朝日新聞が参院選の「序盤情勢」を発表した。下記は有料記事だが、冒頭部分は無料で読める。
https://www.asahi.com/articles/ASM6X6DPRM6XUZPS023.html
自公、改選過半数の勢い 参院選、朝日新聞序盤情勢調査
記事には、各党の議席予想を表にした画像が貼り付けられている。
https://www.asahi.com/amp/articles/photo/AS20190705004450.html
これを見ると、各党の予想議席は、自民54〜64(中心値59)、公明11〜15(同14)で与党合計では65〜79(同73)に達する。一方の野党は、立民17〜25(同21)、民民3〜7(同5)、共産7〜13(同9)、社民0〜2(同1)、山本0〜2(同1)*1となり、野党合計では「野党共闘」に不参加の山本党も含めて27〜49(同37)になる。この他に「ゆ党」である維新が5〜11(同8)と予想されている。相変わらず大阪では異常に強く、立民公認の亀石倫子候補は現在は非常な苦戦を強いられているようだ。私は当然ながらおそらくそういう情勢だろうと予想していたので驚きは全くないが、大阪のリベラル系の方の中には、そうした情勢予想に驚かれている方もおられるようで、例として下記のツイートを挙げておく。
亀石倫子先生は確実に当選するだろうから違うとこに入れようと思ってたんだけど、全然有力じゃないことを知ってびっくりしたし入れざるを得なくなった。業界外の人にとってはただの「美人弁護士」なのかもしれないけど実行力があって実績のある人なので大阪の人は是非……
— 高浜ヌウタ (@takahama_nuuta) July 5, 2019
野党共闘のさる「軍師」は、情勢報道を受け手も「立民も共産も躍進基調だ」と強気を崩さない。共産党は実際高めの数字が出ているが*2、立民はどうだろうか。単に参院議員だから一昨年の小池百合子による「排除」騒動の対象外であったために改選議席数が少ないだけのようにしか見えない。
比較されるべきは、立民と民民の合計である20〜32(中心値26)という情勢調査結果と、3年前の前回参院選で民進党が獲得した32議席だろう。つまり、一昨年の「希望の党」設立劇で民進党が分裂したことによって、旧民主・民進系が弱体化したということだ。小池百合子の野望に乗っかってこの事態を招き寄せたのが小沢一郎と前原誠司の2人であることは、絶対に忘れてはならない。ことに念仏のように「大きな塊」を唱え続ける小沢一郎が実際にやったことは野党を分裂させることだったのは、大いなる歴史の皮肉といえる。「大きな塊」にしなければならないと小沢らが考える理由は、衆院選の小選挙区で勝ち抜くためだが、小選挙区制を軸とする選挙制度自体が間違いだったことを、ここ四半世紀の歴史ははっきり示している。
山本党は最大2議席の予想だが、私はその上限である2議席を確保して同党が政党要件を満たすと同時に、山本太郎自身は情勢調査の通りに落選するのがもっとも望ましい結果だと考えている。山本党が2議席を獲得すれば、先日平河エリ氏がツイートした通り「国会の風景が変わる」。これはいずれ行われなければならないことであって、かつ松尾匡が「レフト2.0」と評したカテゴリに属する方向性を持つ。立民に「筆談ホステス」のたすきを着けた候補者がいることからも容易に推察される通り、本来立民などが得意とするはずの分野で、山本党は立民などの一歩先を行くパフォーマンスを見せたともいるのであって、これには立民をはじめとする他の野党にもポジティブな刺激を与えるだろう。
一方、山本候補自身は落選した方が良いと思う理由は大きく2つあって、1つは下手に山本党が3議席を獲得して同候補が当選すると、またぞろ同候補を個人崇拝する「信者」が大量に増殖するに決まっているが、それは間違いなくこれからの日本の民主主義に大きな悪影響を与えるからだ。もう1つは、6年前の天皇直訴事件、政治団体名に元号を冠したこと、さらには直近にもどっかで指摘されていたが、同候補の言動に時折排外主義の色合いが混じることなど、同候補には懸念される点があまりに多いからだ。ただ、同候補は参院での麻生太郎らへの問責決議案棄権が批判されると、直ちに批判の声に耳を傾けて、自らのブログでの公言を翻して安倍晋三への問責決議案には賛成票を投じるなど、自らの未熟さを自覚してそれを改めようとする姿勢も感じられる。私は、おそらく高い確率で落選するであろう山本候補は、衆院への鞍替えなどの軽挙妄動に走らず、しばらく充電の時間を作ってはどうかと希望するものだ。
そして山本候補の支持者たちには、先日上田晋也が言った下記の言葉をよくかみしめてもらいたい。
私は政治、そして世の中を変えるのは政治家だと思っていません。政治、世の中を変えるのは我々一人一人の意識だと思っています。
この記事を書くために、改めて「上田晋也 政治家」を検索語にしてネット検索をかけたら、上記の上田晋也の言葉に対する称賛の言葉が書かれた検索結果を目にすることができた。下記ハフポスト日本版の記事は、上記の検索でヒットした一例だが、私にも強い印象を与えたこの言葉が大勢の人に届いているとは、この「崩壊の時代」の日本もまだまだ捨てたものではないと、珍しくポジティブな気持ちになれた。
くりぃむしちゅーの上田晋也さんがMCを務める「上田晋也のサタデージャーナル」(TBS系列、土曜午前5時半〜6時15分)が6月29日で最終回を迎えた。
「上田晋也のサタデージャーナル」は、とあるジャーナル紙の編集会議をイメージしたスタジオで、上田晋也さんが編集長となって毎週ピックアップされたニュースの背景や解説を専門家と話し合う。
2017年4月に始まり、初回のテーマは「森友学園」。上田さんの本音コメントや政権批判にも踏み込んだ内容が注目を集めてきた。
6月22日の番組では、他のニュース番組があまり取り上げていない自民党の謎の小冊子「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」についても取り上げた。
最終回のテーマは「なぜ忖度は止まらない?」。ゲストの片山善博・元総務相らとともに、モリカケ問題をはじめ、これまでに取り上げてきたニュースを振り返った。
ラスト70秒、一度もカメラから目をそらすことなく…
番組ラスト、上田さんは真っ直ぐにカメラを見つめて、「今日が最終回ということになりました」と切り出した。
「あくまで私個人の考え」と断った上で、「世界がいい方向に向かっているとは思えない。よりよい世の中にするために、今まで以上に一人一人が問題意識を持ち、考え、そして行動にうつす。これが非常に重要な時代ではないか」と語った。
さらに「私はいつも当たり前のことを言ってきたつもりだが、当たり前のことを言いづらい世の中になりつつあるのではないかと危惧する部分もある」と踏み込んだ。
70秒間のメッセージの中で、上田さんがもっとも力を込めたのは「使命」という言葉だった。
「今後生まれてくる子どもたちに『いい時代に生まれてきたね』と言える世の中をつくる使命があると思っています」
一度もカメラから目をそらすことなく思いを語った上田さんに対し、SNSでは「打ち切りとは情けない」「いい番組がまた一つ消えた」「かっこいい」など賞賛する声が上がっている。
上田さんのメッセージ全文は次の通り。
今日が最終回ということになりました。
世の中の様々なことについて、世の中の皆様にほんの少しでも問題提起ができればいいなという思いで、毎週お送りしてきました。
あくまで私個人の考えになりますけれども、今、世界が良い方向に向かっているとは残念ながら私には思えません。
よりよい世の中にするために、今まで以上に一人一人が問題意識を持ち、考え、そして行動にうつす。これが非常に重要な時代ではないかなぁと思います。
そして、今後生まれてくる子どもたちに、『いい時代に生まれてきたね』と言える世の中をつくる使命があると思っています。
私はこの番組において、いつもごくごく当たり前のことを言ってきたつもりです。
しかしながら、一方では、その当たり前のことを言いづらい世になりつつあるのではないかなと危惧する部分もあります。もしそうであるとするならば、それは健全な世の中とは言えないのではないでしょうか。
最後に、また当たり前のことを言わせていただこうと思いますが、私は政治、そして世の中を変えるのは政治家だとは思っていません。
政治、世の中を変えるのは、我々一人一人の意識だと思っています。
みなさま、どうもありがとうございました。
出典:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d16b75ce4b03d61163ba209
政治、そして世の中を変えるのは山本太郎ではないのだ。