kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

新型コロナウイルス感染症の新たな陽性者、大阪221人、愛知167人(うち名古屋市93人)。東京以上の深刻さ(2020/7/29)

 大阪府と愛知県、後者では特に名古屋市での新型コロナウイルス感染は、もはや東京都以上に深刻な状況になった。

 昨日(7/29)新たに確認された陽性者数は、東京都250人に対して大阪府221人、愛知県167人(うち名古屋市93人)と、人口比からいえば大阪府と愛知県(特に名古屋市)は東京都以上に多くなった。もっとも、東京都の場合は相変わらず集計に手作業が占める割合が大きいせいか、大阪府や愛知県よりも結果の発表が遅く、250人という数字には4連休の影響がまだ残っていた可能性がある*1

 昨日、大阪府の陽性者が大幅に増えたことをYahoo! JAPAN経由で知った時に、「吉村府知事は動きの鈍い国に対抗して積極的なコロナ対応をやってたはずなのに」といった類のヤフコメを多数見かけたので頭痛がした。そんなのは大阪府やマスメディアの嘘宣伝に過ぎないのに。

 たとえば、日本全国が緊急事態宣言下にあった5月11日に、大石佳能子なる人物が下記の記事を公開している。

 

mediva.co.jp

 

 以下引用する。

 

8割おじさん」こと西浦北大教授が主張されているように、ウィルスの感染というものは指数関数的に増えるものです。

ただ新型コロナに関しては、自粛の効果や(多分)自然免疫等によって「指数関数的な爆発」は避けられているのではないか、ということを皆さんも薄々感じてらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、ハイリスク者が多くいる病院や施設等がクラスター化することはあり得ますし、それを全力で防ぐ必要はあります。

ただ、今のような社会活動全体を止めるという自粛活動が正しいのか?を判断するには、新型コロナとの闘いの「現状と将来」を正しく捉える必要があります。

ところが、今まで「新型コロナは収束しつつあるのか、指数関数的に患者が増えるのか?」を正しく把握するための「指標」がありませんでした。毎日の感染者数に一喜一憂し、100人越えたの、越えてないのと騒ぎ、、(でも月曜日は必ず少ないですよね)。これで日本の将来を決めようというのは、羅針盤も無く、大洋に漕ぎ出すようなものです。

今回ご紹介するのは、大阪大学教授(核物理研究センター)の中野貴志先生が考案された「K値」という指標です。

え、医学部の先生じゃないの?と思われるかもしれませんが、医学部の先生でなく、さらには感染症の方でないからこそ気づかれたのではないか、と私は思っています。ちなみに大阪大学では、金田安史副学長(元医学部長)、吉森生命機能研究科長はじめ医学部の先生方にも全面的にendorseされています。

 

K値とは

 

K値」とは、過去一週間の類型感染者数の増加率を、今日の感染者数を基準として評価したものです。数式は次のようになります。

X=累計感染者数 Y=1週間前の累計感染者数 
K=X-Y)/X = 1Y/X

K値は、時の経過ともに安定的に推移し、収束に向かっていきます。また、その速度が国によって異なり、「その国がまだ危うい状態かどうか」を把握することができます。

勿論、突然ある地域にクラスターが発生するなどのことが起こるとK値はブレますが、その後また一定の速度で収束に向かいます。その収束予測数値と現状のブレにより、予定外が起こっているのか?が把握できるのです。

私はこの指標を中野先生から、1か月ほど前に聞きました。過去のトレンド共に、ゴールデンウイーク明けの数値予測を伺ったのですが、これがドンピシャリの大当たりでした!

中野先生のご説明によると、「日本ではCOVID-19が感染収束に向かって順調に進展していることが分かる」、「日本におけるK値の推移は極めて安定的で、ヨーロッパのいくつかの国で見られたような社会活動の制限等の施策による感染収束速度の増加もなければ、米国で見られるような感染再拡大の兆候も見られない。このまま順調な推移が継続すれば、5月中旬には多くの国で感染収束宣言が出ているレベルまで達するであろう」とのこと。

実はK値を見ると、緊急事態宣言の前後で感染者数の増加パターンは変わっていません。これは、宣言前から手洗いマスク等で国民を自主的に努力していた。または自然免疫がついていた等々の理由はあり得ると思います。理由はともあれ、収束しつつあるなら緊急事態宣言を継続して各種活動を制限し続けることは害の方が大きくなります。

勿論、海外から変異したウィルスが入ってくるなど、コロナの危険性が去ったわけではないので、K値をしっかりモニターし続け、それに応じて臨機応変な対応をとる必要はあるでしょうし、引き続き3密を避ける、手洗い、マスク等は気を付けるべきでしょう。

しかし最も力を注ぐべきは、社会全体のロックダウンではなく、病院や施設等、「ハイリスク×構造的3密環境」でクラスター爆発が起きないよう資源を集中すること。そのためにも、医師が必要と思った人に対しては早期に検査が出来て、早期に介入できる体制を早急に整備すべきと思います。

K値の詳しい解説は、大阪大学准教授(経済学)の安田洋祐先生がブログに書かれているのが分かりやすいのでご紹介します。そこから、中野先生の論文も辿れます。
https://note.com/yagena/n/n22215ecd9175
https://note.com/yagena/n/nec5546ce7199
https://note.com/yagena/n/n52b77242e633

国に先んじて、地方自治体では指標としてK値の活用に積極的です。厚労省でも議論は始まっています。久しぶりの明るいニュースです!

ちなみに、「8割減らす」は「人出を8割減」ではないこと、ご存じでした?「8割減らす」べきは「接触」です。人出が半減し、減った分だけ接触が半減すると0.5×0.50.25で、ほぼ8割です。マスコミは「人が8割減ってない!」と言っていますね。「8割おじさん」も政府も、誤解を放置していますが、悪い意図を感じます、、。

 

出典:https://mediva.co.jp/blog/2020/05/post-4227.html

 

 この大石佳能子あたりが「K値」の「アーリーアダ(ド)プター*2」だったのだろうが、一読してわかる通り、「K値」を論拠にして「規制を緩めても大丈夫」と主張する内容だ。

 「人と人との接触の規制」など早く止めて、「都構想」とやらの再びの住民投票を早くやりたかった吉村洋文が飛びついた「国に対抗する新型コロナ対応」の中身はこれだった。マスメディアは吉村を大いにもてはやしたが、それが規制を緩和して「経済を回す」ことを優先する方向性を持っていることは指摘しなかった。だから、テレビ(特に在阪局)の視聴者は、あたかも吉村が新型コロナ対策に前向きに取り組んでいるかのような、誤った印象を持った。その結果、現在の惨状に直面してもなお、吉村に対する十分な批判ができなくなっている。

 しかし、さらにずっとひどいのが名古屋市だ。同市のひどさは、前述の大阪府どころではない。

 

 上記サイトからリンクされている陽性者数のデータを見ると、7月28日が検査実施人数125人*3に対して陽性患者数65人で陽性率は52%、29日が検査実施人数202人に対して陽性者数93人で陽性率は46%というめちゃくちゃな数字だ。陽性率は東京都で6%台、大阪府では10%台というから、いかに名古屋市の状況が深刻かがわかる。J1の名古屋グランパスエイトプロ野球中日ドラゴンズの試合は中止した方が良いくらいではないか。

 名古屋市がここまで深刻な状態になった大きな要因は、市長・河村たかしの無策である。河村は大村秀章知事のリコール運動ばかりに熱心だから、名古屋市での陽性率が目に見えて上がってきても、県に相談もせずに放置した。その結果が今の惨状だ。名古屋市民は河村のリコール運動を起こすべきだろう。

 維新の大阪府市と「減税日本」の名古屋市は、ともに新自由主義者に牛耳られている。東京都知事小池百合子新自由主義者だが*4、大阪や名古屋では好き勝手にやれる自由度が大きいために、より極端な事態を招いてしまったのではないかと思われる。

 新自由主義(者)が国を滅ぼすことはもはや明らかだが、せめて吉村洋文や河村たかしに対する批判くらいは、もっと積極的に行われてしかるべきだろう。それができない日本の現状は、人々が萎縮しきっているとしか言いようがない。

 まさに、批判の言説が絶え果てた「崩壊の時代」。

*1:岡田晴恵氏などはこの点で大阪府を褒めそやすのだが、大阪に対する点が甘すぎるだろう。そんなものは東京都を批判するだけで良い。

*2:Early adopters. 「アダプター」と書くと、電気製品でよく使われるadapter(adaptor)と紛らわしいから、「アドプター」と表記すべきではないかと思っている。イギリス英語では「アドプタ」に近い発音だし、アメリカ英語でも「ア」と「オ」の中間の発音だ。

*3:この数字は前日(7/27)と同じ。昨日公開した記事でも名古屋市の陽性率を取り上げようかと思ったが、日付の誤記があったので(現在は修正されている)、日付のデータともども誤記ではないかと思って取り上げるのを止めた。もっとも、検査実施人数もあとから上乗せされる可能性がある。

*4:吉村洋文・河村たかし小池百合子の3人は、全員揃って極右でもある。