kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

プロ野球の開幕延期、五輪開催危機に乗じた竹中平蔵の「ショック・ドクトリン」、非常時の経済政策などなど

 既に2月26日付の下記記事で予想した通り、プロ野球の開幕延期が決まった。

 

kojitaken.hatenablog.com

 

 以下、2週間前の記事を引用する。

 

 今年のプロ野球セ・リーグの開幕カードの1つは神宮球場で行われる予定のヤクルト対阪神3連戦だが、その3戦目にヤクルトと阪神の両チームの選手が、全員故野村克也監督の背番号73をつける追悼試合にするとのニュースが報じられた。

 しかし、このニュースに接して、たぶんその試合は行われないだろうなと思った。いうまでもなく、新型コロナウイルスの影響で中止されるのだ。プロ野球のリーグ戦は10カード(5週間)が1クールになる日程が組まれているが、その第1クールの全試合が中止されるだろうと私は予想している。

 

出典:https://kojitaken.hatenablog.com/entry/2020/02/26/004106

 

 下記は昨日(3/9)のNHKニュース。

 

www3.nhk.or.jp

 

 以下引用する。

 

プロ野球開幕延期 4月中の開幕目指す 新型ウイルス感染拡大で

2020年3月9日 19時50分

 

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、プロ野球感染症の専門家からの助言を踏まえ、今月20日のシーズン開幕を延期し、来月中の開幕を目指すことを決めました。

プロ野球の12球団などは9日午後、東京都内で臨時の代表者会議を開き、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、今月20日に迫ったシーズン開幕の扱いをどうするかについて協議しました。

会議では午前中に開かれたプロ野球とサッカーJリーグによる2回目の「対策連絡会議」で感染症の専門家から現段階での開催は危機管理の面などから延期が望ましいとする助言があったことを踏まえ、シーズンの開幕を延期し、来月中の開幕を目指すことを全会一致で決めました。

そして、今月12日に再び代表者会議を開いて開幕の時期を協議することにしています。

シーズンの開幕が延期されるのは東日本大震災のあった9年前の平成23年以来です。

 

斉藤コミッショナー「大変苦しい判断」


斉藤惇コミッショナーは、会議のあとの会見で「延期は、もうやむをえないということで全会一致で決まったが、大変苦しい判断だった。われわれの一致した考えは、観客を入れて143試合やることを最優先すること。あらゆる想定をして日程のシミュレーションをしている。引き続き専門家の意見を参考にしながら、遅くとも4月中に開幕できるよう目指したい」と話しました。

また開幕の延期に伴うレギュラーシーズンの日程の確保のため、クライマックスシリーズや、オールスターゲームなどを縮小する選択があることを示したうえで、現在中断が決まっているオリンピック期間中を利用する可能性についても「相当最悪のケースだが、最悪の場合、ないことはない」と述べました。

(後略)

 

NHKニュースより)

 

出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200309/k10012321511000.html

 

 まあ予想通り。4月中というと、おそらく11カード目の4月24日あたりでの開幕を想定しているのだろうが(ヤクルトは神宮で広島戦を開催予定)、それだとちょうど第1クールを丸々スキップすることになる。

 ただ、この日程で開催できるとしたら、それは相当運の良いケースだと考えなければならないだろう。既に感染は全国に広がっているし、日本では安倍政権が最初に検査等への政府支出を渋っていたこともあって(典型的な緊縮志向!)、感染の実態がつかめていない。政権が打ち出した一斉休校については、プロセスは出鱈目だったものの、やらないよりやった方がマシだったという結論に私は傾きつつあるが*1(つまり残念ながら意見を変えたということだ)、それとは別に、政権の初動の遅れ、ことに(おそらく感染の実態が知れるのを恐れてだろうが)検査の実施を渋ったことは強く批判されなければならない。

 最近は、一日ごとに何が起きるかわからない状況になっている。東京五輪などもはや「風前の灯火」であって、新自由主義者竹中平蔵などは、東京五輪中止を見込んで安倍政権批判を始めたほどだ。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 私が警告したいのは、この竹中による政権批判に対して、安倍政権批判派が「援軍到来」などと思ってはならないということだ。これは、下記木下ちがや(こたつぬこ)氏が言う通り、新自由主義者お家芸ともいうべき「ショック・ドクトリン」狙い以外の何物でもない。

 

 

 先に百田尚樹ら排外主義系極右が安倍晋三を批判した時にも、これに便乗した「リベラル」が少なからずいたが、あれは結局安倍晋三に「排中排韓」の政策をとらせるための駆け引きに過ぎなかった。まんまとそれに成功した百田らはドヤ顔で安倍支持に復帰している。この経緯を知って、それ見たことか、なんであんたらは百田をリツイートなんかしたんだよ、と苦虫を噛み潰す思いだった。

 政権が突然打ち出した入国制限の対象にイタリアが含まれていなかったのはお粗末の一語であって、昨日(3/9)蓮舫に追及された安倍晋三は、イタリア北部の一部の州を入国制限の対象とする用意があるとの答弁をせざるを得なかった。この程度のリスク回避すらできず、「排中排韓」の鎧を露骨に見せてしまうとは、それほどまでにも安倍政権は冷静さを失っている。

 ところで、経済的にも非常時になりつつある今、一番必要なのは、竹中平蔵流のショック・ドクトリンでも、山本太郎やヤマシンや日刊ゲンダイが唱える「消費税減税」でもなく、富裕層や大企業などへの大増税ではないか。前記こたつぬこ氏とヤマシンのやり取り(下記リンクなど)を見ていてそう思った。

 

 

 

 「凄まじい歳出圧力がかかり、かつ税収は激減します」というのも、「なにをどうしようが経済が右肩上がりにはならない構造的危機の段階にある」というのもその通りだろう。なぜなら、新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業活動そのものに大きな支障をきたすことが今後予想されるからだ。そして、戦時中(先の「崩壊の時代」)に戦争遂行のために「凄まじい歳出圧力がかか」った時にとられたのは、いわゆる「国家総動員体制」であって、その一環として「持てる者から取る」税制改革がなされた。戦時中に所得税の累進制は極限にまで強められたのではなかったか。2008年のリーマンショックに端を発する世界金融危機の時にはそこまで必要なかったが、企業活動に大きな制約が加わるであろう今回は、当時よりも危機は大きくて深いように思われる。だから戦時中とのアナロジーが頭に浮かんでしまう。

 だが、安倍晋三に富裕層や大企業の利益に反する政策はとれない。この政権の政策はどのみち早晩行き詰まるのだから、悪いことは言わない、安倍晋三は一日も早く政権を投げ出した方が良い。私は、首班は自民党から出しつつも(首相には政治的野心を持たない長老政治家を充てるしかないという考えに変わりつつある)、立憲民主党、国民民主党及び共産党からも入閣させる暫定政権を作って危機対応に当たり、状況が一段落した時点で解散総選挙を行うしかないと勝手に思っているのだがどうだろうか。なんだ挙国一致内閣か、はたまた大政翼賛会かよ、との批判も受けるだろうが、妙案が思い浮かばないのだ。

 少なくとも、安倍晋三の方向性も竹中平蔵の方向性も山本太郎の方向性もすべてダメだとはいえると思う。もはや「平時」ではないのだから。

*1:その根拠として、一斉休校をやった中国が成果を出しつつあること、イタリアをはじめとして一斉休校を実施する国が増えたこと、そして一斉休校の効果はどうやら研究でも認められているらしいことが挙げられる。安倍政権の対応に関しては、典型的な「結果オーライ」ではあるが、今井尚哉侮れず、との思いも正直言って少しはある。