。後者に関する当時の読売新聞記事を以下にリンクする(引用は省略)。

 

www.yomiuri.co.jp

 

 私は防弾チョッキに関しては当初の田村氏の意見の方が正しく、志位や小池の方が間違っていたと思う。というのは、防弾チョッキも武器のうちかもしれないけれども殺傷能力はなく、自らの身を守る防御具でしかないからだ。敵の侵略に対して自らの身を守るのは万人が持つ当然の権利であろう。そもそも志位や小池は日米安保自衛隊に関する見解で小沢一郎らと手を組むための大幅な譲歩をしてきた一方で、党内では硬直的な押し付けを行うのだから全く感心しない。

 しかしその志位に対してさえ、私は何も憎悪のような感情は持っていない。彼が浸水している旧ソ連の大作曲家、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)と同じような二面性を持っている人だと思うだけだ。ショスタコーヴィチの二面性については、ロシア文学者の亀山郁夫氏がよく論じている。

 

bunshun.jp

 

 以下引用する。

 

「二十五歳のとき、ソ連を旅行中、ショスタコーヴィチの死を現地のテレビで知りました。メディアでは彼の死が大々的に取り上げられ、彼の作った交響曲が流されました。しかし、当時の私にショスタコーヴィチは、体制の御用音楽家に思えて、とても聞く気分にはなりませんでした。その後も、彼の音楽を避け続けてきました」

 

 亀山さんは、一九九四年サンクトペテルブルグで行われた「白夜祭」で、偶然ショスタコーヴィチ交響曲第八番を聞き、みずからの間違いに気づく。

 

予定調和的な音楽の概念を根本から覆す曲の作りに圧倒されました。彼の曲にはスターリン時代に人々が感じた心の傷が、リアリティを持って描かれているのです。私は『これは文学そのものだ』と感じました。確かに音楽家としての側面に光を当てた書籍は、数多く出版されていました。しかし、彼の作家性や時代背景を十分に捉えきれているとは思えなかった。文学者である自分が、文学研究の手法を使って彼の音楽と人生に正面から取り組むべきだと考えたのです」

 

 スターリン体制下の芸術家のあり方を研究してきた亀山さんは、ショスタコーヴィチの人生の間に起った歴史的な事件を点として捉えず、大きな流れとして捉えるようにした。そのために、近年公開された資料やロシアで発表された膨大な資料を読み解いた。

 

スターリンは粛清を繰り返す暴君でしたが、一方で芸術の力を信じ畏怖する独裁者でもありました。しかし、スターリンの死後、指導者となったフルシチョフは、芸術に関心を持たなかった。これによって、ショスタコーヴィチの孤立はいっそう深まるわけですが、しかし後世から見て、それは吉と出ます。最晩年の彼は、病に苦しみながら、次第に権力者ではなく自分自身と向き合うようになり、自己沈潜の極みともいうべき世界を構築していくからです。そんな芸術家の苦闘の日々を、自分なりに描ききることができたと思っています」

 

URL: https://bunshun.jp/articles/-/7818

 

toyokeizai.net

 

 以下引用する。

 

芸術家はパトロンに2つの感情を抱く

 

──スターリンショスタコーヴィチの駆け引きには恋愛関係のような印象も受けます。ショスタコーヴィチが、形式主義批判で自分を脅したジダーノフの失脚を見通していたのも驚きです。

 

芸術家は権力者、パトロンに対しては2つの感情を抱く。愛と嫌悪と。好きなようにやらせてくれているので恩義を感じる一方、過剰な自尊心からくる憎悪もある。その関係は非常に複雑だ。

 

スターリンショスタコーヴィチの音楽が理解できていたかどうかは疑問だが、彼を芸術家として尊重していた。同時代の作家や詩人を弾圧し、粛清し、虐殺したが、音楽だけは不可侵だった。神の子のように思ってショスタコーヴィチに特権的な地位を与えていた。ショスタコーヴィチにもおそらく、スターリンが自分を愛しているという確信があったと思う。彼が罵倒していたのはむしろスターリンの取り巻きたちが牛耳る検閲権力だった。

 

──ショスタコーヴィチの音楽で議論の的になる「二枚舌」。通説では社会主義への礼賛とスターリン権力への批判だとされますが。

 

「二枚舌」はむしろ、彼自身に向けられていたと思う。引き裂かれている自分自身に対する二枚舌。天才芸術家で超自己中心主義だから、芸術がよければ、音楽がよければいいというところがあった。交響曲第7番「レニングラード」などは戦う市民への励ましとはとても思えない。他者の死を悼む共感力が出てきたのは、晩年になってからだ。

 

URL: https://toyokeizai.net/articles/-/233981?page=2

 

 後者の文章を読むと、20世紀ソ連ショスタコーヴィチも18世紀末のモーツァルトや19世紀初めのベートーヴェンとよく似た心性の持ち主だったんだなあと思う。「天才芸術家で超自己中心主義だから、芸術がよければ、音楽がよければいいというところがあった」という文章は、モーツァルトベートーヴェンにもずばり当てはまるからだ。

 昨日、水谷彰良氏(1957-)が2004年に刊行した下記の本を読了した。もともとは音楽之友社から出ていたが、2019年に「復刊ドットコム」から復刊されたとのことなので、以下にそちらへのリンクを示す。なお私は2004年版を読んだ。

 

www.fukkan.com

 

 この本の中に、本のテーマであるサリエリモーツァルトを毒殺したというのは冤罪であり、著者も書く通りそんなことはモーツァルトファンなら誰でも知っていることだ)とは離れるが、メッテルニヒ体制下でのベートーヴェンについて、下記の記述があったのに笑ってしまった。

 

ベートーヴェンはヴィーン会議に胡麻をする時曲作品《連合君主に寄せる合唱》(WoO95) を書き、(前掲書229頁)

 

 反動政権の当局から監視対象とされた自由主義者・共和主義者みたいなイメージの強いベートーヴェンでさえ、故すぎやまこういちのような真似をしていたのだった。自らが出世できないのを「イタ公」のせいにしていたモーツァルト父子*1ともども、まったくどいつ(ドイツ)もこいつも、と思わずにはいられなかった。

 話が脱線したが、ショスタコーヴィチの心性や行動も、昔のモーツァルトベートーヴェンとさして変わらず、権力者スターリンに対して二枚舌を使っていた。そして忘れてはならないことは、そんなショスタコーヴィチ(の音楽)には、前記東洋経済記事のタイトルにある通り、強烈な暴力性もあったということだ*2。そんなことはショスタコーヴィチの音楽を聴く人なら、もちろん志位和夫も含めて誰でも知っているはずだ。

 つまり、志位和夫にもモーツァルトベートーヴェンショスタコーヴィチらと同じような二面性がある。いや、志位に限らず人間誰にだって二面性はあるのである。もちろんこれを書いている私自身にもある。だからこそ権力を束縛する仕組みが必要なのだ。

 日本共産党にも党の仕組みを変えなければならない時期が近づいてきた。そう確信する次第。

*1:真犯人は神聖ローマ帝国の女帝マリア・テレジアであり、彼女はモーツァルトを「乞食」、父親をその係累として軽蔑した手紙を親族であるミラノの王族に(及びおそらくはハプスブルク家が支配する他の国にも)送り、モーツァルトの就職を妨害していたのだった。モーツァルトの父レオポルトはそれを全く知らず、終生帝国に忠誠を誓っていた。

*2:亀山氏は「今は若者が精神的に弱くなって傷ついている時代。そういう時代にショスタコーヴィチのような暴力性を含んだ音楽がむしろトラウマを癒やしてくれる」と評している。

共産党の大山奈々子神奈川県議が「松竹伸幸氏のシンパ」とはどうしても思えないのだが

 まことん氏のXより。

 

 

 まことん氏も昔パワハラに遭ってましたか。権力悪によって痛い目に遭った経験がある人なら、あの「パワハラ」騒動は尋常ではないと誰しも思うことでしょう。思わない人はきっと幸せな人生を送ってきたに違いありません。

 ところで、大山奈々子神奈川県議についてですが、彼女を「松竹伸幸氏のシンパ」と断定して疑わないリベラル・左派系の言論が騒動前までの私の記憶と整合しないのでずっと違和感を持っていたのだが、やはりその違和感には根拠があったことが確認できた。

 下記は『世界の終りとハイボール・ワンダーランド』というブログのエントリ。

 

ameblo.jp

 

 書き出しには下記のように書かれている。

 

このブログはフィクションである。

だから大山奈々子氏へこれは本人なのかという問い合わせは野暮である。

吾輩、パトラとソクラは夏目漱石なのであ〜る。

 

 上記リンクのブログに、大山県議が昨年3月15日に発信した下記ブログ記事にリンクが張られている。

 

ooyama-nanako.jp

 

 以下引用する。

 

私は、党首公選制を求めて党内議論を経ずに発刊されたという松竹さんの本も、そのために松竹さんが除名されたことを「攻撃」しているという批判的なメディアの論説も読めていない上に、中央本部と松竹さんの間でどんな交渉がなされたかも読めていないので、大方は信頼している中央の判断を受け入れるしかない。

 

党の議員でありながら、仲間も深く傷つき、周りの支援者も大変心配してくださっている今回の事件にこんなスタンスですみませんと思いつつ。

 

夫は、一般企業ならあり得ん、と批判してくるが、弾圧と解体の攻撃を受け続けた革命政党の存続をかけたルールは、一般的な社会通念では計り知れないものであることは伝えている。

 

ただ、違和感を持つのは、私程度の情報しかないであろう多くの仲間が、共産党は民主的議論が許されています‼️と強弁していること。

 

もちろん規約では許されています。実際私も議員になる前から党の方針とは違うことを提案したり、党の方針を批判したりしています。でも民主的な話し合いの中で解決、昇華してきました。私のごく身近な組織は本当に民主的です。

 

でも、そんな地域ばかりかしら。

 

異論を唱えて周りから袋叩きにあったという告発や、言論封じをされたという声が聞こえてきます。

 

(もっともそういう組織は共産党だけではないでしょう)

 

今回のことは自身を含め、真に民主的な組織運営を行なっているかどうかそれぞれが自省する機会にしなければならないなと思うのです。

 

そもそも共産党に過大な幻想をもってはダメで、党もまた人間集団。誤りも失敗もあります。

 

例えば人権に関する意識が醸成されるには時間もかかり、中央幹部が数年前ハラスメント研修を行ったという話はいいぞいいぞと思いました。同性愛に関する誤った発信を謝罪したこともいいねいいねと思います。私自身も折に触れ人権に関する研修を受けなければと思っています。

 

私は30年以上党に在籍しています。共産党の綱領はかつては党員の資質として「高潔な人格を持ち」と書かれてあってビビったことがありました。今はそれなくなりましたけど。(それはなぜ?)

 

実際には高潔な人も私のようにそうでもない人もいます。そんな人間集団を常にブラッシュアップするには新しい人に党に入ってもらったり、各自が自省することが重要です。党は党として揺るぎないものではなく常に生成発展していく組織なのだと思います。「党の新陳代謝を促進するためにどうぞ入ってください」とお仲間になっていただくことをお願いしています。「いや、僕はその論で行くともうやめていくべき年齢だから」と言われることもありますが、年齢ではなくて、党の外にいた方に中に入っていただいて客観的ご意見をいただくことが必要なのだと思っています。

 

どこの組織も完璧な人間集団なんてないと思いますが、見渡したところ、共産党が民主的であることは相対的には確かです。1期目の議員には発言権もない政党もちらほら。

 

政策でもなんでも共産党の主張とは違う部分がある、という方は多いのですが、一番国民の命と暮らしを尊重している党であることは確かなので、共産党を大きく伸ばしていただきたいと思っています。

 

高潔な人間集団になるべく国民に恥じない組織であるべく自身の研鑽と組織的にも見直しを図っていきたいと思います。

 

(大山奈々子氏のウェブサイトより。2023年3月15日付)

 

URL: https://ooyama-nanako.jp/archives/13840

 

 引用文冒頭の青字ボールドにした部分を見ると、大山さんに「松竹氏のシンパ」とのレッテルを張ることに私が違和感を持った理由がよくおわかりいただけるだろう。

 赤字ボールドの部分で、大山さんは共産党にも問題がないわけではないと言っているが、これは「自戒を込めた」ごくまっとうな意見の発信だ。

 私には昨年春に上記ブログ記事を読んだ記憶があったが、これまでなかなかエビデンスがみつからなかった。でも大山さんのブログ記事の印象は結構鮮烈で、かつ好感を持った記憶があったから、えっ、あの大山さんが共産党執行部に名指しで批判されているのか、と驚いたのだった。

 しかし今回大山さんが共産党大会で新委員長じきじきの批判の対象となった。

 これは共産党が松竹氏や氏に意見の近い人を批判するだけでは不十分とみたのか、批判の対象を広げたとしか私には思えない。

 どう考えても戦線拡大をしているのは共産党執行部の方なのだ。異常きわまりない。

 

 大山さんに関しては、こんなXも発信された。

 

 

 「猖獗(しょうけつ)」とは「悪いことがはびこる」という意味。

 

 上記Xに対しては大山さんご自身からの反応があった。

 

 

 「猖獗感」はなく、山下副委員長からの説得は8時間ではなく6時間だったとのことだが、その前に神奈川県委員会からの2時間の説得があったようだから、トータル8時間というのはどうやら事実であったようだ。自殺云々の発言に対する訂正は書かれていないから、大山さんは実際にそのようなことを言ったと推測される。

 これはやはり大変なことだろう。

 直近にはしんぶん赤旗の紙面1ページをまるまる費やしてのに中北浩爾・中央大教授に対する批判キャンペーンもあったようだ。

 共産党執行部の過剰防衛だとしか思えない。現状では無党派層は離れる一方だろう。

宮武嶺さんは「日本共産党は日米安保条約廃棄の綱領を高く掲げ続けるべきだ」と書くが

 宮武嶺さんのブログ記事より。

 

blog.goo.ne.jp

 

 タイトルにある「日本共産党日米安保条約廃棄の綱領を高く掲げ続けるべきだ」とあるんですけど、志位和夫氏自身が2015年に下記産経記事に書かれているようなことを言明しちゃってるんですよ。

 

www.sankei.com

 

共産・志位委員長「日米安保条約は維持」 国民連合政府実現の場合

2015/10/15 16:02

 

 共産党志位和夫委員長は15日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、同党が呼び掛ける安全保障関連法廃止を目指す野党連立政権「国民連合政府」が実現した場合、党綱領で掲げる日米安保条約廃棄は求めずに維持する考えを示した。「現行の日米安保条約の枠内で対応する」と述べ、有事の際には在日米軍に出動を求める場合もあるとの認識を示した。自衛隊についても「急迫不正のときに自衛隊を活用するのは当然だ」と述べた。

 

産経新聞より)

 

URL: https://www.sankei.com/article/20151015-ZD35RS4H5FNZ3CPXX3HOP3D33M/

 

 まあ「ソースは産経」ではありますが、都内の日本外国特派員協会での記者会見の内容ですし、共産党は「国民連合政府」を言い出すと同時に小沢一郎とつるみ始めたわけですが、上記記事にあるようなことを言わない限り、小沢とは組めないでしょう。

 また、自衛隊に対する志位氏のスタンスについて、今度は2022年の朝日新聞デジタルの有料記事をプレゼントします。URLの有効期限は23日8時27分です。

 

digital.asahi.com

 

 いちおうインタビューの核心部分だけ書いておくと、志位氏は党としては自衛隊違憲との立場を貫くが、政権としては合憲との立場をとるという、いささかアクロバティックなことを言っています。

 それから、宮武さんの記事本文には

松竹氏がもう一つ主張している日米安保条約廃棄を定めた綱領規定の放棄、この主張ひとつで、松竹氏の悪質性がわかります。

と書かれていますが、手元にある松竹氏の『シン・日本共産党宣言』(文春新書,2023)を参照すると、最初の段階では「核抑止抜きの専守防衛日米安保堅持」えすが、次の段階では「日米安保抜きの専守防衛」に進み、さらに非武装専守防衛に移行して自衛隊の解消に向かうと書かれています(118-119頁)。著書のこの記述から、松竹氏が「日米安保条約廃棄を定めた綱領規定の放棄」を求めているとは私には読み取れませんでした。

 松竹氏はもともと

非武装中立」の社会党ではなく「中立自衛」の共産党に惹かれた(前掲書87頁)

という人で、その点では政治に関心を持った時の出発点においては「中立自衛」より「非武装中立」に惹かれた私よりも「武装寄り」の人なのだろうと思います。実際、前掲書を読んだ時も、氏の安全保障論には同意し難い点も少なからずありました。しかし、志位和夫氏も政権入りしたら日米安保条約は維持するとか政権においては自衛隊は合憲との立場をとると言っているわけですから、その点においては志位氏と松竹氏の立場の違いなどほとんどないのではないかと私は思っています。

 現在の共産党の問題においては、前述の通り私は批判する側とされる側の間に対立点はないと考えていますし、仮にあったとしてもその点に関して争うつもりはありません。

 問題はあくまで、党内において執行部の権力行使による場合を含むパワハラ等の問題が続出していることです。既に大阪では被害者側の粘り強い言動が報われて解決した事例があると認識していますが、今回は党委員長自身が、しかも一昨年前にパワハラを受けたと認定されるご本人が「パワハラ」と認定されても仕方がない「結語」を発したことが批判されています。

 私自身、かつて属していた組織内で不当な権力行使を受けたと認識している件がありますし、世の中には組織のトップに立つ人よりも立たない人の方が圧倒的に多い以上、私と同様どころか、私よりよっぽどひどい権力行使を受けた経験のある人は数限りなくいることでしょう。

 現在の日本共産党は、そういう人々にとって全く支持するに値しない政党に成り下がっています。本来労働者のための政党のはずなのに。それが現在のこの党の最大の問題だと考えます。

 なお執行部の権力を縛る仕組みは自民党にも立憲民主党(立民)にもありません。だからこそ自民党においては2012年から2021年まで安倍晋三だの菅義偉だののやりたい放題が許されてきました。現在はその矛盾が一気に噴出して政権及び党の危機にまで至っています。そして自民党現総裁の岸田文雄も、立民代表の泉健太も、いずれも権力工作を得意として現在の地位にのし上がった人物であり、これらの人士たちに壟断される与党や野党第一党にも私には我慢なりません。

 各政党が、自らの組織にも立憲主義を適用するようになれば、その党への支持は飛躍的に増大すると私は思うのですが。