下記は、前提自体があり得ない無意味な議論だ。こんなツイートを発することは、自慰行為以外の何物でもない。
躍進の理由は私もまだよく分かりませんが、民進党の支持は下げ止まってた感があったし、あのまま前原民進党で突っ込んでも100議席を狙えたのではと思います(それを多いとみるか少ないとみるかは別として)。「捨てたものではなかった」説は同感で、それだけにあの騒動は本当に悲劇でした
— げそ (@geso0602) July 15, 2019
何度も書くが、「希望の党」設立劇はそういうストーリーでずっと進んでいた(というより小沢一郎が前原誠司を唆して工作を進めていた)のが、安倍晋三による突如の解散によって、予定されていたあらゆる動きが早送りのフィルムを見るようにバタバタと進められたものに過ぎない。「あのまま前原民進党で突っ込んでも」という前提自体があり得ない仮定なのだ。
下記ツイートの指摘が正しい。
前提の問題かと思います。
— 平河エリ #ポジティブ選挙プロジェクト (@yomu_kokkai) July 15, 2019
共産党と組む前提ならそもそも前原さんが代表にはなっておらず、枝野さんが代表になっていたでしょう。その場合もおそらく党は割れていた可能性は高いです。
(前原さんの決断が正しかったとは思いませんが) https://t.co/kjcWfQ4oRp
その通りだ。
そういう動きになることは、私にさえ予想できたことだ。何度引用したかわからないが、私は一昨年の民進党代表選の少し前、2017年8月2日にこの日記に下記のように書いた。
(前略)なお、仮に民進党代表選が枝野幸男と前原誠司との争いになる場合の私の予想は下記の通り。
まず枝野幸男が勝った場合、民進党は分裂するか、または右派の議員が衆院選前に大量に離党し、次の衆院選では「国民ファ★ストの会」(のちの「希望の党」にあたる政党。当時は名称どころか発足するかどうかも未定だった=引用者註)から出馬する。
また、前原誠司が勝った場合だが、この場合も民進党が丸ごと「国民ファ★ストの会」と合併することはあり得ない。民進党とは、国ファがそうなるであろうような右派ポピュリズム政党にとっては疫病神なのだ。特に民進党内の中間派やリベラル系議員は、長島昭久や渡辺喜美や若狭勝や、その背後にいる小池百合子(小池自身は次の衆院選には間違いなく出馬しない)に排除されるだろう。民進党の看板があっては国ファには絶対に受け入れられないから、結局前原が勝った場合に起きるのは、民進党の解党だろう。(後略)
ついでに書くと、当時民進党内で声高に叫ばれていたのは、細野豪志や長島昭久といった同党の右派議員たちによる「民進党は左に寄りすぎているから支持されない」という言説だった。小池百合子もそれを真に受けたから「日本のこころ」から中山成彬・恭子夫妻をスカウトしたり、あげくの果てには「排除」をやらかしたりした。
しかし細野や長島らの言説や小池の行動は、民進党支持層の多数派が抱く思想心情(信条)とはかけ離れたものであり、民進党支持層の多数派の思想心情は、むしろ小池に「排除」された側の枝野幸男らに近かった*1。だから枝野らへの支持が大きく盛り上がり、その熱気に民進党支持層以外の無党派層も釣られて衆院選で立憲民主党が躍進したのだ*2。
つまり、大地震の前の地層と同じで、民進党内には右派議員である細野や長島らの言説と民進党支持層の思想心情との乖離が広がって、党内に大きな歪みエネルギーが蓄積していた。そのエネルギーはいずれ解放されなければならないもので*3、それが起きたのが前原(とその影にいた小沢)による民進党の事実上の解体と立憲民主党の発足だった。あれは不可避かつ不可逆の過程だ。だから「あのまま前原民進党で突っ込んでも」というのは前提自体があり得ないナンセンスな議論なのだ。
旧民主・民進支持層がなすべきことは、そんな「死んだ子の歳を数える」ようなことではないはずだ。
以上の記事を書きながら思ったことだが、結局無理やりにくっつけた「大きな塊」は、塊の内部に働く反発力によって歪みエネルギーが蓄積していき、いつかは崩壊する運命にあるのだろう。新進党然り、民進党然り。そう考えると小沢一郎が「作っては壊し」を繰り返したのも当然であって、要するに小沢の思想が根本的に間違っていたことを意味するものだろう。