kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

小選挙区制が「野党共闘」のあり方を制約する/松木謙公は本選ではアブナイ/名古屋市長選で「反河村」陣営は人選を誤った

 「3選挙で自民全敗」について書かれた某都会保守氏のブログ記事*1を見ると、こんなことが書いてあった。

 

また25日には名古屋市議選が行なわれ、河村が4選を果たしたのだが。自公が推薦した(立民、国民なども相乗りだった)候補が負けたことで、自民党はもう一つの大きな選挙にも負けたことになる。(ーー)

 

出典:https://mewrun7.exblog.jp/29499316/

 

 「市議選」は「市長選」の誤記だが、あたかも河村たかしの勝利を喜んでいるみたいで不快な文章だった。但し、自民党候補が負けたという事実は大きい。名古屋市長選については、この記事の最後に再び触れる。

 同じブログ主はこんなことも書いている。

 

下手すると自民党と連携しそうな&支持率が1%もない国民民主党を切ってでも、共産党選挙協力した方がいいかと思うのだけど。<連立政権は、共産党がかなり思想や政策を譲歩してくれないと難しいかも知れないけど。>

 

 小選挙区制の問題点を全く理解していない愚論だとしか言いようがない。「野党共闘」は成立時に小沢一郎が深く関わっているが、衆院選小選挙区に勝つには止むを得ない旋法であって、国民民主党を切るわけには絶対にいかないのだ。共闘の基軸はあくまでも野党内では支持者が一番多い立憲民主党と二番目に多い共産党で行うが、野党が衆院選で勝って政権交代した場合には共産党は閣外協力にとどまるという形が既に示されている。保守的な枝野幸男立憲民主党代表の思想信条には私は合わないところが少なくないが、立共共闘を基軸としつつ、玉木・山尾・前原の三悪が「右へ右へ」あるいは「維新と組もうぜ」みたいな遠心力を働かせているのを我慢して国民民主党を共闘につなぎ止めることに関しては全くブレがないことは評価されるべきだろう。そうでなければ小選挙区制の選挙には勝てない。玉木、山尾や前原らについては、いずれ遠くない時期に必ず来ると思われる国民民主党の解党時に、今までの細野豪志長島昭久がそうであったように個々の右派政治家たちに勝手に身の振り方を決めさせれば良いのであって、現在の国民民主党に所属する他の議員たちやそれを支援する労組ごと切ってしまったのでは、絶対に再度の政権交代など起こせはしない。

 問題はこうした七面倒くさい制約を与えているのは小選挙区制にほかならないことだ。最終的には小選挙区制を廃止して比例代表制を軸とした選挙制度に再改変する。このビジョンを示すことが必要不可欠だ。

 参院広島の再選挙の結果は良かったと私は思うが、宮口治子候補が訴えなかった脱原発小選挙区制廃止を訴えて、NHKなんとかという党の候補より多くの得票を得たのが佐藤周一候補だった。どこかのメディアの出口調査では、共産党支持層の7%が佐藤候補に投票したと答えたそうだ。確かに、脱原発小選挙区制廃止の主張は当選した宮口候補より先進的だった。脱原発など、長期的にはこの方向に向かうしかないことは明らかだし、ことに海水の流れが少ない瀬戸内海にあって地殻の変動が激しく、だからこそ険しい地形になっている場所にわざわざ建設された*2四国電力伊方原発を稼働させるなど、もってのほかだろう。伊方原発で福島の東電原発事故みたいなことが起きれば、愛媛県はもちろん広島県にも大きなダメージを与える。また、小選挙区制は先進的な主張をする勢力が議席を得ることを阻む制度だ。逆にトンデモな過激勢力が議席を得ることも阻んではいるが、前者のデメリットは後者のメリットよりはるかに大きいと思う。未だに小選挙区制の問題点に関する議論が進まないことは誠に遺憾だ。この点でも小沢一郎の罪は極めて重い。

 それから、その小沢一郎の側近四天王である松木謙公は、思ったほど票が伸びなかったらしく(当たり前だ。私が北海道2区の有権者だったら間違いなく白票を投じていた)、自民党が間違いなく候補者を立ててくる本選では苦戦必至ではないかとの声がある。

 

 

 

 

 

 そりゃ松木謙公なんかをいつまでも出し続けてるからそんなことになる。今回は、松木に投票したくない野党支持者たちが少なからずいて、自民不戦敗で共産も候補を立ててないから結果が見えていたため、「わざわざ投票所に行って松木の名前なんか書かなくても良いか」とばかりに寝てしまったに違いない。

 とはいえこういう議員も数合わせのために必要とされてしまう事情が残念だ。

 最後に名古屋市長選の話に戻る。弊ブログ記事についたはてなブックマークのコメントを以下に紹介する。

 

ともに接戦となった参院広島再選挙と名古屋市長選で勝敗を分けたものは - kojitakenの日記

そもそもこれだけ問題まみれの市政で、投票率が50%行かなかったってのが残念過ぎる>名古屋。横井が四万差まで詰めていたとしても、投票にいかなかった有権者は実質河村支持だと、河村が言っても通ってしまう。

2021/04/26 18:14

b.hatena.ne.jp

 

ともに接戦となった参院広島再選挙と名古屋市長選で勝敗を分けたものは - kojitakenの日記

あれでも事前世論調査よりは倍くらい横井票入ってるのか…一応無かった訳ではないんだな反河村の風も。やはり反自民の風が強い現状で自民系の右派候補という選択がまずかった「右も左もないリアリズム」はダメだ。

2021/04/26 14:43

b.hatena.ne.jp

 

 そう、「反河村」の風は間違いなくあった。敗因は「反河村」勢が自民系の右派候補を擁立してしまったことに尽きる。兵庫県宝塚市長選で維新・自民・野党共闘の三つ巴を野党共闘が制したような展開は、長年の河村市政の惰性力が強い名古屋では通用しなかったのかもしれないが、自民党に右派候補を立てさせず、もう少し立民や共産支持層、それに何よりも無党派層を引きつける候補を擁立して「反河村」でまとまることができれば、必ずや河村に勝てた選挙だったのにと惜しまれる。弊ブログは当初「河村は大阪の維新ほどには強くないから勝てる」との主旨の記事を公開していた。しかし自民党が右派候補を出してきた時点で嫌な予感がした。そして前者の楽観論が外れ、嫌な予感の方が当たってしまった。

 ともあれ、名古屋市長選敗北の総括は絶対に必要だ。これまで、野党側は敗因の総括をさぼる傾向が異様に強かった。同じような態度はもう許されない。

*1:https://mewrun7.exblog.jp/29499316/

*2:というより、そういう土地には人が住めないので、原発が立地されたという経緯だが。