kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ヤクルト、読売を葬り去る。読売は中日戦を見据えた原監督の采配が墓穴を掘った

読売リーグのクライマックスシリーズ第3戦は、ヤクルト先発・赤川の投球にかかっていた。読売先発のゴンザレスは1点も取れない投手ではないので、赤川がある程度抑えれば勝機があると思っていた。しかし赤川が序盤から読売打線に捕まれば一巻の終わりだった。赤川は、9月下旬のナゴヤドーム4連戦最終戦で中日に一矢を報いたが、10月には中日にやられてとどめを刺された若手投手。最後には負けたとはいえ、9月以降のナゴヤドームでヤクルト投手陣では唯一の勝利投手だ。ペナントレースの終盤で修羅場をくぐったことに期待を託したが、みごと期待に応えてくれた。

ヤクルト打線は湿り気味だったが、下位の相川、森岡がよく打ち、リリーフの村中は今夜も9回にソロ本塁打を打たれたもののセーブを挙げた。2試合で2発を浴びたとはいえ、読売戦では勝ち運を持っている村中を救援に起用したのは小川監督の采配の成功だろう。今季のヤクルトは、阪神戦や中日戦では先発投手起用をはじめとする小川采配にずいぶん疑問符がついたが、こと読売戦に関してはレギュラーシーズンを合わせて采配が当たることが多かった。

第1ステージの勝敗を分けたのも監督采配だった。第1戦、同点で迎えた6回表に読売は先発・沢村に代打を出したが、第1ステージに勝てばファイナルステージで戦うことになるナゴヤドームで滅法強い沢村の投球数が増えるのを避けたことは明白だった。

私はそういう采配もありだと思うが、それならその裏のリリーフに信頼度の低い高木など出すべきではなかっただろう。館山のリリーフにローテーション投手の村中を送ったヤクルトとは対照的だった。初戦に負ければ王手をかけられてしまう3番勝負の恐ろしさを原辰徳はなめていた。対戦相手のヤクルトをもなめていた。今年、レギュラーシーズンで読売は対ヤクルトのロードは1勝9敗2引き分けと惨敗していた。それなのに原は勝負をなめ、ヤクルトをなめた。

それでも読売には勝機は十分あった。地力では読売の方が上だし、第2戦の先発は最多勝投手の内海だったのだから当然だ。ヤクルト先発の石川は読売をゼロに抑えられる投手ではないし、先月末に肺炎にかかったあとは調子も良くない。予想通り負けたが、第1戦で原がなめた采配をしていなければ第1ステージはこの試合で終わっていただろう。第3戦だって、たまたま赤川が好投したからヤクルトが勝てたまでのことだ。

読売リーグでクライマックスシリーズが始まって5年だが、これまでレギュラーシーズンの終盤で失速して優勝を逃したチームはすべてクライマックスシリーズの成績が悪かった。2007年、08年、10年の阪神、同じく2010年の読売がそうで、阪神はすべて第1ステージで敗退し、昨年の読売は「似た者同士」の阪神との第1ステージには勝ったものの、最終ステージで中日に惨敗した。これらの例から、レギュラーシーズン終盤の失速はクライマックスシリーズにも悪影響を与えるものだ、だからヤクルトも読売に連敗するだろうと予想していたが、流れを変えたのは原辰徳の軽率な采配だった。

いや、原だけではない。第1戦に先発した沢村も、クライマックスシリーズ開幕前の談話で、ヤクルトは眼中にない様子で、中日の話ばかりかパ・リーグのチームと対戦する日本シリーズの話をしていた。目の前の一戦を大事にしないのが今の読売というチームらしい。

ヤクルトはそうではなかった。普通に戦ったのでは勝てない強敵だから、村中や増渕をリリーフに回して、勝てるチャンスは逃すまいと必死に戦った。こういう戦い方をレギュラーシーズンの終盤でもしてほしかったと思うが、それは来年の宿題にとっておこう。明後日からの中日戦などおかまいなしの戦いぶりだったが、そんなことを気にする必要はなかった。読売に負けてしまえば中日と戦うこともないからだ。

昨夜、普段は滅多に見ない日本テレビ江川卓の番組を見ていたら、江川は「ヤクルトは2連勝を狙った、読売は3試合トータルの戦い方を考えている」と言っていた。私は違うと思った。ヤクルトは一試合一試合を勝ちに行っているのに対して、読売は中日に勝つことを考えている。こんな球団には負けたくないが、それでも負ける可能性の方が高いだろうなと思った。

悪い予想は外れ、幸いにしてヤクルトは読売に勝ったが、うれしいというよりはホッとしたというのが正直な感想だ。こんな球団に負けずに済んだ。やれやれといったところだ。