kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

19年経って元に戻ってしまう「横浜ベイスターズ」

モバゲーのDeNAとかいう企業が横浜ベイスターズを買収することが決まったらしい。

それは前々から報じられていたことではあったけれども、看過できないのは球団名が「横浜DeNAベイスターズ」となるらしいことだ。略称はもちろん「DeNA」になるのだろう。アルファベットではどうするのだろう。バファローズが存在するから単なる "B" は使えまい。横浜ベイスターズが "YB" と略していたのをそのまま使うのか。いやそうではあるまい。略称が "DeNA" だから、"DB" とでもするのだろうか。

新聞の球団名表示も「DeNA」となるなら興ざめだ。「横浜大洋ホエールズ」が「横浜ベイスターズ」に改称された1993年から、新聞に載る球団名も「大洋」から「横浜」に代わり、当時横浜市民だった私は感激したものである。たとえば「広島対横浜」とは、なんて素敵なカード名かと思ったものだ。当時、「福岡ダイエー」が1989年に、「千葉ロッテ」が1992年にスタートしていたが、略称が「ダイエー」「ロッテ」のままだったことに私は不満だった。だから、「横浜」の快挙には万歳三唱したものだった。

だが、その後「大阪近鉄」や「東京ヤクルト」に改称するチームはあったが、略称は相変わらず「近鉄」「ヤクルト」のままだった。ヤクルトなど、読売への当てつけの意味も込めて、略称を「東京」にすべきだと思ったものだが、なにごとも読売に逆らえないプロ野球界ではそうもいかなかった。

横浜ベイスターズ」は年々強くなり、1997年にはヤクルトと優勝を争い、1998年には38年ぶりのリーグ優勝と日本一を果たした。1997年から2001年まで5年連続でAクラス入りした。打撃のチームと守備のチームの違いこそあれ、今の中日に匹敵する強豪チームだった。

しかし、それでも黒字が思うように出ないと悟ったマルハは球団を売却したのである。球団経営の能力も意欲もないTBSが親会社になると、早速横浜の成績は急降下し、現在では4年連続最下位のていたらくだ。なお、球団の強化に力を入れてチームを優勝させても儲からないとわかるや球団経営から身を引こうとした例はパシフィックリーグにもある。それは2001年にリーグ優勝した近鉄バファローズだ。関西では読売リーグの球団である阪神にファンの人気が集中し、近鉄はチーム力は別として人気では阪神に水を開けられる一方だった。

TBSはそれでも球団名だけは「横浜ベイスターズ」を踏襲したが、DeNAとかいうしょうもない企業が時計の針を19年前に戻してしまった。もちろんこれにはナベツネの意向もあるだろう。ナベツネはチーム名に「モバゲー」を入れることだけは反対したらしいが、もともと球団名に親会社の企業名を入れろという主張の持ち主だ。それで90年代にはJリーグと衝突したが、読売支配のプロ野球とは違ってサッカー協会は読売の要求をはねつけ、読売の方がヴェルディ経営から手を引く結果になった。読売の悪影響から逃れたサッカーはその後強くなり、日本代表は自国開催でなくてもW杯の決勝トーナメントに出るまでになったが、プロ野球の人気は落ちる一方で、その中でも読売のいないパシフィックリーグのチームの方が読売リーグのチームより断然強くなった。

その読売リーグにあって19年前に球団名から親会社名を消した横浜、というよりかつての親会社・マルハの試みは、ついに挫折してしまう。

日本プロ野球はまた滅亡に一歩近づいた、そう思う次第である。