自由党と国民民主党(以下「民民」と略称)の合流話はやはり民民の党内からの反発が強いらしく、共同通信や朝日を後追いしたメディアの報道はやや後ろ向きに変化している。「合流」に加えて「統一会派」という言葉が出てくるようになった。下記NHKニュースもその一例。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190123/k10011788741000.html
2019年1月23日 22時41分
国民民主党の玉木代表と自由党の小沢代表が、両党の連携強化で一致したことを受けて、国民民主党は、23日の総務会で、国会で統一会派を結成したり合流したりすることも含め、玉木氏が、自由党と協議に入ることを了承しました。国民民主党の玉木代表と自由党の小沢代表が、22日、両党の連携を強化する方針で一致したことを受けて、国民民主党は、23日の総務会で、対応を協議しました。
この中で、玉木氏は、来週28日に召集される通常国会や夏の参議院選挙に向けて、野党の大きな塊をつくる必要があるとして、自由党と協議に入ることを提案しました。
これに対し、3時間余りにわたって議論が行われた結果、国会での統一会派の結成や合流も含め、玉木氏が自由党と協議に入ることを了承しました。
また、統一会派については、来週から通常国会が始まることから、衆参両院の国会対策委員長らの間でも、協議することになりました。
このあと、玉木氏は、記者会見し、「できるだけ早く、小沢代表に会って、具体的な中身を詰めていきたい。国民がバラバラな野党に対して持っている失望感を解消していく第一歩にしたい」と述べました。
(NHKニュースより)
民民と自由党の体質については、下記「エリ@読む国会」氏の2件のツイートに説得力を感じる。
https://twitter.com/yomu_kokkai/status/1087740769484460033
「何もしなければ消滅するから、理念は脇においてとりあえず再編しよう」という思考の果てに生まれたのが希望の党であり、国民民主党なので、合併はそういう意味では筋が通っていますよね。そこに残った人たちの方法論なわけだから。
それが必ずしも間違いだとも思わないです。
7:56 - 2019年1月22日
https://twitter.com/yomu_kokkai/status/1087744801405947904
自由党と国民民主党については、昨年の希望の党の騒動の時点で合併するなりしてケリをつけるべきだったようにも思います。
事実上関与があったのに、有権者に反小池的にみせていたのは、むしろ欺瞞的では。
8:12 - 2019年1月22日
特に上記で赤字ボールドにした部分には特に強く同意する。
付け加えれば、一昨年秋の衆院選で、そんな小沢一郎の「欺瞞」を不問に付して、小池百合子にあえなく切られて帰ってきた小沢一郎に選挙協力をして差し上げたのが日本共産党だったということだ。さらには、「市民連合」の中心にいる学者の一人である山口二郎は、小沢一郎と極めて近い間柄だ。山口二郎と小沢一郎こそは、90年代の「政治改革」で衆院選に小選挙区制を導入させた元凶だった。そんな彼らに共産党が丸ごと乗っかったのが現在の「野党共闘」であり、そこにこそ大きな欺瞞があるとしかいいようがない。
もちろん現在の民民党内で「反小沢」で噴き上がっている政治家たちも、その体質は小沢と同じであることはいうまでもない。現在の民民党内からの小沢への反発は、似た者同士の近親憎悪でしかない。どうせ現状では両党とも選挙で勝てないのだから、統一会派などとかったるいことをいつまでも言ってないでとっとと腹を括って合流しろよ、と私などは思ってしまう。
なお、「エリ@読む国会」氏は、小沢についてもツイートで寸評している。
https://twitter.com/yomu_kokkai/status/1087921075701338113
小沢さんの魅力というのは、権力欲と妥協のできなさがアンビバレントなところではないだろうか。
権力欲があるから合従連衡はしたがる。しかし妥協ができないから破綻する。
19:52 - 2019年1月22日
私はそんな小沢に「魅力」など全く感じないが、それ以外は同意する。
小沢には、1993年の細川護煕・七党連立政権と2009年の民主党政権の二度にわたって「壊し屋」を演じた過去があるわけで、そんな小沢の「野党の大きな塊をつくる必要がある」(前記NHKニュースより)という理念に基づく「野党共闘」自体に大きな欺瞞があることは明らかだろう。
これを克服する必要条件が、衆院選の小選挙区制を止めて比例代表制を中心とした制度(たとえば小選挙区比例代表併用制など。「並立」と「併用」とが全然違う制度であることを理解されたい)に改めることだと私は確信している。それはもちろん十分条件ではないのだが、少なくともある時期まで小選挙区制の比率をどんどん増してきた現在の選挙制度が破綻していることは、もはや多くの人たちが理解し指摘するようになっている。しかし、「市民連合」は選挙制度の再改変にはいたって後ろ向きだ。なぜならそれは小沢一郎の意向に反するからであって、こんなひどい欺瞞がまかり通っているのが現在の「リベラル・左派」界隈なのだ。
一方で「右」(保守)の世界でも、安倍晋三を偶像化する大いなる「欺瞞」がまかり通っている。「外交の安倍」との喧伝がまるっきり嘘っぱちであったことは、自由党と民民との合流話が最初に報じられたのと同じ日に行われた日露首脳会談に全く成果がなかったことからも明らかだ。
こうして、「リベラル・左派」、「右」(保守)双方で、大いなる欺瞞がまかり通っている。これぞ「崩壊の時代」だ。