kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

逆だ逆! 手塚治虫の『MW』の方が沢田研二主演映画『太陽を盗んだ男』より先だよ!

私は浦沢直樹の漫画が好きで、特に『YAWARA!』、『MASTERキートン』、『MONSTER』の3作品にはずいぶんはまった。しかし、『20世紀少年』は冗長に思えてあまり楽しめなかった。

浦沢直樹の漫画には、手塚治虫の影響が強く、浦沢の『PLUTO』は手塚治虫の『鉄腕アトム』を直接下敷きにしたリメイク作品だが、現在雑誌連載中の『BILLY BAT』の第2巻*1を一昨日読んで、この作品もまた、手塚治虫の『火の鳥』を下敷きにしていることに気がついた。


BILLY BAT(2) (モーニング KC)

BILLY BAT(2) (モーニング KC)


当エントリの本題ではないので、どこがどう『火の鳥』を下敷きにしているかについては述べないが、ネット検索をかけてみると、NHK-BSで『マンガ夜話』をやっている人たちはさすがに気づいていたようで、昨年11月に岡田斗司夫が指摘していた。
岡田斗司夫のゼネラル・プロダクツ:『BILLY BAT』は『火の鳥』仮説


さて、ここで話は手塚治虫に飛ぶ。現在の売れっ子漫画家・浦沢直樹に強い影響を与える手塚治虫は、死後20年経っても人気が衰えない巨匠だが、手塚の問題作『MW』(「ムウ」と読む)が昨年映画化されたらしい。

これは、1976年から78年にかけて、『ビッグコミック』に連載された作品だが、私は1984年に読んだ。そして、その少しあとに、テレビで沢田研二主演の映画『太陽を盗んだ男』を見た。

たまたま、『宇宙戦艦ヤマト』の方が問題だと思った - Living, Loving, Thinking, Again を読んで、『太陽を盗んだ男』を思い出し、そういえば、あの映画は手塚治虫の『MW』によく似ていたなあと思い出したのだ。『太陽を盗んだ男』が『MW』よりあとの作品だということは、もちろん当時から知っていた。

前述のように、浦沢直樹の『BILLY BAT』から手塚の『火の鳥』を思い出していたこともあって、『MW』と『太陽を盗んだ男』を検索語にしてネット検索をかけたところ、『MW』が映画化されていたことを知った次第だ。

やはり両作品の類似を指摘したサイトはあったが、なんと手塚治虫が『太陽を盗んだ男』に影響されたかのように書いている人たちがいた。

例えば、http://ohtani.laff.jp/blog/2009/03/mw-6e99.html より。

「MW」の映画がR-15にならないなら、その時点で手塚治虫を理解してない証拠さ。


あれって原作の時期とキャラクターから考えるに「太陽を盗んだ男」の影響下かな。


違う違う、逆だよ逆! 『太陽を盗んだ男』の方が『MW』の影響を受けたんだよ!!


M(ムウ)W(1) (手塚治虫漫画全集)

M(ムウ)W(1) (手塚治虫漫画全集)

*1:余談だが、この『BILLY BAT』第2巻に収録されている、黒人花嫁のエピソードはとても印象的で、浦沢はこういうエピソードで読者の心をつかむのが上手だ。