昨日(16日)、沢尻エリカという芸能人が麻薬所持の疑いで逮捕された。
この芸能人は、数年前に逮捕された元プロ野球選手(西武・読売・オリックス)の清原和博同様、麻薬の疑いが何度も取り沙汰された人物であって、逮捕に特に驚きはない。しかし、さっそくいつものように「安倍晋三の『桜を見る会』問題から目をそらさせようとする『スピン』だ」という陰謀論が巻き起こった。今回はオザシン(「小沢信者」)やヤマシン(「山本太郎信者」)のみならず、立憲民主党支持層などからもこのスピン陰謀論の声が上がっている。
厚労省の麻薬取締部ではなく、警視庁が沢尻容疑者を逮捕したことが今回の「スピン陰謀論」の根拠になっているようだが(安倍政権は容易に警視庁を動かすことができるとされているから)、これも下記ツイートが指摘するように、以前から沢尻容疑者と「反社会勢力」とのつながりが警視庁にマークされていたと考えれば不思議はない。芸能人や前記清原和博などのスポーツ選手と「反社会勢力」とのつながりを知らぬ者は誰もあるまい。
沢尻エリカを逮捕したのは厚生労働省の麻薬取締部ではなく、警視庁の組織犯罪対策部5課だったのか。組織犯罪対策の部署で麻薬と銃器を担当しているから、たぶん暴力団や反社会勢力の売人の線からたどり着いたんだろうね。清原やASKA同様、沢尻からも裏社会のイメージは消せなくなるだろうなあ。
— 剣kenn (@hskenncutter) November 16, 2019
まあ実際に安倍晋三が警視庁を動かした可能性がないとは私は言わないが、証拠を示せなければ人々を説得できないばかりか、ネトウヨに攻撃の材料を与え、人々がネトウヨの側に流れてしまう割合の方が多いだろうから、そういう陰謀論は言わない方が良い。政権を倒すなんて最初からハンデ戦に決まっているのだ。もちろん、決定的な証拠を掴んでそれを広めれば政権を倒せる可能性もあるが、あくまで動かぬ証拠を掴めればの話だ。
以上のような陰謀論ならありふれているのでわざわざ記事にもしないのだが、今回記事にするのは、沢尻容疑者が逮捕される直前まで、「桜を見る会」を野党が追及すること自体が「日米FTAから目をそらさせるための『スピン』だ」という陰謀論が、オザシンやヤマシンたちの間で広められていたからだ。
特に目立つのは「ゆきのちゃん」と名乗るアカウントだが、この人のツイートをいくつか載せたブログ記事がネットで引っかかったので下記にリンクを張る。
上記ブログ記事から筆頭にリンクされている「ゆきのちゃん」のツイートを下記にリンクする。
やっぱ「桜を見る会」はスピンだね。日米貿易協定が15日に委員会採決されて、19日に衆院を通過する見通しだからさ、この件から関心を逸らすために与野党が国会プロレスをやってるわけだよ。先にFTAに加盟した韓国とかもボロボロになってんのに、国民はトロイから事の重大性が分かっていないんだよ。
— ゆきのちゃん (@t2PrW6hArJWQR5S) November 13, 2019
オザシンやヤマシンたちは、この陰謀論に夢中になっていて、あろうことか山本太郎自身もそれに煽られて他の野党を「売国」呼ばわりして批判を浴びた。ヤマシン自身が山本太郎にダメージを与えた格好だ。
「桜を見る会」は安倍晋三にとって不利な材料だろうと普通の人は思うが、彼らの一部は「安倍はもう宗主国(アメリカ)から切り捨てられた」などと宣っている。
ところが日米FTAから関心をそらすスピンだったはずの「桜を見る会」から目をそらすスピンとして沢尻容疑者の逮捕が語られることによって、わけのわからないことになってしまった。
もっともそんなことにめげるオザシン・ヤマシンではない。彼らは「沢尻容疑者逮捕は日米FTAから目をそらさせるためのスピンだ」と言えば良いだけの話だから。
彼らはいったい何をやっているのだろうか。沢尻容疑者の件は芸能人ならありふれた話だし、日米FTAと「桜を見る会」の批判は二律背反でも阻害要因でもなく、両方とも批判していくことはいくらでも可能なのだから、「(野党は)『桜を見る会』を追及して日米FTAから関心を逸らすプロレスをやっている」と主張する前記「ゆきのちゃん」の陰謀論はナンセンスとして一蹴されてしかるべきだ。
それをやらずに「ゆきのちゃん」になびくオザシン・ヤマシンたちこそ、安倍晋三と自公の「補完勢力」として強く批判されるべきだろう。