kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

読売戦左中間をベイスターズファンが占める横浜スタジアムを見て「野党共闘」に思うこと

こたつぬこ氏のツイートを眺めていたら、昨日(5/6)行われたプロ野球・横浜DeNA対読売戦の1回裏、DeNA・ロペスの打球がいったんはホームランと判定されながら読売ベンチの抗議によりビデオ判定に持ち込まれた結果判定がファウルに覆ったあと、再度打席に立ったロペスが今度は正真正銘のホームランを打った動画にリンクを張った「Deファン」さんのつぶやきがリツイートされていた*1。試合は序盤の大量点にものを言わせたDeNAが12対8で勝って勝率を5割に戻し(4位)、読売は阪神に抜かれて3位に落ちた。

まあ読売の3位転落はざまあだが、ひいきのヤクルトは既に定位置(最下位)に落ちており、昨日は首位・広島相手にサヨナラ勝ちしたとはいえ先週東京ドームで3タテを食った憂さを晴らすには至らないので、勝敗や順位云々には騒ぐ気にはならない。

ここで取り上げようと思ったのは、ロペスの「打ち直しのホームラン」が飛び込んだ横浜スタジアムの左中間スタンドが、ベイスターズのファンで占められていたことだ。昔のハマスタ神宮球場と同様、読売戦や阪神戦では右中間スタンドにまで敵のファンが侵入するのが当たり前だった。それが読売戦の左中間がベイスターズのファンで占められているとは、と感心したのだ。

調べてみるとこれはどうやら、これまで相手チームのファンの来場が多かった読売戦・阪神戦・広島戦、それに交流戦千葉ロッテ戦で外野席を自由席にしていた分の左中間寄りを、「レフトDB指定席」としてベイスターズファンのための座席として確保したためのようだ。この措置は昨年9月の読売戦と阪神戦から始まっていた。つまり横浜スタジアムでは、特に相手チームのファンが多く来る広島戦を除いて、左中間に「レフトDB指定席」が設定されるのが常態となっているようだ。なお、昨年9月の読売戦と阪神戦の「レフトDB指定席」は、読売戦の方が微妙に広い。つまり、広島戦に次いで相手チームのファンが多く来るのは阪神戦であって、読売ファンは中日やヤクルトのファンよりは多いもののもはや「全国区」とは言い難くなっているようだ。もちろんこれが本来の姿であって、本当は広島戦であってもホームチームのファンが多数を占めることが望ましい。

思えば2013年に球団の親会社がTBSからDeNAに代わった頃、横浜ではファンの拡大は望めないから新潟に移転してはどうかという意見も多かった。しかし、新たに球団経営を始めたDeNAが調べたところ、横浜でも十分やっていけると判断した。そして経営努力を重ねた結果ベイスターズのファンは増え、3,4年前からチケットの入手難の状況が生じ始めたようだ*2。それで球団は読売戦や阪神戦であっても(残念ながら広島戦は適用除外のようだが)左中間スタンドに「レフトDB指定席」を設定するようになったと思われる。

この記事で何が言いたいのは、これまでできないと思われていたことでも本気になればできるようになるということだ。たとえば北海道でも札幌の円山球場に来る観客は読売ファンばかりだから日本ハムが移転したって成功しないだろうなどと言う人が多かった。しかし今では札幌ドームでの北海道日本ハム対読売の交流戦で多数を占めるのはファイターズファンの方だ。事情は福岡でも仙台でも同じだろう。

逆に今、ヤクルトや中日の観客動員数がふるわないのは球団の経営陣にやる気がないからだ。中日は親会社が新聞社で系列の放送局も抱えているから、東海地方で中日戦の放送を流していれば自然にファンが集中するシステムがあって(これは読売が全国規模でやってきたのと同じ方法だ)、それにあぐらをかいているうちに時代の流れから取り残された。ヤクルトの場合はもっと悲惨で、球団と資本関係のある放送局(フジテレビやニッポン放送)は、あろうことか読売戦になると読売びいきの中継を垂れ流す始末で、神宮球場は常に相手チームのファンが多数を占め、スタンドは満員にはなかなかならない。もとが巨大人気球団だった上、弱くなるたびに金権補強をするために中日やヤクルトほど凋落が目立たない読売にしても、潜在的には同じ問題点を抱えているといえる。「やればできるのにできない」のがヤクルト、中日(、読売)の球団経営だといえる。

ところでハマスタの左中間スタンド事情を知ったのはこたつぬこ(木下ちがや)氏のツイートによってだが、「やればできるのにやらない」のは、今なかなか支持を伸ばせない「野党共闘」にも当てはまるのではないだろうか。

たとえば、「野党共闘」論者の中には小選挙区制の弊害を指摘する向きが少なくない。それに対して、安倍政権支持側の人間が「小選挙区制をなくしたら『野党共闘』なんか必要なくなるじゃないか」という主旨のつぶやきを発したのを見かけた。

そうだよなあ、その通りだよと私は思った。

今の「野党共闘」には何のための「共闘」なのかはっきりしない弱点がある。もともと小選挙区制のために共闘しなければ勝てないから共闘するという発想から始まったものであって、たとえば全国一区の比例代表制による選挙であれば「野党共闘」など全く必要ないことは、安倍政権支持者のツイートに指摘されるまでもなく明らかだ。

だから、「野党共闘」をするにしても、選挙制度を変えるまでの止むを得ない戦術として共闘するのか、それとも小選挙区制を是として小選挙区制下での選挙に勝つために共闘するのかという2つの立場があり得るわけだ。

当然日本共産党は前者の立場だろうし、自由党は後者の立場だろう。後者の立場に立つ場合、政権を獲ってしまえば多数派の専横が始まる。たとえば2009年の政権交代選挙のあと、政策協定の議論を行っていた社民党国民新党に対して、「つべこべ言わずに第一党である民主党に従え」とブログに書いた「小沢信者」がいた。

今の「野党共闘」は、たとえば比例代表制選挙制度を変えるなどというと小沢一郎とその配下の勢力が離反してしまうため、選挙制度の議論を棚上げしてとりあえず「共闘」しているようにしか私には見えない。だから「野党共闘のための野党共闘」になってしまっている。その結果、明らかに小沢一郎前原誠司小池百合子や神津里季生と語らって起こした「希望の党」の立ち上げに対しても、共産党やこたつぬこ氏を代表格とする「野党共闘」の旗振り役たちは、小沢の責任を問えずに今まで来てしまっている。

これでは国民の広い支持を受けられるはずがない。

また昨年の選挙で躍進した立憲民主党にしても、「選挙に勝つためには大きな塊にならなければダメだと言われていたがそうでないことがわかった」などと言いながら、大きな塊にならずに選挙戦を戦う政党に適合的な選挙制度を提案できずに時間を無駄にして今に至っている。立民には旧「みんなの党」で「一人一票比例代表制」を推進した議員もいるにもかかわらず、立民入り後には選挙制度について何も言わない。自由党小沢一郎)ともども、数年前までは「衆議院比例区80減」を主張していた旧民主党時代からの惰性を引きずっているようにしか私には見えない。その結果、「野党共闘」陣営内から選挙制度に関する議論がさっぱり沸き上がってこない。

このような今の「野党共闘」のあり方は、プロ野球で言えば中日やヤクルトの経営陣と同じような「勝つ気がない」状態だとしか言いようがないのではないか。

たとえば、「政権を獲って選挙制度を変えるために『野党共闘』をする」という立場の政党と、「小選挙区制の永続を望むが、小選挙区制で野党が勝つために『野党共闘』をする」という立場の政党が、それぞれの立場を明らかにした上で「野党共闘」を行うというあり方もあり得ると思うが、今はそうなっておらず、選挙制度の議論が棚上げないし先送りされている。そこからは、かつての「剛腕政治家」への忖度しか感じられない。

これではいつまで経っても再度の政権交代は無理だ。安倍晋三の野望(改憲)の達成を後押しするだけに終わってしまう。

中日やヤクルトではなく、DeNAの球団経営陣にたとえられるべき戦略の再構築が必要不可欠だと強く信じる今日この頃だ。