kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

捏造論文の「量」で勝負した、元東邦大学の麻酔科医・藤井善隆

「正の相関関係」 - Living, Loving, Thinking, Again(2014年10月17日)より

「捏造」というのは捏造として実体的に存在しているわけではあるまい。ばれるという出来事を通じて存在を開始するのだ。「インパクトファクター」が高いということは読者が多い、より注目が集まるということであり、ばれやすくなるということだろう。じゃあ、「捏造」するなら「インパクトファクター」がもっと低い雑誌でやれよという話になるけど、そうすると、ばれるリスクは低くなるけれど、敢えて「捏造」してまで得られるベネフィットも小さくなる。


ところがどっこい、「『インパクトファクター』がもっと低い雑誌」で大量に捏造論文を書いた「研究者」がいたりする。

榎木英介『嘘と絶望の生命科学』(文春新書, 2014)より

 確かにネイチャーに一本論文を出すことは大きな利益がある。不正をやってでも載せたい人が多いだろう。しかし、そんなネイチャーをはじめとする一流雑誌は、影響力が強いがゆえに、たくさんの研究者の目にさらされ、再現実験を行う研究者も多い。出した瞬間から猛烈なあら探しが行われるのだ。
 2014年の1月下旬に発表されたSTAP細胞の論文に、はやくも翌2月上旬にはネット上でおかしいという声があがった。CNS*1などのインパクトファクターが高い雑誌に論文が掲載されると、不正発覚のリスクは高いのだ。
 たとえ不正をしてもCNSほどの影響力のある雑誌に載せられないような研究者は、別の手を考える。影響力のない、つまりインパクトファクターの低い雑誌などに論文を載せまくる。業績の水増しをするのだ。
 影響力のない雑誌に掲載されると、逆に注目をあびることが少ないので、不正がバレる確率が減る。もちろん、インパクトファクターは低いから、業績としては価値は低いが、量で補うのだ。そういうインパクトファクターの低い雑誌の論文は数十本出してはじめてCNSの一本と同じ価値になるわけだが、だったら、数十本出そうという「戦略」だ。
 この戦略を大々的にやったのが、172本という不名誉な世界記録のねつ造を行った、元東邦大学の麻酔科医、藤井善隆氏だ。度々の登場で恐縮だが、藤井氏は架空のデータをでっち上げ、これだけの論文を書いた。そして、この業績を地位獲得に使った*2
 ウソの論文は、やがて歴史の波に飲まれ、誰からも引用されずに消えていく。ところが、一度得た地位は簡単には手放せない。だから、地位を得る審査のときに水増ししようとする輩が出てくる。業績はいわば「最大瞬間風速」のようなものだ。
 もし、地位の獲得に不正が使われたら、まじめにやっている研究者が報われない。そして、本当に実力のある研究者が低い地位に留められることになる。社会にとっても損失だ。

(榎木英介『嘘と絶望の生命科学』(文春新書,2014)188-189頁)


嘘と絶望の生命科学 (文春新書 986)

嘘と絶望の生命科学 (文春新書 986)


引用文中に「度々の登場で恐縮だが」とあるのは、同じ本の139頁にも藤井善隆の話が出てくるためだ。Wikipediaによると、藤井は、1997年に東邦大学講師、2005年に同准教授に昇格したが、2012年に研究不正が発覚して失職した。なるほど、こんな輩がいるのでは、「小保方晴子なんてかわいいもの」という声が聞こえる理由もわかる。藤井が論文捏造に最初に手を染めたのは1993年で、その後20年近くも捏造論文を大量生産していたことになる。論文捏造は藤井のライフワークであったと言っても過言ではなさそうだ。

なお、同じWikipediaによると、

藤井以前に、単独で論文撤回本数の記録をもっていたと考えられている研究者は、同じく麻酔学者であったドイツのヨアヒム・ボルト(Joachim Boldt)で、90本ほどの論文の撤回が必要となっていた。

とのこと。

余談だが、Googleで藤井善隆に関する画像を検索してみると、なぜか小保方晴子の画像があちこちに現れるのに笑ってしまった。

また話は飛ぶが、この藤井善隆の「『塵も積もれば山となる』作戦」から、なぜかサブプライムローンを思い出してしまった。あれは、「塵も積もれば」とは逆に、山のような巨大なリスクも細かく分散してしまえばリスクは薄められるという、今にして思えば「ほんまかいな」と言いたくなる話だったから、似てるような似ていないような話だが、インパクトファクターの小さい雑誌にウソの論文を分けて投稿すれば、露見(して失職)するリスクは薄まるだろうと藤井善隆が考えたとみなせば、似ているといえなくもない。

同じようなことを考えた人間はいないかと思って「藤井善隆 サブプライム」でググったら、2ちゃんねらー

サブプライム詐欺と同じ。
こっちは生物科学金融工学てか

などと書いていたのを見つけて*3、やられたかと一瞬思ったが、これは、その1つ前*4

STAPは信用創造詐欺なんだよ
誰もそれを見たことが無いのに、ハーバードやら女子医大やら理研やらで箔を付けてアホを騙された。それだけの話

に対する応答だった。

サブプライムローンの場合、もともとのリスクが大きければ大きいほどたくさんの断片に切り刻まざるを得ず、その結果多くの金融商品に切り刻まれた高リスク債券が入ってしまってリスクを回避できなかったと私は解している。それと同じように、藤井善隆の場合は、個々の論文の虚偽が露見するリスクは低くとも、それらの捏造論文はすべて藤井善隆が書いていたのだから、藤井本人にとってのリスク回避にはなろうはずもなかったといったところか。もっとも、15年間も「大学のセンセイ」として威張ることができたのだから、藤井善隆も苦労の元はとったといえるのかもしれない。

いずれにせよ、金儲けに繋がる研究分野であるとされる「バイオ」と、金儲けそのものを研究する分野であると思われている「金融工学」との印象が似てくるのは決して偶然ではないのではないかと思う今日この頃。

*1:Cell, Nature, Scienceの3誌=引用者註

*2:藤井善隆氏論文に関する調査特別委員会報告書 日本麻酔科学会 2012=原註(本書214頁掲載)

*3:http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1411817753/471

*4:http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1411817753/470

小渕優子、経産相辞任不可避か

TBS『News i』より。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2325963.html

小渕経産相 資金問題、「辞任不可避」の見方広がる

 小渕経済産業大臣が関係する政治団体の不透明な資金問題をめぐり、自らの責任を認めたことで政府・自民党内には小渕大臣の辞任は避けられなくなったという見方が急速に広がっています。

 この問題は小渕大臣が関係する政治団体が2010年と11年に企画した支持者向けの「観劇会」で、参加費として集めた収入より劇場側への支出が2643万円多く、この差額を政治団体側が負担した形になっているものです。

 また、2012年に開いた同じ「観劇会」の収支が政治資金収支報告書に記載されていないことも新たに判明し、小渕大臣は17日の国会答弁で「知らなかったでは済まされない」と、自らの責任を認めました。

 こうしたことから、政府・自民党内には小渕大臣の辞任は避けられなくなったという見方が急速に広がっていて、安倍総理大臣が外遊から帰国する18日午後以降の動きが注目されます。

(TBS『News i』 2014年10月18日05:15)


小渕優子は一刻も早く辞任すべきだと私も思うし、おそらく本人も辞めたくてたまらないのではないか。

昨日も書いたが、元々小渕がそう得意でもなさそうな経産相のポストを、原発再稼働を早く進めたい安倍晋三の人気とりのために押し付けられたことが目に見えているからだ。

当ダイアリーには、過去に小渕優子の名前が出てくる記事は、昨日の記事や引用文中に名前が出てくる記事も含めて7件あり(当記事が8件目)、うち3件が小渕の経産相就任後の記事だった。意外に少ないが、これは小渕が稲田朋美高市早苗片山さつきのような極右政治家ではないからだ。

その中から、植草一秀小渕優子に入れ揚げていることを記録した記事を挙げておく。


で、そんな植草が今何をやっているかといえば、相も変わらぬ喜納昌吉の宣伝なのであった(呆)


植草よ、どこへ行く?(笑)


[追記](2014.10.18 10:51)
日経が小渕優子の辞意表明を伝えている。

小渕経産相が辞意 政治団体収支問題で首相周辺に :日本経済新聞

小渕経産相が辞意 政治団体収支問題で首相周辺に

 小渕優子経済産業相は17日、関連政治団体資金管理団体の不透明な収支を巡る問題の責任を取って辞任する意向を安倍晋三首相周辺に伝えた。首相が18日にイタリアから帰国するのを待って進退を協議する。女性活躍を掲げる第2次安倍改造内閣の看板だった小渕氏が「政治とカネ」の問題で辞任すれば、政権運営に大きな打撃となる。

 問題となっているのは小渕氏が関係する政治団体小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振…

日本経済新聞電子版 2014/10/18 2:00)

小渕優子には早く辞めてもらいたいものである(笑)

トムソンロイター

小保方晴子笹井芳樹若山照彦・ヴァカンティらを共著者名とする恥ずかしい「STAP細胞論文」騒ぎもなんのその、『ネイチャー』の2014年度「インパクトファクター」は40を突破していたらしい。

2014年 インパクトファクター発表! : 負け犬主義。(2014年7月30日)より

2014年 インパクトファクター発表!

例年より遅れること1ヶ月。トムソンロイター社より,最新のインパクトファクターが公開されました。例年のように主要学術誌を眺めてみます。

まずは雲上の存在であるCNS。

Nature: 42.351
Cell: 33.116
Science:31.477

いずれも30以上を維持。それどころかNatureは40台の大台を突破!STAP細胞騒動そっちのけで,ますます注目度を集めています(もちろん今回の集計に小保方氏論文の被引用回数は含まれませんが)。Natureグループの勢いはとどまるところを知りません。


ブログ主はバイオ系の研究者らしい。どえらく興奮した書きっぷりだ。

ただ,過去に3科学誌は商業主義…ノーベル受賞者が「絶縁」という話もあったように,Natureを手放しで称賛するというのは良くない傾向。STAP細胞の件もありましたし,今後はいったいどうなることやら。


リンク先からさらにリンクを張られている読売の記事はリンク切れだが、当ダイアリーにも記録しておいたものだ。わざわざ再掲する気は起きないが。

ところで、トムソンロイター社とは、Wikipediaを参照すると、

カナダに本拠を置く大手情報サービス企業であるトムソンがイギリスに本拠を置く大手通信社のロイターを買収することにより、2008年4月17日に設立された。買収価格は当初87億ポンドと発表されたが、80億ポンドに目減りした。

トムソンにとって「ロイターの買収は2大メディアグループを統合することで、金融ニュースと情報の一大発信源を作り出すのが目的だった」が、「2グループの統合はいまだ期待されたすべての恩恵をもたらすには至っていない」と評価されている。推計によると、金融データ市場におけるトムソン・ロイターのシェアは、ライバルのブルームバーグをかつて10ポイント以上引き離していたが、数ポイント差まで迫られている。

とのこと。トムソンという会社にロイターが買収されていたとは知らなかった。

そんな私企業が発表する「インパクトファクター」とやらに研究者たちが(日本の文科官僚たちもだが)振り回され、日々「研究不正」や「論文捏造」にいそしんでいるかと思うと、こみ上げてくるバカバカしさを抑え切れない。それは、筋肉増強剤やコルク入りバットなどを使ってホームランの記録を伸ばしたメジャーリーガーたちに感じたバカバカしさに似ている。もちろん、研究不正や論文捏造なんかやらない研究者の方が、薬物や不正バットを使わないメジャーリーガーと同じように比率としては圧倒的に多いのではあろうが。

それにしても、「インパクトファクター神話」とは、誰が考えても狂った話としか思えないのではないか。

格差論争 ピケティ教授が語る(NHK)

NHK飯田香織といえば、せっかくのジョセフ・スティグリッツへのインタビューの貴重な時間に、安倍晋三ノーベル賞に値するかどうかとかなんとか、考え得る限りもっとも愚劣な質問を発して時間を無駄にした悪印象が強烈だが、今度はトマ・ピケティにインタビューしている。今回はつまらない無駄口は叩かなかったようだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2014_1017.html

格差論争 ピケティ教授が語る

格差は拡大しているのか。どこまでの格差なら許容できるのか。そんな世界的な論争のきっかけとなった本が「21世紀の資本論」です。
著者は、フランスのパリ経済学校のトマ・ピケティ教授(43)。アメリカではことし春の発売以降、半年で50万部のベストセラーとなり、多くの言語に翻訳されています。“ピケティ旋風”の裏にあるのは何か、経済部・飯田香織デスクの解説です。


300年のデータで実証

「21世紀の資本論」は英語版で685ページにも及ぶ、漬け物石のような分厚い本です。特徴をひと言で言えば、何となくみんなが思っていることを「実証」しようとしたことです。

ピケティ教授は、20か国以上の税金のデータを、国によっては300年前までさかのぼって集め、「所得」と「資産」を分析。日本については明治時代から調べています。

その結果、▽資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく傾向がある、▽格差は世襲を通じて拡大する、と指摘しました。


ピケティ教授は、NHKとのインタビューの中で、次のように語っています。

Q:
「21世紀の資本論」で伝えたかったことは何ですか?

ピケティ教授:
欧米や日本などでは、暮らしは楽にならないのに、金持ちばかりがいい思いをしていると感じている人が増えています。多くの人が今の資本主義の姿に疑問を持つようになっているのです。 私は、誰のもとにお金が集まってきたのか、歴史をさかのぼって明らかにしたいと思ってきました。所得税制度が作られたのは、フランスなど欧州各国やアメリカでは1900年前後です。日本ではもう少し早く始まりましたね。相続や資産に関するデータについては、イギリスやフランスでは18世紀にまでさかのぼることができます。無味乾燥なデータが、実は、私たちの暮らしそのものを表しています。

Q:
調べた結果、何が分かりましたか?

ピケティ教授:
とりわけヨーロッパや日本では今、20世紀初頭のころと同じくらいにまで格差が広がっています。格差のレベルは、100年前の第1次世界大戦より以前の水準まで逆戻りしています。

Q:
資本主義が問題なのですか?

ピケティ教授:
資本主義を否定しているわけではありません。格差そのものが問題だと言うつもりもありません。
経済成長のためには、ある程度の格差は必要です。ただ、限度があります。格差が行きすぎると、共同体が維持できず、社会が成り立たなくなるおそれがあるのです。どの段階から行きすぎた格差かは、決まった数式があるわけではありません。だからこそ過去のデータを掘り起こして検証するしかないのです。


水はしたたり落ちなかった

富裕層と一般の人の間には、はじめは大きな格差があっても、経済成長による賃金の上昇などを通じて、上から下に水がしたたり落ちるように富が広がり、格差は徐々に縮小していくと言われてきました。

しかし、ピケティ教授は、20か国以上のデータを分析した結果、日本を含めたすべての国で、そうではなかったと指摘。例外は、皮肉にも2つの世界大戦の時期で、このころだけは格差は縮小したとピケティ教授は言います。

なぜ格差は広がったのか。

富を手に入れる方法を単純化すると、▽一般の人のように、働いて賃金やボーナスを受け取る方法と、▽資産家のように、金融資産の利子や株式の配当などを受け取る方法があります。

ピケティ教授は、富裕層の資産が増えるスピードが一般の人の賃金などが増えるスピードを上回っていることが問題の根源だと強調。つまり、働いて稼ぐよりも相続や結婚などを通じてお金を受け取るほうが手っ取り早いというのです。

そして、▽資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく傾向がある、▽格差は世襲を通じて拡大すると結論づけました。

分厚い経済専門書がいったいなぜここまで幅広く受け入れられたのか。ピケティ教授は大きな背景として、次のように述べています。

今、世界では、排外的な動きや極右の動きが広がっています。この裏には、格差問題を簡単に解決できず、それにみなが気づいていることがあります。国内で平和的に解決できないと、国どうしの緊張、世界レベルの紛争につながってしまいます。
こうした不安に加えて、私は、富裕層の側にも、このまま格差が拡大して分厚い中間層がなくなると、ビジネスが成り立たなくなるという警戒感があることも背景にあると思います。これは、アメリカの企業経営者や政府関係者と話していて、特に感じることです。


低成長、人口減少の日本

ピケティ教授は、日本についても語っています。低成長、人口減少が続くと、格差が拡大しやすくなると警鐘を鳴らしました。

日本は見事に逆戻りしています。1950年から1980年にかけて目覚ましい経済成長を遂げましたが、今の成長率は低く、人口は減少しています。成長率が低い国は、経済全体のパイが拡大しないため、相続で得た資産が大きな意味を持ちます。
単純に言うと、昔のように子どもが10人いれば、資産は10人で分けるので、1人当たりにするとさほど大きな額になりません。
しかし、1人っ子の場合、富をそのまま相続することになります。一方、資産相続とは縁がなく、働くことで収入を得て生活する一般の人たちは、賃金が上がりづらいことから富を手にすることがいっそう難しくなっています。その結果、格差が拡大しやすいのです。


では、どうする?

それでは、いったいどう対応すればよいのか。

この論争で賛否が激しく分かれているのが「解決策」です。ピケティ教授は、富裕層に対する課税強化を訴えています。

格差を縮小するには、累進課税が重要で、富裕層に対する所得税相続税の引き上げが欠かせません。国境を越えて資金が簡単に動かせる今、課税逃れを防ぐために、国際的に協調してお金の流れを明らかにするなど、透明性のある金融システムを作ることが必要です。


これには、世界中の富裕層などから猛烈な反発が起きました。稼いでもその多くを税金として納めるとなると、新しいアイデアやビジネスを生み出す意欲がそがれて、経済全体が停滞してしまう、というのです。
富裕層の富の拡大を抑えるのではなく、最低賃金を引き上げたり教育の機会を充実させたりして、一般の人の収入を底上げするべきだという意見も出ています。


広がる論争

この格差の問題、最近、国際会議でも大きなテーマになっています。また、この夏以降、アメリカの大手金融機関や格付け会社が相次いで「行きすぎた格差がアメリカ経済を弱くする」などと指摘。資本主義をいわば象徴する組織の報告書に、正直驚きました。

世界の議論は、格差のあるなしではなく、「格差は拡大している」というのを前提にして、いかに是正していくかという、新しい段階に入ったと私自身は感じています。日本を含めた各国で、どう議論が深まっていくのか、注目して見ていきたいと思います。

この論争に一石を投じたピケティ教授の本の日本語版は「21世紀の資本」として12月に発売される予定です。すでに「21世紀の資本論」として広く知られているため、この特集ではそのように統一しました。

NHK 2014年10月17日 13時10分)


トリクルダウン理論の誤りをようやく悟ったらしい飯田香織には、「なんだ、今頃気づいたのかよ」と毒づきたくもなるが、それでも気づいただけマシなのかもしれない。

「格差は拡大している」というのを前提にして、いかに是正していくかという、新しい段階に入ったと私自身は感じています。

という言葉には、ふーん、飯田香織でもこういうことくらいは言うようになったのかという感想だ。

どうも「飯田」という姓の人とはあまり相性が良くないらしいと思う今日この頃である。

小渕優子、経産相辞任へ(産経)[追記あり]

どうやら小渕優子経産相辞任で間違いなさそうだ。産経が号外を出している。
http://www.sankei.com/module/edit/pdf/2014/10/20141018obuchi.pdf

下記はその「産経ニュース」より。

小渕経産相辞任へ 意向固め、近く首相と会談(1/2ページ) - 産経ニュース

小渕経産相辞任へ 意向固め、近く首相と会談

 小渕優子経済産業相は18日、支持者向けに行った観劇会費用の収支が食い違っている問題などの責任を取り、辞任する意向を固めた。安倍晋三首相は近く小渕氏と会い、最終判断する。平成24年12月に発足した第2次安倍政権で任期途中の閣僚辞任は初めてとなる。9月の内閣改造からわずか1カ月余りで主要閣僚が辞任に追い込まれることになり、政権への打撃は大きい。首相の任命責任も問われそうだ。

 小渕氏は、東京電力福島第1原発事故を受け、停止している原発の再稼働を所管し、地元自治体との調整役を担っていたため、首相は後任の人選を急ぐ。

 小渕氏の政治資金をめぐる疑惑は、同氏の後援会など2つの政治団体が平成22、23年分の政治資金収支報告書で、支持者向けの観劇会の収入として計約740万円を記載。その一方で観劇費やバス代などの支出は2年間で約3400万円と記載していた。収支で約2600万円の差額が生じており、支持者に対する格安の観劇であれば、公職選挙法が禁じる有権者への利益供与に抵触する可能性がある。

 観劇会は24年にも開かれたが、収支報告書に記載されていないことも判明。政治資金管理団体が親族企業からネクタイなどを政治資金で購入したことも分かり、野党から追及を受けていた。

 小渕氏は16日に疑惑が発覚後、事実関係の調査を続けてきた。首相がイタリア・ミラノで開かれていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議から帰国するのを待って、辞任の意向を伝える。

 小渕氏は、首相だった父、恵三氏の急死を受けて地盤を引き継ぎ、平成12年の衆院選で群馬5区から立候補し初当選。麻生太郎内閣では少子化担当相に抜擢(ばってき)され、戦後最年少の34歳で初入閣を果たした。財務副大臣自民党幹事長代理などの要職を歴任し、日本初の女性首相候補の一人に挙げられる。来春の統一地方選に向け、安倍内閣の「顔」として期待されていた。

 消費税率10%への引き上げ判断や原発再稼働を控える首相は、政権基盤の早期安定化を迫られる。

(産経ニュース 2014.10.18 13:36更新)


一部には、「小渕優子は大臣辞職どころではない、議員辞職に値する」とか「逮捕されてもおかしくない」などという声も上がっているようだ。また、「泉下のお父さん(故小渕恵三元首相)もお嘆きだろう」という感想もあるようだが、これに対しては、いやいや今回発覚したようなことは、親父の小渕恵三の頃からやってただろうよ、当時は東京ドームではなくて後楽園球場だっただろうけど」と思う。

いずれにせよ、小渕優子は一から出直すことだ。今までは「親の七光り」に過ぎず、今回は負の七光りで災難にあったようなものだが(世襲政治家の常として、どうせ事務所に任せっ放しにしていたのだろうが、それは言い訳にはならない)、これからは実力で這い上がるしかない。もちろんその実力があればの話だが。

なお、この件に関して、安倍晋三はそりの合わない小渕優子に打撃を与えるために、わざと経産相のポストを与えてマスコミに「身体検査」させたのだろうとかいう陰謀論をどこかで目にしたが、さすがにそれはあり得ない。「小沢信者」の言う「不正選挙」並みにリアリティを欠き、陰謀論話としても出来が悪い。


[追記](2014.10.18 16:13)
時事通信によると、小渕優子は現時点での辞任を否定したとのこと。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014101800158

小渕氏、現時点の辞任否定

 小渕優子経済産業相は18日午後、自らの政治資金の問題の責任を取って辞任するかとの質問に対し、「今やらなければならないのは、私自身の問題でしっかり調査をすることだ」と述べ、現時点での閣僚辞任を否定した。経産省内で記者団に答えた。
時事通信 2014/10/18-15:51)


この記事はもう少し慎重に書いた方がよかったかも知れない。なにしろ「ソースは産経」だから。

阪神、読売を4タテで日本シリーズ進出決定

プロ野球セントラル・リーグ(読売リーグ)のクライマックスシリーズファイナルステージは、阪神が読売に敵地・東京ドームで4連勝して日本シリーズ進出を決めた。

ここで特筆したいのは、阪神が和田監督の胴上げもビールかけもしなかったこと。かつてクライマックスシリーズ初年度の2007年に中日が読売を3タテした時にも落合監督の胴上げはなかったが、その時の中日と同様、今回の阪神の英断を高く評価したい*1日本シリーズに進出するチームにふさわしい行動だった。

もともとリーグ優勝したチームの本拠地だけで試合を行うクライマックスシリーズのあり方に私は反対なのだが、そういう制度である以上、下から勝ち上がったチームは、リーグ優勝したチームや、その本拠地球場に足を運んだファンに敬意を表する意味で、胴上げだのビール掛けだのはすべきでないと私は思っている。相手が、たとえ全世界の野球チームの中でも一番嫌いな読売であっても。

ついでに、日本シリーズ進出チームを決めるプレーオフをやるのであれば、メジャーリーグみたいにホームアンドアウェーで行い、変てこなアドバンテージなど撤廃すべきだというのが私の意見だ。ファイナルステージでの優勝チームのアドバンテージは、第1,2,6,7戦の4試合を主催できる権利を持つことだけにとどめたいものだし、3試合制の第1ステージも、初戦は3位チームの本拠地で行うのが良いだろう。それがいやなら、クライマックスシリーズ自体をやめるべきだ。つまり、出場チームの条件を公平にして開催するか、全くやらないかのどちらかにすべきだ。前者なら、下位から勝ち上がったチームが本拠地で(あるいは敵地であっても)日本シリーズ進出を決めた時、堂々と胴上げをして良いとも考えている。全試合上位チームの主催戦でかつファイナルには変なアドバンテージなんかがついているから要らぬ配慮が必要になってくるのであって、最初から「仕切り直し」と決まっていれば余計な気遣いなど無用である。

なお私は、プロ野球とは、ホームゲームに足を運んでくれた、ホームチームを応援するお客さんに喜んでもらうことを第一に優先すべきだと思っている*2。だから「全国人気」の球団などあってはならないと思うし、相手チームのファンの方が多く入る神宮球場のヤクルト戦のあり方はとても恥ずかしいと考えている。

今のクライマックスシリーズみたいに変なアドバンテージをつけたシリーズは楽しくないとも思う。過去3度ヤクルトが出たクライマックスシリーズでも、神宮球場で行った2011年の読売との第1ステージ、つまり下位球団(しかも読売)との対戦を除いて、何が何でもヤクルトに勝ってほしいとまでは思えなかった*3

何はともあれ、日本シリーズ進出を決めた阪神に拍手を送りたい。

*1:一方、2010年に千葉ロッテが福岡で胴上げしたのには感心しなかった。

*2:メジャーリーグではこの思想が徹底していて、ホームゲームに強い投手が良い投手だとされているそうだ。

*3:ヤクルトが東京ドームで読売とクライマックスシリーズを戦ったことがないせいもあるだろうけれど。