kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

阪神の逆転Aクラスと中日・大野雄大の防御率1位タイトルを「交換」したセ・リーグ最終戦に思う

 昨夜(9/30)、プロ野球の全日程が終了したが、セ・リーグの最終戦阪神のAクラス入りと中日・大野雄大投手の防御率1位のタイトルを「交換」するような試合となり、話題となった。

 昔(1982年)、中日の優勝と大洋・長崎啓二選手の首位打者のタイトルを交換するような試合があって、非難囂々だったことを覚えているが、今回はリーグ優勝ではなくクライマックスシリーズ出場権だったせいか、あまり騒がれていないようだ。しかし、大野は3回3分の1を完全に抑えていたし(しかも直近の阪神戦ではノーヒット・ノーランを達成していた)、シーズンの勝ち星が9勝で、二桁勝利に王手をかけてもいた。ここで防御率1位だけ確保しておこうというのはいささかせこいなあと思った。中日の与田監督と阪神の矢野監督はかつて「星野竜」とやらでチームメイトだったし、故星野仙一は中日監督時代、自軍の選手の個人タイトル獲得のために、ずいぶんせこい真似をやっていた。私はやはり釈然としないものを感じる。4位に終わった広島が、今季唯一読売に勝ち越していたチームだっただけに余計にその感が強い。もっとも、今季の広島はやることをやらずにムダな負けを随分重ねたし、年々野球が粗くなる一方のようにしか感じられなかった。最終戦で中日に負け、ジョンソンに自責点4がついた試合は、阪神のモチベーションを上げ、中日・大野のタイトル獲得へのハードルを下げた意味で、まさしく自滅。ジョンソンが勝ち越し点を与えて気落ちした時点で投手を大瀬良にでも代えて中日の追加点を防いでいれば、ジョンソンの自責点は2で済んだかもしれないし、それどころか広島が逆転するチャンスも増えた。だが、すっかり大雑把な試合運びに慣れた広島の緒方監督にはそのような采配はできなかった。

 思えば、2016年の日本シリーズ第3戦で、当時日本ハム大谷翔平を歩かせるでもなく勝負するでもなく「くさい球」を大瀬良に投げさせ、最初から悪球を狙っていたという、水島新司の漫画『ドカベン』の岩鬼を思わせる大谷の悪球打ちの餌食になってサヨナラ負けした試合があった。そこまでの2戦は広島が本拠地で2勝していて、3戦目もタイスコアだったが、試合内容は圧倒的に広島が押していた。しかしこの大谷のサヨナラ安打で流れは変わり、以後は試合が進むにつれて、全試合接戦ではあったものの日本ハムの勢いが増していき、最後はマツダスタジアムでレアードの満塁本塁打が飛び出して(この時にも明らかに投手交代が遅れた)、広島は4連敗でシリーズに敗退した。2017年のクライマックスシリーズDeNAとの初戦に勝ったあと4連敗し、昨年の日本シリーズでもソフトバンクに1引き分け1勝のあと4連敗した。すべては2016年の日本シリーズ第3戦の不徹底な大谷との勝負から始まった感がある。

 あの試合、テレビ朝日で解説していた、ヤクルトを最下位にして「監督失格」の烙印を押された古田敦也でさえ、「勝負するか敬遠するかはっきりさせた方が良い」と何度も言っていたし、翌日のスポーツ紙では宮本慎也が広島ベンチの采配を酷評する超辛口のコメントを発していた。私はあの年のシリーズ終了後、広島は宮本をコーチに招いた方が良いとこの日記に書いた記憶がある。宮本には、今年のヤクルトのような、もともと弱いチームを強くする能力には欠けるが、強いチームをさらに強くすることには長けていそうな気がする。だが、広島は強いチームをさらに強くしようとの努力をしなかったように思えてならない。おそらく来年からの広島は下り坂をたどるだろう。

 特にセ・リーグでは、強いチームをさらに強くしようとの貪欲さを持った球団は、残念ながら読売以外にはないのではないか。今も腹立たしく思い出すのは2011年の中日で、あの年この球団の社長だかなんだかは、リーグ連覇を目指していた当時の監督・落合博満を引きずり降ろそうと画策していた。それがペナントレースの終盤に発覚し、監督が代われば優勝できなくなると危機感を抱いた中日の選手たちを奮起させて、その煽りをヤクルトが食らって中日に大逆転優勝を食ってしまったのだった*1。このシーズンも、夏場のヤクルト・小川淳司監督の采配に「緩み」があった。勝てる試合を勝ちに行かず、8月下旬だったかに、相性の良かった中日との神宮での最終戦に思わぬ逆転負けを喫した時に、最初の嫌な予感がした。阪神戦で、阪神を苦手とする村中恭兵投手らを先発させ続けたローテーションも大いに疑問だった。これらが積もり積もって、最後の最後に中日に逆転を許した。1998年に38年ぶり優勝を遂げた横浜も、翌年の開幕戦から6連敗して、開幕11連勝の「星野竜」にいきなり大差をつけられたのが致命傷になった。要するに、このリーグでは読売以外の球団は強さが持続しないのだ*2。昨年までの広島は、セでは読売以外初めてのリーグ3連覇をなし遂げはしたが、それは個々の選手の力によるところが大きかったのであって、丸佳浩を読売に強奪された今年は、読売には勝ち越したものの波が大きい戦いぶりだった。特に阪神戦では試合終盤での逆転負けが多く(夏場の京セラドームでの2試合連続逆転負けなど)、阪神との対戦成績も1つ負け越した。シーズン全体として見ても「負けに不思議な負けなし」だったといえる。阪神は広島を上回ったことに胸を張って良い。一方、広島は監督を代えた方が良いし、フロントの考え方も変えなければならない。一方阪神は、昨年終盤の糸の切れたような戦いから一転して、今年は最後まで見事な粘りを見せた。矢野燿大金本知憲の監督の差がはっきり出たとしか言いようがない。中日も監督が与田に代わって良くなった。ヤクルトは今季でもこれらの球団に大差をつけられたのに、現状のままだと来年はさらに差をつけられてしまう。誰が考えても追うのは大仕事だから、高津臣吾も大変だろう。

 昨夜の阪神対中日戦については、下記記事を引用する。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191001-00010000-wordleafs-base

 

阪神CS出場と中日大野の防御率タイトル獲得“竜虎同盟”に意外と批判の声目立たず!

10/1(火) 5:00配信

THE PAGE

 

 阪神が30日、甲子園で行われた最終戦で中日を3-0で下し、逆転で3位に浮上、2年ぶりのクライマックスシリーズ進出を決めた。中日は3回3分の1無失点に抑えれば逆転で、最優秀防御率タイトルを獲得できる先発の大野雄を、タイトル確保と同時に降板させ、直後に阪神が均衡を破り先制した。大野のタイトルと阪神のCS出場の交換ゲームのようになった展開にネット上で「竜虎同盟」という言葉がSNSのトレンドワードになった。意外と広島ファンを含む批判的な声は少なかった。

 

天敵左腕降板直後に勝ち越し!
 

 ベンチから出てきた与田監督の姿を認めると虎党が騒いだ。前回登板は、ノーノー。この日もパーフェクトに抑えこまれていた阪神の天敵左腕が降板するのだ。4回先頭の近本をアウトにとった時点で、3回3分の1を無失点に抑えた大野の防御率は2.58となり、タイトルを争っていた広島・ジョンソンの2.59を抜いたのである。

 チームは、この2試合で連勝すれば、4位の可能性があったが、前日のゲームを失った時点で目標はなくなっていた。完全な消化試合で指揮官が個人タイトルを優先するのは当然だろう。しかも、大野は初の防御率タイトルである。

 大野が降りた途端に阪神は水を得た魚になった。2番手の三ツ間、3番手の山本を攻めて、たちまちのうちに4、5回で3得点。大山のタイムリーに、ワイルドピッチで2点をもらうという展開。もう甲子園は勝負あったの雰囲気に変わった。

 モチベーションが異なるチームの戦いは、こうまで違うものか。先発の青柳から、島本、引退登板となった高橋聡、岩崎、ジョンソン、藤川と小刻みに目先を変えられ、中日打線は白旗をあげた。

 今季限りの退団を表明している鳥谷が、阪神ラストゲームを7回の代打出場(ライトフライ)からショートの守備につくという矢野監督の配慮もあって、さらに甲子園は特別なムードに包まれていた。
 今季ゲーム差は広島と最大6.5差あった。広島が先に全日程を終えた時点で1ゲーム差。阪神は残り3試合。3連勝がCS出場ノルマという過酷な条件を6連勝フィニッシュという異例の猛ダッシュでクリアしてみせたのである。

「セプテンバー・ロス」は、これまでの阪神の代名詞だったが、就任1年目の矢野阪神は、見事な粘りと、投手力で奇跡の逆転CS出場を勝ち取った。泣くに泣けないのは、この3日間、毎日、阪神の負けを祈っていた広島ファンだったのだろう。

 ネット上では「広島ファン」に続き、一時「竜虎同盟」という言葉がSNSのトレンドワードとなった。大野の最優秀防御率タイトルと交換で阪神がCS出場権を得た現象をファンが面白おかしく表現したもの。
 ツイッターの書き込みは「竜虎同盟最高!」「竜虎同盟ありがとう!」などとポジティブなものが多く、広島ファンも激怒というよりも総じて「今年はバティスタのドーピング問題もありCSにいけなくて当然です」「阪神さんおめでとう!」といった広島の4位転落に納得しているような声が目立った。

 ペナントレース終盤の勝敗度外視の個人タイトル優先主義には、否定的な議論がなされることが少なくないが、最終戦でチームの目標がない中日が、見事な復活を遂げた大野へのタイトルプレゼントにチームが一丸になった。今回は、ギリギリセーフだろう。

 阪神OBで評論家の池田親興さんも「順位がかかっているならまだしも、チームに目標がなくなった最終戦でタイトルがかかった選手がいるなら、配慮するのは、監督として当然の行為。与田監督が3回3分の1で、きっかりと大野をマウンドから降ろしたことに何も問題はないだろう。広島ファンにしては、納得がいかないかもしれないが、最終戦の中日戦に、自力で勝っておけば、こんな気持ちにならなくて済んだこと。例年ペナントレースの後半に繰り広げられるケースの多い醜いタイトル争いとは、ちょっと種類が違うと思う」と、与田監督の采配に肯定的だった。

 本当は“竜虎同盟”で巨人を引きずり下ろし、さらなる混戦に持ち込んでおかねばならなかったのだろうが、これもたまたまの巡り合わせ。143試合までスリル満点。そしてハッピーエンドにまとめた2019年の阪神劇場はエンターテインメントとして最高の結果を残した。 

 矢野監督は、試合後の全試合終了スピーチで、ラグビーW杯で優勝候補のアイルランドを破る大金星をあげた日本代表を引き合いに出して「阪神タイガースも、感動と子供たちに夢を与えられるようなチームになっていきます。選手たちが、粘りに粘ってつかんだクライマックスシリーズの切符。皆さんと最後までしっかりと戦っていきたいと思います」と挨拶した。

 阪神と横浜DeNAとのCSファーストステージは5日から横浜スタジアムで行われる。

 

 私はCSファーストステージでは当然ながらDeNAを応援するが、仮に阪神が勝ち抜いたなら、ファイナルステージでは阪神を応援する。

*1:当時、逆転される前にこの最終結果を言い当てる記事をこの日記に公開したことがあった。私は悪い予感だけはよく当たる。小池百合子の「排除劇」もその2か月前に言い当てていた。

*2:90年代のヤクルトの黄金時代でさえ、1年おきにしか結果を出せなかった。